特徴物を見つけよう
地形の特徴物を見つけることは、現在位置把握にとって重要です。色々な特徴物を知ることによって、読図能力が向上することはいうまでもありません。
分かりやすい特徴物として、「ピーク」、「コル」、「道の分岐」、「尾根の分岐」、「沢の分岐」、「送電線」、「地図に表わされている建物」、「池」、「岩」、「岩がけ」、「土がけ」等があげられます。
等高線が読めるようになると、「傾斜変化点」という概念も重要な特徴物としてあげられます。文字通り、傾斜が変化している場所を指し、尾根上ではとても有効な特徴物になります。
【特徴物を見つけよう(step1)】
【送電線と道の交点】
【自分の位置とピークが水平】
「水平」という考え方、とても使えます。実際の経験談ですが、誤差が少ないのも嬉しくなります。私がよく使う方法は、大きな山を登るとき、自分の登っている反対側の尾根やピークを目標にします。そのピークの標高を地形図から読み取りピークが水平になったとき、現在位置の標高が分かります。経験では、大きな山でも誤差は30m未満の範囲に収まるので、役に立つ技術です。
【道が一直線に見える】
意外と使える技術です。講習会で説明すると『「あ~そうか」こういう確認方法もあるんですね。』と感心されます。
【ピークが一直線に並ぶ】
稀ですが、こういった条件がそろった場合、分かりやすい現在位置確認ができます。しかし、この技術を使うためには、後述する「山座同定」を理解する必要があります。
【尾根のでき始め】
斜面の途中から急に尾根が派生する場合があります。こういった場所は地図でも分かりやすいですし、実際の地形も分かりやすいので重要です。
【傾斜変化点】
傾斜変化点とは、例えば、尾根上で急な斜面を登っていたら、平らな斜面に変化する場合があります。この傾斜が変化する場所を「傾斜変化点」といいます。とても参考になる特徴物の一つです。
【尾根の分岐】
尾根の分岐は、比較的分かりやすい特徴物です。コンパスを使い、尾根の走行方向を確認すれば、より確実な特徴物になります。
【沢の分岐】
沢の分岐は、比較的分かりやすい特徴物です。水が流れている場合が多いので、川の走行方向を確認すれば、より確実な特徴物になります。
【道の曲がり】
道の曲がりは、とても分かりやすく、非常によく使う技術です。ここで重要なことは「東(右)に90度曲がる道」とか「左にターンするように曲がる道」とか、どのような形状かをとらえることが重要です。
【コンパスで道の曲がりを把握する】
コンパスを利用すると、緩やかな道の曲がりも分かるようになります。コンパスは、分岐で使用するだけではなく、こんな使い方もできます。技術の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
【トラバース道では尾根や沢との交点】
トラバース道(斜面を水平に横切っている登山道)は尾根や沢との交点が特徴物になります。特に、大きな山では、特徴的な大きな尾根や大きな沢との交点を見逃さないようにしたいものです。
【崖、雨裂、堰堤、送電線、凹地】
地図記号の中でも、崖や雨裂などは少し慣れが必要かもしれません。大きな崖は分かりやすいですが、小さなものだと分かりにくいものもあります。
【特徴物を見つける練習をしよう】
地形図の上で、特徴物はどんなところか知るために、読図コーナーでは 「特徴物をみつけよう」 というコーナーを設けています。パワーポイントで作成していて、日本100名山の登山道について、どんなところが特徴物になるのか現れます。ご覧いただければ幸いです。
特徴物を見つける時に大切なこと
私が、特徴物を見つける時に大切にしていることは、「尖ったピーク」「丸いピーク」「広い尾根」「狭い尾根」「急な尾根」「緩やかな尾根」「道が90度右(東)に曲がる」といった、形容詞を大切にしています。どのような尾根なのか、どのようなピークなのか形状を地図から読み取りイメージすることが大切です。皆さんもこの形容詞を意識して、地形をイメージしながら読図をすると地図読みがアップすると思います。
【例:広い尾根、狭い尾根、緩やかなピーク】
隠れ小ピーク、隠れ小コルとは
ピークは地形図の等高線は丸くなっています。(等高線が閉じている)しかし、等高線主曲線10mでは、表せないピークも中には存在しています。この、隠れ小ピークや隠れ小コルの存在を地形図を見てイメージできるようになると、さらに地図読みの楽しさが増えます。少し説明をいたします。
【隠れ小ピーク、隠れ小コル】
地図を正置しよう
当ホームページでは、「整置」ではなく「正置」として統一しました。
地図を見る時に、皆さんはどのようなことに注意していますか?私が教えてもらった第一歩は、「地形図を正置する」でした。「地形図を正置する」とは地形図の磁北線とコンパスの北を合わせることです。こうすると、実際の地形と地形図が一致し、頭の中でこの先はどの方角に進むのか理解しやすくなります。ぜひ、実践してください。
【正置をしよう】
「正置」と「コンパス123の操作方法」について、注意点があります。
コンパスを使うので初心者の方は、この二つの単語は似たようなものとして理解される方もみえるようですが、全くの別物。
「正置」は、コンパスの磁針が北を指している方向と地図の北を合わせるだけです。この「正置」をすることで地図と地形の関係を理解しやすくなります。
一方、「コンパス123の操作方法」は、現在位置が分かっている場合、これからどの方向に進むのか調べる方法です。
【地図を正置して持つ】
日本オリエンテーリング協会が作成したもので、かなり古いものです。次ページあります。
【正置して進む】
上記に同じで、地図を扱う原理原則が分かる資料だと思います。少し手直ししてあります。
行動中の地図の持ち方
皆さんは、行動中は地図をどのように持っていますか?私は、地図の持ち方をオリエンテーリングの上級者の方に聞いたことがあります。その方法は、地図の進行方向を常に上の方に持っていく(地図を体の前に水平に持ってきたとき、体側に現在いる位置。体から遠い方にこれから行く目的地となるように保持する。)ことでした。地図をグルグル回して持つイメージです。これは道間違いしないためにもとても大切な感覚です。試してみてはいかがでしょうか?
