雪は少なかったが最高の天気の双子尾根(白馬三山の東面)

【北アルプス 杓子岳双子尾根】
【2024年 5月3日~5日】
【メンバー:上田、河合、遠山、岩瀬さん(蒲郡山の会)、原さん(徳島岳連)】

連休後半に愛知・徳島の合同メンバーで、残雪の白馬三山に行きましょうということになった。国体登山競技や岳連の重鎮さんたちと飲んで登れるのがうれしい(^o^)

白馬三山の東面は無雪期は岩が脆くて登れないが、残雪期限定で登れる楽しいルートがたくさんあり、入会以来20代~40代と何度も訪れた思い出の場所。直近では15年前の2009年4月に白馬岳主稜に登って以来である。
今年の冬の少ない雪とこのところの高温で、残雪が少なくブッシュやもろい岩が出ていることが予想され、ちょっと心配。

白馬三山東面概念図(白水社 日本登山体系 後立山連峰より抜粋):緑マーキングがかつて登ったルート
(上田の白馬周辺の登山履歴は下記のリストのNo.15 白馬岳に記載しています)
https://toyokawa-ac.jp/wp-content/uploads/2023/09/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%99%BE%E5%90%8D%E5%B1%B1%E7%99%BB%E9%A0%82%E5%B1%A5%E6%AD%B4%EF%BC%88%E4%B8%8A%E7%94%B0%EF%BC%891977%EF%BD%9E2023-%E5%AE%8C%E7%B5%90%E7%89%88.pdf

 

5月2日
20時に河合宅に集合。徳島の原さんは前日から車移動で、はるばる来て頂けるのがありがたい。0時前に道の駅白馬に着き、奥の駐車場で2時頃まで入山前の宴会をやって就寝。

5月3日 快晴
今日は猿倉台地(標高1450m)まで登り1時間余りなので、ゆっくりの出発。9時半に猿倉山荘(1240m)手前の駐車場着。車は満杯で何とか駐車できた。

猿倉山荘の登山届けで、幸い前日に双子尾根を登ったという指導員の方のお話を聞くことができた。雪が少なくて下部は藪が出ていてうるさく、上部は脆い岩が出ているので十分注意とのこと。正面の長走沢(ながしりざわ)を詰めて樺平に出るルートが雪が詰まっていて登りやすいのではというアドバイス。そのルートがいいな、という話になる。1983年の新人の時の春山合宿では入山2日目に杓子尾根を登り白馬鑓をピストン後、双子尾根から長走沢を下ったことを思い出す。(次の日、白馬の主稜)

猿倉山荘

白馬尻への夏道から、白馬鑓方面への夏道沿いに進む

  

歩くこと1時間余り、11時過ぎに猿倉台地に着き、整地して2日間のテントサイトとする。


6テンと荷物用の3テンを張って、快晴の中早くも12時から宴会が始まる(^o^)

おしゃれなつまみも飛び出し、楽しい宴会が続きます(^o^)

夕飯は遠山シェフ特製の水餃子。今日は時間があるということで、山で手作りしてくれるのがありがたい。とてもおいしくたっぷり頂いた。遠山さんの食当、食材や微妙な調味、今回も素晴らしい、ありがとうございます(m_m)
19時過ぎに就寝。

5月4日 快晴
今日は双子尾根から杓子岳~大雪渓下降のアタック日。
雪が固い時間帯の未明に高度を上げようと、2時に起床、ヘッドランプを付けて3時40分に出発する。


河合君先頭で、先ずは長走沢の雪渓をめざす。双子のコルへのルート沿いに進み、明るくなって全景が見渡せるようになってからはここを離れ、徐々に急になってきた正面の長走沢の雪面から樺平(双子尾根上2120m付近)をめざす。

東の空がオレンジ色に染まり、下弦の三日月と戸隠連峰のシルエットが素晴らしい。山は夜明け、日の入り時が一番美しいといつも思う。
5時には乙妻山の左から朝日が昇ってきた。

