「スイス・アルプス・パノラマ・ハイキングと憧れのヘルンリ小屋訪問9日間」 山行記録 (松下さんから寄稿)

※例会で紹介頂いた松下哲雄さんから寄稿頂きました。(写真は後日追加、とのことです):上田

【ツアー名】スイス・アルプス・パノラマ・ハイキングと憧れのヘルンリ小屋訪問9日間(アルパインツアーサービス)
【費用】 ツアー:53.8万円、追加交通費:3.6万円、サーチャージ:4万円、その他(お土産代を除く):5万円
【日程】 2015年7月20日(月)~28日(火)
【参加メンバー】 松下哲雄(他14名・福岡2名/関西2名/盛岡2名/成田8名)
【ツアーリーダー兼山岳ガイド】春木朗男(はるきはるお 30代前半。独身。ぐっさんに似ている)
【現地山岳ガイド】 マリコさん(スイスのトレッキングガイド会社勤務。)
35歳独身。苗字不明。冬は日本のニセコでスキーインストラクター

【7月20日】

【行程】 セントレア→フランクフルト(ドイツ)→チューリッヒ→マイリンゲン
【宿泊】 アルパイン・シェルパホテル(マイリンゲン)
【天気】 晴れ

※写真1

セントレアから出発

セントレアからツアーに出発する。
ツアーの参加者は全員で15人であったが、他のメンバーは、関空、成田からオランダのアムステルダム経由でチューリッヒへ。
セントレアからチューリッヒまでの直行便がなく、アムステルダムへの便もないので、私のみセントレアからフランクフルトを経由してチューリッヒへ。
私とは別のツアーに参加する2人(鈴鹿、四日市から)と一緒に3名での出発となった。
フランクフルトでの乗り継ぎは初めてなので、同行者がいるのは心強い。
セントレアを9:40出発、チューリッヒ19:20着、フライト時間は16時間40分。
フランクフルトまでの航空機はA340、チューリッヒまではRJ100のようであった。

フランクフルトには現地時間15:10に到着。
フランクフルトの出発時間が18:25なので、乗り継ぎ時間は3時間15分。
今日の夕食がツアーに入っていないと思われたので、乗り継ぎ時間の間に早い夕食を3人でとる。
実際、翌日の朝食まで食事がなかったので、食べておいて正解であった。
チューリッヒに19:20に到着。アムステルダム便よりも少し早く着いたようであった。
よって、アムステルダム便のメンバーを到着ゲートで出迎えることになった。

チューリッヒで出迎えてくれたのは、ドイツ人と日本人のハーフのイケメンのお兄さんであった。身長も190㎝くらいあった。日本に住んでいたので、日本語は大丈夫、というか完全に日本人と言う感じである。 ドイツ人と日本人のカップルと聞いて、昔会社にいたスベンさんを思い出した。 そのイケメンのお兄さんの話では、今の時点でマッターホルンには雪がないということでした。

この後、空港からチャーターバスで、マイリンゲンのアルパイン・シェルパ・ホテルまで行く。
所要時間は約3時間。バスが来るまで空港で待つ。20時に空港を出発し、ホテルに着いたのは11時頃。 途中寝てしまったが、空港を出た時には明るかったのが、目を覚ましたら真っ暗であった。 チェックインに少し手間取って、部屋に入ったのは午前0時頃になってしました。
シャワーを浴びて、疲れをいやして眠りたいところではあるが、シャワーは朝にして寝ることにした。

【7月21日】

【行程】 ・マイリンゲン→(路線バス)→クローゼシャイデック→(ハイキング)→フィルスト(山小屋)
注)山小屋:バスタブが無く、共有のシャワーのみで、相部屋となるホテル
【宿泊】 フィルスト小屋(フィルスト)
【天気】 終日快晴

ここでちょっとしたトラブル。バスタブにお湯をためるためにシャワーと蛇口との切り替え方法が解らなかった。春木さんに見てもらったが、春木さんの部屋とも違うということなので、ホテルに確認してもらった。
朝食前に、外に出て写真を撮る。朝が早いためお店はほとんど開いていない。体感はひんやりとした感じ。寒くはない。 天気が良く、周囲の山もくっきりと見える。遠くに氷河を被った山も見える。

朝食を済ませて部屋に戻りシャワーを浴びた。生き返った心地がした。

スーツケースをホテルからマイリンゲンの鉄道駅まで各自持って行く。 ホテルから駅までは近いので問題ない。 ここから、翌々日(23日)宿泊するグリンデルワルト駅までスーツケースのみ送る。 費用は約20スイスフラン(1フラン=1ユーロ)らしい。
ホテルがグリンデルワルトの駅まで取りに行く手筈になっているとのこと。
なので、我々が駅からホテルまで転がして歩く必要はない。(駅からホテルまで遠すぎ!)

スーツケースとは明日の夜までお別れになるので、今日と明日と明後日の3日間の装備をザックに入れる。明後日はアレッチ氷河のトレッキングになるので、防寒具も含めてかなりの重さになってしまった。 しかも、写真撮影のためのカメラ2台、交換レンズ、三脚も持たないといけない。 ツアー日程には目を通していたが、スーツケースとお別れになるのでは想定外であった。

駅のホームに立つと、正面の山の山腹に滝が見えた。 TL(ツアーリーダ)の春木さんの説明によると、その滝がコナンドイルの小説の中で、シャーロックホームズと宿敵モリアーティー教授が 戦って、二人とも落ちたライヘンバッハの滝とのこと。(ホームズは読者の要望で、後の小説で生還する) 小説では、山奥の鬱蒼とした森の中の巨大な滝をイメージしていたが、町からも近く、意外と小さな滝であった。
駅前の道路を挟んで向かい側にバスターミナルがあり、そこからクローゼシャイデックまでの路線バスに乗る。 谷あいの道路をジグザグに登って行く。
左手にはギザギザの稜線を見せる山がある。エンジェルホルンと言うらしい。ギザギザの稜線は「天使の翼」と言われているようだ。 どんどん登ってゆくと、左手振興方向にどっしりとした山容の山が現れる。 ヴェッターホルン(お天気山)と言って、この山にかかる雲をみて天気を予測したということである。 途中シュヴァルツバルトアルプで、停止してお客さんを乗せて行く。
ここにはきれいな宿泊施設(ホテル?山小屋)がある。シュヴァルツバルトアルプから10分ほどでグローセシャイデックに到着。(11:30)この先、バスはグリンデルワルトまで行くが、我々はここで下車。

昼食を済ませて、今日の宿泊地フィルストまでハイキングを開始。 現地ガイドのマリコさんが、周囲に見える山々を説明してくれる。 ヴェッターホルンも間近に見え、少し離れてアイガーも見える。 ただし、アイガーの北壁は角度の関係で、ほぼ真横になって見えているということである。 メンヒ、ユングフラウはアイガーの影になって見えない。

※写真2

クローゼシャイデックからアイガー

広い道をゆっくりと歩く。道の両側には花がいっぱい咲いている。
マリコさんが詳しく説明してくれるが、聞いているのは女性のみ。男性はほとんど興味なさそう。 道は広くて車も通れると思うが、牧場に入ると牛のフンがいっぱいである。 最初は避けて歩いていたが、避けきれないので次第に気にせずに歩くようになってしまった。途中に、牛の水飲み場があった。 たくさんの牛が水を飲んでいた。のんびりと寝ころんでいる牛もいる。我々が近寄っても気にする様子はない。 ここで休憩になったが、糞だらけで腰を下ろすこともできない。しかたなく立ったまま、ザックも降ろさずに休憩する。

歩き始めてしばらくして、広い道と平行して脇に続く細い道に入る。広い道を歩くだけでは面白くないから、脇道に入って花を見ながら行きましょう、とのこと。約3時間のハイキングでフィルストに着く。(17:00)