【地図の持ち替えと正置】
地図は常に進行方向が上(先)になるように持つことが大切ですが、もっと大切なことは正置し続けることです。
コンパスの使い方
「地図とコンパス」を持って、山に行きましょう。と書いてある本がほとんどですが、コンパスを使える方は少ないと思います。しかし、コンパスが使えると心強い相棒であることも間違いありません。
山で使用するコンパスは「プレートコンパス」が使いやすいので説明をします。
【プレートコンパスの名称】
まずは、プレートコンパスの名称を確認しましょう。
【コンパスの種類】
登山で使うコンパスは「プレートコンパス」というタイプのものが使いやすく、初心者の方でも後述する「コンパスの使い方練習シート」を使って練習すれば自信がつくと思います。
【コンパス使用時の注意】
コンパスは、磁気を帯びている場所や持っている携帯電話等に微妙に反応します。練習シートを使って練習した時に、上手く戻れない場合は、こんなところにも注意してみましょう。
日本オリエンテーリング協会の説明も参考にしてください。
【コンパスの使い方練習シート】
コンパス操作の練習は、この「コンパスの使い方練習シート」を使用するのが分かりやすいと思います。私が、高校山岳部時代にしっかり基礎を行った練習シートです。最初は、三角形で練習します。次に、四角形、五角形、六角形の図を使って難度を上げていきます。1辺は5歩進みましょう。5歩だと短い気もしますが、まずは元に戻れると嬉しくなるので短い方がやる気がでます。その後、慣れてくると歩数を増やしてもよいでしょう。
(PDFで閲覧できるようにしました。印刷が可能だと思います。ご利用下さい。)
2024年の安全登山研修会で上記のコンパスの使い方の練習をした感想を聞いてみました。
【感想】
(1)繰り返して基本に返ってやるのが大事だと思った。(原理原則が大切)
(2)教科書で見て,こういうのは知っているけど,実地でやったのは初めて,戻れると単純にうれしい。
下記は、「国立登山研修所ホームページ(動画3:09)」に掲載されている「コンパスの使い方」の動画です。
【コンパスの使い方(机上編)】
それでは、実際の操作はどのように行うのでしょうか?スライドで説明します。
【進んでいる方向を確認(コンパスセット)】
コンパスは、正しい道を歩いていないと間違いを指摘してくれるアイテムです。次ページもあります。
【道の分岐でコンパスを使う】
コンパスの使い方の基本は、道の分岐で、どちらの方向に進んだらよいのか確認することです。この基本ができるからこそ、初めてのコースでも安心して登山をすることができます。
【エイミング・オフ】
オリエンテーリングの大会でこの技術は使いますが、登山では使わない技術かもしれません。しかし、藪漕ぎや雪上では使えるかもしれません。
「エイミング・オフ」とは目的地をコンパスで狙わずにわざと外してコンパスをセットする。その方が特徴物を確実にとらえることができるため、目的地にたどり着けます。
【講習会でコンパスの質問がありました】
- 例えば、登山の際、同じ道で往復する場合、往路A→Bが南→北となった場合、コンパスのNマークで合わせるのは判りましたが、復路B→Aは北→南になった場合もNマークで合わせるのでしょうか?それとも進行方向が南になる為、Sマークで合わせるのでしょうか??
-
常に北(N)にノースマークを合わせるという単純なルールを原則にすると,とっさの場合や焦っている場合にも混乱がありません。また、指導者として伝えるときも単純で確実なルールを使うことをお勧めします。応用の場面では,ご指摘のような裏技も使いますが、しっかり意識して使わないと混乱します。また、道が単調に南方向と言っても、部分的に東や西に振れます。その時の左右と東西との対応でも混乱しやくなります。
(余談)北半球での使用者人口が多く、そこでコンパス操作を行うことが多いため、ノースマークが基準として普及したと思われます。
いずれにせよ、とことん慣れた確実な基準を身につけるのが大切です。 - コンパスの使い方を指導しています。受講生の中にコンパスの北と南を180度、逆にリングを合わせてしまう受講生がいます。どのように教えたらよいのですか?
