南ア深南部・小無間山東尾根

★山行名【南ア深南部・小無間山東尾根】
★年月日【2003年1月12日(日)~13日(月)】
★メンバー【田中】

 1月12日
 4時30分起床。真冬だというのに暖かい朝である。3連休だと言うのに田代のオート
キャンプ場向かいの駐車場には私以外だれもいない。のんびり支度をし、明るくなってき
たので6時30分に出発する。登山道脇のポストに計画書を出し、急な階段を登る。暫く
は雪はない。送電線を越えた辺りから雪があらわれる。雪と言っても一度溶けて凍結して
いてガチガチのアイスバーンになっている。早々にアイゼンを装着する。アイスバーン状
の雪にはしっかりと足跡が付いている。1つはアイゼンを装着しており、もう1つはアイ
ゼン無しでスリップしまくりのものである。まあこれでラッセルの心配はあまりしなくて
よさそうである。アイゼンをガシガシ効かせながら進むが、重い荷にペースが上がらない。
8時にようやく1402メートル手前までである。ラッセルを利用し、サクサク進む。
1670メートル尾根分岐で卯山方面をチラと見る。やはり誰もこの方面には入っていな
いようだ。今回は見送り10時40分小無間小屋(P4、五葉沢の頭)到着。足跡の1人は
ここで三角点を雪の下から掘り出し下山したもようである。小屋の中で休憩しようかなと
思うが、ここの小屋はなかで焚火をしているため小屋の中が焦げ臭いので遠慮させてもら
う。たまに小屋泊をする登山者がみうけられるが、はたして安眠できるのだろうか?たっ
た一人になってしまった先行者のラッセルを利用させてもらい先に進む。しかしこの先行
者もP3の登りの途中までで引き返してしまっていた。しかたなしにまっさらな雪をラッセ
ルしながら進む。アイゼンからワカンに履き変えようとも思ったが、ここから先は岩場の
登下降があるのでアイゼンのままラッセルすることにする。この辺りはまだまだ膝下辺り
までしかもぐらない。吹き溜まりでも腿上辺りである。
 P3の下りは岩場である。雪の下に隠れた岩に何度も足をとられバランスを崩しかける。
バランスを崩してすってんころりんとなったら…。しかし、P3の下りは夏道沿いに降りる
ことができた。P2は難なく越える。P1の下りはまたまた岩場となる。ここの岩場は尾根を
北側から回り込みコルに出る。このコルは右も左もスッパリ切れ落ちナイフリッジとなっ
ている。無雪期でも嫌らしく感じるが、積雪期はなおさらである。ここでついに小無間山
に向けての最後の登りとなる。あと280メートル登れば晴れて小無間山頂に到達出来る。
 コル周辺は風が吹き抜ける性か雪の表面はカチカチ、しかし踏み抜くと腰上までズッポ
リはまってしまう。しかもサラサラで踏みつけても雪がしまらないため、なかなか足場が
決まらない。出だしの20メートルの登りに実に20分以上の時間を要してしまう。やっ
とこさ岩場が終了したので、ワカンに履き変える。ワカンに履き変えればまさに鬼に金棒
と思いきや、膝上のラッセルは当たり前、腰辺りまでズボズボはまる。ようやく小無間山
頂に着いた時には日没間近であった。280メートルの登りに4時間を要してしまった。
<コースタイム>
登山口(田代)6時30分~1402メートル手前8時~小無間小屋9時40分~P3、P2
のコル11時10分~P1、小無間のコル12時50分~小無間山17時

 1月13日
 4時30分起床。今日も暖かい朝をむかえた。テント内は多少凍っているが、ペットボ
トルに入れた水はまったく凍っていない。ワカンを付け7時10分出発。今日は下りだか
らと安気に考えていたがどうもそうはいかないらしい。吹き溜まりでは腰まで埋まり、雪
の下に横たわる倒木に足をとられ…。なんとか歩き易いところを歩いているといつの間に
か尾根を外れていた。しかたなく登り返す。一度歩いたところなので歩き易い。ラッセル
しながらの登りがどれほど大変なものなのか感じた。山頂から150メートル下ると痩せ
尾根となる。雪は少なく、ところどころ土が見られる。いっきにペースが上がるが、速い
ペースに体がついてこない。しかしそれもつかの間。再び腿ラッセルとなる。1980メ
ートル付近は尾根はのっぺりした広い尾根になる。なるべく雪の少ない尾根上を歩こうと
思うのだが、樹林がじゃまをして歩けない。しかたなく斜面を歩くのだが、腰まで埋まっ
てしまう。またこの付近は地形が複雑なので非常に神経をつかう。おかげでかなり消耗し
てしまった。尾根は再び痩せ尾根となる。ここまでくればもう一安心。よっぽどのことが
ない限りルートを間違えることはない。しばらくすると木の根元に大量に樹皮が落ちてい
る。木にはふかぶかと爪あとが…。どうやら冬眠していない熊がいるようである。今年は
冬のおとずれが早かったから餌が少なかったのだろうか?この時期にうろついている熊は
非常に危険である。ともかく熊に出くわさないことを祈るも、内心熊に逢えるのではとワ
クワクする。11時30分1805ピーク着。風もなく穏やかである。陽だまりの中、茶
臼岳、上河内岳、聖岳など南ア南部の山々を眺めながら小休止。ピークから100メート
ル程北に進み目的の尾根に降り立つ。無雪期はピークからちょっと進んだといった感じだ
ったが、ラッセルしながらの100メートルはとても長く感じられた。ここからは昔の道
型がしっかりと残っているため一気に駆け下りる。13時30分ごろ1176標高点付近
着。外山沢ルートに向かうが道が荒れているため引き返す。新ルート(?)の送電線巡視
路を利用するルートで下る。無雪期に踏査した時には悲壮感たっぷりであったが、今回は
充実感に満ち溢れた山行であった。

<コースタイム>
小無間山7時10分~1805ピーク11時30分~1176標高点13時30分~大網
トンネル(第8トンネル)14時30分~田代15時30分

―記:田中―







この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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