本ページは「初心者からの読図」の【第1段階】です。このページでは、地形図を理解するために必要な基本知識を解説します。地形名称、真北と磁北、尾根と沢の見分け方など、これから読図を学ぶための土台づくりを目的としています。
読図コーナーへようこそ
地図には、山に関する多くの情報が詰まっています。等高線を眺めているだけでも、山の起伏や地形の様子が思い浮かんできます。とはいえ、私自身も最初から地図が読めたわけではありません。地図の見方が分からず、現在地も把握できないまま、「この線や記号は何を意味しているのだろう」と戸惑った経験があります。
登山で道に迷う原因の多くは、「地図が読めない」「コンパスが使えない」ことではありません。実際には、「分かっているのに確認しなかった」「面倒で省略してしまった」という行動の積み重ねから起こることがほとんどです。
読図は、正解を当て続ける特別な技術ではありません。今、自分は正しい場所を歩いているかを、歩きながら確かめ続けること。この意識が、道迷いを防ぐ一番の力になります。
当ホームページは、「豊川山岳会で学ぶ 地図の基本」をコンセプトに作成しました。初心者の方にも分かりやすい「読図とナビゲーションの基本」を解説するとともに、実践編として「登山に役立つコンパスの使い方」も紹介しています。また、国立登山研修所で講師を務めた際、研修会で使用した資料もまとめて公開しています。
この読図コーナーでは、難しい理論や専門用語よりも、「歩きながら何を確認すればよいのか」という行動に焦点を当てて解説しています。
このページを通じて、地図を読む楽しさを知っていただくとともに、山岳遭難防止の一助となれば幸いです。読図に関するご質問もお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
「地図は、山に入る前から使う道具です」
読図とは何か
読図とは、地図を見て現在地や進行方向、周囲の地形を理解しながら行動することをいいます。読図が必要とされる理由は、登山道が必ずしも分かりやすく整備されているとは限らず、天候や視界の変化によって状況が大きく変わることがあるからです。地図を読めることで、目の前の景色を正しく判断し、安全な行動につなげることができます。
近年はスマートフォンの地図アプリを使って登山をする方も増えています。地図アプリは現在地がすぐに分かる便利な道具ですが、電池切れや電波不良といったトラブルが起こる可能性もあります。また、画面上の情報だけに頼ってしまうと、周囲の地形を意識せずに歩いてしまうことがあります。そのため、紙地図を携行し、地形全体を把握しながら行動することが大切です。
知らない山に入るとき、読図ができるかどうかは、道迷いを防ぐ大きなポイントになります。分岐点での判断や、進んでいる方向が正しいかを確認する際に、地図を読んで状況を判断できれば、早い段階で間違いに気づくことができます。読図は、登山を安全に楽しむための基本であり、山岳遭難を防ぐための重要な力といえるでしょう。
🔰 初心者向けポイント
読図は、地図を完璧に理解することではありません。
『読図は、地図を「読む」のではなく「考える」ことです』
登山で使う地図の種類
1. 山で使う主な地図の種類
【山と高原地図(昭文社)】
「山と高原地図」は、広い範囲を一度に見ることができ、コースタイム、水場、危険箇所、展望ポイントなどが、色分けや記号によって分かりやすく表示されています。
山行で使いやすい登山地図の代表的な存在ですが、日本全国すべての山域を網羅しているわけではありません。特定の山域ごとにシリーズとして発行されており、実際の登山行動にとても役立ちます。2025年版では、63エリアが発行されています。
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【国土地理院の地形図】
国土地理院が作成する地図で、地形の形を表す 等高線 がしっかり描かれているため、読図の基本としてとても有効です。
多くの方が、25,000分の1の地形図を使っていると思いますが、私は、カシミール3Dのソフトを利用し、縮尺10,000分の1の地図に拡大印刷して使用しています。とても見やすく使いやすいと思います。カシミール3Dの利用方法は、「地形図の印刷」の項目をご覧ください。
「登山では、目的に合った地図を選ぶことが大切です」
地図の縮尺を理解する
地図を正しく読むためには、縮尺の意味を理解することが欠かせません。縮尺とは、地図上の長さが実際の距離のどれくらいに当たるかを表したものです。
登山でよく使われる地形図の縮尺には、1/25,000 や 1/10,000 があります。1/25,000 の地図では、地図上の 1cm が実際の 250m を表し、広い範囲を把握するのに適しています。一方、1/10,000 の地図では、より細かな地形や登山道の様子を詳しく読み取ることができます。
縮尺が小さくなるほど、地図に描かれる範囲は広くなりますが、細かな情報は省略されます。反対に、縮尺が大きい地図は、範囲は狭くなりますが、地形や道の様子をより詳しく確認できます。目的や山域に応じて、適切な縮尺の地図を選ぶことが大切です。
また、縮尺は距離感や行動時間を考える際にも重要な手がかりになります。地図上で距離が短く見えても、等高線が密集している場所では、実際には時間や体力を多く必要とする場合があります。距離だけでなく、地形の様子にも目を向けて判断しましょう。
🔰 初心者向けポイント
縮尺は、距離感をつかむための目安です。
「縮尺が変わると、山の見え方も変わります」
地形図に書かれている情報
地形図には、山の形や地面の起伏、登山道の位置など、登山に役立つさまざまな情報が描かれています。これらの情報を読み取ることで、実際に歩く山の様子を事前にイメージすることができます。
地形図の中でも特に重要なのが、等高線です。等高線は、同じ高さの地点を結んだ線で、山の高低差や斜面の傾き、地形の特徴を表しています。等高線の形や間隔を見ることで、尾根や谷、急な斜面などを判断することができます。また、地形図には尾根や谷の形が等高線の並び方として表現されています。
等高線が山の頂に向かって同心円状に広がっていれば尾根を、V字型に入り込んでいれば谷を示しています。こうした地形の特徴を理解することで、現在地の把握や進行方向の判断がしやすくなります。そのほかにも、登山道、林道、沢、崖、岩場など、行動に影響する情報が地図記号や線で示されています。これらを総合的に読み取ることで、安全に行動するための判断材料を得ることができます。
- 地形図は「記号を一つずつ覚えるもの」ではありません。
- まずは等高線に注目し、尾根、沢を見つけることから始めましょう
「地形図には、山のヒントがすべて詰まっています」
地図記号を知る楽しみ