フィルストはゴンドラの終着駅でもあり、宿泊施設が併設されている。宿泊施設はゴンドラ乗り場の奥になっていた。1Fの奥が部屋になっており、2Fが観光客用も兼ねた大きなレストランになっている。 通路には暗証番号で開閉する扉があり、そこを通らないと部屋に行けない。
部屋の数は少なく、我々はTL春木さんと東京から友人同士で参加の男性2人と4人で同室となった。
部屋は角部屋で、窓からアイガーと眼下にグリンデルワルトの街が見える。 他の部屋からは見えないので、部屋からアイガーが見えることは他の人には内緒だそうだ。これはツアーのつらい所であるが、仕方ない。(旅行会社のため)

ここでも、ちょっとハプニングがあった。 同室の男性の登山靴のソールが歩いている途中で剥がれてしまったのである。本人は部屋で靴を脱ぐまで気が付かなかったようだ。グリンデルワルトであれば、登山靴も入手できるが、山の中ではどうしようもない。 グリンデルワルトに着くのは明後日の夕方になる。明日は9時間のハイキング、明後日はアレッチ氷河の雪上ハイキングがある。 たまたま、マリコさんがゴンドラを使ってグリンデルワルトの自分の家に戻っていたので、春木さんが慌てて電話した。 モンベルの店があるので、そこで借りられないか交渉してもらえないか、ということである。
電話した時は時間も遅く、店も閉まっている可能性があるということだったが、閉店ギリギリで間に合ったようだった。
このことも他のツアーメンバーには内緒ということである。ツアーは難しいですね。翌朝、マリコさんが始発のゴンドラで靴を持って上がってきてくれた。サイズも特に問題なさそうであった。 この男性は、結局この靴を購入することにしたということである。まだハイキング1日目なので仕方ないですね。

食事中に日の入り時刻になり、山々がオレンジ色に染まった。(21:00)
慌てて外のテラスに出て写真を撮る。
食事が終わって部屋に戻って、星の写真の撮影場所を探しに外へ出てみた。
テラスでアイガーやシュレックホルンの写真を撮る。
テラスで4人がビールを飲んでのんびりしていたが、アイガーの北壁に灯りが見えるので、何かという話で盛り上がる。
ユングフラウヨッホへ行く、登山鉄道の途中駅(アイガーバント:北壁の中にある駅)の展望窓であった。
天気は快晴。雷雲がシュレックホルンの上に見えるが最高の天気になりそうであった。
手元は暗くなって見えにくいくらいになっているが、写真を撮影するには、まだまだ明るいので一旦部屋に戻ってカメラの準備をすることにした。

カメラの準備をしていると、同室の男性(高砂さん)が興味ありそうだったので、一緒に撮影しに行くことにした。
レストランも閉まっているので、締め出されないことを確認した上で外へ出る。
外へ出れるが、中に入れないということにならないか心配であったが大丈夫であった。
テラスに出て三脚を立てて撮影の準備をする。月齢5.8の月が出ていてかなり明るいが、月明かりにアイガーが照らされて良い雰囲気である。

※写真4

シュレックホルン&アイガー&雷雲
灯りはミッテルレギ小屋とアイガーバント駅

何枚か写真を撮っている間に、月も沈んで(22:37)天の川がうっすらと見えるようになった。
シュッレクホルンの方向に雷雲があり、時々稲光が走る。 シュッレックホルンとアイガーと月明かりの残照に照らされた山々と星を入れて撮影してみた。 思いもよらず、天の川もはっきりと撮影できた。しかも30秒の露光時間(ISO3200)の間に稲光りが走り、なかなか良い写真となった。 自分としては、最高の写真であった。天の川も段々とはっきり見えてきたので、天の川にカメラを向ける。 高砂さんが、北斗七星も撮影してほしいと言うことなので、フィルストの建物も入れて撮影する。 北斗七星と天の川の写真は、帰国後に参加メンバーの上田昇子さんに送った。

一通り撮影して、時間も遅くなった(23:30)ので引き上げることにする。
明日は早朝から9時間のトレッキングである。 ここはゴンドラでも来れるので、また機会があれば撮影目的で、もう一度来てみたいと思っている。 同室のメンバーを起こさないように、静かに部屋に入ってそのまま寝る。

【7月22日】

【行程】 フィルスト→バッファアルプゼー→ファウルホルン→シーニゲプラッテ(ホテル)
【宿泊】 ホテルシーニゲプラッテ(シーニゲプラッテ)
【天気】 快晴のち夕方雷雨

日の出の写真を撮るために、早起きして外へ出る。 考えることは同じで、ほとんどの人がすでに写真を撮りに外にでていた。 地平線は見えないが、山の稜線から太陽が顔を出す。
朝焼けに染まるアイガーの写真を撮りたかったが、起きるのが少し遅すぎたようであった。

朝食後、ヘリコプターの音がうるさいので外に出てみると、資材の運搬をしていた。
聞いたところによると、建物の南側のガケに、クライミングを楽しめるような施設を作っているというこであった。 明後日に行くゲンミ峠でもクライミングを楽しんでいる人たちがいた。
観光客用に、そのような施設を作るのは、スイスでは一般的なのかも知れない。

今日のコースでは途中にレストランがないので、昼食をサンドイッチにしてもらって各自受け取る。 ゴンドラで上がってきたマリコさんと合流して出発する。(8:30) 同室の人も、新しい靴に履き替えていた。サイズもちょうど良かったようである。 聞かなかったけど、古い靴はどうしたのだろう。持ち帰ってもしょうがないので捨てていったと思うけど。
本人曰く、靴が古いのは分かっていたが、年齢的に(70才)今回が最後のトレッキングと考えて買い換えなかったといことである。
結局、買い換えることになってしまったので、しばらく山を続けてみようと言っていた。

歩き始めてしばらくしてもヘリコプターの資材運搬作業は、まだ続いていた。 天気も良く、アイガーが朝日の中、きれいに見える。 マリコさんの説明では夕方に雷雨の予想が出ているので4時頃にはシーニゲプラッテに到着したいといっていたが、雨が降るなんて今の天気からは想像もできない。結局、後で予想通りとなったのだが・・。

シュレックホルンがきれいに見える。
しばらくするとアイガーの右手にユングフラウが見えてくる。
メンヒはアイガーの陰で見えない。

バッファアルプゼーに着く。(9:45)
ここは池が点在していて、ヴェッターホルン、シュレックホルンの山が池に写る景色を見ることができる場所である。
残念ながらアイガーは丘の陰になって見えない。 今日は天気も良く、山々と氷河がきれいに水面に写っている。 トイレもあるので、トイレ休憩と写真撮影で小休止する。

バッファアルプゼーから40分ほど登ると避難小屋があり、ここで小休止を取る。標高は約2440m。 周りの山はなだらかな山容を見せている。さらに30分ほど登るとブスアルプへの分岐点に出る。(11:10) 個人計画では、ファウルホルンに登った後、この分岐をブスアルプへ下山し、路線バスでグリンデルワルトに戻る計画にしていた所である。

12:00ちょうどにファウルホルンに到着。頂上には木製の広いテラスがあった。小屋もあったが我々は山頂のテラスで持ってきたサンドイッチを食べた。トイレは山小屋で済ませる。

※写真6

ファウルホルン頂上から南方向

頂上は360°の展望である。北には湖も見えた。もちろん、ヴェッターホルン、シュレックホルン、アイガー、メンヒ、ユングフラウが一望できる。 スイスの多くの山にはスイスの国旗が立っている。ここにもあるので、スイスの国旗をバックに記念撮影をする。

ここからは、アイガー・ウルトラ・トレイルをシーニゲプラッテまで時間をかけてゆっくり下る。(12:30出発) 途中、ベルナー三山を左に見ながら歩く。右にブリエンツ湖を見下ろす稜線から、一旦谷に降りる。
ウェーバー小屋を経て、谷あいの道をゆっくり下る。長い下りである。 かなり下ってから右に折れ、ロウハーホルンの裾を巻いて、再度稜線に出る。 ブリエンツ湖が見える。ファウルホルンで見るよりも近くに見える。

