はじめに
地図には、山に関する多くの情報が詰まっています。
等高線を眺めているだけでも、山の起伏や地形の様子が思い浮かんできます。とはいえ、私自身も最初から地図が読めたわけではありません。地図の見方が分からず、現在地も把握できないまま、何が書かれているのか理解に苦しんだ経験があります。
知らない山に入るとき、道迷いを防ぐために読図は欠かせません。たとえ地図アプリを持って山に行く場合でも、読図の基本を知っているかどうかで、遭難のリスクは大きく変わってきます。
本ホームページは「豊川山岳会で学ぶ 地図の基本」をコンセプトに作成しました。
「初心者向けの読図とナビゲーション」について解説するとともに、実践編として「登山に役立つコンパスの使い方」も紹介しています。
また、国立登山研修所で講師を務めた際の、研修会で使用した貴重な資料もまとめて公開しています。
このホームページを通じて、地図を読む楽しさを多くの方に知っていただければ幸いです。あわせて、山岳遭難防止の一助となることを願っています。
読図に関するご質問もお受けしますので、お気軽にお問い合わせください。
読図とは何か
読図とは、地図を見て現在地や進行方向、周囲の地形を理解しながら行動することをいいます。読図が必要とされる理由は、登山道が必ずしも分かりやすく整備されているとは限らず、天候や視界の変化によって状況が大きく変わることがあるからです。地図を読めることで、目の前の景色を正しく判断し、安全な行動につなげることができます。
近年はスマートフォンの地図アプリを使って登山をする方も増えています。地図アプリは現在地がすぐに分かる便利な道具ですが、電池切れや電波不良といったトラブルが起こる可能性もあります。また、画面上の情報だけに頼ってしまうと、周囲の地形を意識せずに歩いてしまうことがあります。そのため、紙地図を携行し、地形全体を把握しながら行動することが大切です。
知らない山に入るとき、読図ができるかどうかは、道迷いを防ぐ大きなポイントになります。分岐点での判断や、進んでいる方向が正しいかを確認する際に、地図を読んで状況を判断できれば、早い段階で間違いに気づくことができます。読図は、登山を安全に楽しむための基本であり、山岳遭難を防ぐための重要な力といえるでしょう。
登山で使う地図の種類
1. 山で使う主な地図の種類
【山と高原地図(昭文社)】
「山と高原地図」は、広い範囲を一度に見ることができ、コースタイム、水場、危険箇所、展望ポイントなどが、色分けや記号によって分かりやすく表示されています。
山行で使いやすい登山地図の代表的な存在ですが、日本全国すべての山域を網羅しているわけではありません。特定の山域ごとにシリーズとして発行されており、実際の登山行動にとても役立ちます。2025年版では、63エリアが発行されています。
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【国土地理院の地形図】
国土地理院が作成する地図で、地形の形を表す 等高線 がしっかり描かれているため、読図の基本としてとても有効です。
多くの方が、25,000分の1の地形図を使っていると思いますが、私は、カシミール3Dのソフトを利用し、縮尺10,000分の1の地図に拡大印刷して使用しています。とても見やすく使いやすいと思います。カシミール3Dの利用方法は、「地形図の印刷」の項目をご覧ください。
地図の縮尺を理解する
地図を正しく読むためには、縮尺の意味を理解することが欠かせません。縮尺とは、地図上の長さが実際の距離のどれくらいに当たるかを表したものです。
登山でよく使われる地形図の縮尺には、1/25,000 や 1/10,000 があります。1/25,000 の地図では、地図上の 1cm が実際の 250m を表し、広い範囲を把握するのに適しています。一方、1/10,000 の地図では、より細かな地形や登山道の様子を詳しく読み取ることができます。
縮尺が小さくなるほど、地図に描かれる範囲は広くなりますが、細かな情報は省略されます。反対に、縮尺が大きい地図は、範囲は狭くなりますが、地形や道の様子をより詳しく確認できます。目的や山域に応じて、適切な縮尺の地図を選ぶことが大切です。
また、縮尺は距離感や行動時間を考える際にも重要な手がかりになります。地図上で距離が短く見えても、等高線が密集している場所では、実際には時間や体力を多く必要とする場合があります。距離だけでなく、地形の様子にも目を向けて判断しましょう。
地形図に書かれている情報
地形図には、山の形や地面の起伏、登山道の位置など、登山に役立つさまざまな情報が描かれています。これらの情報を読み取ることで、実際に歩く山の様子を事前にイメージすることができます。
地形図の中でも特に重要なのが、等高線です。等高線は、同じ高さの地点を結んだ線で、山の高低差や斜面の傾き、地形の特徴を表しています。等高線の形や間隔を見ることで、尾根や谷、急な斜面などを判断することができます。また、地形図には尾根や谷の形が等高線の並び方として表現されています。
等高線が山の頂に向かって同心円状に広がっていれば尾根を、V字型に入り込んでいれば谷を示しています。こうした地形の特徴を理解することで、現在地の把握や進行方向の判断がしやすくなります。そのほかにも、登山道、林道、沢、崖、岩場など、行動に影響する情報が地図記号や線で示されています。これらを総合的に読み取ることで、安全に行動するための判断材料を得ることができます。
- 地形図は「記号を一つずつ覚えるもの」ではありません。
- まずは等高線に注目し、尾根、沢を見つけることから始めましょう
地図記号を知る楽しみ
