東三雪上訓練(千畳敷カール)

山行名【東三雪上訓練(千畳敷カール)】
年月日【2006年12月9日】
メンバー【田中・他】
先日の千畳敷での雪崩事故の報告です。
日時 12月9日(土)11時20分頃
天候 風雪 視界悪し
場所 中ア 千畳敷カール 2850m付近 斜度30度程度
の斜面
雪崩の規模、分類 面発生湿雪表層雪崩(人為的に発生)
深さ40cm 巾10m
概略
東三メンバーで2パーティー(O部、I原、T中 と N山、
M野、I瀬、W辺、I田)に分かれて行動中、先行パーティー
が面発生湿雪表層雪崩を誘発してしまい、2名が雪崩と共
に流出、1名が雪崩に直撃して流出、5名が雪崩の縁に足
元をすくわれて流出した。
雪崩の破断面は深さ40cm、巾10m程度であり、高低差
40m程度流出距離150m程度であった。流出時間は10秒
から15秒程に感じた。幸い怪我人もなく、各自自力で脱出
できた。
先行パーティーはI原の直ぐ後ろにT中、15m程間隔を空
けてO部で行動していた。後で聞いたところO部は雪崩が起
きそうな感じがしたので離れて行動していた。
30度程度の斜面でI原がキックステップで雪面を3 回くら
い蹴ったところ、「バスッ」という音がしI原の前方2m程度の
雪面に亀裂が走った。亀裂は瞬く間に横に広がりI原とT中
は雪崩と共に流された。
流される雪面から飛ぼうと思ったが足元の雪が崩れてしま
い、足元をすくわれて頭を下にして仰向けに流された。初め
はこれで終わりかなとも思ったが、仰向けに流された性か周
りが明るかったので、意外に冷静であった。
まずザックを外そうと肩から外しかけたが、流されながらで
はうまく外せそうもないので再びしっかりと背負い直した。傾
斜の急な所で宙を舞い、弾みでうつ伏せにる。目の前が暗
くなりパニックになりそうだったが、直ぐに反転し目の前が明
るくなった。
少し雪に埋もれていたが顔の前の雪を両手で掻き分けた。
体が少し雪に埋まった状態で雪崩は停止し、停止した瞬間
「キュッ、キュッ」と雪が締まる音がしたので完全に締まりきる
前に脱出しようと思い飛び起きた。目の前にI原がいたので
直ぐに声を掛けた。I原も自力で立ち上がれた。O部はさら
に30m程度流されていたが、自力で脱出できた。T中、I原
はデブリの上部、O部は末端まで流されていた。
後行パーティーの話。
人が流されて行くのが見えた。その後雪が波打っているの
が見えたので雪崩だと解かった。2,3秒後その波は砂浜の
波打ち際のように自分達にせまって来た。波の深さは浅か
ったが足元をすくわれて転倒し流された。全員自力で脱出
できた。
反省点
雪崩の予兆に気付いていたが誰1人口に出さなかった。
(雪の塊が雪面を転がり落ちていた。スノーシャワーが頻繁
に落ちていた。)行動開始時、別パーティーとすれ違ったた
め(木曽駒からおりて来たと思った)、問題なくいけると判断
してしまった。(実際は、別パーティーは前日ホテルに泊まり
途中で引き返していた。)
危険な斜面に入る前にハンドテストを行わなかった。(実
際別斜面でN山が行っていたが弱層は見受けられなかった。
しかし雪崩が起こった斜面は其処とは雪質が異なっており、
それは足を踏み込んだ感じで解かっていた。)
雪崩を経験してその夜皆で話しあった意見を簡単に。
・ 何か不安を感じたら人に言う。(ナァーナァーで行動し
ない)
・ 雪崩に巻き込まれたら(周りで見たら)声を出したらどう
か?(実際誰が流されたのか解らない。皆無言で流さ
れていた。)
・ 雪崩が停止したら声を掛ける。点呼する。
・ ザックのストラップ、ピッケルのストラップは外しておく。
・ 流されている時は明るい方向に泳ぐ、雪を掻く。停止し
たら口に雪が入らないように両手で塞ぐ。
以上。憶えている範囲です。
-記・田中-

この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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