白馬岳主稜

【白馬岳主稜】17.4.1(白井)
【2017年4月1日~2日】
【メンバー】L.白井、白木(ひ)

3月31日(金)の晩にヒロ君と新城市の我が家に20時過ぎに集合して出発。
本日一緒に行く予定だった山形君がスノーボードでコケて,
手首と肋骨を骨折した為、急遽二人で登ることになった。
GWに山形君と剣尾根を目指すため、その前哨戦トレーニングとして今回の山行を計画していたのであるが、山形君の骨折でGWの剣尾根も無理そうだ。
残念ではあるが、週末の天気も良さそうなので二人で行くことに決めた。
安曇野ICを24時前に降り、下道で白馬村へ向かう。二人だけだし小雪も降っているので道の駅で車中泊とする。
道の駅にはスキーヤーが大勢車中泊していた。

4月1日 8:00二股—10:30猿倉—14:00白馬尻
天気予報とは違って朝起きてみても小雪が少し舞っている空模様。しかし、天気予報ではよくなる見込みなので準備して二股の駐車場へ向かう。
二股の駐車場についてみると”アラびっくり”。なんとまだ林道は全く除雪されておらずゲートから先は1m以上も積もった雪の道となっていた。
そんなことで引き返すはずもなく、装備を整え出発する。

林道のゲートの先は雪がてんこ盛り
林道はスキーヤーの足跡や滑った跡は多く残っているが登山者の踏み跡は少なかった。
まだまだ残雪シーズン初めな事と,先週のまとまった降雪で入山者も少なかったためであろう。
先週は那須で雪山訓練をしていた高校生山岳部の子らが8人も雪崩で亡くなった時である。
自分達もビーコンを装着して万全を期する。林道はラッセル跡がほどんどなく、時折踏み抜く、場所によってはしょっちゅう踏み抜くような春山特有の嫌らしい雪面となっていた。
除雪してあれば猿倉まで1時間半ほどで行けるところを、2時間半ほどかかってしまった。
猿倉からさきも最初ちょっと迷ったが夏道と同じ感じで、林道跡を進んでゆく。
ここまで年配のペアと学生っぽい3人組が下山してきた。どちらのPTも天気が悪く登れなかったそうだ。
単独でワカンを履いて先行している登山者の足跡をたどって白馬尻へ向かう。


猿倉より白馬尻に向かう。徐々に視界が悪くなる。
たぶん白馬尻だろうと思われる地点に着いても天気は一向に良くならず、ガスが濃くなり30mほど先は見えない程度までになっていた。
当初は本日中に主稜の八峰も越えて、どこか適当なところでテントを張る予定であったが、視界が効かないのでここらへんで張ることにする。
あまり好きではないがスマホのGPSアプリで確認すると、ほぼほぼ白馬尻の近くであることが解った。
GPSは使い慣れてしまうと感が鈍ってしまうと思う。いままではいつも大体の地形を地図から見て覚えておいて、歩きながら自分が今までどんな地形を歩いてきたか、無意識に覚えている。とくに今回のように視界が悪い時は自然と、小さな谷や尾根を意識している。あと、帰る時に迷わない為にもなんとなく覚えている。今回のように夏道がはっきりしてない残雪期の時は尚更である。
と言う事で、今日はここまで!と諦めて14時ごろテントを張り、楽しい楽しい水作りと宴会とする。
明日のアタックのことを考えると早く出なくては行けないと思い18半ごろには就寝とする。
結局暗くなってからも天気は晴れることは無かった。

4月2日 3:30白馬尻—8:00六峰—10:40三峰—12:10白馬岳頂上
早朝の2時に起きて外の様子をうかがう。まだ少しガスっていて星も薄っすらとしか見えていない。
少し迷ったが天気が好転する予報であったのでアタックすることにした。
ラッセル跡を見込めないのでちょっと時間がかかってしまうかもしれないが、ここで撤退では後で後悔する。
技術的にも難しい所もないはずだし、気温も高くなく、ここまでも大した雪崩の跡もなかった。
撤退する理由はない!