小学校の時に社会の時間に地図記号を覚えた方は、多いと思います。でも、忘れてしまいますよね。地図を見る楽しみの一つが、地図記号です。この記号の由来を知っていると、より地形図を真剣に見てしまいます。例えば、「税務署の地図記号はそろばんの珠と軸を表している」とか・・・。思わず、聞かれてもいないのに人に話してみたくなります。
❖登山で重要な地図記号
① 行動の目安になる記号
登山中に最も重要なのは、自分がどこを歩いているのか、正しいルートにいるのかを把握することです。その判断の目安となるのが、登山道や分岐、山頂といった地図記号です。
登山道(徒歩道)の記号は、登山者が歩く一般的なルートを示しています。ただし、地図に描かれている登山道が必ずしも明瞭な踏み跡として残っているとは限りません。また、国土地理院の地形図は登山道(徒歩道)が一部正しくない場合もあります。周囲の地形や道の様子と照らし合わせながら確認することが大切です。
分岐は、道迷いが最も起こりやすい場所です。地図上で分岐を確認したら、現地では必ず立ち止まり、進む方向が合っているかを確認しましょう。「なんとなくこちらだろう」と進むことが、道迷いの原因になります。
山頂や三角点は、現在地を確認するための重要な目印になります。標高や周囲の地形と照らし合わせることで、自分の位置を正確に把握しやすくなります。
② 地形を理解するための記号
登山では、地形を理解することが安全な行動につながります。地形図に描かれている情報の中で、最も重要なのが等高線です。
等高線は、同じ高さの地点を結んだ線で、山の起伏や斜面の傾きを表しています。等高線の間隔が広い場所は緩やかな斜面、密集している場所は急な斜面を示しています。この違いを読み取ることで、歩きやすさや危険度を判断することができます。
また、等高線の並び方を見ることで、尾根や谷といった地形の特徴を知ることができます。等高線が山の頂に向かってふくらんでいる場所は尾根を、V字状に入り込んでいる場所は谷を表しています。尾根と谷を意識することで、進行方向の判断や現在地確認がしやすくなります。
崖や岩場を示す記号や、等高線が極端に密集している場所は、通行が困難または危険な地形を示しています。事前にこうした場所を地図で確認しておくことが、安全な登山につながります。
下記の内容は、地図記号の表現に触れてみました。国土地理院すばらしい表現力です。
【滝の地図記号】
地図記号にはそれぞれ意味があります。例えば滝の記号の●は水を表し、線は水の落ち口を表します。
線の下流に水があれば、滝。線の上流に●(正確には●ではなく0.4~0.5ミリの線)があればせき(堰堤)になります。せき(堰堤)は水が上流に溜まりますよね。
また、小さな滝は線と●2つ、大きな滝になると水しぶきが多くなるため、●の数も多く描かれています。国土地理院の地形図はとても表現力が豊かです。滝の地図記号について少し触れてみたいと思います。
【個性豊かな滝の地図記号】
国土地理院作図者:「どう?私の表現力!」
私 :「さすがでございます。線も曲げちゃっていいんですね!」
国土地理院作図者:「曲げちゃっていいんです。イメージ湧くでしょう!●だって大きな滝にはいっぱい付けちゃえばいいんです!」
他にも有名な、「称名の滝」「華厳の滝」「那智の滝」・・・色々ありますよね。皆さんの地元にも、このような国土地理院作図者の心意気が描かれている滝や特別な地形はありますか?探すのも面白いですよね。
【墓の地図記号】
「墓地」の地図記号は「 ꓕ 」です。霊園など大きなエリアでは、この墓地の地図記号は定期的な間隔で配置され、エリアを示しますが、例えば「国定忠治の墓」というような狭い特定の場所を示す場合には、墓地の地図記号は真位置に記載されます。このような、広いエリアや特定の場所を表す地図記号は「墓地= ꓕ 」しかありません。
【針葉樹林の地図記号】
針葉樹林の地図記号は、通常、広範囲を表現しますが、このように防風林を表すこともあります。
【ヤシ科樹林の地図記号】
このような表現力もあるんですね。
より、詳細な情報を知りたい方は、「平成25年2万5千分1地形図図式」をご覧ください。
🔰地図記号は地形を直感的に理解する助けです。
「地図記号が分かると、地図が急に面白くなります」
山の地形と名称
【山の地形と名称】
山の主な山の名称は、山頂や明らかに周りよりも高いところを「ピーク」といいます。等高線で表すと、小さな輪になっています。場所によっては細長かったり、丸かったり、形は色々です。
ピークとピークを結ぶ尾根の低く窪んだところを「鞍部(あんぶ)」、又は「コル」といいます。
「尾根」は周りと比べて線状に高いところ。「稜線」ともいいます。
「谷」又は「沢」は尾根とは逆に、周りと比べて線状に低くなっているところ。雨が降ったら水が流れるので分かりやすいと思います。地図上で見てみましょう。
(地方によって色々な呼び方をされます)
【ピーク】
~ノ頭…………………………例:ボーコン沢ノ頭、ウドノ頭、クリヤノ頭、一ノ沢ノ頭
~ノ峰…………………………例:逢ノ峰、一ノ峰、三ノ峰、西ノ峰、池ノ峰
~嶺……………………………例:大菩薩嶺、仙涯嶺、高嶺、雁坂嶺、八紘嶺
~丸……………………………例:しがきの丸、美濃俣丸、檜洞丸、本社ケ丸
~ドッケ………………………例:芋木ノドッケ、黒ドッケ(酉谷山)、三ツドッケ(天目山)
【コル(鞍部)】
~峠……………………………例:ザラ峠、しらびそ峠、すずらん峠、安房峠
~乗越…………………………例:スゴ乗越、常念乗越、千丈沢乗越、飛騨乗越
~キレット……………………例:大キレット、八ツ峰キレット、(鹿島槍ヶ岳)キレット
~タワ(ダワ)………………例:休乢(やすみだわ)、ウノタワ、善六のタワ
~タル…………………………例:国師のタル、北天のタル、水のタル
~クビレ………………………例:鞘口ノクビレ、~巳ノ戸ノ大(みのとのおお)クビレ
【尾根】
~尾根…………………………例:北鎌尾根、西尾根、東尾根、横尾尾根、源次郎尾根
~稜……………………………例:明神主稜、白馬主稜、北穂高岳東稜、ツルネ東稜
【沢】
~谷……………………………例:穴毛谷、左俣谷、右俣谷、九郎右衛門谷
~窪(クボ)…………………例:ムジナクボ
その他の山の地形の呼び名
【右俣と左俣】
どっちの沢が右俣だっけ?と最初の頃は混乱していましたが、沢登をされる方には覚えておきたい名称です。下流から上流を見た場合、向かって右側の沢が「右俣」、左側の沢が「左俣」です。
【右岸と左岸】
上流から下流を見た場合、向かって右側の岸が「右岸」、左側の岸が「左岸」です。
【ゴルジュ】
切り立った大きな岩壁にはさまれた狭い谷を「ゴルジュ」と言います。語源は、フランス語の「のど」の意味と言われています。
【二重山稜】
2つの稜線が平行している場所を二重山稜(線状凹地、舟くぼ、雪くぼとも呼ばれます。)といいます。浸食や断層によりこのような形になるといわれています。稜線を歩いていると「あれっ」稜線が二つ平行に並んでいる。と思ったことがあると思いますが、地形図で見るとどのようになっているでしょうか?