-
コンパスのノースマークを磁北線の北に合わせず、ノースマークを磁北線の南側に合わせてしまうエラーがあります。これを私は「コンパスの南北エラー」と勝手に呼んでいます。これは、「コンパスのリング内の線を磁北線に平行に合わせる」と指導する場合に多く発生するように思います。
私は、「コンパスのノースマークを磁北線の北に合わせる」という言葉を使うようにしています。「リング内の線を磁北線に平行に合わせる」という指導方法では、受講生の方は「平行」にしているので間違った動作をしているとは思っていません。
『平行』という言葉はあまり使わない方が南北エラーが起こらないような気がします。
【コンパスを信じることができるか?】
豊川山岳会で、コンパスの使い方の講習会を会員を対象に開催したことがあります。内容は、オリエンテーリングの地図を利用し、あらかじめオリエンテーリングのポストを山中に設置し(あまり遠い間隔にならないように設置)、ポスト1からポスト2を目指してコンパスで直進し、ポストを見つけるというものでした。(ポストとポストの間は山の中で、道はありません。)
一番、正確で速くポストを見つけることができたのは、会員のお子さん(小学生)でした。大人になると目から入った情報からコンパスの指す方向を無意識に修正していると思われ、あまりうまくいかない方も見えました。
また、先ほど触れました、コンパスに特化した大高緑地公園での講習会では、以前、地図にポストの位置を円で記載した地図と円の位置だけ正確に記載した白紙に円だけのものを用意し、コンパスの直進の練習をしたことがあります。この時も、白紙を使った円だけの地図だとうまくポストを見つけることができるのに、地形図の入った円だと見つけられない事例もありました。
私も、オリエンテーリングの競技でコンパスだけを頼りに真っ直ぐ何百メートルも走ることがありますが、不安との戦いです。コンパスを、信じないと直進できないので、信じて進むのですが、いつも「だいじょうぶかなぁ?」と思ってしまします。コンパスを信じることって大切だし、何度も繰り返し使うことが重要だと思います。
【OL大会でコンパスはどのように使っているの?】
オリエンテーリングの大会では、地図の正置(整置)は基本中の基本。この正置(整置)は進行方向を決めるためにとても重要です。その上で、コンパスを使用して進む方向を決めています。私は、プレートコンパスのリングを回してコンパスの操作を基本通りに行っていますが、あまり難しくない地形の場合は、地図の正置(整置)のみで走ることも多くあります。
また、オリエンテーリングの上級者の方は、コンパスで地図を整置するまでは同じですが、そもそもリングが回らないコンパスを使用しているので、コンパス1・2・3の手続き(①現在位置と目的の位置をコンパスの長辺で合わせる。②リングを回しNマークを磁北線の北に合わせる。③Nマークと磁針の北を一致させる。)は行わず、地図の整置だけで思ったところに走っていくことができます。
【OL競技用コンパス】
オリエンテーリングの競技用コンパスには回転させるリングがついていないものもあります。(もちろんリングが回るものも多くあります。)私もサムコンパスという形のコンバスで回すリングがついていないものを持っていますが、慣れてくるとこのコンパスの方が早く進行方向を決めることができるのではと思っています。
(サムコンパスは慣れが必要です。私は最近プレートコンパスがお気に入りで直進するときのズレが少ないように感じています。)
【OL競技用コンパス(ルーペ付き)】
オリエンテーリングの競技用サムコンパスには老眼の方のためにルーペ付きのコンパスがあります。林の中では薄暗くなるため、このルーペ付きのサムコンパスがとても有効になります。実は、私も愛用者の一人です。
ナヴィゲーションサイクル
【ナヴィゲーションサイクル】(3つのステップ)
ナヴィゲーションサイクルを国立登山研修所のテキスト「高みへのステップ」【第3編】第4章を参照し、解説いたします。
ナヴィゲーションでは、
- (地図の先読み)目的地とそこへのルートを地図から読み取る。
- (ルート維持)地図から決めたルートを維持する。
- (現在地の把握)決めたとおりの場所に来たかを確認する。
をする必要があります。この中で最も重要なのは、「地図の先読み」です。
これら3つのステップは 下記の図のようにナヴィゲーションしている間、循環して行われています。この循環を「ナヴィゲーションサイクル」と言います。ナヴィゲーションサイクルは、実は、一種のPDCAサイクルです。
「地図の先読み」、「ルート維持」、「現在地の把握」のどれをしているかを意識することで、効率的かつ効果的に読図が行えます。
「地図の先読み」は、ルート維持や確認すべき地点の情報を地図から読み取ります。
「ルート維持」は、進路の特徴を読み取り、それに対応した場所(進路)を現地の中に見つけ出す必要があります。
「現在地の把握」は、予め読み取った地形的特徴を現地の中に探す場合と、現地の中で見つけた特徴的なものを地図の中に見つける場合がありますが、いずれも周囲の風景をよく見て、風景と地形図を一致させることが欠かせません。
(以下スライドの解説です)
ナヴィゲーションの基本となる、ナヴィゲーションサイクルについて説明します。山行前には、プランニングをしっかり行います。プランニングでは、
- 目的地へのルートの決定
- ルート上の特徴物や注意箇所、危険箇所の把握
- 想定される危険への対応策の検討
などを行います。山に入ったら、実際に動き始める前に、プランニングに基づいて、ルートの先読みをします。先読みとは、地形図からルートの特徴や、チェックポイントとなる特徴的な地形を、あらかじめ読み取っておくことです。