稜線から離れて、シーニゲプラッテを目指す。(16:10) 小さな尾根をいくつも越えるが、なかなかシーニゲプラッテが見えてこない。 雲行きが怪しくなって、雨が降り始める。時間は到着予定の午後4時を過ぎている。最初の予定通り、4時に着いていれば雨に降られなかったが、仕方ない。雨具を着る。 段々と雨もひどくなり、雷鳴と稲光もすぐ上空で鳴っているように思えた。 2000mを超える山中で木がほとんどない中での雷の遭遇は恐怖感がある。
全員、急いでシーニゲプラッテを目指す。どこに元気が残っていたの?とマリコさんが言うくらい早く歩く。

土砂降りの雨と雷の中をシーニゲプラッテに到着。(17:30) 激しい雷のため、一旦駅のホームで雨宿りをする。雷が鳴りだしてからの、みんなの歩く速さにはびっくりした。 雷が収まったのを見計らって、ホテルに入る。ホテルは駅の裏手の丘の上にあり、距離にして300m、歩いて5分くらいであった。 出発から9時間が経過していた。長い1日であった。

部屋に入って、雨具を脱ぐ。乾燥室はないので、部屋のあちこちにつるして乾かす。 部屋(2階と3階)はくじ引きで決めた。私は2階の北東の角部屋(7号室)になった。大きな窓が東にあった。
部屋には暖炉とピッチャー、陶器の洗面器?があったが、実用ではなく飾りと思われた。石鹸とシャンプーは各部屋の前に置かれた陶器製のピッチャーの中に入っていた。ここも、シャワー、トイレは共同である。各グループが1部屋毎に分かれたので、山小屋ではないということか。

※写真7

左から、アイガー、メンヒ、ユングフラウ。(シーニゲプラッテから)

19:30から1階のレストランで食事。ここではマリコさんも一緒に宿泊となったので夕食も一緒である。 テーブルは女性と男性に分かれた。食事のメニューは同じであるが、ワインを何にするか、女性陣はずいぶん長く悩んでいた。 男性陣は、すぐに決まるのだけど・・。結局、女性陣は大分高価なワインを注文したようである。
着いた時はひどい雷雨だったが、今は雷雨も過ぎ去って気持ちの良い青空が広がっている。 ベルナー三山もくっきり見える。

夜も遅いのに向かいの部屋の子供が騒がしかったので、迷惑な客だなと思っていたが、客ではなくホテルの経営者の家族部屋だった。
翌日の朝、食堂で働いている人を見たら、向かいの部屋にいた人だったので分かった。
宿泊エリアの廊下も広いので、子供たちが遅くまでキャッチボールをして遊んでいた。 おもちゃも部屋の周りに散乱していた。
歯磨きに洗面所へ行くと、子供とバッタリ会って、「May I help you?」と言われた。 「No,Thank you」と答えた。その時は変なことを言うな?と思ったが経営者の家族であれば不思議ではないと後で納得した。

【7月23日】

【行程】 シーニゲプラッテ→ヴィルダーズヴィル(乗り換え)→グリンデルワルト→クライネシャイデック→ユングフラウヨッホ→メンヒ小屋往復→グリンデルワルト
【宿泊】 サンスター・アルパイン・ホテル(グリンデルワルト)
【天気】 小雨のち晴れ

朝になれば月明かりがなくなるので、早起きして星空の撮影をしようと思ったが、ホテルの灯りが明るすぎて上手く撮影できなかった。 外に出る元気はなかったので、部屋の窓から外に出て撮影した。窓の外は1階の屋根になっているようでかなり広かった。そうこうしているうちに、雲が広がってしまった。日の出の時間になり地平線は明るくはなったが、山は暗いままであった。

食事をして外に出てみたが、小雨がパラパラと降っている。夕食の時にきれいに見えたアイガーも雲に隠れて見えない。 下界も霧の間から見えるが、くっきりというわけには行かない。
出発までの時間を使って、高砂さんとお互いに記念写真を撮りあう。

支度をして、駅まで行く。昨日は雷雨の中だったので、今日はいっぱい写真を撮る。
駅横に記念撮影用の看板(ホテル経営者の家族が民族衣装を着ている写真看板)があり、みんな写真を撮っていた。 春木さんが、「こんなに気に入られるとは思わなかった」と言っていた。

駅の周りをじっくり見てみると、ここには高山植物園があり、神戸の高山植物園とは姉妹植物園になっているということである。 神戸の植物園は何度も行ったことがあるので、分かっていれば昨日の食事前に行っておけば良かったと思った。

可愛らしい登山電車に乗って、霧の中をゆっくりと下る。

ヴィルダーズヴィルで乗り換えて、一旦グリンデルワルトまで行く。
グリンデルワルトで、余分な荷物を駅のロッカーに預けて、身軽になってメンヒ小屋に行く計画である。 ヴィルダーズヴィルの乗り換え時間がしばらくあったので、駅の周辺で写真を撮る。
雨は止んだが、どんよりとした曇り空である。 スイスの駅は、マイリンゲンもそうであったが、改札がない。ホームと外の間にも柵のようなものがないので、自由に出入りできる。

グリンデルワルトに着いて、急いでコインロッカーに荷物を押し込む。1人1つではなく、共同なので一緒に入れてしまう。

クライネシャイデックで乗り換えであるが、時間が短いので走らなといけなかった。 ここから、あこがれのユングフラウ鉄道である。ゆっくりと登って行くが、駅を出てしばらくするとトンネルに入ってしまう。

途中の停車駅は、アイガーバンド駅とアイスメーア駅である。 共に展望台があり、10分ほど停車して、展望を楽しむことができる。

アイガーバンド駅は文字通りアイガーの北壁の中の駅である。 展望台から下を見れば、垂直の崖が見える。 展望室の壁は、北壁の岩盤が剥き出しになっている。岩に手をかけて写真を撮ると北壁を登っているように見える。 ということで、みんな岩に手をかけて記念撮影である。

次はアイスメーア駅である。ここは、アイガー頂上のほぼ直下になり、南の氷河側に展望が開けている駅である。 展望室の窓から、ミッテルレギ小屋と小屋に続く氷河上のトレースらしき跡が見えたので、写真を撮った。 アイガーにアタックする時は、ここの駅が登山の起点になるということである。 駅には、鉄道建設時に岩を外(氷河の上)に捨てるためのトンネルがあり、そのトンネルを抜けて氷河の上に降りるらしい。 氷河の上を歩いて、岩壁にとりつき、壁を登ってミッテルレギ小屋へと行くということである。 小屋で一泊し、翌日頂上にアタックし、メンヒ小屋まで下山するというルートのようである。 そのトンネルを探してみたかったが時間が無くてできなかった。車両の後方のホームの端っこにあるはずである。

そして、終点のユングフラウヨッホ駅に着く。もちろん、駅のホームは地下。トンネルを通って売店等のある展望施設に行く。 ここで昼食をとる。周りはほとんどアジア人。中国語が飛び交っている。韓国語も聞こえる。 日本人は我々17人だけかも知れない。インド人も多かった。白人は数えるほどしかいない。 ここでも、中国のパワーを思い知らされるような気がした。男性のトイレはそれほどでもなかったが、女性のトイレはひどく汚れていたようだ。インド人のトイレの使い方がひどいということを、我々のグループの女性が言っていた。

一人のアジア人(中国人と思われる)が、韓国カップラーメンの食べ残しの汁をゴミ箱に捨てたので、売店のお兄さん(白人)が 酷く怒っていた。「食べ残しの汁を捨てるなと注意書きに書いてあるのに、読めないのか!」と言うことである。

食事を済ませて、いよいよメンヒ小屋に行くために、トンネルを通って外の氷河の上に出る。トンネルを出る手前で、手袋等の防寒具を着て、ストックも用意して外に出る。 トンネルの中は非常に寒かったが、外へ出てみると日差しもあり、それほど寒くもない。 外の氷河上にはいろいろなアトラクションの設備があり、大勢の人が遊んでいた。 ワイヤースライダーがあり、子供たちはそり滑りで遊んでいた。

メンヒ小屋に向けて出発する。 日差しはあるが、ユングフラウやメンヒにかけての稜線上は雲にかくれている。スフィンクス展望台も雲の中である。雪は固くなく、かき氷のようにザクザクしてシャーベット(水っぽくはない)に近いような感じである。 もちろんアイゼンなんかは全く必要ないが、雪が緩すぎてちょっと歩きにくい。