小学校の時に社会の時間に地図記号を覚えた方は、多いと思います。でも、忘れてしまいますよね。地図を見る楽しみの一つが、地図記号です。この記号の由来を知っていると、より地形図を真剣に見てしまいます。例えば、「税務署の地図記号はそろばんの珠と軸を表している」とか・・・。思わず、聞かれてもいないのに人に話してみたくなります。
❖登山で重要な地図記号
① 行動の目安になる記号
登山中に最も重要なのは、自分がどこを歩いているのか、正しいルートにいるのかを把握することです。その判断の目安となるのが、登山道や分岐、山頂といった地図記号です。
登山道(徒歩道)の記号は、登山者が歩く一般的なルートを示しています。ただし、地図に描かれている登山道が必ずしも明瞭な踏み跡として残っているとは限りません。また、国土地理院の地形図は登山道(徒歩道)が一部正しくない場合もあります。周囲の地形や道の様子と照らし合わせながら確認することが大切です。
分岐は、道迷いが最も起こりやすい場所です。地図上で分岐を確認したら、現地では必ず立ち止まり、進む方向が合っているかを確認しましょう。「なんとなくこちらだろう」と進むことが、道迷いの原因になります。
山頂や三角点は、現在地を確認するための重要な目印になります。標高や周囲の地形と照らし合わせることで、自分の位置を正確に把握しやすくなります。
② 地形を理解するための記号
登山では、地形を理解することが安全な行動につながります。地形図に描かれている情報の中で、最も重要なのが等高線です。
等高線は、同じ高さの地点を結んだ線で、山の起伏や斜面の傾きを表しています。等高線の間隔が広い場所は緩やかな斜面、密集している場所は急な斜面を示しています。この違いを読み取ることで、歩きやすさや危険度を判断することができます。
また、等高線の並び方を見ることで、尾根や谷といった地形の特徴を知ることができます。等高線が山の頂に向かってふくらんでいる場所は尾根を、V字状に入り込んでいる場所は谷を表しています。尾根と谷を意識することで、進行方向の判断や現在地確認がしやすくなります。
崖や岩場を示す記号や、等高線が極端に密集している場所は、通行が困難または危険な地形を示しています。事前にこうした場所を地図で確認しておくことが、安全な登山につながります。
下記の内容は、地図記号の表現に触れてみました。国土地理院すばらしい表現力です。
【滝の地図記号】
地図記号にはそれぞれ意味があります。例えば滝の記号の●は水を表し、線は水の落ち口を表します。
線の下流に水があれば、滝。線の上流に●(正確には●ではなく0.4~0.5ミリの線)があればせき(堰堤)になります。せき(堰堤)は水が上流に溜まりますよね。
また、小さな滝は線と●2つ、大きな滝になると水しぶきが多くなるため、●の数も多く描かれています。国土地理院の地形図はとても表現力が豊かです。滝の地図記号について少し触れてみたいと思います。
【個性豊かな滝の地図記号】
国土地理院作図者:「どう?私の表現力!」
私 :「さすがでございます。線も曲げちゃっていいんですね!」
国土地理院作図者:「曲げちゃっていいんです。イメージ湧くでしょう!●だって大きな滝にはいっぱい付けちゃえばいいんです!」
他にも有名な、「称名の滝」「華厳の滝」「那智の滝」・・・色々ありますよね。皆さんの地元にも、このような国土地理院作図者の心意気が描かれている滝や特別な地形はありますか?探すのも面白いですよね。
【墓の地図記号】
「墓地」の地図記号は「 ꓕ 」です。霊園など大きなエリアでは、この墓地の地図記号は定期的な間隔で配置され、エリアを示しますが、例えば「国定忠治の墓」というような狭い特定の場所を示す場合には、墓地の地図記号は真位置に記載されます。このような、広いエリアや特定の場所を表す地図記号は「墓地= ꓕ 」しかありません。
【針葉樹林の地図記号】
針葉樹林の地図記号は、通常、広範囲を表現しますが、このように防風林を表すこともあります。
【ヤシ科樹林の地図記号】
このような表現力もあるんですね。
より、詳細な情報を知りたい方は、「平成25年2万5千分1地形図図式」をご覧ください。
地図から山の形をイメージする
読図の目的は、地図に描かれている情報から、実際の山の姿を思い描くことです。地図をただ眺めるのではなく、「この先はどのような地形が続くのか」「どこが歩きにくそうか」を想像しながら読むことが大切です。
等高線は、山の形をイメージするための重要な手がかりです。等高線の間隔が広い場所は緩やかな斜面、密集している場所は急な斜面を表しています。尾根では等高線が外側にふくらみ、谷では内側に入り込む形になります。この特徴を意識することで、地図から立体的な地形を思い浮かべることができます。また、登山道が尾根沿いにあるのか、谷を横切っているのかを確認することも重要です。
尾根道は比較的視界が開けて方向を確認しやすい一方、谷沿いの道は地形が似ていて迷いやすい場合があります。地図を見ながら、どのような場所を歩くのかを事前に想像しておくと、現地での判断がしやすくなります。実際に山を歩く際は、地図でイメージした地形と、目の前の景色を照らし合わせてみましょう。
「地図で想像したとおりか」「違いはどこか」を考えることで、読図の力は少しずつ身についていきます。
- 地図と景色が一致しないと感じたときは、無理に進まず立ち止まって確認しましょう。
- 違和感に気づくことが、道迷いを防ぐ第一歩です
山の地形と名称
【山の地形と名称】
山の主な山の名称は、山頂や明らかに周りよりも高いところを「ピーク」といいます。等高線で表すと、小さな輪になっています。場所によっては細長かったり、丸かったり、形は色々です。