「名前を知ると、地形が見えてきます」
等高線
地形図は平面図ですが、見慣れてくると、そこに描かれた地形が三次元の立体として頭の中に浮かんでくるようになります。しかし、読図を始めたばかりの方にとっては、尾根と沢の区別がつきにくく、「等高線って何ですか?」と質問されることも少なくありません。そこで、ここでは等高線について簡単に説明します。
2万5千分の1地形図では、実際の地形を標高10メートルごとに区切って描いた線を「等高線」と呼びます。標高50メートルごとに引かれている太い線を計曲線、標高10メートルごとの線を主曲線といいます。また、地形が平坦で主曲線だけでは起伏を表現しにくい場合には、主曲線の半分である標高5メートルの位置に補助曲線が引かれています。
【計曲線・主曲線・補助曲線】
【等高線と地形】
日本オリエンテーリング協会が作成したもので、イラストで分かりやすいと思います。次ページあります。
【高校登山部はじめの一歩(国立登山研修所)】
国立登山研修所の資料に高校登山部はじめの一歩があります。この5,6ページに「地図を楽しもう」と題して地形図の見方が簡単に書かれています。まずは、この資料から地図読みを開始すると分かりやすいと思います。
【地形と等高線】
等高線はどのように描かれるのか?実際の地形と等高線の関係を見てみましょう。
【等高線の間隔と傾斜】
等高線の間隔と斜面の傾斜には深い関係があります。間隔が広いと斜面は平ら、間隔が狭いと斜面は急になります。
イメージ湧きましたか?等高線を理解すると、次の「尾根と沢」の項目が分かりやすくなると思います。また、隠れ小ピークや、隠れ小コルも理解できるようになると、益々、読図が楽しくなります。
🔰等高線の間隔が詰まっている(狭い)ときは「急な坂」です。
「等高線は、山の凹凸を表す“言葉”です」
等高線と断面図
等高線は、同じ高さを線でつないだものです。地図の中で、山の形や起伏を表しています。また、等高線の間隔を見ることで、
・線がぎゅっと詰まっている所 → 急な斜面
・線がゆったり広がっている所 → なだらかな斜面
というように、登りやすさ・きつさが分かります。また、等高線の形から
・尾根(山の背中)
・谷(沢やくぼんだ場所)
も読み取ることができます。歩き出す前に等高線を確認しておくと、
「この先は急にきつくなりそうだ」
「少し楽に歩けそうだ」
といった心の準備ができ、安全な登山につながります。
断面図は、登山道を横から見た図です。地図に引いた線に沿って、どのくらい登って、どのくらい下るのかを表します。断面図を使うと、
・登りが続くのか
・途中に下りや登り返しがあるのか
・どこで一息つけそうか
が、とても分かりやすくなります。はじめのうちは、等高線だけを見てもピンとこないことがあります。そんな時は、簡単でよいので断面図を描いてみましょう。地形のイメージがはっきりし、地図を読むのが楽しくなります。
実際の地形図で等高線と断面図を見比べてみましょう。
「断面で見ると、等高線の意味が一気に分かります」
ピークとコル(鞍部)
等高線で見る「ピーク」
等高線が丸く何重にも閉じている中心がピーク(山の一番高い所)です。内側に行くほど標高が高くなり、
「ぐるぐる輪が重なっている所=山のてっぺん」
と覚えると分かりやすくなります。
等高線で見る「コル(鞍部)」
二つのピークの間で、等高線がくびれた形になっている所がコルです。尾根を歩くと、一度下ってからまた登り返す場所にあたります。地図では
「ピークとピークの間のいちばん低い所」
として読み取ることができます。
【コルの語源は?】
「コル」という呼び名は、フランス語の「Col 首(頸部)」が語源と言われています。人が横に寝た時に首のところが低くなる。そんな姿から、尾根上の低い場所をコルと呼んだらしいです。ちなみに「鞍部」ともいい、馬の鞍の形からイメージされています。
地形図でピークとコル(鞍部)を探してみましょう。
「尾根の中で一番高い所がピーク、低くくびれた所がコルです」
尾根と沢
尾根と沢は、登山中の現在地確認やルート判断において、最も重要な地形要素のひとつです。
尾根は周囲より高く、山の背骨のように連なっている地形で、沢はその反対に、雨水が集まり流れ下る低い地形です。
地形図では、等高線の形から尾根と沢を読み取ることができます。等高線が高い方に向かって張り出している地形は尾根を表し、低い方に向かって入り込んでいる地形は沢を表しています。この「等高線の張り出し方」を意識することで、地図上の線が立体的な地形として見えてくるようになります。
初心者のうちは、尾根と沢の区別がつきにくく、進行方向を誤ってしまうことがあります。特に沢に入り込むと、地形が複雑になり道迷いにつながりやすいため注意が必要です。読図では、「今、自分は尾根にいるのか、それとも沢にいるのか」を常に意識することが、安全な登山行動につながります。
尾根と沢を地形図から見つけられると、地図読みも一気に楽しくなります。
【尾根と沢(立体的)】
尾根と沢を立体的に見て、地形図と比べてみましょう。
私が高校登山部の時の恩師の山田猛先生から教わった方法ですが、今でも十分使えます。今思えば原理原則の基本を色々教えていただきました。その方法は、等高線に色を塗ることです。
【尾根と沢のでき方】
昔、皆さんが子供の頃、砂場で富士山を作りませんでしたか?その富士山にジョウロで水をかけて遊びませんでしたか?次のアニメーションは、そんな砂山に水を掛け、尾根と沢ができる様子をイメージして作成しました。ご覧ください。
いかがでしたでしょうか。尾根と沢は、自然が作り出すもの、それを地形図で表現しています。では、これから、実技編に移ります。実際に尾根と沢を探す練習をしましょう。
【地形図の上で尾根と沢を探す練習方法】
大きな尾根と大きな沢をまず見つけます。次に、なるべく小さな尾根や沢を見つける練習をしましょう。
上の見出しと下記のhtmlコードを削除すると100名山が見えなくなる?