途中、タンクトップでメンヒ小屋の方から歩いてくる白人のお嬢さんとすれ違ったので、「そんな恰好で寒くないの? 寒いでしょ!」(もちろん英語ですよ)と声をかけたら、大笑いしていた。日差しもあったので意外と寒くなかったのではと思われる。 風も弱く、気持ちのいい雪上ハイキング日和である。 小屋までは約1時間、写真撮影や休憩をしながら、ゆっくりと雰囲気を楽しみながら歩く。

※写真8

メンヒ小屋

いよいよメンヒ小屋が見えてくる。メンヒの南東陵の崖の上に引っ掛かるように建っており、独特の姿をしている。 氷河から岩の上に出て、スロープを登って小屋に入る。 我々は、ちょっと訪問するだけで食事はしない。こやの中を通って狭いテラスに出て景色を楽しんだり写真を撮ったりした。 小屋の稜線の先には、ギザギザの山があり、トレースもはっきり見えた。 そちらの方の山に登りに行く人もあると思われる。地図を見るとそちらにも山小屋があることになっている。 帰りに途中ですれ違った人は、そちらの山を登りに行くと言っていた。

テラスで景色を見ていると、日本人のグループに会った。全員高齢?で60才前後に見えた。明日、メンヒにアタックする予定とのこと。今日はこれから小屋の近くの岩場で練習をするということで帰りは途中まで一緒だった。 20分くらい景色を堪能して帰途につく。日本人グループも一緒に出発。途中、明日成功するように声をかけてお別れする。 翌日は好天に恵まれたので、たぶん登ることができたと思われる。

段々と天気も良くなり、ユングフラウからメンヒの稜線にかかっていた雲も切れてきた。 メンヒの頂上は見えないが、ユンググラウも、スフィンクス展望台も見えるようになった。 雲が切れてきたので、バシバシ写真を撮りながらゆっくり歩いてユングフラウヨッホに戻る。

ユングフラウヨッホに戻り、トンネルの中で写真を撮りながら歩いていたら、みんなとはぐれてしまった。 私を入れて3人がはぐれてしまったので、春木さんと一緒に売店のところまで戻った。 途中、歩きながらみんなを探したが見つからなかった。 後で聞くと、マリコさんに連れられてエレベータでスフィンクス展望台に上ていたようだ。 見つからないはずである。一瞬の間に姿が見えなくなったので、開いていたエレベータに急いで乗ったものと思われる。結局、我々3人はスフィンクス展望台に上ることができなかった。行きたかったので、ちょっと心残りである。
売店のところで、みんなと合流して帰途につく。

クライネシャイデックで乗り換えてグリンデルワルトに着く。 グリンデルワルトの駅でコインロッカーに入れた荷物を回収して、ホテルに向かう。 スーツケースは、ホテルが回収しているので部屋の中にあった。 スーツケースが2つもあったので、誰のか確認したらフィルストで同室であった海老原さんのものであった。 春木さんに言おうと思って廊下に出たら、たまたま海老原さんの部屋のドアが開いていたので取りに来てもらった。

ホテルに着いて、部屋に入ったが、夕食まで時間があるのでホテルの庭で写真を撮る。
今日は街の中のレストランで食事をするということで、ロビーで待ち合わせする。

天気は良くなったが、アイガーには、まだ雲がかかっている。 夕食の集合時間になったので、ロビーでみんなを待っていたらJTBのツアー客が到着した。 我々も含めて日本のツアーで利用されているホテルのようである。

レストランは道路側にオープンになっていた。そのためかハエが多い。 顔の周りを飛び回っていて、とにかくうるさい。壁にもいっぱいハエがいる。 周りは牧場だらけで牛がいっぱいいるわけだから仕方ないですね。 私たちは手で振り払ったりするが、他の人(地元の人?観光客?)はあまり気にしていないようだった。

【7月24日】

【行程】 グリンデルワルト→インターラーケン(乗り換え)→シュピーツ(乗り換え)→カンデルシュテーク→(路線バス)→ロープウェイ駅
→(ロープウェイ)→スンビュール→ゲンミ峠→(ロープウェイ)→ロイカーバード→(路線バス)→ルーク→フィスプ(乗り換え)→ツェルマット
【宿泊】 ホテル・ゾンネ(ツェルマット)
【天気】 快晴のち雷雨(ツェルマット)

天気が良かったので、朝食の前にホテルの庭に出てアイガーの写真を撮る。一緒に写真を撮っていた上田さんにアイガーをバックに写真を撮ってもらう。 ひんやりとはしているが、寒くもなく、とても気持ちの良い朝である。朝食を食べて出発する。スーツケースはホテルが駅まで運んでくれる。 ツエルマット駅への送付手続きも、春木さんがホテルに依頼していたようだ。我々はザックを担いでのんびりと写真を撮りながら駅まで歩いて行く。この日は快晴で、アイガーもくっきりと見える。稜線上にミッテルレギ小屋も見える。

インターラーケンで鉄道を乗り換える。特急列車のようで、とてもきれいな車両である。座席指定のようであったが、ガラガラなので自由に座って良いということである。 すでに指定席として販売済みの席には、窓の上に黄色いカードが差してあるということなので、その席は避けて座る。 カードには、どこからどこまでと区間が記入してあるので、その区間外であれば座っても大丈夫とのことである。

インターラーケンを出ると、すぐに右手にトゥーン湖が見えてくる。とてもきれいな湖である。
氷河が解けた水と思われるが青く透き通っているように見える。列車は湖畔を走って行く。湖畔から離れて、しばらくすると次の乗換駅のシュピーツに着く。

シュピーツからは普通の電車であった。指定席ではないので、空いた席を探すのが大変であった。 やっと、出入り口近くの席が空いていたのを見つけて座ることができた。 目の前にマウンテンバイクが2台止めてあった。その中の1台はポルシェの自転車であった。(日本なら100万円近い?) 隣に座っている夫婦に、あなた方の自転車か?と聞いたら、そうだという返事であった。 どこに行くのか聞いたところ、カンデルシュテークまで行って、ベルンの自宅まで自転車で戻るということであった。 直線距離にして約20kmくらいか。山道を峠を越えたりして走ると結構な距離になりそうだ。 夫婦でサイクリングを楽しめるというのは、幸せだなと思った。

カンデルシュテークで下車して、路線バスに乗ってロープウェイの下駅まで行く。時間にして10分くらいである。 ロープウェイからは下に細い道が見える。ハイキング用の道と思われる。ロープウェイを使わなくても上まで行けるが大変だと思う。

ロープウェイの上駅(シュンビュール)に着く。降りて身支度をして出発する。(10:30)
家族連れもいて、人気のハイキングルートのようである。広くゆるやかな谷を歩く。天気は快晴であり、周りの山もくっきり見える。 マリコさんも山の説明をしようとするが、知らない山がたくさんあるということである。 理由はこんなに天気の良い日にこのコースを歩いたことはないからということであった。

この広い谷は牧場になっている。途中で小川があったので休憩をとる。(10:45)ここは牛の水飲み場になっているようで、例によって糞がいっぱい落ちている。 近くの牧場の家族が近くで遊んでいた。こんな環境で成長できるのは幸せかもしれない。 牧場への入り口に、新鮮なチーズを販売している、という看板がでていた。 軽食も食べられるようになっているみたいである。

途中でベルン州とバレー州の州境を通る。マリコさんのお勧めで、州境をまたいで記念撮影をする。(11:10) ハイキング中のグループとすれ違うが、ヨーロッパの女性はタンクトップが多かった。

※写真9

ハイカーとすれ違いながら歩く

周りの山肌を見ると、やはり氷河で削られたような跡がある。昔はこの谷にも氷河があったのではないかと思われる。 大きな岩陰で休憩する。ちょっと暑いくらいであるので、多少でも日陰があると助かる。 マリコさんが花の説明をしてくれるが、相変わらず男性は興味なさそうであった。