ピークとピークを結ぶ尾根の低く窪んだところを「鞍部(あんぶ)」、又は「コル」といいます。
「尾根」は周りと比べて線状に高いところ。「稜線」ともいいます。
「谷」又は「沢」は尾根とは逆に、周りと比べて線状に低くなっているところ。雨が降ったら水が流れるので分かりやすいと思います。地図上で見てみましょう。
(地方によって色々な呼び方をされます)
【ピーク】
~ノ頭…………………………例:ボーコン沢ノ頭、ウドノ頭、クリヤノ頭、一ノ沢ノ頭
~ノ峰…………………………例:逢ノ峰、一ノ峰、三ノ峰、西ノ峰、池ノ峰
~嶺……………………………例:大菩薩嶺、仙涯嶺、高嶺、雁坂嶺、八紘嶺
~丸……………………………例:しがきの丸、美濃俣丸、檜洞丸、本社ケ丸
~ドッケ………………………例:芋木ノドッケ、黒ドッケ(酉谷山)、三ツドッケ(天目山)
【コル(鞍部)】
~峠……………………………例:ザラ峠、しらびそ峠、すずらん峠、安房峠
~乗越…………………………例:スゴ乗越、常念乗越、千丈沢乗越、飛騨乗越
~キレット……………………例:大キレット、八ツ峰キレット、(鹿島槍ヶ岳)キレット
~タワ(ダワ)………………例:休乢(やすみだわ)、ウノタワ、善六のタワ
~タル…………………………例:国師のタル、北天のタル、水のタル
~クビレ………………………例:鞘口ノクビレ、~巳ノ戸ノ大(みのとのおお)クビレ
【尾根】
~尾根…………………………例:北鎌尾根、西尾根、東尾根、横尾尾根、源次郎尾根
~稜……………………………例:明神主稜、白馬主稜、北穂高岳東稜、ツルネ東稜
【沢】
~谷……………………………例:穴毛谷、左俣谷、右俣谷、九郎右衛門谷
~窪(クボ)…………………例:ムジナクボ
その他の山の地形の呼び名
【右俣と左俣】
どっちの沢が右俣だっけ?と最初の頃は混乱していましたが、沢登をされる方には覚えておきたい名称です。下流から上流を見た場合、向かって右側の沢が「右俣」、左側の沢が「左俣」です。
【右岸と左岸】
上流から下流を見た場合、向かって右側の岸が「右岸」、左側の岸が「左岸」です。
【ゴルジュ】
切り立った大きな岩壁にはさまれた狭い谷を「ゴルジュ」と言います。語源は、フランス語の「のど」の意味と言われています。
【二重山稜】
2つの稜線が平行している場所を二重山稜(線状凹地、舟くぼ、雪くぼとも呼ばれます。)といいます。浸食や断層によりこのような形になるといわれています。稜線を歩いていると「あれっ」稜線が二つ平行に並んでいる。と思ったことがあると思いますが、地形図で見るとどのようになっているでしょうか?
等高線
地形図は、平面図ですが、地形図を見慣れてくるとこの平面図が3Dの立体的に見えてきます。初心者の方は、尾根と沢の区別がつきにくく、「等高線」って何?と言われる方が多いので、等高線について少し説明します。
実際の地形を標高10mごとに区切ったものを等高線と呼んでいます。標高50mごとの太い線を形曲線。標高10mごとの線を主曲線。平坦で標高10mごとでは地形を表現しにくい場合は、主曲線の半分の標高5mで補助曲線が引かれています。
【計曲線・主曲線・補助曲線】
【等高線と地形】
日本オリエンテーリング協会が作成したもので、イラストで分かりやすいと思います。次ページあります。
【高校登山部はじめの一歩(国立登山研修所)】
国立登山研修所の資料に高校登山部はじめの一歩があります。この5,6ページに「地図を楽しもう」と題して地形図の見方が簡単に書かれています。まずは、この資料から地図読みを開始すると分かりやすいと思います。
【地形と等高線】
等高線はどのように描かれるのか?実際の地形と等高線の関係を見てみましょう。
【等高線の間隔と傾斜】
等高線の間隔と斜面の傾斜には深い関係があります。間隔が広いと斜面は平ら、間隔が狭いと斜面は急になります。
イメージ湧きましたか?等高線を理解すると、次の「尾根と沢」の項目が分かりやすくなると思います。また、隠れ小ピークや、隠れ小コルも理解できるようになると、益々、読図が楽しくなります。
等高線と断面図
等高線は、同じ高さを線でつないだものです。地図の中で、山の形や起伏を表しています。また、等高線の間隔を見ることで、
・線がぎゅっと詰まっている所 → 急な斜面
・線がゆったり広がっている所 → なだらかな斜面
というように、登りやすさ・きつさが分かります。また、等高線の形から
・尾根(山の背中)
・谷(沢やくぼんだ場所)
も読み取ることができます。歩き出す前に等高線を確認しておくと、
「この先は急にきつくなりそうだ」
「少し楽に歩けそうだ」
といった心の準備ができ、安全な登山につながります。
断面図は、登山道を横から見た図です。地図に引いた線に沿って、どのくらい登って、どのくらい下るのかを表します。断面図を使うと、
・登りが続くのか
・途中に下りや登り返しがあるのか
・どこで一息つけそうか
が、とても分かりやすくなります。はじめのうちは、等高線だけを見てもピンとこないことがあります。そんな時は、簡単でよいので断面図を描いてみましょう。地形のイメージがはっきりし、地図を読むのが楽しくなります。
ピークとコル(鞍部)
等高線で見る「ピーク」
等高線が丸く何重にも閉じている中心がピーク(山の一番高い所)です。内側に行くほど標高が高くなり、
「ぐるぐる輪が重なっている所=山のてっぺん」
と覚えると分かりやすくなります。
等高線で見る「コル(鞍部)」
二つのピークの間で、等高線がくびれた形になっている所がコルです。尾根を歩くと、一度下ってからまた登り返す場所にあたります。地図では
「ピークとピークの間のいちばん低い所」
として読み取ることができます。
【コルの語源は?】