日本100名山で尾根と沢を見つけよう
日本100名山の尾根と沢を見つけてみましょう。画像をクリックするとパワーポイントが現れ、尾根と沢を見ることができます。また、「登山道の特徴物を見つけよう」をクリックすると登山道の特徴物を見ることができます。
【001 利尻岳(1,721m)】
他の100名山も尾根と沢を見てみよう
【002 羅臼岳(1,661m)】
【003 斜里岳(1,547m)】
【004 阿寒岳(1,499m)】
【005 大雪山(旭岳)(2,291m)】
【006 トムラウシ山(2,141m)】
【007 十勝岳(2,077m)】
【008 幌尻岳(2,052m)】
【009 後方羊蹄山(1,898m)】
【010 岩木山(1,625m)】
【012 八幡平(1,614m)】
【013:岩手山(2,038m)】
【014:早池峰山(1,917m)】
【017 朝日岳(1,870m)】
【018 蔵王山(1,841m)】
【019 飯豊山(2,128m)】
【020 吾妻山(2,035m)】
【021 安達太良山(1699.6m)】
【022 磐梯山(1,816m)】
【025 魚沼(越後)駒ケ岳(2,003m)】
【027 巻機山(1,967m)】
【028 燧ヶ岳(2,356m)】
【029 至仏山(2,228m)】
【032 苗場山(2,145m)】
【033 妙高山(2,454m)】
【034 火打山(2,462m)】
【036 男体山(2,486m)】
【037 奥(日光)白根山(2,578m)】
【038 皇海山(2,144m)】
【039 武尊山(2,158m)】
【040 赤城山(1,828m)】
【041 草津白根山(2,171m)】
【042 四阿山(2,354m)】
【044 筑波山(877m)】
【048 剱岳(2,999m)】
【049 立山(3,015m)】
【050 薬師岳 (2,926m)】
【051 黒部五郎岳 (2,840m)】
【053 鷲羽岳 (2,924m)】
いかがでしたでしょうか?何度も何度も繰り返すうちに、尾根と沢が分かるようになります。
等高線の曲がり方を見ることで、尾根と沢を見分けることができます。では、次の項目で、実際の地図で確認してみましょう。
練習問題(尾根と沢)
次の地図のA~E地点は、尾根と沢どちらでしょう。青色の川の地図記号を参考に探してみましょう。次ページに答えがあります。
地図から山の形をイメージする
読図の目的は、地図に描かれている情報から、実際の山の姿を思い描くことです。地図をただ眺めるのではなく、「この先はどのような地形が続くのか」「どこが歩きにくそうか」を想像しながら読むことが大切です。
等高線は、山の形をイメージするための重要な手がかりです。等高線の間隔が広い場所は緩やかな斜面、密集している場所は急な斜面を表しています。尾根では等高線が外側にふくらみ、谷では内側に入り込む形になります。この特徴を意識することで、地図から立体的な地形を思い浮かべることができます。また、登山道が尾根沿いにあるのか、谷を横切っているのかを確認することも重要です。
尾根道は比較的視界が開けて方向を確認しやすい一方、谷沿いの道は地形が似ていて迷いやすい場合があります。地図を見ながら、どのような場所を歩くのかを事前に想像しておくと、現地での判断がしやすくなります。実際に山を歩く際は、地図でイメージした地形と、目の前の景色を照らし合わせてみましょう。
「地図で想像したとおりか」「違いはどこか」を考えることで、読図の力は少しずつ身についていきます。
- 地図と景色が一致しないと感じたときは、無理に進まず立ち止まって確認しましょう。
- 違和感に気づくことが、道迷いを防ぐ第一歩です
迷わない人が必ずやっていること
登山で道迷いをしない人は、特別な技術を持っているわけではありません。歩き出す前に、必ず地図を一度開き、状況を確認してから行動しています。
ここで大切なのは、「完璧に理解できているか」ではなく、「地図を見て考えたかどうか」です。まずは、次のポイントを確認してから歩き始めましょう。
【歩き出す前に確認したいこと】
- 地図をザックのどこに入れたか分かっている
→ すぐに取り出せる場所にありますか?「必要になったら出す」では遅いことがあります。 - 現在地と進行方向を地図で一度確認した
→ 今どこにいて、どちらへ進もうとしているかを地図の上で指さして確認してみましょう。 - 進むルートの大きな地形(尾根・沢)をイメージした
→ 「尾根を歩くのか」「沢沿いなのか」大まかな地形を思い浮かべるだけで、道迷いは減ります。 - 迷いやすそうな分岐・注意が必要な場所を把握した
→ 分岐や地形が複雑な場所を、あらかじめ知っておくことが大切です。
大切なのは、地図を見たかどうかです
真北と磁北
地図は必ず上が北になります。そして、地図上の北のことを「真北」といい、磁石が北を指す方向を「磁北」といいます。
【真北について】
『真北』とは、地形図の北のことで北極点を指します。『磁北』とは磁石、つまりコンパスが指し示す北のことです。実は、真北と磁北はイコールではありません。それは、地形図の北が北極点にあるのに対し、磁石の北は2020年現在はカナダのクイーンエリザベス諸島付近にあるからです。まずは、磁北について説明します。
【磁北について】
地形図には磁北線を引いてから携帯するようにしましょう。と記載してある本はたくさんあります。磁北線の引き方を書いてある本もたくさんあります。しかしながら、「真北(地形図の北のこと)」と「磁北(コンパスの指す北のこと)」の関係を理解して磁北線を引いている方は少ないように思います。少し、この関係について説明をします。
🔰 真北は地図の北のこと。磁北はコンパスが示す北のことです。
【偏角について】
先ほども述べたように、コンパスが指す磁北は、必ずしも北極点の方向(真北)を指しているわけではありません。
この磁北と真北の方向のずれを「偏角」と呼びます。
偏角の大きさは日本全国で同じではなく、地域によって異なります。そのため、読図やナビゲーションを行う際には、登山する地域の偏角を事前に確認しておくことが大切です。
偏角の数値は、国土地理院のホームページや地形図の凡例に記載されています。
【磁北線の書き方】
地図とコンパスを持って山に行こう。と書かれた本は多くあります。国土地理院の地形図にはコンパスが北を指す磁北線が引かれていません。コンパスを使うためには磁北線を引いた地図を持っていきましょう。
地形図の凡例に偏角が載っているので確認してください。
次に地形図の真北から分度器で偏角を測り1本の磁北線を引いてください。後は、この磁北線と平行に磁北線を追加記載すればよいのですが、2万5千分の1地形図では、4㎝ごとに引くと間隔が実際の1㎞に相当するので分かりやすいとされています。
一方で、最近私は下記のように磁北線を引いたことがありません。何故ならば、地図を印刷し持参する場合、カシミール3Dを利用するからで、磁北線の設定項目がでてくるので、項目をポチると自動的に磁北線が引かれた地形図を印刷することができます。
「地形図の印刷」の項目をご覧ください。
【磁北線の間隔】
4cm間隔で引くように上記で案内をしています。しかし、オリエンテーリングの大会では磁北線の間隔は3cm程度で引かれているものが多いように感じます。(規則では間隔の幅は決まっていません。)
