馬鹿は死んでも治らない 鈴鹿天狗谷

【鈴鹿 鈴鹿川宇賀川天狗谷】2016.10.29(高橋)
【年月日】2016年10月29日
【メンバー】高橋、塩川

いつの間にか10月も末、世間では紅葉がどうとかこうとか言ってたりしますがこんな季節に沢登りに興じる馬鹿もいるもんで…。でももう10月だし濡れると寒い…って頭では思うんだけど本能的に体が勝手に動く。やっぱ沢に行ったらびしょ濡れになった方が断然楽しい。
あー、40過ぎたおっさんが何やってんだろうね。
攻めるところは攻める、引くとこは引く。見極めれば最高に楽しい。

昨晩の雨も上がり朝方はまだまだ雲が多いが晴れ間も見える。R421の石榑トンネル手前で脇の旧R421に分け入る。白龍神社奥の車止め手前の広場に駐車する。白龍神社に向かう道から宇賀川左俣沿いの登山道に入る。鉄橋で一つ沢を渡り次の沢は渡渉になる。この登山道を石榑峠方面に行く場合渡渉する沢が今回行く天狗谷である。
天狗谷に入ると暫くは広い河原。堰堤を2つ越えると。天狗谷F1。CS5m滝。これは手も足も出ないので見学だけ。右岸のザレザレの斜面をトラバース。足元が崩れれば6m程ダイブして…。今回のように降雨後で地盤が緩い時なんかは特に注意しないとね。正直言ってここは無理をせず時間が掛かっても大きく巻くべきだったかな。

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続いて30mクラスの岩壁に囲われたゴルジュにかかるF2,F3。F2はシャワーで頑張ればなんとか登れるかも知れない。もし落ちても下は深い釜だからドボンして死ぬほど寒い思いをするだけで済まされそう。でも続くF3は登れない。F2を登ったとしてもゴルジュの真っただ中なので逃げ場はない。ここは素直に高巻きを選択。おあつらえ向きに右岸に登り易そうな支流が流れ落ちている。支流の小滝を2つ登り高度を稼ぐ。高度を稼いだあとに尾根に取り付く。末端から尾根に取り付くよりもこの方が楽である。方向を見定め尾根を乗越しクライムダウンで落ち口付近に降りる。

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ここで険悪なゴルジュ終わり小滝が2,3個続く。火照った体には少々のシャワーは気持ちがいいくらい。

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再び堰堤を2つ越え左岸のカニグチ谷出合いを過ぎると旧R421雲向橋をくぐる。再び険悪なゴルジュとなり巨大堰堤に行く手を遮られる。いったん旧R421に上がり左岸から堰堤を巻く。直ぐにゴルジュに掛かる天狗谷上部F1。右岸岩壁は一見階段状ではあるが下部が被っており嫌らしい。また岩質も脆い。滝右側の凹角状のフェイスから取り付く。なかなかバランシーで楽しい。私はここでハンドジャム・フットジャムを使ったが塩川は使わなかったとか。リーチの差なのかなぁ。バランシーに凹角状フェースに立ち込んだあと水流を渡る。ここでしっかりと水流を跨げる高さまで上がっておかないとまともに水流を体で受けることになる。あそこで水流を体で受けたらふっとばされて滝つぼまでドボンとなっていまう。
意を決して水流を跨ぎ狙いを定めてステミング。右岸側の水流に磨かれたツルツルなフェースを丁寧に足を拾って登る。塩川はツルツルなフェイスが嫌だったようだ。

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続いてF2。小さいながらも癖のある小滝。左岸側が難しく右岸側に行く程易しくなる。馬鹿な2人は当然左岸側を選択。念の為カムをかましてお助け紐を垂らす。ヌルヌルの岩で滑って高橋痛恨のフォール。お助け紐に助けられた。

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F2を登ると直ぐにF3。高さはあるが傾斜は緩い。苔でヌメヌメするので正面突破は命取り。右岸の凹角をステミングで快適に登る。

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最後にF4。綺麗な滑の斜瀑25m。私はこの手の美しい滝の直登が好きだ。でもこの手の滝って写真に撮ると実際よりも寝ていて楽勝に見えるし、水流に磨かれたツルツルのスラブとか、水際の赤茶けたヌメヌメの苔だとか登った人じゃなきゃ悪さ加減が解らない。一度滑りだしたらもう止まらない。スリリングなウォータースライダーを滑り落ちて頭ガツーン、全身ゴチーンて感じかな。恐るおそる流心を登る。塩川は落ち口でスッテンコロリーン。もう少しでウォータースライダーの餌食になるところだった。

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天狗谷上部の前半部の核心はF1からF4まで。ここを過ぎると小さな滑滝やらゴーロやら。

頭からシャワーを浴びて凹角を登るか、シャワーを浴びずにリッジを登るか究極の選択。沢ヤなら当然ここは前者でしょ。ってこの時期に頭からシャワーを浴びれる本日の晴天に感謝。でも風が強かったので全身濡れると寒いな。

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やがて3俣となり少し悩むが真ん中を選択。急なゴーロになり登り詰めると雲間の滝30m。階段状フェイス、ツルツルスラブ、直瀑の3段構え。階段状フェイスを登り右岸尾根に取り付きモンキークライム。落ち口上に容易に出られる。

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雲間の滝を過ぎると源流部の様相になる。忠実に本流を詰め藪漕ぎなしで鈴鹿山脈主稜線に出る。日の光を浴びると暖かく極楽だが風が強い為少しでも日が陰ると寒くてたまらん。そそくさと下降点を目指し石榑峠方面へ。計画段階で狙いを定めていた920m小ピーク手前のコルから天狗谷の支谷へ下降する。

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この支谷は天狗谷の計画を画策し地形図を見ている時から気になっていた。谷はV字谷、そして一箇所だけではあるが90度近い屈曲がありそこは等高線の間隔が極端に詰まっている。険悪なゴルジュの中の大滝の予感も。
でも予想とは裏腹。V字谷ではあるがごろごろゴーロ。ごくたまーに小滝。カスだったかなーって思っていると例の屈曲部はストーンと落ち込んでいる。やったべ、なかなかの滝発見。真夏ならシャワーでチムニーのあとワイド系クラック。C4のパープル、グリーン辺りならプロテクション取れるかな!?隊長よろしく。
この滝は右岸の痩せ尾根を的確なルートファインディングで巻き下る。この滝を越えると天狗谷本流上部F4の上に合流する。

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F4からF2は右岸を巻き下る。F1は右岸から空中懸垂15m。今回初めてザイルを使用した。堰堤を左岸から巻き下り旧R421に出る。
今回は予定より1時間30分程早い下山となった。(足が揃ったメンバーで滝の登攀にザイルを使用しなかった為。でも結構天狗谷の滝は悪い(特に上部F1とF4、雲間の滝)のでザイルの使用に関しては各自判断して下さい。)時間があるのでちょいと寄り道。道路を少し下りカニグチ谷出合いへ。綺麗な小滝を2つ登ると再び旧R421と交差する。今回はここまで、続きはまた来年かな!?橋の下にはサッカーボール大のスズメバチの巣があったので注意。車道を下り車止めまで。車道の下りは早くて快適。

<コースタイム> 車止め8:15~8:35天狗谷出合~9:20カニグチ谷出合~上部F4 10:10~10:40雲間の滝~11:20稜線~11:35下降点~12:20天狗谷~13:10旧R421~13:50車止め

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