冬合宿 蝶ヶ岳

2014年12月26~29日 
メンバー: CL河合、SL梅沢、上田、鈴木、荒木、西村、牧、白木ゆ、塩川、後藤、小野(記録)
26日0730いつも通り市役所に集合し、河合さん宅を経由し治部坂を抜けて沢渡の駐車場を目指す。河合車はめぐさんを迎えに松本駅へ、賑わう繁華街に年末の忘年会シーズンを感じながら無事めぐさんと合流し、沢渡の駐車場へ行き、先行したテント設営組に合流、軽く呑んで消灯。
27日は0630にタクシーに乗り、釜トンネルの入り口に向かう。
0710暗い釜トンネルに歩みを進める。
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出発準備中です
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それでは行ってきまーす
トンネルを抜けると青空、そして左手には焼岳を望みながらの気持ちのいいハイキング。上高地まではたっぷり3時間はあります。途中、大正池では後方に荒々しい明神岳も観ることができる。
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大正池と明神岳
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大正池をバックにパチリ 
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上高地バスターミナルで思い思いのポーズ。 まだまだ元気です。
0910上高地バスターミナルに到着。ここでトイレ休憩をいれる。少し歩くといつもの観光客で賑わっているのとはうって変わって静かな河童橋。
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初めて見た人のいない河童橋
河童橋
貸し切り状態の河童橋で記念撮影
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河童橋から穂高連峰、吊尾根の稜線。ガスが切れてきた。
上高地でもまだまだ半分、横尾はまだまだ先です。
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この足跡はどこへ続いているのかな
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まだまだ元気ですよー
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明神が見えてきた
1100明神を通過する。
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地面凍ってるー
徳澤から少し林道を外れて河原を歩くが雪が多く歩きづらい。
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気持ちのいい広ーい雪原の中を歩く
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新村橋で休憩
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みんな到着
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ここで梅沢さんにいただいたみかんに癒される伸ネエ、パクパク食べてます
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長いアプローチ、きつくなっても笑顔は忘れません。
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新村橋から先は雪深く結構苦労しながら横尾に到着。
避難小屋には先行パーティーが2組いたが、無事テントを張ることができた。
その後も数パーティーが到着して避難小屋内はいっぱいになっていた。
狭いのでテントとテントのすきまで晩飯づくり。
晩飯は鍋を食当の牧さんとゆかりさんを中心として準備。
あぶれた私たちはもう一方のテントでお湯づくり、そして一足先に宴会突入。
できあがった鍋はとてもおいしく体が温まります。西村さん持ってきた濁り酒もおいしく酒もすすむ。
残念ながら横尾に着いてからの写真を撮っていませんでした。
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横尾からの夕暮れの屏風岩
28日蝶ヶ岳アタックの日。
雲もなく出発の0630頃には空も明るみだす。
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まだ星が見えるころ出発
幸い蝶ヶ岳に向かっては先行者がいるようでスノーシューのトレースが付いている。
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厳しい一番乗りのラッセルにはならないものの、それでもつぼ足でのラッセルはきつく、途中でワカンを着けてのラッセルに切り替える。
ワカンを装着してラッセル隊は速度を増し、先行してラッセルしてくださっていた八ヶ岳のガイドさんに追いつく。
ガイドさんはパーティーを先行して一人でラッセルをしていたので、自分たちも交代でラッセルに加わる。
今まで一人でラッセルされているにもかかわらず、ガイドさんのラッセルは早く、私たちとは体力も技術も違うことを感じる。
自分たちが先頭になるとどっちに向かっていいのかよく迷ったりしていたが、そんな時は動物の足跡があったらそれをたどれば歩きやすいことなど色々と教えていただきながら稜線を目指す。
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そしてようやく樹林帯を越え、稜線の見えるところまで出ることができた。
樹林帯を抜けると突然展望は開け、向かいには雪の穂高、そして槍ヶ岳、遠くには煙を上げる御嶽も見える。
稜線の付近は強い風で雪が余りついていないのでワカンをはずして稜線に向かう。
そして稜線に出た瞬間ものすごい強風。気を抜いた瞬間に体を吹き飛ばされてしまう。
ガイドさんいわく、こんな天気がよく展望のいい日はなかなかないというほど最高の景色。
全員が稜線に上がってくるまで風に飛ばされないようにしながら景色を楽しむ。
樹林帯を抜けると真っ青な空と風に舞う雪の世界
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稜線付近は強風に雪を飛ばされるがれ場
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険しい姿を見せる槍
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交代(? 半分以上?笑)ラッセルで助けて頂いたガイドさん
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稜線の案内標識につかまり全員が稜線に上がるのを待つ
蝶ヶ岳の山頂には稜線に出てからまだ1キロあるが、強風で危険なためすぐ北にある三角点のあるピークへ行くことにする。
みんなで強風に吹き飛ばされないようにしながらピークを目指す。
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ピークからは向かいに雪をまとった穂高の山や槍ヶ岳、そして遠くには富士山まで観ることができた。
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風の造る造形
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ピッケルを持ち太陽を背にする、、、誰かな?