私が実際に使用する地図や、私が開催する読図講習会での地図の磁北線の間隔も3cm程度にしています。これぐらいの間隔の方がコンパスの使用には向いていると思います。
【北磁極の移動】
『磁北』は、北磁極の移動に伴い、一定の方向を向いているのではなく、時間の経過とともに変化していますが知っていましたか?詳しくは、ウィキペディア、国土地理院のホームページ等を参照してください。
【各都市の偏角変化量】
国土地理院のHPには、1970年からの永年変化のアニメーションが掲載されています。また、「各都市の偏角変化量」も掲載されています。この表をみますと、1070年から2010年の40年間で、偏角は0.5~1.2度西に傾きました。現在でも、偏角は西に傾き続けています。
【伊能図と偏角】
現在でも、偏角は西に傾き続けていますが、過去にさかのぼった場合、偏角0度。つまり、過去には磁北と真北が一致していた時代があります。それは、伊能忠敬の「大日本沿海輿地(えんかいよち)全図)」(別名「伊能図」や「伊能大図」とも言われている。)と一致していると言われています。
なお、もう少し詳しい内容は、『伊能大図画像における真北と磁北の推定法』(野上 道男)氏の資料を見てみると
(以下引用内容)
9)伊能当時の地磁気偏角の分布について
前述したように伊能は磁北と真北は一致していると信じて導線測量を行ったので,緯線と直交する方向は彼が信じる真北であるが,実は磁北でもある。当時の磁気偏角がゼロであった地域を示す等偏角線は北海道東端部から東北地方東部を通り,東海地方に抜けている(野上,2022b)。この線から離れた地域では,伊能が作成した地図では緯線と直交する線は真の(地理的)子午線ではなく,磁気子午線である。
大図では図幅内で偏角や真北方向は一様と見なせるが,中図のような広域図では東西南北の部分によって磁気偏角が 2 度近く異なることがある。それを無視して作られた伊能中図の画像全体をそのまま回転させても補正画像とはならない。【伊能当時の地磁気偏角の分布について】
前述したように伊能は磁北と真北は一致していると信じて導線測量を行ったので,緯線と直交する方向は彼が信じる真北であるが,実は磁北でもある。当時の磁気偏角がゼロであった地域を示す等偏角線は北海道東端部から東北地方東部を通り,東海地方に抜けている(野上,2022b)。この線から離れた地域では,伊能が作成した地図では緯線と直交する線は真の(地理的)子午線ではなく,磁気子午線である。
大図では図幅内で偏角や真北方向は一様と見なせるが,中図のような広域図では東西南北の部分によって磁気偏角が 2 度近く異なることがある。それを無視して作られた伊能中図の画像全体をそのまま回転させても補正画像とはならない。
【伊能図】
伊能図は、大図(縮尺 3万6000分の1)214枚、中図(縮尺21万6000分の1)8枚、小図(縮尺43万2000分の1)3枚からなっています。大体の大きさは、大図1枚がほぼ畳(たたみ)1枚程度。中・小図は横幅160cm、縦150~250cm程度の巨大図でした。大図はすべてを貼り合わせるととても大きなものになりますね。なお、伊能図の作成は17年かかったと言われています。地図に興味のある方は、伊能忠敬について調べてみるのも楽しそうですね。
「偏角は、地図の北と、コンパスの北の角度差です」
国土地理院地形図の修正方法
地形図には、登山道が書かれていますが、すべての登山道が100%正しく書かれていません。それは、そもそも書かれている登山道が間違っていたり、廃道のため、地図上にだけ登山道が残ってしまった場合があるからです。
【国土地理院地形図 登山道の修正】
現在、国土地理院では、登山道の修正は、民間企業と協力して、地形図の登山道情報の正確性の向上を図る取り組みを行っているそうです。
協力企業から登山者の移動経路情報などのビッグデータの提供を受け、それらのデータを活用して地形図の登山道情報を更新し、登山者の利用が多い主要な山域から登山道を修正していくそうです。(「株式会社ヤマレコ」「株式会社ヤマップ」の2者と協力協定を締結してるそうです。)
民間会社のビッグデータを活用し、登山者の利用が多い主要な山域(北・中・南アルプス、屋久島)から順次、精度の高い登山道が地形図上に表示されていくようです。
【国土地理院地形図 等高線の修正】
2024年7月、人工衛星「だいち4号」が打ち上げられ、上空からレーダーで地上を観測し、約3mの分解能、観測幅約200㎞という能力で日本全国を観測し地図修正をする計画だそうです。昔は、飛行機で約60%ごとに重ねた写真を撮って、その写真から人の手で地図を描いていたのですごい進化ですね。
「地形図は、今も進化し続けています」
国土地理院地形図の購入方法
【国土地理院地形図の購入】
地形図を入手する方法としては、日本地図センターのホームページから電子版の地形図を購入し、ダウンロードすることができます。ただし、こちらは有料です。
近年では、国土地理院の地形図を紙版で購入する方は、以前に比べて少なくなってきているのではないでしょうか。
地形図を閲覧するだけであれば、国土地理院のホームページにある「地理院地図」が便利です。ただし、印刷に関してはやや使いにくいと感じる点もあります(※個人の感想です)。
地形図の印刷
地形図は、インターネットを利用して無料で入手することも可能です。私は「カシミール3D」を利用していますが、使用するソフトやサービスは、それぞれ使いやすいものを選ぶとよいでしょう。なお、印刷した地形図は、必ずビニール袋などに入れて防水対策を行い、山に持参するようにしてください。
【カシミール3D】(ダウンロード無料版)
カシミール を利用する(私のおすすめ)
地図の勉強をする場合、縮尺が毎回違うものを持っていくのは距離の感覚が違ってくるので、避けたほうが良いと思います。その点、カシミールは、2,500分の1~20万分の1まで幅広く印刷設定ができるのが特徴。
老眼の私は、印刷設定を1万分の1にして愛用しています。印刷用紙の設定や縦、横設定も簡単にできます。また、磁北線の本数も自由に決めることができるので、コンパスの勉強をするときは、少し間隔を狭くすると便利です。縮尺も地図に印刷することができます。
カシミールは無料のソフトです。ダウンロード後は、カシミールの初期設定をお勧めします。
初期設定(地名・標高・山名表示を消す)
表示 → 表示の設定 → 地名表示(表示しない) → 山名の設定(表示しない) → 標高の設定(表示しない)
私は、山に持っていく地図はカシミールを使用し、印刷しています。私の印刷方法を紹介します。
ファイル → 用紙を指定して印刷 → 用紙サイズの確認 → 印刷の向き確認 → (次へ)
→ 縮尺設定(1:10,000を推奨) → (次へ)
→ 印刷場所を設定 → 印刷範囲の指定(通常はそのまま) → (次へ)
→ 緯線経線のチェックをはずす → 磁北線を印刷する(磁北線の間隔をここで決める → 5(縦印刷)~8(横印刷)で設定) → (次へ)
印刷オプションの設定 →
(自動的に最適な解像度の地図に切り替えて印刷する → チェック) →
(文字やアイコンの大きさを、画面の表示と印刷結果で同じになるようにする → チェックしてもしなくても変化はあまりない)
(スケール(距離表示)を印刷する → チェック) → (印刷開始)
- 磁北線の色を赤色に変えたいのですが?
-
カシミールのホームページの磁北線の項目をご覧ください。
- 印刷する地図の縮尺は25,000分の1がよいですか?