「コル」という呼び名は、フランス語の「Col 首(頸部)」が語源と言われています。人が横に寝た時に首のところが低くなる。そんな姿から、尾根上の低い場所をコルと呼んだらしいです。ちなみに「鞍部」ともいい、馬の鞍の形からイメージされています。
尾根と沢
尾根と沢を地形図から見つけられると、地図読みも一気に楽しくなります。
私が高校登山部の時の恩師の山田猛先生から教わった方法ですが、今でも十分使えます。今思えば原理原則の基本を色々教えていただきました。その方法は、等高線に色を塗ることです。
【尾根と沢(立体的)】
尾根と沢を立体的に見て、地形図と比べてみましょう。
【尾根と沢のでき方】
昔、皆さんが子供の頃、砂場で富士山を作りませんでしたか?その富士山にジョウロで水をかけて遊びませんでしたか?次のアニメーションは、そんな砂山に水を掛け、尾根と沢ができる様子をイメージして作成しました。ご覧ください。
いかがでしたでしょうか。尾根と沢は、自然が作り出すもの、それを地形図で表現しています。では、これから、実技編に移ります。実際に尾根と沢を探す練習をしましょう。
【地形図の上で尾根と沢を探す練習方法】
大きな尾根と大きな沢をまず見つけます。次に、なるべく小さな尾根や沢を見つける練習をします。
地図から山の形をイメージする
登山用の地図は、山を上から見た図です。そのまま見ても分かりにくいですが、等高線に注目すると、山の形が少しずつ見えてきます。まずは、
・等高線の間隔(急か、ゆるやかか)
・等高線の形(丸い、くびれている)
を見てみましょう。等高線が詰まっている所は急な斜面、広がっている所は歩きやすい場所です。丸く閉じている所はピーク、くびれている所はコルを表しています。次に、登山道に沿って
「ここは登りが続きそう」
「一度下って、また登り返しがありそう」
と、頭の中で横から見た山の形を想像してみましょう。地図を立体的にイメージできるようになると、歩く前に疲れやすい場所が分かり、現在地の確認もしやすくなります。
日本100名山で尾根と沢を見つけよう
日本100名山の尾根と沢を見つけてみましょう。画像をクリックするとパワーポイントが現れ、尾根と沢を見ることができます。また、「登山道の特徴物を見つけよう」をクリックすると登山道の特徴物を見ることができます。
【001 利尻岳(1,721m)】
他の100名山も尾根と沢を見てみよう
【002 羅臼岳(1,661m)】
【003 斜里岳(1,547m)】
【004 阿寒岳(1,499m)】
【005 大雪山(旭岳)(2,291m)】
【006 トムラウシ山(2,141m)】
【007 十勝岳(2,077m)】
【008 幌尻岳(2,052m)】
【009 後方羊蹄山(1,898m)】
【010 岩木山(1,625m)】
【012 八幡平(1,614m)】
【013:岩手山(2,038m)】
【014:早池峰山(1,917m)】
【017 朝日岳(1,870m)】
【018 蔵王山(1,841m)】
【019 飯豊山(2,128m)】
【020 吾妻山(2,035m)】
【021 安達太良山(1699.6m)】
【022 磐梯山(1,816m)】
【025 魚沼(越後)駒ケ岳(2,003m)】
【027 巻機山(1,967m)】
【028 燧ヶ岳(2,356m)】
【029 至仏山(2,228m)】
【032 苗場山(2,145m)】
【033 妙高山(2,454m)】
【034 火打山(2,462m)】
【036 男体山(2,486m)】
【037 奥(日光)白根山(2,578m)】
【038 皇海山(2,144m)】
【039 武尊山(2,158m)】
【040 赤城山(1,828m)】
【041 草津白根山(2,171m)】
【042 四阿山(2,354m)】
【044 筑波山(877m)】
【048 剱岳(2,999m)】
【049 立山(3,015m)】
【050 薬師岳 (2,926m)】
【051 黒部五郎岳 (2,840m)】
【053 鷲羽岳 (2,924m)】
いかがでしたでしょうか?何度も何度も繰り返すうちに、尾根と沢が分かるようになります。
真北と磁北
地図は必ず上が北になります。そして、地図上の北のことを「真北」といい、磁石が北を指す方向を「磁北」といいます。
【真北について】
『真北』とは、地形図の北のことで北極点を指します。『磁北』とは磁石、つまりコンパスが指し示す北のことです。実は、真北と磁北はイコールではありません。それは、地形図の北が北極点にあるのに対し、磁石の北は2020年現在はカナダのクイーンエリザベス諸島付近にあるからです。まずは、磁北について説明します。
【磁北について】
地形図には磁北線を引いてから携帯するようにしましょう。と記載してある本はたくさんあります。磁北線の引き方を書いてある本もたくさんあります。しかしながら、「真北(地形図の北のこと)」と「磁北(コンパスの指す北のこと)」の関係を理解して磁北線を引いている方は少ないように思います。少し、この関係について説明をします。
【偏角について】
先ほども述べましたが、磁北は、北極点の方向にはないということです。そして、磁北と真北の角度の違いを『偏角』と呼びます。この偏角の角度は、日本中同じではなく、地域によって違います。数値については、国土地理院のHPや地形図の凡例に記載されています。
【磁北線の書き方】
地図とコンパスを持って山に行こう。と書かれた本は多くあります。国土地理院の地形図にはコンパスが北を指す磁北線が引かれていません。コンパスを使うためには磁北線を引いた地図を持っていきましょう。
地形図の凡例に偏角が載っているので確認してください。