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富士山まではっきり見ることができる

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三角点で風に耐えながらみんなを待つめぐさん
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ちょっとした小山の陰で風をしのぐ牧さん
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雪煙の舞う蝶ヶ岳
山頂からの穂高
雪の穂高
U字谷と尖塔、槍ヶ岳
U字谷と尖塔、槍ヶ岳
② - コピー
槍穂高の大パノラマ
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①’
ピークで記念撮影
もっと景色を楽しみたいが風が強く、吹き飛ばされそうなうえ、どんどん体温を奪われるので、下山することにする。
登ってくるときは時間がかかったが、下山はあっという間で2時間ほどで横尾まで下山。
避難小屋に再びテントを張り、宴の準備。
この日はビーフシチュー、食当のお二人、下準備から寒い中での炊事など、おいしい食事ありがとうございました。
呑んだくれテントは『大アナ(荒木さん)と氷の女王(テントののぶりん)』を核心として呑めない塩川君に絡みながら楽しい一晩を過ごしました。
29日
最終日は最悪吹雪の中の行進することを予想していたが、最初こそ少し雪が舞っていたが、最終的には青空も見える中の行進になった。
横尾からは誰も上高地方向には進んでおらず、雪に埋もれながらもうっすら確認できるトレースの上をラッセルで進んでいく。暗いので時折見失いそうになったが無事トレースの上を進むことができた。
徳沢からはトレースがあり楽に進むことができ、順調に歩を進め1310釜トンネルを越え今回の合宿を終わることができた。
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徳沢からはしっかりトレースがある、天気はあんまり
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まだまだ先は長い
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上高地を過ぎるころには青空も
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終点釜トンネル
最高の天気に恵まれ、ラッセルや稜線のとてつもない強風、そして息をのむほどのすばらしい穂高の雪景色など充実した3日間を過ごすことができた。
今回11人という大所帯な上、新人が6人もいるパーティーを引率してくださったCL河合さん、SL梅沢さん、上田さん、鈴木さんどうもありがとうございました。
追記
 無事下山し、ほっとしています。新人の方には貴重な体験ができたと思います。冬山でここまで天気のいいことも少ないと思うし、1日ずれていたら綺麗な山頂も見れなかったと思います。また、天候はいいのに、稜線は強風が吹いていて、冬山をなめたらあかん。というメッセージも受け取られたと思います。人数が多いことは、とてもいいことだし、楽しいので、活気のある豊川山岳会を感じました。
 新人の方と一緒に冬山に行くには、経験をしていないことを経験してほしいというのがあって、そこには、セーフティーゾーンでの失敗が為になると思っています。しかし、冬山はセーフティーゾーンが狭く、少しの失敗の積み重ねが、大きな失敗につながってしまう一面を常に持っていることも一人一人が認識していないといけないと思います。
 梅沢さんや上田さんがいっしょに行ってくれたことは、自分にとってもありがたかったし、言葉少なくても感じてくれて、一つの方向に向いてくれることは、非常に楽でした。例えば、蝶ケ岳からの下りでは、小屋のスペースを取るため、若者が先に先行する。中盤は上田さんが見てくれる。最後尾は梅沢さんがいる。という、安心感があります。一つの隊がバラバラになることは、チームのバランスによっては危険な事だと思っていますが、こういったことでも、暗黙のルールをしっかり分ってくれているので、心強かったです。
 一般的には、プレゼンテーションの能力が問われがちですが、感じる能力を高めてほしいと感じています。私は、プレゼンは上手くないので、感じてもらうと楽だし、また、一緒に行きたいと思います。
