南アルプス 甲斐駒ケ岳(尾白川流域林道沿い・刃渡り沢(V)、岩間ルンゼ(VI-)、平田ルンゼ(IV+)、ガンガノ沢(V))

★ 山行名【南アルプス 甲斐駒ケ岳(尾白川流域林道沿い・刃渡り沢(V)、岩間ルンゼ(VI-)、平田ルンゼ(IV+)、ガンガノ沢(V))】
★ 年月日【2003年2月2日~3日】
★ メンバー【宮尾、福地、内山、土橋(渓稜会)】

1/31 豊川-新城-稲武(22:15)-R257-R153-飯田-<中央道>-小淵沢-
   
  宮尾氏の車で土橋氏との待ち合わせ場所である稲武市役所へ。
  22:15頃に到着し、3人分の荷物を土橋氏の車に詰め込んで出発。
  道中は雪も凍結もなく快適に走る。

2/1 小淵沢-R20-白州-尾白川林道-ゲート前(02:00)

  小淵沢ICでおりてR20を白州へ。 途中コンビニ2件に立ち寄り各自、
  行動食と酒を調達。 林道はところどころ凍結はしているものの4駆
  +スタッドレスでクリア。 車止めゲート手前に車を止めてテント設営。
  軽く飲んで就寝。
   

  起床(06:30)-ベース(07:30)-休憩所(08:10)-岩間ルンゼ取付(08:20)-
  -林道終点(09:20)-岩間ルンゼ取付(10:20-10:40)-岩間ルンゼF6-(15:30)
-ルンゼ取付(17:00)-ベース(18:15)

  ゆっくりめに起きて朝食後、アズマヤ(休憩所)までの林道歩き。 
  ガイドブックによると1時間との記述だったが約40分で到着。 
  ガンガノ沢にかかる橋の真横には氷結した錦滝がみえる。 資料では南面に
  あるので完全氷結することは珍しいとある。 確かに朝から日が当たり、
  氷質はもろそうだが全面凍っている。 朝のうちならヴァーティカルアイス
  を堪能出来そうである。 状況を観察して岩間ルンゼ出会いへ。 
  ここでパートナーの組み合わせをする。 各自の所持スクリューの数量等、
  相談の結果「宮尾・内山」組と「福地・土橋」組となった。

  我々は「刃渡り沢」へ、福地君たちは「岩間ルンゼ」登攀となり、ここから
  は別行動となり、徒歩40分ほどで林道終点へ到着。 その途中、数カ所に
  沢に降りたトレースが残っている。 対岸からは「刃渡り沢」のF2,F3が見
  えるが、規模も小さく氷柱が垂れ下がっているだけの状態。 相談の結果、
  わざわざ沢に降りて登り返す労力をかけて行くほどの状態ではない、となって
  「岩間ルンゼ」に引き返して登ろうということになった。
  林道を戻り初めてすぐ、凍結したトンネルで派手に転倒してしまった。 
  手をつくとヤバイとおもって手をつかなかったので右上腕から着地。
  その時はどこも痛めたところは無いようなのでホッとするが・・・。

   取付で準備をして下降時間を考慮し「15:30」をリミットと決め、11:00前
  に登攀開始。 細い岩溝内の氷を登るという珍しいタイプのルートである為、
  氷が薄い箇所ではアックスを岩にぶつけてしまうこともあるが、氷はしっか
  りしており、トップを交代しながら順調にピッチをのばす。
  途中、大きな岩小屋前を高巻くところが非常に悪く、トップの宮尾氏が苦労
  の末、3箇所ほどランニングをとって突破。 2ndの私は宮尾氏ほど背が高く
  ないので3点目の支点回収に苦労した。 後から思えば、この箇所が1番厳
  しかった様に思う。 F6を登った時点でリミットの15:30になった事と、これ
  より上部は大したグレードのピッチがない為、下降することにする。 
  支点を探しながらダブルロープ50m一杯に使った懸垂を4回を交えた下降で
  17:00に取付部の林道に到着。 ギアを片づけ急いで戻るが朝の登りより長
  く感じ、足首も少し痛みがあって45分ほどかかってベースに到着。
  
  テント内ではすでに食事の準備が終わっている。 昨日買っておいた
  ビールで乾杯して夕食。 夕食後、宴会モードになる。
   明日の予定を話し合うが、土橋氏が4:30起床と張り切っている。
  私は転倒したときに足を捻っていたようで、登りでは苦にならなかったが
  下りでは痛みがでていたこともあり、「最悪テントキーパーか?」と考え
  る。 宮尾氏と「うちらはゆっくり行きましょう」と話し、21:00に就寝。