-
私は見やすさのため10,000分の1の縮尺にして印刷しています。一方で広いエリアを縦走する場合は25,000分の1の縮尺を印刷しています。使いやすさで縮尺を決めています。
【地図プリ】
地図プリ (ヤマレコ)を利用する
ヤマレコの山行記録のホームページから、行きたい山行記録を見つけます。(このやり方が断然早いと思いますが、行きたい山行記録が見つけられないときは、地図プリのホームページから印刷できます。但し、登山ルートの記載はありません。)次に「地図/標高グラフ」のところにある「地図プリで印刷」をクリック。地図を拡大して分かりやすい自分の縮尺で印刷できます。ただし、〇万分の1という表現ではなく、縮尺が地図に印刷され50m、100m、300m、500m、1kmの縮尺になります。縮尺の設定方法は、パソコン画面の見たままが縮尺の大きさになります。磁北線も自動的に引いてくれますが、間隔の設定は3種類です。地図の勉強には、毎回同じ縮尺を使うようにしないと距離間隔が違ってきます。
- 地図プリ(ヤマレコ) を使用して磁北線を引いた紙地図を印刷したいのですがどうすればよいですか?
-
地図プリ の印刷ホームページ内の磁北線の項目「あり、なし」を選択してください。
【YAMAP】
YAMAP / ヤマップ YAMAPを利用する(ログインが必要です。)
ヤマレコ同様に人気の地図アプリですが、YAMAP一番の魅力は、登山ルートは赤字で記載され、登山のコースタイムも記載されます。 YAMAPのホームページの上部の「地図」の文字をクリック。エリアを選択し、「登山ルートを見る」をクリック。印刷したい場所を拡大表示し、印刷を行います。なお、切り取り印刷ボタンを押して場所を選択した場合は、選択したエリア面積に応じて、縮尺が、30m、50m、100m、300m、500mと変化します。(ヤマレコ同様にパソコン画面の大きさがそのまま縮尺に反映されます。)ヤマレコ同様に地図の勉強には、毎回同じ縮尺を使うようにしないと距離間隔が違ってきます。
- YAMAPを使用して磁北線を引いた紙地図を印刷したいのですがどうすればよいですか?
-
YAMAPのホームページをご覧ください。(磁北線が引けるのは、ウェブサイトの地図のみの機能です)
【ヤマケイオンライン】
ヤマケイオンライン を利用する(ログインが必要です。)
山と渓谷社のホームページ。コースタイム、通行止め、水場、ビューポイント、注意個所等が記載された地図を印刷することが可能です。ただし、コースタイム、通行止め、水場、ビューポイント、注意個所等については、すべての山域で印刷できるわけではなく、人気の場所のみ印刷が可能です。その他の場所は、地形図のみ印刷が可能です。縮尺は表示されているものがそのまま印刷されます。磁北線は、「あり」「なし」のみ設定可能です。
【国土地理院】
国土地理院地図 を利用する
地図といえば、国土地理院が発行する地形図が基本となります。
国土地理院のホームページで提供されている「地理院地図」は閲覧には便利ですが、地図の印刷を主目的とした設計ではないため、印刷用途にはあまり向いていません。
磁北線の間隔も広く、そのままではコンパスを使ったナビゲーションには不十分な場合があります。印刷後に、自動で引かれた線を基準として自分で磁北線を書き加え、間隔を調整する必要があります。
また、国土地理院のホームページ上で縦横の設定を行っても、使用するプリンター側の設定が合っていないと、正しく印刷されないことがあります。印刷の際には、パソコンとプリンター双方の設定を確認することが大切です。
なお、国土地理院が発行する**2万5千分の1地形図(紙版)**は、大型書店や国土地理院のホームページから注文することができます。
「カシミール3Dソフト」を私はお勧めします
スマホの地図アプリ
私は、スマホの地図アプリを活用しています。「現在位置は、今この辺だろう?」と思ってから地図アプリを見ると純粋に楽しいのです。スマホ先生が「ここです。」って教えてくれます。
地図アプリはどれがいいの?と言われても、好みがあります。皆さんは何をお使いですか?
そこで、hatakeyama さん(https://keyama106.jimdofree.com/ 登山用地図アプリ比較・評価 – 登山用地図アプリの評価とIT初心者向け説明書 (jimdofree.com))の「地図アプリの機能と利用者のIT知識による地図アプリの選択」をご紹介します。
以下説明は、「山と渓谷」2020年9月号を引用し、個人の意見も入れてあります。
【山と高原地図】
『山と高原地図』 →『シンプルで見やすい。スマホ地図(初心者~上級者)』
広域の範囲を見たいときには、非常に役に立ちます。欠点は収録範囲が決まっていて日本全国ではないことです。
登山で定番の昭文社「山と高原地図」をスマホアプリにしたものです。表示されるのは紙地図と同じものなので、定評のある見やすさと正確な情報がスマホでも利用できます。現在地表示やナビゲーションもできますが、機能は最小限なのでむしろシンプルで分かりやすいです。最大の難点は有料であることで、月額使い放題もあり、お得感もあります。なお、iphoneからAndroid(その逆も)に変えた場合は購入した地図データが使えなくなるので注意してください。
【YAMAP】
『YAMAP』 →『無料だけど機能は十分。とりあえず使ってみたい人向け(初心者~)』
無料の場合は、1か月にダウンロードできる地図は1つまで。コースタイム地図の対象範囲が広く、「山と高原地図」にはないエリアでも使えるところが多いです。表示される地図は国土地理院地図ですが、独自に編集した登山道とコースタイムも表示されます。また、登山道の注意点も記載されています。利用コストと地図のクオリティ、機能の分かりやすさなどバランスに優れているので、とりあえずスマホ地図を使ってみたいという人にはお勧めします。(2026年1月掲載)
【ヤマレコ】
『ヤマレコ』 →『唯一無二だった「足跡」機能。地図好きやバリエーションルートの登山者向け(中~上級者向け)』
無料の場合は、同時に保存できる地図が2つまで。ただし、保存した地図を削除すれば、何度でもダウンロードが可能です。(今後変更の可能性も否定できません。)初心者にはYAMAPより取りつきづらいと感じられるかもしれませんが、「みんなの足跡」は、ヤマレコにしかなかった素晴らしい機能です。(2024年12月からYAMAPも足跡機能が搭載されました。)
これは、過去にヤマレコを利用した他の登山者の行動軌跡が表示されるというもので、意外なところに誰かが通ったルートが発見できたりして、地図好き・探検好きにはたまりません。(一般登山道のコースタイム記載。登山コースの計画も作成可能。)(2026年1月掲載)
(注意)足あと軌跡機能を使ったために、道迷い遭難の事例が発生しています。
- 足跡がついているから、その足跡を頼りに山を歩いた。
- その足跡は、誰かが道に迷って付けたものだった。
- 知らず知らずに道に迷った。
- 気づいたら遭難していた。
というものでした。やはり、スマホ地図だけに頼るのではなく、自分の読図技術を充実させてほしいと思います。
下記の場所は、ヤマレコを使用し遭難した地域の地図です。
※上記の場所は遭難事例のあった特別な場所です。このことだけでヤマレコに欠点があると思わないでください。むしろヤマレコの足跡機能はとても素晴らしい機能です。この機能のおかげで、道が廃道になっている場合やバリエーションルートが分かります。なので、私もヤマレコ好きですし、使っていますし、素晴らしいアプリだと思います。
【ジオグラフィカ】
『ジオグラフィカ』 →『プレーンな地形図を表示。マイナールートを歩く人向け』