途中で背の高い男の人が子供を肩車して歩いていた。 背が高いですね、と声をかけたら身長は2mあるということであった。

シュバーレンバッハのホテルに着く。(12:00) レストランがあるので、ここで昼食休憩をとる。昼食は花ビラを浮かべた特製スープとソーセージ2本である。パンも付いてきた。そばで、フィールドスコープを三脚に着けて覗いている家族があった。 何を見ているのかと思って、覗かせてもらったら、岩の上で休んでいるモーマットが見えた。

この小屋には、数年前まで有名な猫がいたそうである。小屋の地下のトイレの横に写真が飾ってあった。 この猫は、ハイカーに寄り添うように一緒にゲンミ峠まで見送るように付いて行ったということである。 そんなことが新聞にも載って有名になったということである。

食事を済ませて出発する。(13:00) 小さな峠を超えるとダウベン湖が見えてくる。(13:20) 道はダウベン湖まで下り、湖の東に沿ってゲンミ峠に続いている。ゲンミ峠も見えている。 湖畔を歩く。途中道が上下に2つに分岐する。 下の道はもう一つのロープウェイの駅に続いているが、途中に雪渓が残っていて、ハイカーが上を歩いているところがあった。 暑いくらいなのに雪渓が残っているのが、不思議であった。 我々は、雪渓のない上の道を歩く。春木さんが、途中雪渓を歩くところがあるかも知れないと言っていたのがここで会った。 雪渓が解けていて良かったと言っていた。

ゲンミ峠(ロープウェイ駅)に着く(14:25)
ここの南側は崖になっている。崖をクライミングして遊んでいる人が大勢いた。

ロープウェイでロイカーバートに降りる。ロイカーバートはスイス有数の温泉保養地とのことであった。 温泉に入る時間はなかったが、機会があれば寄ってみたいところである。スイスを東西に横切る大きな山脈を超えたことになる。この山脈は東で、メンヒ、アイガーに続いている。山脈を超えたことで、街の雰囲気がフランスっぽくなった。町の看板もドイツ語ではなくフランス語になった。

ロープウェイの駅から、バスターミナルまで歩いて10分くらいで到着である。(15:10)
バスターミナルに隣接する広場には、いろいろな屋台のお店があり賑わっていた。それにしても暑い。ちょっと前まで雪渓を見ていたとは思えないくらいである。30度近くあるのではないかと思う。 暑さを避けて、バスターミナルの建物の中に入ってバスを待つ。

バスに乗ってルークの駅に着く。ここからは鉄道に乗る。 さらに、フィスプの駅でツェルマット行きに乗り換える。 フィスプの駅の建物の壁面は鏡面になっており、反対側の山の景色が写る。
春木さんのお気に入りの駅とのこと。壁面に写る山の写真も撮っておく。

駅のホームには、軽機関銃を持ったスイス軍の兵士が大勢いた。移動の途中と思われる。 軽機関銃を肩に担いで、一般の人も乗る電車で移動とは驚いた。 NATOにも加盟せず、他国との軍事同盟も結ばずに個別的自衛権のみで国を守るスイスの一面を見た気がした。 九州ほどの広さで人口800万のスイスを守るスイス軍は予備役含めて約22万であり、自衛隊と同じほどの人員である。 海のないスイスには海軍はない。日本の広さと人口と比較すれば、日本なら4~500万人程度の人員になるのかも知れない。

ツェルマットに到着する。(18:00) ひどい雷雨である。駅でスーツケースを受取り、ホテルの車まで持って行き各自で乗せる。 雷雨が止むまで待ちたかったが、待たずにホテルに行くということで、雨具を着る。 雨の中を歩いて、ホテルまで行く。せっかく乾かしたのにちょっと残念。 雨で周りの山も見えない。ゲンミ峠の晴天がうそのようである。 歩きながら、春木さんが街のお店の説明をしてくれた。 途中のコンビニで明日の水等を購入する。

街の中の教会の近くに橋があり、そこがマッターホルンを見るビューポイントということである。 日本人の観光客が集まるので、通称日本人橋と言われているそうである。食事の後、雨も止んだので橋に行ってみたが、やはり雲がかかって見えない。 今日は帰ることにする。明日もあるので早めに寝る。

【7月25日】

【行程】 ツェルマット→ゴンドラ駅→(ゴンドラ)→フューリ→シュワルツゼー→ヘルンリヒュッテ→シュワルツゼー→フューリ→ツェルマット
【宿泊】 ホテル・ゾンネ(ツェルマット)
【天気】 小雨のち晴れ

ちょっと早起きして、マッターホルンの朝焼けの写真を撮りに行く。少しずつ雲も切れてきて、マッターホルンが見えてくる。頂上は見えないが、今日の目的地のヘルンリヒュッテも朝日の中に見えた。

ホテルからゴンドラの駅まで歩いて行く。 ゴンドラに乗ってフューリまで行く。ここで乗り換えて、シュワルツゼーまで行く。 ここには小さな湖(=See(ゼー))があるので、シュワルツゼーと言うらしい。 ここから、ヘルンリヒュッテまでトレッキングである。

空は晴れているが、小雨がパラパラと降っているので、雨具を着て出発。(8:40) すぐに道が工事中で通行止めになっていた所があったので、脇道を迂回する。 しばらくして雨も止んだので、早々に雨具を脱ぐ。 風は、マッターホルンの南(向こう側)から北に向かって吹いている。
マッターホルンには雲がかかっているが、北側はほとんど雲がない晴天である。

振り返るとシュワルツゼーのゴンドラ駅と、ツェルマットの街が下に見える。 周囲は氷河を被った山々に囲まれている。青空とのコントラストが美しい。 マッターホルンは雲がかかっているが、晴れることを期待して登る。 途中には小さな避難小屋もあったが、近くで大きな工事をしていた。地面を平らにならしていたので、大きな小屋を建てるのかも知れない。

だんだんとマッターホルンが間近に迫って来る。上部を蔽う雲も少しずつ少なくなってきている。 頂上が見えそうになるたびに、みんなが声を上げるが、なかなかすっきりと姿を見せてはくれないようだ。

大分登ってきて、ヘルンリヒュッテも近くに見えるようになってきた。(10:10)なだらかな登山道から岩場に変わる手前で大休止。(10:50) グレーシャーパラダイス(クラインマッターホルン)の氷河が美しい。 今回のコースにはないが、機会があれば訪れてみたい所である。ブライトホルンへの登山の起点でもある。

ガレ場の手前でも大休止。(11:40) さらにガレ場をジグザグと一登りしてヘルンリヒュッテに到着。(12:20) 憧れの?(だれの?というツッコミはさておいて)ヘルンリヒュッテなので、とりあえず全員で記念写真。 このツアーのメインコースである。残念ではあるが、ツアーのトレッキングは残すところ明日1日だけとなってしまった。

※写真11

ヘルンリヒュッテ

グレーシャーパラダイスの氷河の下に開けられたトンネルから大量の雪解け水が流れているのが見える。 20世紀初めに氷河が崩壊して、ふもとのツェルマットの街が大変な被害にあったので、 氷河の下にトンネルを掘って、突然崩壊したりしないように雪解け水を人工的に抜くようにしているとのことである。 この水がツェルマットの街の日本人橋の下をゴウゴウと音を立てて流れているということになる。
ここで昼食をとる。昼食はマリコさんお勧めのカレースープと、ベーコンとポテトとチーズを焼いたもの(名前は忘れた)にする。 中にも食堂のスペースはあるが、天気も良いので外のテラスで食事をする。 小屋は改装されたばかりということで、新しくきれいである。記念に動画で内部を撮影しておいた。 小屋の中の売店で記念にTシャツを購入する。

食事を済ませたところで、マリコさんが小屋の上までもう少し登りましょう、ということで全員出発する。 小屋を左に回り込んで、階段を登り尾根上に出る。普通の登山道になっており、さらに200mほど進む。 行けるところまで行ってマッターホルンを見上げる。上のソルベイヒュッテ(標高4002m)も見える。

気象観測装置のようなものが、ガケの上に見えたので、写真を撮影した。 初登頂150周年記念のライトアップ用と思われる装置も見えていた。

写真を撮影し、マッターホルンの姿を堪能し下山を開始する。 残念ながら、まだマッターホルンの頂上は姿を見せない。

北の谷の底にスンビュールヒュッテが見える。セントレアからチュウーリッヒまで飛行機で一緒だった方たちが泊まる小屋ということだ。 下からマッターホルンはどんなふうに見えるのだろうか。