行動を開始したら、「ルート維持」に努めます。先読みで読み取ったルートの特徴やチェックポイントを頭に入れながら、周囲の地形を観察し、常に「正しい道を進んでいるか?」を判断しながら進みます。
「現在地把握」は、事前に先読みした特徴物が出てきたか? 今どこにいるか? などを確認することです。地形図から読み取った情報と、周囲の地形や風景を観察して、一致しているかどうかを確認して、現在地を確定させます。現在地が確認できたら、さらにその先のルート状況を先読みし、進んでいきます。
正確なナヴィゲーションを行うには、「先読み」「ルート維持」「現在地把握」という3つのサイクルを理解し、繰り返し行うことがポイントになります。もし「ルート維持」ができなくなると、道を間違えることになり、「現在地把握」ができない場合は、自分がどこにいるのかわからなくなり、道迷い遭難につながっていきます。
【観る力、考える力、動く力】
ナヴィゲーション技術というと、地図から情報を読み取り判断する。という「考える」力。地図から重要な情報を素早く見抜いたり、風景の中で重要な特徴に気付く「観る力」。地図やコンパスをスムーズに使う「動く力」が必要です。
とりわけ景色を「観る力」は周囲のリスクに対する敏感さにもつながります。「登山中、何が観えているか」「そこから自分は何を考えているか」という観点で、自分の登山をふり返ってみるのもよいでしょう。
地図の先読み
私が若い時に、オリエンテーリングの大会で優勝者の方に「どうしてそんなに早いのですか?」と質問したことがあります。すると「オリエンテーリングは、『地図の先読み』が大切です。」と教えてくれました。
『地図の先読み』?私も一応はしているつもりだけど?何が違うのだろう?
オリエンテーリングはポイントオリエンテーリングの大会が主流です。どのルートを通っても次のポストに到達すればよいのですが、当時、体力のあった私は、真っすぐの道(実際には山の中なので道はないのですが・・・)を選び進むことが多くありました。しかし、真っすぐだと一旦、沢を下り、また尾根を登るといった起伏の激しいコースだったりすることもありました。大会後に反省の意味を込めて、もう一度、ルートの練り直しをします。すると、沢を下るよりも遠回りになるけど尾根を迂回した方が起伏が少なくスピードが上がるレッグ(レッグとはポストとポストの間のルートのことを言います。)が見つかることがありました。
オリエンテーリングは、最短ルートが速いのではなく、周り道でもスピードが上がる場合や度胸を決めコンパス頼りに直進した方が速かったり、自分の技術や体力に応じてルートを決める必要があります。
話しが少しそれましたが、一般登山道はルートが地形図に記載されています。(沢登り、冬山等を除く)このため地形図のルート通りに進めばよいのですが、実際は、道が不鮮明だったり、枝道があったり、地形図と実際のルートが違っていたり(昔は道があったが廃道になった等)と、道迷いの要素が色々あります。このため、目的地までの登山道の特徴物はどこだろう?と『地図の先読み』する必要があります。
【地図の先読み方法】
まずは、現在地を確認します。そして、次の目的地までの特徴物を決めます。そして、その目的地へ行くまでの登山道のコース状況を先読みします。ちょっと練習してみましょう。
【鳳来寺山の先読み】
【来拝山の先読み】
その特徴物までのおおよその距離や時間も大切な要素となるので、プランニング(先読み)をする時に頭の中に入れておくことも大切です。また、①大まかな特徴物を把握し、次に小さな特徴物を把握する順番も私は大切にしています。
【大きな特徴物から小さな特徴物へ】
ナヴィゲーションサイクルで大切なことは、大きな特徴物を目標にしてから更に小さな特徴物に目を向ける必要があります。こうすることで、確実に読図力が高まります。
【劔沢から剱岳に登る場合】
【例:大門沢を下る場合】
私は、こんな方法で先読みをしていますのでご紹介していきたいと思います。
①大きな特徴物を把握することがとても大切
②小屋が見えなくてもおおよその位置を確認することができる
ルート維持
ルート維持とは、目的の登山道から外れることなく目的の山に到達し、登山口まで戻ってくることですが、どうすればよいのでしょうか?ナヴゲーションサイクルについて国立登山研修所「安全で楽しい登山を目指して(高等学校登山指導者用テキスト)」を引用して説明します。
(1)ルート維持とは
地図上でルートをたどることは容易ですが、実際の登山道には道標のない分岐があったり、藪や川の渡渉で道が分かりにくくなっていることがあります。これらの場所ではルート維持の努力が必要になります。更には、道の無い藪こぎや雪山では積極的にルート維持の技術を使わないと動くことができません。移動するときには、自分はどのようなルート維持のための情報を使っているかを意識することが肝心です。
ルート維持には基本的に二つの情報が使えます。一つは「方向」、もう一つは「地形」との関係です。
ア 方向によるルート維持
地形から読み取ったルートの方向を、コンパスを使うことで維持する方法です。日本のように地形が明瞭に発達している場所では、尾根・谷等の地形との関係と組み合わせることでベースプレートコンパスを有効に使えます。
方向を使ったルート維持には3つの方法があります。
(ア)地形図からルートの方向を読み取り、ルート維持する
道や尾根といったはっきりした線上の特徴に沿ってルートが進むときには、地図からその方向を8方位又は16方位で読み取り、コンパスでその方向であることを確認して進むことでルート維持ができます。