無料で使用もできますが、一度課金すれば、月額料金は発生せず、地図をダウンロードできます。登山道やコースタイムなどのオリジナルな表示がないことが他のアプリとの決定的な違いで、地形図の見方に慣れている人でないと使いづらいかもしれません。事前のルートセットなどもある程度手動でやらなくてはならないので、その点からも中~上級者向けといえます。一方で、登山地図にないマイナーな山やバリエーションルートを中心に歩いている人には使いやすいと思います。ほとんどの機能が無料で使えるのでうれしいソフトです。(2026年1月掲載)
🔰 初心者向けポイント
地図アプリは、確認のための道具です。
「便利な道具ほど、使い方が大切です」
スマホの地図アプリ(有効活用)
私は、スマートフォンの地図アプリを愛用しています。現在では多くの登山者が地図アプリを活用し、安全登山を心がけています。しかし、地図アプリは「現在地が分からなくなったとき」や「ルートに不安を感じたとき」にだけ確認する、という使い方をしている方が多いのではないでしょうか。その使い方では、道迷いに気づくのが遅れたり、読図の練習にはなりにくいと感じています。
そこで、ここでは私なりの地図アプリの活用方法を紹介します。まず、歩き出す前に、地図上で大きな特徴物を探します。〇〇山、〇〇mピーク、道の分岐、大きな道の曲がりなど、なるべく分かりやすいものを選ぶのがポイントです。次に、その大きな特徴物までの間にある小さな特徴物を見つけ、頭の中に入れておきます。
歩いている途中で、頭の中でイメージしていた地形(地形図上の特徴物)と、実際の地形が一致したと感じたときに、スマートフォンを確認します。いわば「答え合わせ」をする感覚です。この作業を繰り返すことで、山行中は自然と自問自答を行うようになり、読図のスキルアップにつながっていきます。
また、歩いていて斜面が急に緩やかになったり、逆に急になったと感じたときにも、すぐに地図アプリを確認します。
「この傾斜は、地形図ではどの程度の表現になっているのか」
「この尾根の細さは、地形図上ではどのように描かれているのか」
といった視点で確認することで、地形と地図の対応関係がより明確になります。
さらに、実際の景色や足元の状況など、目に入った情報をきっかけに地図を確認することもあります。その場合、「なるほど」と納得する場面が多く、理解が深まるのを実感できます。ぜひ、皆さんも一度試してみてください。
地図アプリを「確認の道具」から「学習の道具」として使うことで、確実なスキルアップにつながります。
「スマホは“答えを見る道具”、判断は自分でします」
スマホの地図アプリ(注意点)
【電源について】
スマートフォンの地図アプリを使用する際の大きな注意点は、バッテリー消費です。「機内モードに設定して消費電力を抑えましょう」とよく言われますが、それだけでは十分な対策とは言えません。
私自身、万歩計アプリをスマートフォンにインストールしており、気づかないうちに常に動作し続けていたため、電力を消費してしまい、1日の行動中に地図アプリが使えなくなった経験があります。このように、バックグラウンドで動作しているアプリにも注意が必要です。
また、スマートフォンの設定で、画面の明るさを下げるなどのバッテリーセーブ機能を有効にすることも、消費電力の軽減に効果的です。ただし、スマートフォンの地図アプリは万能ではありません。紙地図は必ず携行するようにしましょう。
さらに、予備のモバイルバッテリーと充電ケーブルを必ず持参してください。目安として、1泊2日の山行であれば10,000mAh程度のモバイルバッテリーがあると安心です。実際の道迷い遭難事例では、「モバイルバッテリーは持っていたが、充電ケーブルを忘れてしまい、バッテリー切れで現在地が分からなくなった」というケースも報告されています。
スマートフォンは便利な道具ですが、電源が切れれば使えません。複数の備えを前提に活用することが、安全登山につながります。
「スマホは切れたら終わり。地図は切れません。」
【機内モードの注意点】
YAMAPの「見守り機能」や、ヤマレコの「いまココ機能」は、家族や知人に自分の位置を知らせることができるため、遭難対策として有効な機能です(いずれも無料版で利用可能です)。
ただし、これらの機能は、スマートフォンを機内モードに設定している場合、電波の送受信ができないため使用できません。また、電波の届かない場所では位置情報を送信できないため、常に確実に機能するサービスではないことを理解しておく必要があります。
これらの機能はあくまで補助的なものであり、紙地図やコンパスを使った読図力、そして事前の計画が、安全登山の基本であることを忘れないようにしましょう。
【YAMAP vs ヤマレコ 解説】
講習会を開催すると「地図アプリは何がいいですか?」と質問を受けます。『地図アプリを選ぶときは、「IT知識が低くても大丈夫」「機能が充実」「無料」といったものが良いですね。』と回答しています。今回は、YAMAPとヤマレコを徹底的に解説したいと思います。個人的な感情も入り混じっていますが、参考にしてください。
「スマホが使えなくなったら、どうしますか?」
GPSを「信じすぎない」使い方
GPSは、現在地を知るためのとても便利な道具です。しかし、GPSが示す位置情報は、常に正確とは限りません。谷や樹林帯、悪天候のときは、衛星からの電波を受信しにくくなり、現在地がずれたり、突然位置が飛ぶことがあります。また、地図アプリの表示は「今どこにいるか」を示すだけで、「どこへ行くべきか」「その道が安全か」まで判断してくれるわけではありません。
GPSを見る前に、自分が歩いてきた時間、地形の特徴、進行方向を確認しましょう。そのうえでGPSを使うと、現在地の確認や答え合わせとして、とても有効に使うことができます。
GPSは、道迷いを防ぐ強力な補助道具ですが、地形図やコンパスの代わりにはなりません。紙地図を携行し、自分の判断と組み合わせて使うことが、安全登山につながります。
GPSは「答え合わせ」に使いましょう
GPSを信じすぎないために ― そのしくみを知る
現在の登山では、スマートフォンの地図アプリを使って現在地を確認することが当たり前になりました。GPSはとても便利な機能で、安全登山に大きく貢献しています。しかし一方で、「GPSがあるから大丈夫」と過信してしまうことが、道迷い遭難につながるケースも少なくありません。GPSを正しく使うためには、そのしくみと限界を知っておくことが大切です。
GPSは、地球の周りを回っている複数の人工衛星からの電波を受信し、その距離を計算することで現在位置を割り出しています。一般的には、4機以上の衛星からの電波を受信することで、位置を特定しています。
ところが、山の中ではこの電波が常に安定して受信できるとは限りません。急峻な地形、深い谷、樹林帯、岩場などでは、電波が遮られたり反射したりして、誤差が大きくなることがあります。その結果、現在地が実際とは違う場所に表示されることもあります。
また、GPSは電波を受信できなければ機能しません。悪天候やバッテリー切れ、スマートフォン本体の不具合などによって、突然使えなくなる可能性もあります。
GPSは「現在地を教えてくれる道具」であって、「正しい道を保証してくれる道具」ではありません。
地形図を読み、尾根や沢、地形の特徴を把握したうえで、GPSを答え合わせや補助として使うことが、安全で確実な登山につながります。
「GPSは地図を読む力の代わりにはなりません。地図を読む力があって、初めてGPSが活きます。」
「仕組みを知れば、使い方が変わります」
地図アプリがあれば紙地図はいらない?