次に地図の真北から分度器で偏角を測り1本の磁北線を引いてください。後は、この磁北線と平行に磁北線を追加記載すればよいのですが、25000分の1地形図では、4㎝ごとに引くと間隔が実際の1㎞に相当するので分かりやすいとされています。
一方で、最近私は下記ように磁北線を引いたことがありません。何故ならば、地図を印刷し持参する場合、カシミール3Dを利用するからで、磁北線の設定項目がでてくるので、項目をポチると自動的に磁北線が引かれた地形図を印刷することができます。
「地形図の印刷」の項目をご覧ください。
【磁北線の間隔】
4cm間隔で引くように上記で案内をしています。しかし、オリエンテーリングの大会では磁北線の間隔は3cm程度で引かれているものが多いように感じます。(規則では間隔の幅は決まっていません。)
私が実際に使用する地図や、私が開催する読図講習会での地図の磁北線の間隔も3cm程度にしています。これぐらいの間隔の方がコンパスの使用には向いていると思います。
【北磁極の移動】
『磁北』は、北磁極の移動に伴い、一定の方向を向いているのではなく、時間の経過とともに変化していますが知っていましたか?詳しくは、ウィキペディアを参照してください。
【各都市の偏角変化量】
国土地理院のHPには、1970年からの永年変化のアニメーションが掲載されています。また、「各都市の偏角変化量」も掲載されています。この表をみますと、1070年から2010年の40年間で、偏角は0.5~1.2度西に傾きました。現在でも、偏角は西に傾き続けています。
【伊能図と偏角】
現在でも、偏角は西に傾き続けていますが、過去にさかのぼった場合、偏角0度。つまり、過去には磁北と真北が一致していた時代があります。それは、伊能忠敬の「大日本沿海輿地(えんかいよち)全図)」(別名「伊能図」や「伊能大図」とも言われている。)と一致していると言われています。
なお、もう少し詳しい内容は、『伊能大図画像における真北と磁北の推定法』(野上 道男)氏の資料を見てみると
(以下参照内容)
9)伊能当時の地磁気偏角の分布について
前述したように伊能は磁北と真北は一致していると信じて導線測量を行ったので,緯線と直交する方向は彼が信じる真北であるが,実は磁北でもある。当時の磁気偏角がゼロであった地域を示す等偏角線は北海道東端部から東北地方東部を通り,東海地方に抜けている(野上,2022b)。この線から離れた地域では,伊能が作成した地図では緯線と直交する線は真の(地理的)子午線ではなく,磁気子午線である。
大図では図幅内で偏角や真北方向は一様と見なせるが,中図のような広域図では東西南北の部分によって磁気偏角が 2 度近く異なることがある。それを無視して作られた伊能中図の画像全体をそのまま回転させても補正画像とはならない。
【伊能当時の地磁気偏角の分布について】
前述したように伊能は磁北と真北は一致していると信じて導線測量を行ったので,緯線と直交する方向は彼が信じる真北であるが,実は磁北でもある。当時の磁気偏角がゼロであった地域を示す等偏角線は北海道東端部から東北地方東部を通り,東海地方に抜けている(野上,2022b)。この線から離れた地域では,伊能が作成した地図では緯線と直交する線は真の(地理的)子午線ではなく,磁気子午線である。
大図では図幅内で偏角や真北方向は一様と見なせるが,中図のような広域図では東西南北の部分によって磁気偏角が 2 度近く異なることがある。それを無視して作られた伊能中図の画像全体をそのまま回転させても補正画像とはならない。
【伊能図】
伊能図は、大図(縮尺 3万6000分の1)214枚、中図(縮尺21万6000分の1)8枚、小図(縮尺43万2000分の1)3枚からなっています。大体の大きさは、大図1枚がほぼ畳(たたみ)1枚程度。中・小図は横幅160cm、縦150~250cm程度の巨大図でした。大図はすべてを貼り合わせるととても大きなものになりますね。なお、伊能図の作成は17年かかったと言われています。地図に興味のある方は、伊能忠敬について調べてみるのも楽しそうですね。
国土地理院地形図の修正方法
地形図には、登山道が書かれていますが、すべての登山道が100%正しく書かれていません。それは、そもそも書かれている登山道が間違っていたり、廃道のため、地図上にだけ登山道が残ってしまった場合があるからです。
【国土地理院地形図 登山道の修正】
現在、国土地理院では、登山道の修正は、民間企業と協力して、地形図の登山道情報の正確性の向上を図る取り組みを行っているそうです。
協力企業から登山者の移動経路情報などのビッグデータの提供を受け、それらのデータを活用して地形図の登山道情報を更新し、登山者の利用が多い主要な山域から登山道を修正していくそうです。(「株式会社ヤマレコ」「株式会社ヤマップ」の2者と協力協定を締結してるそうです。)
民間会社のビッグデータを活用し、登山者の利用が多い主要な山域(北・中・南アルプス、屋久島)から順次、精度の高い登山道が地形図上に表示されていくようです。
【国土地理院地形図 等高線の修正】
2024年7月、人工衛星「だいち4号」が打ち上げられ、上空からレーダーで地上を観測し、約3mの分解能、観測幅約200㎞という能力で日本全国を観測し地図修正をする計画だそうです。昔は、飛行機で約60%ごとに重ねた写真を撮って、その写真から人の手で地図を描いていたのですごい進化ですね。
国土地理院地形図の購入方法
【国土地理院地形図の購入】
地形図を購入するためには、日本地図センターのホームページで電子版をダウンロード購入できますが、有料です。現在ではあまり、国土地理院地図の紙版を購入されている方は少ないのではないでしょうか?