下山中にピッケルをザックに付けた5人ほどのグループとすれ違った。 明日は天気が良さそうなので、頂上にアタックするそうである。 本当に翌日は風も弱く素晴らしい天気だったので、たぶん成功したのではないかと思う。

因みに、登る途中ですれ違った下山中のグループは、風が強すぎて登頂をあきらめたということであった。

下山を開始してしばらくすると、後ろから老夫婦が追いついてきた。 道を譲ろうとしたが遠慮して、しばらく一緒に下山することになった。 話を聞くと、ニューヨークから来たということで、娘さんが東京に住んでいるということである。 娘さんは、東京で自身で所有する会社を経営をしているということである。 そんなことから、我々が日本人と分かったので、一緒に歩きたかったということである。

私たちが休憩をとることにしたので、ここでお別れである。 名残惜しそうにマリコさんとハグしていた。私たちも手を振って、お互い笑顔でお別れする。

翌日オーバーロートホルンで会った韓国人グループとは大違いである。こんにちは、と声をかけても無言であった。こんにちは(ハロー)くらいは言えば良いのに、と思うのは私だけではなかった。

シュワルツゼーまで下ると、マッターホルンにかかっていた雲がなくなり、頂上まできれいに見えるようになった。 もう少し早く雲がきれてくれたら良かったと残念に思った。 ゴンドラでツェルマットまで戻る。

夕食まで時間があったので、マッターホルン博物館に行ってみた。 初登頂の7人のうち、下山中にザイルが切れて4人が亡くなっている。いわゆる「切れたザイル」が展示してあった。 ザイルの長さが足らず、4人と3人の間を細いロープで繋いでいたために、その細いところで切れてしまったということである。 他にも登山の歴史や、ツエルマットの村の生活、登山ガイドの歴史なども展示してあった。 登山靴の歴史も展示してあったが、プラスチックブーツは一世代前の登山靴になっていた。 私が買ったのは15年くらい前だった。5シーズンほどしか使っていなかったが、世の中どんどん進化していますね。

本日の夕食は、各自自由ということであった。街へ出てチーズフォンデュを食べた方もあったが、 私も含めて8人ほどは、ホテルの食堂で食べた。日本食を用意してくれるというので、私は生姜焼きを頼んで食べた。 確かに生姜焼きであったが、肉が厚かった。ステーキくらいの厚さだったが、味は悪くなくおいしかった。 厚い肉の生姜焼きも帰ったらやってみようと思った。

メガネのネジが緩んでいるのが気になっていたので、春木さんと一緒に時計屋さんに行って直してもらった。 グリンデルワルトではホテルに着くのも遅く、ホテルに聞いても修理できないと言われ、時計屋さんも閉まっていたのでそのままにしていた。 やっと、修理ができてホッとした。行動中にネジが緩んでレンズが落ちなくてよかった。

今日は天気が良く、マッターホルンも雲一つなくくっきり見える。 初登頂150周年記念ということで、登山ルートをライトアップしているということなので、撮影に出かける。時刻は夜9時10分からと10時からの1日2回で、約10分間ということである。

※写真13

ライトアップ中のマッターホルン

9時10分では明るすぎるかなと思ったが、とにかく行ってみた。 空はまだ明るいが、登山ルート上の照明はくっきりと見える。 約10秒間隔で、下から(たぶんヘルンリヒュッテの上、私が行けるところまで行ったすぐ上から)順番にライトが点灯していく。約5分で頂上まで全ての照明が点灯して、その後5分くらい点灯していて時間になると一斉に消えるというようになっていた。

10時の回も行ってみた。空は暗くなっていたので、照明はくっきり見えるが、暗すぎて手持ちではマッターホルンの シルエットと照明を一緒に写すことができなかった。シャッター速度が遅すぎて、手持ちでは手ぶれしてしまう。 明日、もう一度挑戦である。明日は三脚を持って来ようと思う。

10時の回が始まるまでの時間で、明日の朝、マッターホルンの朝焼けを撮影する場所を探すことにした。 日本人橋は人が多すぎて三脚を立てて撮影するのは無理である。 下の川沿いに遊歩道があったので、そこに下りて撮影することにした。 春木さんが、「上流側の次の橋の近くが私のお気に入りのポイントですよ」と言っていたので行ってみた。 確かに、街並みが左右の木に隠れて良い雰囲気である。 ちょうど、マッターホルンが左右の木の真ん中に来るような場所を探した。撮影場所は決まった。

明日の朝は早起きしないといけないので、10時のライトアップが終わったら早々に帰って寝ることにした。

【追記:】私たちが帰国した2週間後、2人の日本人が下山中に1人が滑落、1人が凍死したというニュースが流れた。 登頂後、下山中に天候が急変し、ソルベイヒュッテまで下るつもりが、間に合わずに途中で亡くなったということである。

<参考> 見ず知らずの人のブログですが、マッターホルン登頂の様子がよく分かるのでURLを記載します。

塾長の渡航記録
マッターホルン登頂 2010/07/20 三度目の正直でようやくマッターホルンの頂に立つ。ヘルンリヒュッテから休憩コミで3時間16分でのスピード登頂だった。

【7月26日】

【行程】 ツェルマット→ケーブルカー駅→(ケーブルカー)→スネッガ→(ゴンドラ)→ウンターロートホルン→オーバーロートホルン→
→ウンターロートホルン→スネッガ→ツェルマット
【宿泊】 ホテル・ゾンネ(ツェルマット)
【天気】 朝は快晴。昼前から薄雲が広がる。

3:50に起床する。夏時間なので、日本なら2:50である。 日の出は現地6:00頃。1時間30分前から薄明が始まるので4:30頃までは空が暗いはずである。急いでカメラと三脚を持って撮影場所まで行く。

街の灯りは肉眼では暗いが、カメラでは明るく写ってしまう。ちょっと明るすぎるので、可能なかぎり暗い場所へ移動する。 天の川も肉眼でかろうじて見えるが、フィルストのようには写らない。時間的に天の川の薄い部分になるからである。マッターホルンも撮影する。登山者のヘッドランプの灯りが写る。すでに登山を開始しているようだ。 そうこうしているうちに、薄明が始まる。

ISO感度、露光時間、ホワイトバランスを変えていろいろ撮影してみる。朝焼けを鮮やかに写すために、ホワイトバランスは曇り空の設定にする。

※写真14

モルゲンロートに輝くマッターホルン

空が段々と明るく(青く)なってきて、やがて頂上に朝日が当たり、オレンジ色に輝き始める。
どの時点で一番よく写るか分からないので、どんどん撮影する。自動露光では昼間のようになってしまうので、マニュアルで撮影する。明るくなるに従って、露光時間も短くして行く。 後ろを振り返れば、日本人橋には大勢の人が集まって撮影している。

朝焼けが頂上から始まり、ヘルンリヒュッテの上の辺りまで日が差したところで終了とした。

朝食後、ケーブルカー駅まではのんびりと歩いて行く。昔の家を保存している地区を通り、マリコさんの説明を聞きながら歩く。 ケーブルカーは地下ケーブルだった。駅のチケット売り場で切符を購入し、長いトンネル(200mくらい)を通って乗り場に行く。 このケーブルカーは高速である。日本では六甲ケーブルカーくらいしか知らないが、六甲のゴトンゴトンという音に比べると、ゴーと音を立てて登って行く。車内の灯りに照らされているトンネルの壁もすごい勢いで動いている。(8:35)

あっという間にスネッガに到着する。(8:40) 下が1620m、スネッガが2288m。標高差600mを4、5分程度で登ってしまう。ここには展望レストランがあり、マッターホルンがとてもきれいに見える。遠すぎず近すぎずちょうど良い距離である。 ここからゴンドラで途中1回乗り継いで、ウンターロートホルンまで行く。 ここで、マッターホルンをバックに、みんなで記念撮影をする。