(イ)整置でルート維持する
(ア)の方法では、細か方向を読み取るのが難しく、また読み取った方向を頭に覚えておかなければなりません。線状の特徴物に沿って進むときには、正置(整置)を使うと地図上の方向と実際の方向が一致するので、簡単にルート維持ができます。
(ウ)ベースプレートコンパスを使う
線状特徴物がないなど、より精度が必要なルート維持の場合は、ベースプレートコンバスによる直進を使います。
イ 地形とルートの関係によるルート維持
登山道は闇雲についている訳ではなく、尾根道、谷道、巻き道(等高線に平行についている道・トラバース道)・尾根・谷を結んでいる等高線を横切る4パターンしかありません。しかも道と地形との関係(尾根筋、谷筋、等高線と平行、等高線を横切る)は、地形図と風景の両方から確実に読み取ることができます。これを読み取ることでルート維持が可能になります。
ウ その他のルート維持のテクニック
間近にはっきり分かる特徴がなくても、尾根のスカイラインを見ることで目指すべきコル(鞍部)やピークが分かれば、ルート維持に役立ちます。雪山や藪山では「高い方に登る」という単純な方法でもルート維持が可能になる場合があります。
(2)ルートファインディング
ルートファインディングはルート維持と同じ意味で使われることもありますが、ここでは「地形図から読み取れる情報を利用して正しいルートを進むことをルート維持」、「地形図からは読み取れない情報を利用して正しいルートを進むことをルートファインディング」と区分します。
沢を渡る部分や踏み跡のつきにくい高山帯、複線化してしまった登山道で地形が曖昧だと、地形図だけで進むべきルートを見つけることが難しいので、ルートファインディングが必要となります。どこを歩いたら効率よく進めるか、やぶの濃い場所でどこが通りやすいか、あるいはトレースが薄くなっている場所でどの方向に進めばいいか、その場その場の問題を解決しながら全体として進むべき方向や地形を外さないように注意しながら進みます。そのためには遠くを見ながら歩くことが有効です。
現在地の把握
私は最近、現在地の把握は、スマホの地図アプリをポチルことが多くなってきました。「それでいいのか?」と言われてもスマホの地図アプリは、とても正確で何か楽しいんです。先生がスマホの中にいる感じで、自分のイメージと一致した場合「にやり」としてしまいます。(地図アプリのGPSの精度については、後述します。)
しかし、雪山ではスマホの地図アプリはあまり役には立たない場合が多いのも現実です。八ヶ岳の硫黄岳に冬山登山した時は、強風+低温でスマホの地図アプリは動きませんでした。(雪山でも使える機種があるとHPでは記載されているものもありますが、どのような条件で使えるのか真相は分かりません。)やはり「紙地図とコンパス技術」を使いこなせる事が重要です。現在地の把握について国立登山研修所「安全で楽しい登山を目指して(高等学校登山指導者用テキスト)」を引用して説明します。
(1)現在地を把握する方法
①近くの特徴物を使う
②離れた場所に見える特徴を使う
③移動の履歴を使う:推測航
④ベースプレートコンパスを使ったクロスベアリング
(2)風景を読む
現在地を把握するためには、地図と風景の対応が必要なので、地図に加えて風景を読み取る必要があります。読み取るべき風景の鍵は、①地図に記載されていること、②ユニーク(唯一)であること、です。もうひとつの留意点は、地図の内容は常に変化する可能性があるということです。林道は目印になりやすいが、地図に記載されているよりはるか先に林道が伸びていることはよくあります。植生状態も、畑や水田が放置されて森に変わってしまうことは珍しくありません。風景読みにあたってはより変化しにくいものに着目することが肝心です。
(3)実践的な現在地把握
ア 常に現在地に疑いを持つ
自然の中では現在地には常に疑いの余地があります。この際、漠然と「間違っているかもしれない」と疑うだけではなく、思った場所にいないとしたらどこにいる可能性があるのかを具体的に考えことも大切です。これにより、正しく現在地を把握する可能性が高まります。
イ 複数の情報を使う
一つ一つの情報が不確実な場合、確実性を高めるために複数の情報を利用します。たとえば道の分岐だけで現在地を確認したら、別の分岐と間違えている可能性があります。それに分岐する道の方位が加われば確実性はより高まります。さらに、たとえばコル(鞍部)といった地形を加えれば確実性はさらに高まります。
ウ 論理的に考える
論理的に考えることで、情報の不足を補うことができます。特に「仮想によるロジック」は情報の不足を補う最大の武器ともなります。「もし**にいるとしたら、北に進めば××が見えるはず」といった論理的考え方も、見える範囲では十分でない情報を補うことにつながります。
エ 精度を変える(点,線,面)
一般の登山では、はっきりした登山道を歩くことが多いです。間違えるような分岐がなく、登り続ければ確実に山頂に到達する場合には、現在地の把握は線状、つまりその登山道のどこかにいると分かります。
現在地の把握は、この線から点にシフトする必要があります。下りの登山道では、地図にない枝道や踏み跡があるケースもあります。この場合、どちらを選ぶべきかは、道標がなければ自分で判断しなければなりません。そのためには、現在地を点で把握する必要があります。
雪山や藪こぎ登山、あるいは自由に移動可能な荒野では、方向維持の努力をしていても、現在地の曖昧さが二次元的に広がります。しかし、「この領域の中にいるはず」と言えれば十分なケースもあるのです。これが面による現在地の把握と言います。面または線に広がってしまった現在地を、面から線、そして線から点へと絞り込んでいくことが現在地把握のポイントです。