ということで、また一緒に行きましょう。
-記・河合-
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追記:上田歳彦
皆さん冬山合宿お疲れ様でした。
初日の8時間余りの長いアプローチ、2日目のこれ以上ない槍穂の大展望、強風の中での全員での登頂、3日目新雪の中の帰りの長い道のりと思い出に残る合宿となりました。リーダーの河合君はじめ梅沢さんの目配りの安心感、中堅、若手の男性陣のボッカ隊、初めての冬山での緊張感の中頑張った新人のみなさんなどそれぞれがチームワークを発揮して楽しく事故もなく行って来れました。
初日、2日目と好天に恵まれましたが、お天気の状況を振り返ります。
27日12時の地上天気図
日本海に移動性高気圧があって東に移動しながらゆるやかに本州付近を覆い好天となりました。
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28日12時の地上天気図
移動性高気圧は本州東南の海上に去り、中部山岳は高気圧の後面にあたり視界は良好ながら上空の薄い雲が出てきていました。また九州の南には低気圧が接近し西日本から天気は下り坂です。
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29日09時の地上天気図
低気圧はやや発達しながら関東南岸に移動し、中部山岳は昨晩からの温暖前線の北側の雲域での降水(山では雪)が午前中に止み、冬型になるまでの一時的な青空が見えました。この後夜には低気圧は本州東方海上で発達し、冬型となり中部山岳では風雪となりました。これ以降の荒れ模様の天候を考えると29日の一時的な好天は安全のため下山を決断するタイミングと思います。
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蝶ヶ岳周辺の雲断面図を添付します。
上から①雲の発生状況と天気 ②風向・風速 ③気温のデータです。
いずれも横軸が時刻で27日21時~29日06時 1時間刻み、縦軸は気圧で高さを表しています。2500m(750hPa)と1500m(850hPa)にアンダーラインを付しました。
雲断面図 141227 MSM 常念岳 - コピー
①は黄色や白が空気が乾燥して雲がない状態、薄灰色は雲、濃い灰色は霧や雨・雪を降らせる濃い雲です。28日19時からは降雪が予測され、現場の実況とほぼ合っていました。
②は風向風速で登頂時の28日12時は黄色の領域で西の風12~15m/sで実際もこの程度の強風が吹いていたと思います。風の息があって最大瞬間風速で20m/sといった時折耐風姿勢が必要な風速となっていたと思います。
③は気温で28日は前日よりも気温が上がったことを体感できたと思います。2500m付近で-7℃は通常よりかなり気温が高く低気圧の温暖前線接近で昇温していたのがわかります。
◆初めての冬山合宿
上高地から横尾への冬山合宿というと32年前1982年末年始に新人で初めて参加した槍ヶ岳横尾尾根が思い出深い。その秋10月の連休には浅田さんと冬山への思いを込めて横尾尾根を偵察し、年末は梅沢チーフリーダーの下で、浅田さん、伊藤さん、五嶋君(牧さんのお父さん)など7名で初めての冬山合宿へ臨んだ。重荷に耐えながら当時は沢渡から25kmの道のりを初日横尾まで入った。2日目は横尾尾根に取り付き尾根上で一泊。素晴らしい雪稜上のサイトで満月に輝いた白銀の夜だった。翌日は槍穂の稜線に上がると強風の洗礼を受け、槍の肩まで頑張り冬季小屋に入った。初めての冬山の緊張感とその頃から約1年間にわたって続いた貧血の症状もややあって私は憔悴し、この時私は槍の穂先登頂できていない。この時の悔いがその後も残っていたためか自分がリーダーをやった山行では悪天候などがあっても粘りながら登頂にこだわる気持ちが続いたのを覚えている。先輩方に育てて頂いた思い出深い私の初めての冬山合宿である。
横尾尾根からの槍ヶ岳
198212冬合宿 槍ヶ岳横尾尾根_0003
みんな若い!
1982冬山合宿槍ヶ岳横尾尾根
1982冬合宿:横尾尾根~槍ヶ岳 (6)
稜線ではしゃぐ
198212冬合宿 槍ヶ岳横尾尾根_0001
槍ヶ岳頂上 左は五嶋父
198212横尾尾根 (4)
:記 上田

この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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