雪の斜面もさほど急にはならず、6時30分に樺平に到着。1996年GWの白馬鑓ヶ岳の北稜はここに幕営して未明にアタックをしたのを思い出す。

樺の木を見返りながら、双子尾根の上半を登っていく。

奥双子のコル(2260m:尾根上2284mピークの隣)で小休止。杓子の東壁や白馬鑓の北稜が圧倒的に迫る。

白馬鑓ヶ岳

白馬鑓(左)と杓子岳東壁

3人の先行パーティに続き2人パーティも杓子尾根とのジャンクションピーク(2600m)を目指して登っている。中央付近がジャンクションピーク 我々もトレース伝いにトラバースや急な雪面の登高を続ける。日が差して雪の表面が腐り始めるが、下は締まった雪で登高に問題はない。

時折、シュルンド(亀裂)を回避して登り続ける

左遠景は唐松岳と八方尾根

8時半にジャンクションピークを過ぎ、小休止。登ってきた双子尾根は高度感があり、北隣の白馬岳がもっと高い。

白馬岳と手前下が大雪渓 たくさんの登山者の列


気持ちのいいナイフリッジ

右遠景は戸隠連峰、その左へ妙高、火打、焼山

その南は浅間山、八ヶ岳、南アルプスまで望めた

気持ちのいいナイフリッジや少しのハイマツ漕ぎを続けるといよいよ杓子岳が近づくが、最後は脆い岩の斜面で先行の2人はロープを出している。

我々もロープを張り、不安定な岩場を乗り越し雪面に降りる一歩が不安定で悪く、河合君がロープを出してくれたのは大正解。
雪面を少し越えると杓子岳のピークで、登頂の握手を交わす。9:55着。大雪渓などから登ってきた登山者やスキーヤーで賑わっていた。

登って来た双子尾根(右下) 左は小蓮華山から栂池への山並

雪の消えた夏道を最低コルに下り、丸山(2768m)へ登り返し、12時に村営小屋へ。

白馬岳頂上はパスして、大雪渓を下る。前半の急な斜面では60半ばを過ぎた体には大雪渓でさえ少し足を取られ、若者に追い抜かれ少々情けない(^_^;)


白馬尻小屋(毎年夏期に再建される)まで降りてくるとやれやれ。河合君が猿倉台地に戻る最短路を検討してくれて、雪が消えた長走沢の水流を避けて、沢を渡ったすぐの雪が消えた尾根伝いに猿倉台地に登り返し、14時45分に帰幕できた。

今日も快晴の中昼間から宴会、ありがたいことです。
日が傾いてテントに入り、夕飯は中華風お鍋。白菜やシメジ、牛肉など具たっぷりで絶品でした。遠山さん、ありがとう!
延々と宴会は続き、爆笑の連続でした(^o^) 原さん、河合君、ありがとうございました!
21時半に就寝

5月5日 快晴
ゆっくり6時までお休みで、最後の朝はパスタ。
晴天の3日目はのんびりと猿倉台地を楽しみながらの撤収。8時過ぎには猿倉の駐車場へ。

白馬三山(左から白馬鑓、杓子、白馬岳)、今日も素晴らしい天気

連休で早めの時間帯から空いていた大町温泉郷 薬師の湯で汗を流し、駒ヶ岳SAで昼食(みなさん、名物のソースカツ丼)を楽しみ、終始河合君の運転(ありがとう!)で15時には河合君宅に到着。
みなさん、お疲れ様でした。楽しい山行ありがとうございました! また四国へもお邪魔したいとおもいます(^o^)
久しぶりの白馬三山の東面の残雪の尾根で若い頃を思い出して懐かしく、また楽しい定着山行で、皆さんと山に行けるありがたさを感じた3日間でした。

◇登山期間中の天気:5/3、5/4、5/5 9時の天気図
期間中、移動性高気圧にしっかりと覆われ、これ以上無い好天が続きました。

◇この冬の天候
2023年12月~2024年2年:気温は全国でかなり高く、日本海側の地方の降雪量は少なかった
冬型の気圧配置が長続きせず、寒気の流れ込みが弱かった。また、2月を中心に南から暖かい空気が流れ込んだ時期があった。このため、気温は全国でかなり高く、降雪量は北日本日本海側でかなり少なく、東・西日本日本海側で少なかった。
気象庁 | 2023年〜2024年の冬(12月〜2月)の天候 (jma.go.jp)

この記事を書いた人

愛知県山岳連盟 豊川山岳会事務局
山岳上級指導員 気象予報士
NPO法人 ウェザーフロンティア東海会員

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