歩き始めるが、道は一旦200mほど下る。下ってからオーバーロートホルンへの登山道に入る。 マリコさんが、お楽しみがあると言っていたが、エーデルワイスのことであった。登山道の周りにはエーデルワイスがいっぱい咲いていた。女性たちは大感激している。 ただ、最初は興味を示していた男性陣もいっぱいある花を見て、そのうち興味をなくしたようだ。

※写真15 ※写真16

エーデルワイス

オーバー(上の)ロート(赤い)ホルン(山)は、なだらかな山である。 一旦大きく右に回り込んで、ジグザグに登って行く。 道は整備されていて歩きやすい。 ウンターロートホルンが3103m。オーバーロートホルンは3415m。 3000mを超えるので、多少息が苦しい。このツアー中では今日が最高の高度になる。昨日のヘルンリヒュッテよりも高い。 富士山で言えば8合目手前くらいか。

一旦下って、オーバーロートホルンへ登り始めたのが10:00。頂上に着いたのが11:50. 頂上からは360°の展望が楽しめる。 ところどころに目のマークが付いた標識がたっていた。たぶんビューポイントを示していると思われる。また、カメラのマークが付いた標識もあった。たぶん撮影ポイントを示しているのかも知れない。

頂上では韓国人のグループがいた。みんなで東の山に向かって手を合わせていた。宗教的なグループかもしれない。韓国ではそんな習慣があるかどうかは知らない。 このグループは、「こんちは!(ハロー!)」と声をかけても返事がなかった。「アニョハ セヨ」って言えばよいのかな?と冗談半分で話していた。

食事をして下山する。一旦鞍部まで下って、ウンターロートホルンに登り返すが、この200mが大変であった。 しかし、今日が最後であり、これが最後の登りなので、へばっても良いつもりで登り返す。 14:00ウンターロートホルンに到着。

ウンターロートホルンのゴンドラ駅で、エーデルワイス入りのハンドクリームを売っていた。 下でも売っているけど、ここのクリームはエーデルワイスの濃さが違うというマリコさんの話で、みんなが購入していた。 私も、お土産を買っていないので、お土産として購入することにした。
中国人に負けないくらいの爆買状態になって、商品がほとんどなくなってしまった。申し訳ない。

ブライトホルンの方向に傘雲が出ていた。天気が下り坂の傾向かもしれない。 14:25ゴンドラに乗って下山を開始する。

今日は早くホテルに着いたので、お土産を買いに出かける。 食事は、全員で街のレストランで食べることになっている。 お土産は、チョコレートと果物ナイフとアーミーナイフにした。
自分用に、ゴアテックスの上着とTシャツを購入した。 上着は200スイスフランが、セールで55フランで売っていたものである。サイズもちょうど良かった。時計もあったが、ちょっと高価すぎたし、何が良いか良くわからないのでやめた。

お土産を買っていると、街の通りを牧童(ハイジのピーター?)に扮した少年が羊の群れを連れて歩いて行った。 観光客用のパフォーマンスと思われる。通り過ぎた後は、羊のフンがいっぱいだった。 でも、観光客は気にしていないみたいですね。

ホテルのロビーに集まりレストラン(ダービーというお店)に行く。 通りに面してオープンになっているが、グリンデルワルトのようにハエはいない。 日は落ちると、さすがにひんやりとする。薄着できたので、1枚余分に羽織って来ればよかった。 春木さんからメニューの説明があり、各自気に入ったものを頼む。これが、ツアー最後の食事ということになるので、アルパインからワインのサービスがあった。

ここで、交通費の精算をした。天候によってルート変更する場合があるので、一部の交通費がツアー料金に含まれていない。 今回は一切ルート変更しなくて済んだが、その含まれていない料金を実際に支払った料金で精算するということである。 一人36,000円になった。私は日本円を持っていなかったのでスイスフランで支払う。42フランになった。

同じテーブルの方と、お土産(ゴアの上着)の話をしたら、行ってみたいというので食事の後でお店を紹介してあげた。

高砂さんが、マッターホルンのライトアップの写真を撮りたいというのでホテルに戻ってから日本人橋に行った。 もう一人待ち合わせをしていたが、行くのをやめたと聞いたので、早めに出てしまったが、 どうも行き違いがあって、本人は行くつもりでロビーで待っていたようである。申し訳ないことをしてしまった。

ライトアップが始まったが、マッターホルンの上半分が雲に隠れてしまっている。 高砂さんとライトアップされたマッターホルンをバックに写真を撮りあう。 雨が降り始めたので、他の人は帰ってしまったが、高砂さんとは次の回までしつこく待つつもりであった。 しかし、雨がひどくなり、マッターホルンも見えなくなってしまったので急いで帰ることにした。 カメラが濡れないように、上着の中に入れて走って帰る。 帰る途中にホテルの裏手の丘の上に十字架が点灯していた。お墓があるのかも知れない。

あくる日は午前3時10分にロビー集合なので、急いで風呂に入って寝る。

【7月27日】

【行程】 ツェルマット→ケータッシュバスセンター(チャーターバス)→ゴッペルシュタイン→(カー・トレイン)→カンデルシュテーク→チューリッヒ
【宿泊】 機内泊
【天気】 晴れ

ロビー集合が3時10分と思っていたが、3時だったようである。部屋に春木さんから電話がかかってきた。 といっても5分前にロビーに着くように準備していたので、部屋を出ようとした時にかかったきた。 みんなを待たせて申し訳ないことをしたが、結局、ロビーでかなり待って3時20分くらいの出発になった。 ホテルの車(電気自動車)で出発する。ツェルマットはガソリン車は乗り入れ禁止である。 一旦、ティッシュという街にあるバスターミナルまで行って、大型のチャーターバスに乗り換えてチューリッヒまで行く。

ターミナルでバスが来るまで30分ほど待った。すぐにバスに乗ると思っていたので、半そでの山シャツで出たが かなり冷え込んで、寒いのでフリースを上に着た。気温は12℃くらいと思われた。 春木さんが、「日本は猛暑のようですよ。今日は1日で寒暖の差が激しいので体調に気を付けてください」と話をしていた。日本は梅雨が明けて、連日35°を超える猛暑が続いているようであった。

やっとチャーターバスが来て乗り込む。20分待ち。外が寒かったのでありがたい。(4:00) 昨夜が遅かった(寝たのは11時半頃)のと朝が早かった(午前2時起き)ので、すぐに寝込んでしまった。起きるとゴッペルシュタインの近くに来ていた。 ここで、バスはカートレインに乗る。我々はバスに乗ったままでカートレインに乗ることになる。 3日前に超えてきたゲンミ峠をカートレインで逆に超えることになる。 どうも車が通れるトンネルが無いらしい。カートレインを使わないとひどく大回りをしないといけないようだ。

発車まで時間があるので、バスを降りて待機場の中の売店で暖かいコーヒーを飲む。
自販機もあったが、順番に購入している途中で故障してしまった。売店の人が直そうとしたが、故障してしまったから中で飲んで、ということになった。 朝食はホテルで用意してくれたサンドイッチを食べる。ちょっと少なかったので売店でお菓子を買った。

カートレインが着いて、車がどんどん降りてくる。続いて我々も乗り込む。 まずは、小回りのきく小型の乗用車から乗り込む。大型バスは小回りが利かないので最後に乗り込む。ゆっくり、ゆっくりと慎重に進む。左右すれすれに進むが、接触しない。見事である。慣れているのであろうと思う。 列車は途中でカーブしていたが、バスは曲がれないので、ここでストップである。

ゴッペルシュタインからカンデルシュテークまで、初めて乗るカートレインの不思議な体験であった。 乗る時は最後尾から乗ったが、降りるときは列車のサイドをホームに倒してわたり板にして左にハンドルを切るようにして降りた。 先頭は機関車なので当然降りられないからね。

ここからは普通の道路と高速道を使ってチューリヒまで行く。太陽も登ってきて、雲間から朝日が差してきれいである。 みんな寝ている。私はツェルマットを出て、すぐに眠ったので眠くはない。景色を楽しみながら行く。 山間は霧が出ていたが、平野に出ると霧も消えた。 途中、いくつもの湖を見ながらチューリッヒ空港に着く。