2024年安全登山研修会で以下の質問がありました。
- 地図アプリがあれば、紙地図は必要ないですか?
-
スマートフォンの地図アプリだけでは十分とはいえません。必ず紙の地図を携行しましょう。
また、白地図のような何も書き込まれていない地図ではなく、「こんな紙地図を持っていこう」の項目でご案内している必要な情報が整理された紙地図を持参してください。紙地図は、道迷いを防ぐだけでなく、引き返す判断のタイミングや出発時間の設定、目印となる地形や迷いやすい場所を事前に把握することができます。これらは、遭難を防ぐうえでとても重要なポイントです。
登山で大切なのは、「道に迷わないこと」だけではなく、登山計画によって遭難のリスクを減らすことです。そのためにも、紙地図を必ず持って山に出かけましょう。
と書きましたが、最近思うのは、紙地図は純粋に「地図を見て地形を先読みし、先読みしたとおりの地形が現れたら楽しい」のです。スマホの地図アプリを見れば、現在位置も分かるし、安全だとは思うのですが、やはり広範囲の地図を眺め、全体から地形を先読みし、現在地を当てたときの「にやり感」は紙地図ならではのものなのです。
やはり、「楽しいから紙地図を持つ」これでいいと思います。
「答えは“NO”。役割が違います」
山に持参する地形図はこんなものを持っていこう!
皆さんは、山に出かけるとき、どのような地形図を持っていきますか。
- 磁北線は引いてありますか。
- 目指す山までの登山道について、分岐やピークなどの特徴物を把握していますか。
- コースタイムは確認していますか。
これらを意識して準備した地形図を持っていくことで、道迷いのリスクは大きく減らすことができます。
少しの事前準備が、安全で安心な登山につながります。
「地形図は、山に入る前から使い始めるものです。」
※防水対策のため「ジッパーの付いたビニール袋」に必ず入れて携帯してください。
※地形図は、最新のものを使用するようにしてください。(過去に古い地図を使用したため、記載されていた道がなかったという道迷い事例が発生しています。)
「地形図は、準備した分だけ役に立ちます」
紙地図と地図アプリの使い分け
📌地図アプリ併用の基本ルール
地図アプリは、現在地を“教えてくれる道具”ではなく、紙地図で考えた内容を確認するための補助道具として使いましょう。
① 分岐での「同時確認」ルール
道や尾根の分岐では、紙地図とスマホ地図を同時に確認します。まず紙地図で「どちらに進む予定だったか」を思い出します。次にスマホ地図で、現在地がその分岐に合っているかを確認します。大切なのは、アプリを見てから考えるのではなく、考えてから確認することです。
② 電池・電波に頼らない使い方
地図アプリは便利ですが、電池切れや電波状況の影響を受けます。そのため、「今アプリが使えなくなっても歩ける状態か」を意識しながら使うことが大切です。紙地図で「進行方向」、「大きな地形(尾根・沢)」を確認してから、アプリは補助として使いましょう。
③ オフライン地図の事前準備
登山前には、必ずオフライン地図をダウンロードしておきましょう。あわせて、「登山ルート全体」「周辺の尾根や沢」「下山ルート」まで表示できる範囲を保存しておくと安心です。当日は、「見るだけで使える状態」になっていることが理想です。
④ 紙地図とアプリの使い分けルール(まとめ)
紙地図
- 進行方向を考える
- 地形の流れをつかむ
- 先読み・ルート維持に使う
スマホ地図
- 現在地の確認
- 分岐での答え合わせ
- 違和感のチェック
🔰 初心者向けポイント
考えるのは紙地図、確認するのがアプリ
地図アプリで登山計画を立てる場合の注意
山へ行く際には、登山計画書を登山口に提出したり、「Conpass コンパス」などを利用してWeb上で提出する方も多いでしょう。また最近では、「ヤマレコ」や「YAMAP」などの地図アプリで、他の登山者の記録(レコ)を参考にして計画を立てることも一般的になっています。しかし、ここで注意が必要です。
他人の登山記録は、その人の体力や経験、歩くスピードで作られているという点です。多くの場合、同じペースで歩けるとは限りません。
登山計画を立てる際は、
- 自分がどのくらいの速さで歩けるのか
- その山やコースが自分に合っているか
- 何時に出発し、何時までに下山したいか
を、しっかり考えることが大切です。地図を見てコース全体を把握し、等高線から登りのきつさや距離を確認しながら、余裕をもったコースタイムを設定しましょう。
地図アプリは便利な道具ですが、計画を考えるのは自分自身です。無理のない登山計画を立てることが、事故や遭難の防止につながります。
「人のレコは参考まで。計画は自分で立てます」
地図アプリを使用すれば安全登山につながるのか?
地図アプリを使用して登山をしている方は非常に多いと思います。YAMAPやヤマレコ等もどんどんダウンロード数が伸びています。これらの地図アプリを使用して登山をすることは遭難防止に有効でしょうか?
警察庁生活安全局生活安全企画課が公表している「令和6年における山岳遭難の概況等」を確認してみます。
道迷い遭難の比率は減少していますが、遭難件数は右肩上がりに増加しています。地図アプリは道迷い遭難に一定の効果はあると思いますが、安易な救助要請も多く発生しているのではないでしょうか?ここに問題があると私は思います。このホームページをご覧いただいている皆さんは、知識を得て、楽しい山行を行っていただき、遭難が起きないことを願っています。
「考える登山があって、アプリが生きます」
愛知岳連ニュース(河合芳尚の読図コーナー連載)
令和7年4月より、愛知県山岳・スポーツクライミング連盟発行の「愛知岳連ニュース」において、読図に関するコーナーを連載することになりました。内容は、読図の基礎的な事項から分かりやすく解説していく予定です。
「愛知岳連ニュース」は年4回発行されます。
【令和7年4月】掲載01

【令和7年7月】掲載02

【令和7年10月】掲載03

「読図は、一度覚えて終わりではありません」
読図の基礎を理解したら、次は登山中に実際に使うナヴィゲーションの基礎を学びましょう。
このコーナーの資料は、オープンにしています。 コピー等自由にしていただいて結構ですが、著作権は放棄していません。



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