(4)GPS 受信機を使う
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)は、人工衛星からの電波を利用して自分の位置を知るシステムです。本来GPS はアメリカのシステムを指す固有名詞です。近年ロシアや中国、日本などでナヴィゲーションのための人工衛星が稼働していますが、これらを総称してGNSS(Global Navigation Satellite System)と呼ばれています。
GPS 受信機は、現在地を知りたいと思った瞬間に現在地を知ることができるので、もしもの場合の危機管理の道具として有用です。また,地点(ウェイポイント)を登録したり、これまで歩いてきた道筋の記録を残したり(ログ、またはトラックと呼ぶ)、ウェイポイントへ誘導する機能もあります。
ただし、カーナヴィゲーションのように分岐点で「こちらに進め」と言ってくれるわけではないので限界を踏まえた利用が必要です。
初歩的ですが、実用的なGPS 受信機の利用方法として、ログの活用があります。ほとんどの機種で、これまで歩いたルート(ログと呼ぶ)を地図上に表示する機能があります。登山と下山路が同じ場合、往路のログが下山すべきルートを表すことになるので、復路では常にログの上にいることになります。ログから大きくずれ始めたら、間違った道に入り込んだ可能性があります。これにより道間違いのダメージを最小限にできるのです。
(5) 高度計を使う
標高が高くなると気圧が低くなります。高度計はこれを利用して標高を知る道具です。標高の変化の大きい登山道では、現在地を知るための補助用具として利用価値が高くあります。単調に登り続ける尾根筋を進んでいるなら、高度を知ることで現在地を推定することができます。傾斜の急な斜面上の登山道上では、ほぼピンポイントで現在地が分かります。高度計は、天候による気圧の変化の影響や気温によっても誤差が生じるため、できるだけ頻繁に地図や標識などの情報を使って高度を補正する必要があります。
【現在位置確認のテクニック】
私が、普段行っている現在位置確認のテクニックを少しご紹介します。
【尾根の肩】
急な登り斜面から緩やかな登りに変化する尾根は多いですね。この傾斜変化点を使って大きな現在位置を把握しています。とても参考になります。
山座同定
あの山は何ていうの?
あれは「富士山」だよ。
あの山は?
ピークが尖っているから「槍ヶ岳」だよ。
じゃあ、あの山は?
笠の形に似ているから「笠ケ岳」って名前がついたんだよ。
実際の山と地形図の山を一致させることを山座同定といいます。特徴のある有名な山は、山座同定は簡単ですね。しかし、里山では山頂が似たような形をしているため、山座同定は難しくなります。今では、山頂で「あれは○○山!あれは○○山!」と人ではなくスマホのアプリが教えてくれる時代になりました。豊川山岳会の元代表は、「Google浅田」と異名があるぐらいに物知りで、山座同定のプロファッショナルです。皆さんも山座同定ができるようになると山頂での会話も弾みますよ!山座同定の方法について説明します。
山座同定をするためには、
①現在位置が分かっていること
②地図の整置ができること
③コンパスが使えること
この3つの技術が必要です。
【山座同定の方法】
①コンパスだけを体の正面に対し、垂直に持ち進行線(精度を上げるためには、コンパスを目の高さまで移動し、コンパスの左辺(右辺)で一直線になるように対象の山を狙います。)を対象の山に向けます。
②コンパスのノースマークを磁石の針の北に合わせるため、リングを回します。(この時、進行線が対象の山からずれないように注意します。)
③地形図を取り出し、整置をします。
④整置をした地図の上に、コンパスを置きますが、この時、コンパスのリング側が手前になるようにします。コンパスの置く位置ですが、現在位置がコンパスの左辺(右辺)上になるように置きます。
⑤地形図の現在位置とコンパスのリング側の左辺(右辺)が一致するように固定し、この固定した部分を中心に進行線側のコンパスを回転させて、ノースマーがク磁北線と一致するようにします。
⑥これで、実際の地形と地形図とコンパスが一致し、進行線の方向に目指す山が見えます。地形図からどの山が対象か読み取ります。
【実際の地形と地図を一致させよう(本宮山)】
今、一番のお勧め!写真のピーク、尾根、沢と地図を一致させるトレーニングに最適!このトレーニングを繰り返すことで読図能力が飛躍的にアップします。
交会法(クロスベアリング)
交会法は、現在位置を求める場合に用いますが、実際に「交会法」を使用して現在位置の確認をしている方を私は見たことがありません。高校時代には、基礎的な方法として勉強し、実際に使用したこともありました。今では、スマホの地図アプリをポチると現在位置がわかってしまいます。知っていて損はないので、少し説明します。
交会法をするためには、
①地図の整置ができること
②山座同定を行うことができること
③コンパスが使えること
この3つの技術が必要です。
【交会法の仕方】
コンパスを使った基本的な交会法の仕方をスライドを使って説明します。スライドでは、2地点から現在位置を求めていますが、3地点以上から現在位置を求めると、より正確な現在地を把握することができます。
【交会法で現在位置を知る】
交会法は、比較的難しい技術ですが、ぜひ、知識の一つに加えて下さい。
【伊能忠敬と交会法】
江戸時代に伊能図を作成した、伊能忠敬 もこの交会法を使って現在位置を求めていました。伊能忠敬、恐るべし。
【伊能忠敬 雑学1】