来た時と同様に、ここでみんなとお別れである。お別れの挨拶をして出発ゲートに行く。フランクフルト便は1時間ほど先に出発するので、一足先にお別れである。8日間行動を共にした仲間とお別れするのはちょっと寂しいですね。 ゆっくりと旅の思い出を話しながら一緒に帰れるといいのだけど。・・・残念です。 ゲートまで春木さんが、ついてきてくれた。出発ゲートの入り口で春木さんとも握手してお別れする。

搭乗口まで行ったが、ダブルブッキングがあったようで出発が遅れた。 アナウンスで、日程に余裕のある方は申し出てほしいと言っていた。 1泊の宿泊費用は、航空会社持ちだそうである。仕事なしだったら一人だけなのでもう一泊も良いと思うがやめた。 チェックインゲートでダブルブッキングの人は警告が出ていた。私は警告がなかったのでダブルブッキングではなかったようだ。

心配なのは、遅れのためフランクフルトの乗り継ぎに影響しないかということである。同じルフトハンザの便なので、大丈夫とは思うが心配である。 乗り継ぎがぎりぎりになることも考えて、サンドイッチで、ちょっと腹ごしらえしておく。

20分遅れで出発する。
フランクフルト空港に遅れて着くが、どこに着いたか良く分からない。タラップを降りてバスに乗るように指示された。乗り継ぎの人とそうでない人に分かれて別々のバスに乗るようである。
間違いないように、指示している人に確認してバスに乗り込む。(大丈夫と思ったが念のため)

私はターミナル2に到着したので、ここから乗継便が出発するターミナル1へ行くためのシャトルバスである。 フランクフルト空港はとにかく広い。ターミナル1までバスで5、6分ほどかかる。乗り継ぎ時間に余裕がない(25分)ので心配である。 バスは1Fのうす暗いところに着く。ターミナルビルの外のような感じで、周りは暗くてコンクリートむき出しである。どうやって乗り継ぎゲートへ行けば良いか、不案内のため心細い。案内板を見るが、出発ゲート(Z)への案内が無い。 とりあえず、みんなの後を付いて行くことにした。後に付いてターミナルビルに入ったら、係員の女性がいた。

チケットを見せて、ゲートZ13に行きたいと告げる。女性は便名を見て出発ゲートを調べている。 出発ゲートが変更になって、Z15になったとのこと。目の前のエレベータに乗りなさい、とのこと。 他の人は、別の方向に歩いて行く。一人だけエレベータに乗って上に上がる。
エレベータを出ると、見覚えのある場所に出た。往路便で乗り換え時にうろうろしていた所である。 やっと、見覚えのあるターミナルビルに入ることができた。案内表示もちゃんとしているので、一安心である。そこはゲートAのエリアである。ZエリアにはAエリアの中から、別の通路に入って行くようになっている。 通路に入ったら、すぐ先に手荷物検査のエリアがあった。

手荷物検査を通過し、搭乗ゲートに行く。出発も若干遅らせているようだ。20分遅れで搭乗を開始するが、ボーディングブリッジを使わずに、またバスに乗り込む。 バスで飛行機のところまで行って、タラップを使って乗り込む。
結局、約20分遅れでフランクフルトを飛び立ち、一路セントレアに向かう。(現地15:10出発)

【7月28日】

【行程】 フランクフルト→中部国際空港→(名鉄・JR飯田線)→自宅
【宿泊】 機内泊
【天気】 晴れ

復路便は夜間飛行になる。
運が良ければ、オーロラが見えるかも知れないから、窓際の席がいいよと聞いていたが、残念ながら通路側だった。 しかも、隣の男性はすぐに窓のシャッターを下ろしたので、外も見ることができなかった。 夏なのでオーロラはもともと無理だったかもしれないが、残念であった。

機内にはポルトガル人のガールスカウト、ボーイスカウトが大勢乗っていて満席であった。
名古屋で大会でもあるのかな?と思ったが、帰国後調べてみると福山で世界大会が開催されていたようである。 セントレアから広島空港まで乗り継ぐのかも知れない。または名古屋から新幹線を使って福山まで行くのだろうか。

セントレアには午前8:40に到着。予定の到着時間は8:15なので、25分遅れとなった。

入国審査は簡素なものであった。
「ツアーですか?」と聞かれたので「そうです。チューリッヒで別れて、セントレアは私1人だけです。」と答えて終わりだった。
最近はスーツケースを開けられることがないですね。2012年にケアンズに個人で旅行した時も同じでした。

名鉄を使って帰路につく。
やはり日本は暑かった。ホテルを出たときに半そでで出てきたのが役に立った。
でも、意外とカラットしている感じもした。
乗り換えのために、久しぶりに使った神宮前駅にはエレベータが設置されていた。
2007年の時はエレベータが無く、23kgのスーツケースを持って階段を登り下りして本線に乗り換えるのが大変だったが楽になった。

セントレアを10:17の特急に乗り、神宮前で豊橋行きに乗り換える。豊橋から飯田線で東新町まで行く。
東新町駅から自宅まで、スーツケースを転がしながら歩く。さすがに梅雨明け後の猛暑で汗びっしょりになった。
スイス出発の朝は寒くてフリースを着ていたが、気温差で体調を崩さないようにしないといけない。

12:40自宅に到着。
さっそく、風呂に入って疲れを癒す。意外と眠たい感じはしない。明日も休みを取っているので、のんびりしようと思う。

【後記】
今回のツアーは上田さんが飲み会で「スイスに行きたい」と言ったのがきっかけでした。
アルパインからパンフレットをもらって、海外トレッキング経験豊富なTSさんにどのようなコースが良いか相談したところ
「・・・と憧れのヘルンリ小屋訪問9日間」がお勧めということでした。
このコースをベースに個人旅行として計画していましたが、上田さんの都合で一緒に行けなくなってしまいました。
一人での旅行はつまらないので、ツアーに申し込んだという次第です。

私はスイスは初めてになります。
今回、行って分かったことは、
1 言葉は英語でOK。ホテル、お店等で不自由なく通じる。
2 夏は朝は天気が良いが、夕方に雷雨になることが多い。
3 駅には改札がない。基本的に車内検札。
4 朝は街で15℃くらい。日差しがあれば昼は28℃くらいになる。
こんなところでしょうか。

印象は
1 治安が良い。
2 ホテルがきれい。
3 空気もきれい。
4 星空もきれい。下界の灯りも少なく、星の写真撮影にも適しているのではないかと思われる。
5 トレッキングルートがいっぱいある。
6 道は整備されており、途中に山小屋、レストランがあって非常に便利になっている。

強いて欠点を挙げるとすれば、物価が高いところでしょうか。500㏄のコーラが日本円で1本350円くらいします。
ホテルも高いですね。列車、ロープウェイ、ゴンドラも高いです。
今回のコースでは、スイスパス(50%割引になる)を使っても交通費はトータルで10万円を超えると思われます。

次に来るときは、のんびりと1か所に1週間くらい滞在したいですね。
そうして、天気が良ければハイキング、悪ければショッピングを楽しみ、ホテルでのんびりするというのが良いかなと思う。
カメラと三脚、そしてポータブル赤道儀も持ってきて思いっきり星の写真を撮りたいですね。

最後に、上田さんから天気の情報を頂きましたのでお礼です。寒冷前線の通過の情報も頂き、実際にツェルマット到着時には
前線の通過と思われる雷雨となりました。そして雪が積もったマッターホルンを見ることができました。
ただし、翌日は予想通り風が強かったですね。装備の参考にさせてもらいました。ありがとうございました。

追記:日本に戻ったら、義妹に「ずいぶんやせたね。大丈夫?」と言われてしまった。
ベルトの穴2つ、ウェストが細くなっていた。体重も3Kgほど減った。
連日ハイキングしてたから当然かもしれない。
1週間で劇的にダイエットしたい人にもお勧めです。ただし、60万円かかりますけど・・・。

この記事を書いた人

愛知県山岳連盟 豊川山岳会事務局
山岳上級指導員 気象予報士
NPO法人 ウェザーフロンティア東海会員

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