2/3 起床(04:30)-ベース(06:00)-休憩所(06:40)-平田ルンゼ取付(06:50)-
-F1(7:30)-松竹梅の滝(10:30-14:30)-取付(15:30)-ベース(16:10)

   結局、食事の準備もあるので全員04:30に起きて食事をする。
  食後に軽く歩いてい見たところ痛みも無いので一安心。 念のため湿布を
  張っておく。 全員一緒に06:00頃、歩き出す。 今日は2組とも同じ
  ルート「平田ルンゼ」を登ることになる。 休憩所前には2張りのテント
  があって休憩所に20本以上のアックスが並んでいる。 幸い、まだ誰も
  取り付いてないようである。 昨日、偵察済みの平田ルンゼへのトレース
  をたどって15分ほどでF1に到着。 ここで装備を整え、福地・土橋組か
  ら登攀開始。 我々も後に続くが、このルートも狭いルンゼなので先行者
  が落とす雪や氷がまともに落ちてきて苦労する。 F3かF4あたりで後続者
  に追いつかれるが、間隔をあけないと危険なのでマイペースで登る。
  後続車の登攀を見ていると支点セットの際。アックスにテンションを掛け
  ている。 我々はいわゆる「フリー」での登攀なのだが、まだまだテンシ
  ョンで登る人達が多いようである。 もっと長く厳しいルートで有れば
  別だが、この程度で傾斜ならアックステンションはやりにくいだろうし、
  かえって危険なような気がする。
   最後の松竹梅の滝は結構大きく立派な滝で、ロープスケールで50m。
  福地・土橋組の登攀が終わるまでの間、我々は食事&撮影しながら過ごす。
  順番的には私がトップだが、希望により宮尾氏がトップで登る。
  見ていると下半分は結構堅そうだが上部は快適そう。 宮尾氏は安定した
  登りでクリア。 実際に登ってみると表面は堅く割れやすいが、そこを
  剥がすと、すごくよく効く氷が現れる。 中間部より上はアイゼンのモノ
  ポイントを抜くのに苦労するほどの氷質で快適な登攀。 
  福地組はガンガノ沢を登るといって早々と下降に移ったが、我々は良い氷
  だからトップロープで遊ぼうということになって、右側の傾斜が強い部分
  で遊んで14:00頃から下降開始。 各所に支点、木があるので苦労なく懸垂
  できる。 林道に戻って片づけてベースに戻るが、橋の上で滝を見る
  と登攀中の土橋氏が見える。 しばらく休憩がてら見物してから撤収。
  テントに戻ってからお茶を沸かして彼らの帰還を待つ。
  暗くなりかけた頃に2人が走りながら戻ってきた。 2人がお茶を飲んで
  る間にテントを撤収&片づけ。 17:00頃には車載も終わって家路につくが
  ここからが本山行中、最大の難関となる。 前半は問題もなく通過するも
  中間地点からアイスバーンとなり、ハンドル操作もままならない。 途中
  ブレーキ&シフトをパーキング&サイドブレーキという状態でも車が止ま
  らず滑り落ちていく事もあり、スリル満点! 一端止めてからチェーンを
  巻こうとするが車から降りると立つのも困難なほどのアイスバーン。
  アイゼンが無いとまともに歩けない。 車に捕まりながら4人でチェーン
  装着。 こういうときは男4人だとアッという間に装着できる。
  チェーンも付けたので一安心、かと思いきや、それでも滑りまくる。
  徒歩と同じくらいの速度で進んで林道から抜けたら19:00頃になっていた。
   
   高速に乗る前にラーメンを食べて諏訪南ICから中央道に乗って、21:30
  頃に稲武市役所着。 荷物を載せ変えて土橋氏と別れ新城に22:30頃到着。

   終始暖かく、風もないので快適な登攀となりました。
  バリエーション豊かな氷でアプローチも短いので「脱ゲレンデ」には最適
  と思われますが、各沢ともデブリの後がかなりあるので雪崩への注意は
  必要です。

   次回、もし尾白川に行く事があれば、4輪チェーンは必須と思われる。
  あと、岩を叩くことが多いので、予備ピックかヤスリは必須。
  アックス類は、垂直の傾斜箇所はほとんどないので、ストレートシャフト
  でも可。 アイゼンも氷用で有れば縦歯で無くても問題なし。

―記:内山―







この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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