忠敬の距離の計算方法は歩いた歩数をもとにしている。目印と目印の間の距離を実際に歩いて、その歩いた歩数をもとに距離を計算した。そんな忠敬は自分の歩幅が常に一定になるように気を付けていた。日頃の訓練により歩幅が同じになるようにしたのである。後の調査・研究により忠敬の歩幅は約69cmだったと導き出されている。その忠敬の正確な歩幅により作られた日本地図は誤差がほとんどなく、極めて正確なものとなった。ちなみに、忠敬の体格は、着物の丈が135cmであることから、身長は160cm前後、体重は55kg程度と推定されている。(以上「雑学ネタ帳」参照)
【伊能忠敬 雑学2】
忠敬は、測量において子午線1度は28.2里と導き出した。
(110.749km(1里は『広辞苑 第7版』では36町(3.9273キロメートル)に相当する」とある。))
忠敬が求めた緯度1度の距離は、現在の値と比較して誤差がおよそ1,000分の1と、当時としては極めて正確であったことには驚きしかない。
トレイルランナーのための読図
トレイルランニングのランナーの方は多く、自然の中を自分のペースで走っているととても楽しいし、気分も豊かになると思います。しかし、実際には道がしっかりしているところばかりではなく、うっかり道に迷ってしまうこともあります。そこで、道に迷わないためにはどうしたらよいか考えてみたいと思いますが、その前に過去にあったトレイルランナーの遭難事例について触れてみたいと思います。
【遭難事例1】2010年7月:本仁田山遭難(遭難事例No57)
【遭難事例2】2021年7月:野沢温泉トレイル大会遭難(遭難事例No150)
次ページあります。
【地図アプリの活用】
トレイルランナーの方は、道に迷わず目的地にたどり着けばよいので、YAMAPかヤマレコを利用するのがお勧めです。この二つのアプリは、計画したルートから外れると知らせてくれる機能がついています。但し、YAMAPは有料会員のみのサービスになるので注意が必要です。
無料でこのルート逸脱警告機能が使用できるヤマレコアプリは、素晴らしいと思います。ヤマレコさんありがとうございます。ルート作成は、アプリでもパソコンでもバリエーションでも作成できます。お勧めします。以下、ヤマレコのホームページを参照しました
- 予定ルートから外れたときに音やバイブレーション、通知などを使ってお知らせする機能です。ONにすると予定ルートがある場合に利用できるようになります。道迷いの防止のため、必ずONにしておいてください。
- スマートフォン(AndroidまたはiPhone)と時計をペアリングしている場合、ヤマレコの通知がスマートフォン側に表示されます。
- 予定ルートから外れたときの逸脱警告についても、ペアリングが完了して通知を許可している状態の場合は時計側に警告の通知が行われます。時計側では振動でお知らせします。
- Androidとペアリングしている場合は、より長く振動を行い、画面上でも警告を行います。
- 予定ルートから外れた場合は、スマホの本体またはApple Watchの地図のいずれかを見ると音声による警告が止まります。なおApple Watch側で地図を見た場合はスマホ本体との通信によるタイムラグがあり、地図を見てから音声が止まるまでに時間がかかる場合があります。
- トレランコースのルートを作成する場合、『予定ルート作成「らくルート」』の動画を参照するとよいでしょう。
- ルート外れ警告機能を使用する場合は、スマホのホーム画面の右上にある歯車アイコンをタップし、各種設定を行う中に『ルート逸脱警告』があるのでONにするだけです。
登山の初心者用に開発されたアプリですが、登山道、モデルコース等決まったコースのみになることと、有料会員のみの機能になるので、あまりお勧めできません。以下、YAMAPのホームページを参照しました。
- ルート外れ警告はYAMAPプレミアム限定の機能です。
- ※ 通知を拒否している場合は許可に設定してください。
- ※ 設定するルートは「登山道」「ダウンロード済み軌跡」「モデルコース」「登山計画」から選ぶことができます。
- ※ 端末の GPS 精度により、通知が来すぎてしまう場合は「外れた距離」を大きく取ってください。
- ルート外れ警告に設定できるルートは「登山道」「ダウンロード済み軌跡」「モデルコース」「登山計画」のみとなります。
トレラン・トレイルルートなど設定にないルートは対象外となりますので、ご注意ください。 - 予定していたルートを意図的に外れる場合は、機能をオフにしてください。
「道外れ警告」で設定したルートから意図的に外れて歩く場合も、機能をオンにしていると通知が届き続けます。その場合は、[設定]画面より「ルート外れ警告」をオフにして使用してください。一時的に通知をオフにする機能はありません。
【トレラン中に注意すること】
目線が道ばかり見てうつむきになっていると標識を見落としたりします。また、下りのペースも安全のため抑え気味にすると道迷いも少なくなります。道迷いの多くは下りで発生します。注意しましょう。
- 道の分岐は必ず地図を見て確認
- 標識は見落とさないように周りを見て走る(下ばかり見ない)
- ペースを上げ過ぎると体力が無くなり読図をしないようになるので注意
- 下りはスピードを上げ過ぎず、ペースを抑える。(道迷いや安全のため)
【大きな地図の先読み】
地図を見てナヴィゲーションをしながら走ると危険を伴うのでやめてください。走り出す前に『地図の先読み』を行います。この先読みは大きくざっくりすればよいと思います。以下、例をあげてみたいとおもいます。
国土地理院の地形図はどのように修正するの?