地形図を見るには、国土地理院のホームページ「地理院地図」が便利ですが、印刷はいまいちです。(個人の感想です。)
地形図の印刷
地形図は、インターネットで無料で入手することができます。私は、カシミール3Dを利用していますが、どれを使用するのかは好みだと思います。必ずビニール袋に地図を入れて防水対策を行って山に持参するようにしてください。
【カシミール3D】
カシミール を利用する(私のおすすめ)
地図の勉強をする場合、縮尺が毎回違うものを持っていくのは距離の感覚が違ってくるので、避けたほうが良いと思います。その点、カシミールは、2,500分の1~20万分の1まで幅広く印刷設定ができるのが特徴。
老眼の私は、印刷設定を1万分の1にして愛用しています。印刷用紙の設定や縦、横設定も簡単にできます。また、磁北線の本数も自由に決めることができるので、コンパスの勉強をするときは、少し間隔を狭くすると便利です。縮尺も地図に印刷することができます。
カシミールは無料のソフトです。ダウンロード後は、カシミールの初期設定をお勧めします。
初期設定(地名・標高・山名表示を消す)
表示 → 表示の設定 → 地名表示(表示しない) → 山名の設定(表示しない) → 標高の設定(表示しない)
私は、山に持っていく地図はカシミールを使用し、印刷しています。私の印刷方法を紹介します。
ファイル → 用紙を指定して印刷 → 用紙サイズの確認 → 印刷の向き確認 → (次へ)
→ 縮尺設定(1:10,000を推奨) → (次へ)
→ 印刷場所を設定 → 印刷範囲の指定(通常はそのまま) → (次へ)
→ 緯線経線のチェックをはずす → 磁北線を印刷する(磁北線の間隔をここで決める → 5(縦印刷)~8(横印刷)で設定) → (次へ)
印刷オプションの設定 →
(自動的に最適な解像度の地図に切り替えて印刷する → チェック) →
(文字やアイコンの大きさを、画面の表示と印刷結果で同じになるようにする → チェックしてもしなくても変化はあまりない)
(スケール(距離表示)を印刷する → チェック) → (印刷開始)
- 磁北線の色を赤色に変えたいのですが?
-
カシミールのホームページの磁北線の項目をご覧ください。
- 印刷する地図の縮尺は25,000分の1がよいですか?
-
私は見やすさのため10,000分の1の縮尺にして印刷しています。一方で広いエリアを縦走する場合は25,000分の1の縮尺を印刷しています。使いやすさで縮尺を決めています。
【地図プリ】
地図プリ (ヤマレコ)を利用する
ヤマレコの山行記録のホームページから、行きたい山行記録を見つけます。(このやり方が断然早いと思いますが、行きたい山行記録が見つけられないときは、地図プリのホームページから印刷できます。但し、登山ルートの記載はありません。)次に「地図/標高グラフ」のところにある「地図プリで印刷」をクリック。地図を拡大して分かりやすい自分の縮尺で印刷できます。ただし、〇万分の1という表現ではなく、縮尺が地図に印刷され50m、100m、300m、500m、1kmの縮尺になります。縮尺の設定方法は、パソコン画面の見たままが縮尺の大きさになります。磁北線も自動的に引いてくれますが、間隔の設定は3種類です。地図の勉強には、毎回同じ縮尺を使うようにしないと距離間隔が違ってきます。
- 地図プリ(ヤマレコ) を使用して磁北線を引いた紙地図を印刷したいのですがどうすればよいですか?
-
地図プリ の印刷ホームページ内の磁北線の項目「あり、なし」を選択してください。
【YAMAP】
YAMAP / ヤマップ YAMAPを利用する(ログインが必要です。)
ヤマレコ同様に人気の地図アプリですが、YAMAP一番の魅力は、登山ルートは赤字で記載され、登山のコースタイムも記載されます。 YAMAPのホームページの上部の「地図」の文字をクリック。エリアを選択し、「登山ルートを見る」をクリック。印刷したい場所を拡大表示し、印刷を行います。なお、切り取り印刷ボタンを押して場所を選択した場合は、選択したエリア面積に応じて、縮尺が、30m、50m、100m、300m、500mと変化します。(ヤマレコ同様にパソコン画面の大きさがそのまま縮尺に反映されます。)ヤマレコ同様に地図の勉強には、毎回同じ縮尺を使うようにしないと距離間隔が違ってきます。
- YAMAPを使用して磁北線を引いた紙地図を印刷したいのですがどうすればよいですか?
-
YAMAPのホームページをご覧ください。(磁北線が引けるのは、ウェブサイトの地図のみの機能です)
【ヤマケイオンライン】
ヤマケイオンライン を利用する(ログインが必要です。)
山と渓谷社のホームページ。コースタイム、通行止め、水場、ビューポイント、注意個所等が記載された地図を印刷することが可能です。ただし、コースタイム、通行止め、水場、ビューポイント、注意個所等については、すべての山域で印刷できるわけではなく、人気の場所のみ印刷が可能です。その他の場所は、地形図のみ印刷が可能です。縮尺は表示されているものがそのまま印刷されます。磁北線は、「あり」「なし」のみ設定可能です。
【国土地理院】
国土地理院地図 を利用する
地図といえば本家本元の国土地理院。地図の印刷には便利に設計されていないので、印刷にはお勧めしません。磁北線の間隔は広く、自動で引かれた線を頼りに、自分で線を引いて間隔を狭くしないとコンパスは使えません。また、国土地理院のホームページで縦横設定をしても、更に、自分のパソコンに繋がっているプリンターの縦横設定をしないと使い物になりません。
国土地理院発行の2万5千分の1地形図は、大きな書店や 国土地理院のHP からも注文できます。
スマホの地図アプリ
私は、スマホの地図アプリを活用しています。「現在位置は、今この辺だろう?」と思ってから地図アプリを見ると純粋に楽しいのです。スマホ先生が「ここです。」って教えてくれます。
地図アプリはどれがいいの?と言われても、好みがあります。皆さんは何をお使いですか?
