令和 3 年度安全登山指導者研修会「西部地区」

【令和 3 年度安全登山指導者研修会】21.11.20(河合)
【2021年11月20日~22日】
【メンバー】河合

令和 3 年度安全登山指導者研修会「西部地区」が、佐賀県武雄市山内町周辺で開催された。今回は、読図がメインということで私も呼んでいただいたので、内容を記載します。

【研修内容】

1 日目
(1)講義Ⅰ(90 分) 「登山の PDCA」 (北村)
(2)講義Ⅱ(120 分) 「読図とナビゲーション(初級編)(中級編)」(河合)
(3)講義Ⅲ(90 分) 「道迷いのパターン」 (河合)
(4)講義Ⅳ(90 分) 「リスクマネジメント」 (北村)

2 日目
(5)実技研修Ⅰ(60 分) 「コンパス 123」 (河合)
(6)実技研修Ⅱ(180 分) 「ナビケーションサイクルについて(実技1)」 (河合)
(7)実技研修Ⅲ(120 分) 「ナビケーションサイクルについて(実技2)」 (河合)

3 日目
(8) 研究討議( 120 分) ルートプランニングの指導について(北村)

と盛りだくさんの内容であった。

例年は、気象、レスキュー等他の題材も盛り込まれているということだったが、今年は「読図」に特化して行うということだった。

 

さて、講義Ⅱ「読図とナビゲーション(初級編)(中級編)」では、主に等高線の曲がり具合には、国土地理院の作図者の気持ちが込められているという話をした。

「国土地理院のおっちゃんが言うには・・・。この等高線の膨らみは、隠れピークを表し・・・。」というようにマニアックな説明をしてみた。翌日、実技で話を聞いてみると「国土地理院のおっちゃん話」が結構研修生の方に受け入れられていてほっとした。

講義Ⅲ「道迷いのパターン」は今回初めて話す内容。今までは「あれ?おかしいと思ったら」という題材で作成していたものをアレンジして話をしてみた。これが結構評判を頂きこれもまたほっとした。(講義資料は、・道迷いのパターンに掲載)

 

北村先生のPDCA講義

私の説明

 

2日目は実技。朝はとても天気が良く、黒髪山がよく見えた

実技研修「コンパス 123」は・コンパス練習シートを使用しコンパスの使い方の基本を勉強。初めての方もこの練習方法だと元の位置にコンパスを使って戻ってくるので感動されている方もいた。(講義資料は、・コンパス練習シートに掲載)

コンパス1,2,3の操作では、「遠くを見てではなく,遠くにまっすぐ先の目標を見て直進することを明確に言えば良かったと反省。」(今後は赤字も説明することにします)

1、コンパスの左辺(右辺)を①→②に合わせる。

2、Nマークが磁北線の北になるように(リングの中の線が磁北線と平行)リングを回転させる。

3、コンパスを練習シートから離し、体の胸に垂直になるように持ち、コンパスの針(N)と磁北線(北)が一致するように(リングの中の線が磁北線と平行)体全体で回転する。

「コンパスの進行線の方向を真っ直ぐ見て進む」

②→③へ進むときも同じ動作をしますが

「コンパス操作がしやすいように、練習シートをグルグル回転させた方がよい(①→②の場合と同じような位置に練習シートを回転させる)です」

研修の方法は、順番に先頭を変わっていき、事前に地図に〇を付けてある特徴物まで行って止まる。歩き出す前に次の特徴物を説明してから歩き出す。ことを徹底したことにより、より熱心に地図の先読みと地形観察をされたと思った。この点は、実技講習の方法として重要と思う。

地図にあらかじめポイントを〇で記し、そのポイントの位置説明も事前に渡していたことも実技講習の方法としてよかった。愛知から事前にどこまで先読みができるか、研修生の方も参考になったと思う。また、国土地理院の地形図の道が一部違っていたことを確認できたことは大変重要。もう一つ重要なことは、「ここまでは先読みできるが、これ以上は分からない。」という限界。「分からない」ということはとても重要だと思う。

反省としては、

「〇の中心にこちらの意図した特徴物と多少ずれたところに〇が印刷されていたものがあったので、もっと〇の位置に印刷後のものを見てチェックしなければいけなかった。」

「ポイントを設置した特徴物の説明で、もっと詳細に、一つだけでなく、二つ、三つの複合の特徴物を予測するようにすれば、もっと感動があったかもしれない。」

と思った。

行動全般では、班長の位置づけも大きく、こちらの講師の意図をしっかり飲み込んでくださっていて、メールとはいえ事前の打ち合わせの重要さを再確認した。

コンパス1・2・3の説明

コンパス1・2・3を実際にやってみる

出発前の班の打ち合わせ

紅葉が進む中、実技研修を行った

皆さん熱心に研修をされていた

奇岩の乳待坊周辺

JMSCA丸会長、藤原研修所長はじめ役員(天童岩にて)

(天童岩にて)

熱心な研修。地図読みと現在地確認中

後半は、雨が降り出し、岩も出てきたので慎重に下る

 

3日目ワークショップ概要と受講者の取組

実技の振り返りは、時間が短かったものの再確認ができてよかった。最終日のワークショップでは、実際に計画を立てる注意点等を地図から学ぶ。このカリキュラムは初日のPDCAに再度戻ることにもつながり良かった。

地元に戻られたら、ぜひ、横展開して欲しいと思います。

-記・河合-

 

この記事を書いた人

 読図コーナーを担当し「初心者からの読図,過去の遭難事例」では、ナビゲーション技術や知識、道迷いの心理、道迷い遭難事例を解説しています。ぜひ、読図コーナーのご一読を・・・。

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