昔は、10㎞×10㎞の航空写真を何枚も撮影し、修正していました。これでは、地図修正に時間もコストもかかります。
そこで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、2006年に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)、2014年に陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を高度700㎞の上空へ打ち上げました。この衛星「だいち」は、地球規模の環境観測を高精度で行うことを目標に、地図作成・地球観測・災害状況の把握・資源探査など、幅広い分野での利用を目的に開発されました。
現在は、この「だいち2号」を使用し、地形図の修正について、実証実験が行われ実際に地図修正にも利用されています。
また、今後「だいち3号」が打ち上げ予定で、広い観測幅(直下70km)を維持しつつ、さらに高い地上分解能(直下0.8m)を実現する予定です。
近い未来、人工知能を使用し「だいち3号」からの情報を処理し、リアルタイムで国土地理院地図の修正が行われる可能性も否定できませんね。(ちょっと私の願望)
興味のある方は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)HPの「2万5千分の1地形図の修正」をご覧ください。
【国土地理院地形図 登山道の修正】
現在、国土地理院では、登山道の修正は、民間企業と協力して、地形図の登山道情報の正確性の向上を図る取り組みを行っているそうです。
協力企業から登山者の移動経路情報などのビッグデータの提供を受け、それらのデータを活用して地形図の登山道情報を更新し、登山者の利用が多い主要な山域から登山道を修正していくそうです。
(「株式会社ヤマレコ」「株式会社ヤマップ」の2者と協力協定を締結してるそうです。)
(私の独り言・・・)
読図講習会の講師をしていた時の質問で、
「先ほどの河合さんの説明では、剱岳の登山道は正確のような説明がありましたが、国土地理院の登山道は信用できないって聞いたことがありますが本当でしょうか?」
というものをいただきました。
上記に説明したとおり、民間会社のビッグデータを活用し、登山者の利用が多い主要な山域(北・中・南アルプス、屋久島)から順次、精度の高い登山道が地形図上に表示されるようです。
しかしながら、地形図の登山道修正の方法に素人の私の考えは、
民間のビッグデータ × 人工知能(AI) = 瞬殺の登山道修正
という感じがするのですが、皆さんはどのよう思われますか?
「山岳遭難の約4割は道迷いが原因!」と言われています。国土地理院の地形図に表示されている登山道が廃道、若しくは、間違っている等による道迷いも発生しています。
少しでも早く、精度の高い登山道が国土地理院の地形図に表示され、道迷いによる山岳遭難が減少することを願っています。
山に持参する地形図はこんなものを持っていこう!
皆さんは、山に行くときどんな地形図を持っていきますか?
磁北線は引いてありますか?
目指す山までの登山道の特徴物を決めていますか?
コースタイムは把握していますか?
こんな地図を持っていくと「道迷い」はぐーんと少なくなると思いますが、如何でしょうか?
※防水対策のため「ジッパーの付いたビニール袋」に必ず入れて携帯してください。
※地形図は、最新のものを使用するようにしてください。(過去に古い地図を使用したため、記載されていた道がなかったという道迷い事例が発生しています。)
目指せ読図名人!地図アプリも上手に活用して賢く安全登山
先述した地図アプリですが、初心者の方からの質問で、『地図アプリは何がいいですか?』と聞かれることがあります。
ここではそんな地図アプリは何がよいのか?どんな特徴があるのか?登山計画書の提出はされていたが、道迷い遭難で亡くなられた方の事例から地図アプリで必要な設定方法とは・・・。色々な側面から検証してみました。
特に、『ヤマレコ』と『YAMAP』を徹底的に深堀してどちらの機能が優れているのか?どんな特徴があるのか調べてみました。
そして、最後の結びとして・・・地図アプリをどのように使用すればよいのか?みなさんにも考えていただきたいと思います。
国立登山研修所友の会(令和5年11月23日)総会で使用した資料を掲載します。
このコーナーの資料は、オープンにしています。 コピー等自由にしていただいて結構ですが、著作権は放棄していません。