そこで、hatakeyama さん(https://keyama106.jimdofree.com/ 登山用地図アプリ比較・評価 – 登山用地図アプリの評価とIT初心者向け説明書 (jimdofree.com))の「地図アプリの機能と利用者のIT知識による地図アプリの選択」をご紹介します。
以下説明は、「山と渓谷」2020年9月号を引用し、個人の意見も入れてあります。
【山と高原地図】
『山と高原地図』 →『シンプルで見やすい。スマホ地図(初心者~上級者)』
広域の範囲を見たいときには、非常に役に立ちます。欠点は収録範囲が決まっていて日本全国ではないことです。
登山で定番の昭文社「山と高原地図」をスマホアプリにしたものです。表示されるのは紙地図と同じものなので、定評のある見やすさと正確な情報がスマホでも利用できます。現在地表示やナビゲーションもできますが、機能は最小限なのでむしろシンプルで分かりやすいです。最大の難点は有料であることで、月額使い放題もあり、お得感もあります。なお、iphoneからAndroid(その逆も)に変えた場合は購入した地図データが使えなくなるので注意してください。
【YAMAP】
『YAMAP』 →『無料だけど機能は十分。とりあえず使ってみたい人向け(初心者~)』
無料の場合は、1か月にダウンロードできる地図は2つまで。(メジャーな一般登山道のコースタイム記載。)コースタイム地図の対象範囲が広く、「山と高原地図」にはないエリアでも使えるところが多いです。表示される地図は国土地理院地図ですが、独自に編集した登山道とコースタイムも表示されます。「山と高原地図」に比べれば、情報量は少ないですが、一般的な登山には十分といえます。利用コストと地図のクオリティ、機能の分かりやすさなどバランスに優れているので、とりあえずスマホ地図を使ってみたいという人には一番にお勧めします。
【ヤマレコ】
『ヤマレコ』 →『唯一無二だった「足跡」機能。地図好きやバリエーションルートの登山者向け(中~上級者向け)』
無料の場合は、同時に保存できる地図が2つまで。ただし、保存した地図を削除すれば、何度でもダウンロードが可能です。(今後変更の可能性も否定できないが?)初心者にはYAMAPより取りつきづらいと感じられるかもしれませんが、「みんなの足跡」は、ヤマレコにしかなかった素晴らしい機能です。(2024年12月からYAMAPも足跡機能が搭載されました。)
これは、過去にヤマレコを利用した他の登山者の行動軌跡が表示されるというもので、意外なところに誰かが通ったルートが発見できたりして、地図好き・探検好きにはたまりません。(一般登山道のコースタイム記載。登山コースの計画も作成可能。)
(注意)足あと軌跡機能を使ったために、道迷い遭難の事例が発生しています。
- 足跡がついているから、その足跡を頼りに山を歩いた。
- その足跡は、誰かが道に迷って付けたものだった。
- 知らず知らずに道に迷った。
- 気づいたら遭難していた。
というものでした。やはり、スマホ地図だけに頼るのではなく、自分の読図知識を充実させてほしいと思います。
下記の場所は、ヤマレコを使用し遭難した地域の地図です。
※上記の場所は遭難事例のあった特別な場所です。このことだけでヤマレコに欠点があると思わないでください。むしろヤマレコの足跡機能はとても素晴らしい機能です。この機能のおかげで、道が廃道になっている場合やバリエーションルートが分かります。なので、私もヤマレコ好きですし、素晴らしいアプリだと思います。
【ジオグラフィカ】
『ジオグラフィカ』 →『プレーンな地形図を表示。マイナールートを歩く人向け』
無料で使用もできますが、一度課金すれば、月額料金は発生せず、地図をダウンロードできます。登山道やコースタイムなどのオリジナルな表示がないことが他のアプリとの決定的な違いで、地形図の見方に慣れている人でないと使いづらいかもしれません。事前のルートセットなどもある程度手動でやらなくてはならないので、その点からも中~上級者向けといえます。一方で、登山地図にないマイナーな山やバリエーションルートを中心に歩いている人には使いやすいと思います。ほとんどの機能が無料で使えるのでうれしいソフトです。
【スマホの地図アプリの有効活用】
私は、スマホの地図アプリを愛用しています。今では、多くの方が地図アプリを使用し、安全登山に心がけています。しかしながら、地図アプリは、現在位置が分からなくなった時や、ルートが不安になったときに見る方がほとんどではないでしょうか。それでは、道迷いになっていても気づかなかったり、読図の練習にはならないと思います。
そこで、私の地図アプリ活用方法をご紹介します。
私は、まず歩きだす前に、大きな特徴物を地図上で探します。〇〇山、〇〇mピーク、道の分岐、大きな道の曲がり・・・。なるべくわかりやすい特徴物がいいでしょう。
次に、大きな特徴物までの間にある小さな特徴物を見つけ頭に入れます。歩いていると頭の中(地形図上)の特徴物と実際の地形が一致したところで、スマホを「ポチ」ります。答え合わせをするのです。この繰り返しで山行中は自問自答を繰り返し、スキルアップに繋がるのです。
また、歩いていて急に緩やかな斜面から急な斜面に変化があったときなどは、すぐにスマホを「ポチ」ります。「この傾斜は、地形図ではこれぐらいの表現力になっているのか・・・」とか「この尾根の細さは、地形図上ではこの表現力になっているのか」とか・・・・。
実際に、目に入った情報から、スマホを「ポチ」る場合もあります。こちらの場合は、「なるほど」と感心する場合が多くあります。
皆さんも一度お試しください。スキルアップになります。
【スマホの地図アプリ使用上の注意】
ところで、スマホの地図アプリですが、どのような点に注意して使用すればよいのでしょうか?また、そもそも「GPS」はどのような仕組みになっているのでしょうか?ウィキペディアから引用して説明します。
GPSは、アメリカ合衆国が軍事用に打ち上げた約30個のGPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、受信者が自身の現在位置を知るシステムです。 元来は米軍の軍用システムであり、米国政府の支配下にあります。そのため、精度や可用性その他について、また他国や民間における利用に対して、種々の制限を受ける事が過去にもあり、また将来的にも有り得ます。そのため、米国のシステム依存からの独立や、自身の利益に適合させる目的で、各国でも独自のシステムを保有、運用しようとする動きがみられます。