午前3時半に暗闇の中出発!
真っ暗の中、主稜と思われる方向に進み尾根に取り付く。まだ雪は締まっていてアイゼンを履いて気持ちよく高度を稼いでいける。
とちゅうまで前日の単独者のアイゼン跡があったがそのうち無くなってしまった。たぶん天気が悪いので一度谷へ降りたのであろう。
急な雪壁をアイゼンとピッケルを使って登る。5時近くなると薄っすらと明るくなる。そしてモルゲンロート。白馬の峰々が赤く染まりとてもきれいである。
風も穏やかでやはり真冬の厳しさは無い。
太陽が昇り8時過ぎてくると太陽に照らされた雪面の雪が溶けだし一歩一歩足が沈みラッセルとなる。これがボディーブローのように少しずつ体力を奪ってゆく。


徐々に明るくなってきた。


朝日を浴びて。

気持ちよく登って行く。

雪庇の張り出しを越えてゆく。

3峰頂上で休憩、ラッセル疲れた
急な斜面も足場が崩れてしまい、登るのに苦労するが、誰もまだ足跡をつけていない尾根を自分たちの登った証であるトレースをつけながら登るのは気持ちがいい。
こういう登山はしょっちゅう出来るものではない、ましてや白馬岳主稜と言う日本の代表的雪稜ルートに、この様な栄光を頂けるとは感無量である。
さすがに三峰に着くころにはだいぶ疲れた。ここで僕らのトレース跡を辿って追いついた単独の方に追いつかれ先を譲る。
二峰や本峰までも結構急であったが先行者はノーロープで上がってしまった。
それではと僕らもノーロープで上がる。最後の雪壁の乗越はだいぶ傾斜があったので「これはヒロ君にはキツイ」かと思って時間をかけて雪を崩し足場を作って登る。ビビりながらも無事にヒロ君も登り終え、頂上へ。
頂上直下の急雪壁の登るヒロ君
白馬岳の頂上で

さすがに主稜線は風が強く吹いていて頂上でのんびりする気分にはなれないので、大雪渓の降り口までいって休憩する。
頂上では見晴らし良く頑張って登ってきて良かった。
大雪渓はほとんどでまだデブリも無く、足跡も先行の単独者の物だけが一筋ついているだけである。そんな綺麗な雪渓に僕らの足跡をつけるのは今度は登りと違って汚してしまうようで気が引ける。走る様にかけ降りテント場に戻る。
大雪渓の降り口

急いでテントを撤収して二股の駐車場へ下って行く。
この時間になると小蓮華山方面より山スキーやボードでバックカントリー楽しんで滑り降りてくるスキーヤーが多く見られて。
自分らはツボ足で順調に猿倉まで下りる。しかし、この先に林道がつらかった。行きより好天で緩んだ雪が腐って数歩歩くごとに踏み抜き疲れは倍増する。
それでも何とか白馬尻から3時間ほどで駐車場まで下りたが、いままでかつてないほどの疲れを覚えた。
まあ、歳のせいもあるのかなぁ。
3年前のGWの山行の時にも寄った十郎の湯に入る。ちょっと食欲がないぐらい疲れていたが、大町のラーメン屋で塩ラーメンを食べると少し調子が戻ってきた。
今回は白馬尻よりアタックとなり行動時間も長くなり大変であったが思い出深いいい山行となった。
共に一緒に登ったヒロ君には感謝である。

頂上直下の雪壁を登る

「僕の写真撮れ」と余裕のヒロ君

追記:白木
12月の北岳合宿からは家庭のことを意識し、山に足が向かない日々が続いた。そんな中誘っていただいた白馬主稜。山岳会に入ってからずっと行きたかったルートだけに内心すごくうれしい気持ちでした。初日、ホワイトアウトのため白馬尻までしか行けなかったときは「もういけないんだろうな」と感じていたので、山頂に着いた時は本当にうれしかった。気温、天気、雪質ともに恵まれ、快適な山登りができたし、雪稜のエリアでは、白井さんの雪の技術に改めて驚かされました。ラッセル、ナイフエッジの歩き方など、どれをとっても’さすが白井さん’と感じます。帰り際、大雪渓を振り向きながら「次に雪山に来るのはいつになるだろう・・・」と考えました。思い返すと入会1年目に河合さんと行った冬の空木、上田さん、白井さん、河合さんと行ったGWの五竜~鹿島槍から冬のバリエーションの楽しさを教えてもらったことで、これまで雪山を続けることができたんだと感じました。ここで、厳しい山の方は少しお休みに入るかな?と考えています。今回山に誘ってくれた山形さん、一緒に登った白井さん本当にありがとうございました(^^)/

この記事を書いた人

クライミング全般大好きです。
仲間と楽しいクライミングを重ねて行きたいです。
一応現在チーフリーダーをやらせてもらっています。
愛犬、愛妻、愛娘と新城市で暮らしてますが、私が愛されているかは、解りません...

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