各国でもGPSと同様、類似したシステムを運用開始している事から、従来GPSが独占してきた分野および用語は、「全地球衛星測位システム、全地球衛星航法システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)」として一般化されました。
また、全地球にかぎらず日本の準天頂衛星システム(QZSS)などの地球的地域限定のシステムも構築されており、これらは全地球型システムと組み合わせて使用されます。現在準天頂衛星システム(みちびき)1~4号機の4機が打ち上げられており、2023年度をめどに7機体制とする計画です。その特徴は、測位できる位置の精度の高が使い方によっては、わずか数cmの誤差で位置を特定できるようです。
(2018年11月から、みちびきは4機体制で運用を開始しており、このうち3機はアジア・オセアニア地域の各地点では常時見ることができます。)
【準天頂衛星システム】
準天頂衛星システム(QZSS)は、とってもユニークな軌道をしています。それは、日本上空とオーストラリア上空を8の字を描くような軌道をしています。どうやったらこんな軌道が取れるのかとても不思議です。
【スマホ地図アプリの電源について】
次の注意点は、消費電力の問題です。『機内モードに設定し、消費電力を抑えて使用しましょう。』だけでは、十分な消費対策ではありません。私は、万歩計のアプリもスマホにインストールしていて、常にこの万歩計が動き続け、電源消費をしててたため、1日、地図アプリがもたなかったことがあります。また、スマホの設定で、バッテリーセーブ(画面の明るさ等)も有効だと思います。スマホの地図アプリは100%ではありません。紙地図は必ず持つようにしましょう。
他にも、必ずバックアップのバッテリー(1泊2日は10000mAh程度のものを推奨します。)とケーブルを持参するようにしてください。実際の道迷い遭難で、「バックアップの充電池は持ったけど、ケーブルを忘れてしまった。電池が無くなって現在位置が分からなくなった。」という記事を見たことがあります。注意しましょう。
【機内モードの注意点】
YAMAPの「見守り機能」やヤマレコの「いまココ機能」はいずれも家族等に自分の位置を知らせることができるため、遭難対策に有効な機能です。(どちらも無料版で使用可能)
しかし、この機能は、「機内モード」に設定した場合、電波の送受信ができないため使用できません。また、この機能は、電波の送受信ができなければ使用できないため、完全に安心できるサービスではないので注意が必要です。
【YAMAP vs ヤマレコ 解説】
講習会を開催すると「地図アプリは何がいいですか?」と質問を受けます。『地図アプリを選ぶときは、「IT知識が低くても大丈夫」「機能が充実」「無料」といったものが良いですね。』と回答しています。今回は、YAMAPとヤマレコを徹底的に解説したいと思います。個人的な感情も入り混じっていますが、参考にしてください。
地図アプリがあれば紙地図はいらない?
2024年安全登山研修会で以下の質問がありました。
- 地図アプリがあれば、紙地図は必要ないですか?
-
スマートフォンの地図アプリだけでは十分とはいえません。必ず紙の地図を携行しましょう。
また、白地図のような何も書き込まれていない地図ではなく、「こんな紙地図を持っていこう」の項目でご案内している必要な情報が整理された紙地図を持参してください。紙地図は、道迷いを防ぐだけでなく、引き返す判断のタイミングや出発時間の設定、目印となる地形や迷いやすい場所を事前に把握することができます。これらは、遭難を防ぐうえでとても重要なポイントです。
登山で大切なのは、「道に迷わないこと」だけではなく、登山計画によって遭難のリスクを減らすことです。そのためにも、紙地図を必ず持って山に出かけましょう。
と書きましたが、最近思うのは、紙地図は純粋に「地図を見て地形を先読みし、先読みしたとおりの地形が現れたら楽しい」のです。スマホを見れば、現在位置も分かるし、安全だとは思うのですが、やはり広範囲の地図を眺め、全体から地形を先読みし、現在地を当てたときの「にやり感」は紙地図ならではのものなのです。
やはり、「楽しいから紙地図を持つ」これでいいと思います。
地図アプリで登山計画を立てる場合の注意
山へ行く際には、登山計画書を登山口に提出したり、「Conpass コンパス」などを利用してWeb上で提出する方も多いでしょう。また最近では、「ヤマレコ」や「YAMAP」などの地図アプリで、他の登山者の記録(レコ)を参考にして計画を立てることも一般的になっています。しかし、ここで注意が必要です。
他人の登山記録は、その人の体力や経験、歩くスピードで作られているという点です。多くの場合、同じペースで歩けるとは限りません。
登山計画を立てる際は、
- 自分がどのくらいの速さで歩けるのか
- その山やコースが自分に合っているか
- 何時に出発し、何時までに下山したいか
を、しっかり考えることが大切です。地図を見てコース全体を把握し、等高線から登りのきつさや距離を確認しながら、余裕をもったコースタイムを設定しましょう。
地図アプリは便利な道具ですが、計画を考えるのは自分自身です。無理のない登山計画を立てることが、事故や遭難の防止につながります。
地図アプリを使用すれば安全登山につながるのか?
地図アプリを使用して登山をしている方は非常に多いと思います。YAMAPやヤマレコ等もどんどんダウンロード数が伸びています。これらの地図アプリを使用して登山をすることは遭難防止に有効でしょうか?
警察庁生活安全局生活安全企画課が公表している「令和6年における山岳遭難の概況等」を確認してみます。
道迷い遭難の比率は減少していますが、遭難件数は右肩上がりに増加しています。地図アプリは道迷い遭難に一定の効果はあると思いますが、安易な救助要請も多く発生しているのではないでしょうか?ここに問題があると私は思います。このホームページをご覧いただいている皆さんは、知識を得て、楽しい山行を行っていただき、遭難が起きないことを願っています。
愛知岳連ニュース(河合芳尚の読図コーナー連載)
令和7年4月より、愛知県山岳・スポーツクライミング連盟発行の「愛知岳連ニュース」において、読図に関するコーナーを連載することになりました。内容は、読図の基礎的な事項から分かりやすく解説していく予定です。
「愛知岳連ニュース」は年4回発行されます。
【令和7年4月】掲載01

【令和7年7月】掲載02

【令和7年10月】掲載03

このコーナーの資料は、オープンにしています。 コピー等自由にしていただいて結構ですが、著作権は放棄していません。



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