自転車で巡る四国遍路:前編(阿波・土佐)

【自転車で巡る四国遍路:前編(阿波・土佐)】
【2024年 5月13日~22日】
【メンバー:上田】

登山ではなく、自転車旅ですが載せさせてもらいます。
 16年前、母(当時75歳)の希望で父と3人で四国遍路の阿波1番さんから23番さんまで自家用車で巡り、お参りしました。阿波一国参りで母は大丈夫とのことだったので、いずれ自分で廻る日が来るかな、その時はできれば自転車なら廻りたいなと思ってきました。

昨年3月に母が90歳で、7月に連れ合いが62歳で急逝し、お弔いや連れ合いの習字教室のサポートが一段落した5月に二国参り(阿波と土佐)を自転車で廻る計画をしました。
 今回、5/132210日間のお遍路で、5/19までの7日間は偶然出会った同じ自転車お遍路の群馬県から来られたTさん(偶然同い年)とご一緒に廻ることができ、またお宿の方や同じお遍路さん、道中の地元の方との暖かい交流ができ感謝の気持ちでいっぱいです。道中安全を祈願したお大師さん、連れ合いと母の見守り、行っておいでと暖かく送り出してくれた家族に感謝です。秋からの後半のお遍路でも道中安全を最優先にしていこうと思っています。 

<基本計画>
・自転車での遍路で、基本的に車遍路コースを辿る
20245月(1324日)と202410月末~の2分割
・88カ所霊場紹介
https://88shikokuhenro.jp/shikoku88/

・自転車での四国遍路の下記の記事を参考
  https://www.gooko.info/blog-know-what-1007
 以下抜粋:自転車遍路は歩き遍路の3倍のスピード。一般に歩き遍路は40日以上かかりますが、初めての方で自転車なら23週間で全部まわる事ができます。通し打ちの場合(全部まわること)は1400Kmを超える長距離ツーリング。遍路道と案内されている道は階段、獣道状態も多く、自転車は基本的に走行できません。車と同じ道を通ることになるので大回りになります。高速バスは自転車積み込みが出来ません。移動時間は休憩を除いて、午前中3時間、午後4時間が限度。1日 走行50kmから70kmを目標にしてください。色々なハプニングがあります。(道に迷う、休憩時間、ご接待を受けたり、歩き遍路さんとのふれあいの時間)を考えて無理のない走行計画を。

・昨年までに3分割で歩き遍路をコンプリートした高校の同級生のM君の行程のアドバイスが参考になりました。ありがとう! 自分はとても歩きでは廻れないだろうと思います。 

<準備>
自転車:26年物の赤のフレームの自分のランドナー(タンゲのクロモリ ダブルバテッド)で、これまで50km~100kmの日帰りツーリングや峠越えのトレーニング(一部輪行:袋に入れて公共交通機関に載せる)をやってきたので、この自転車で四国遍路をすることとしました。4月中にご近所のプロショップ FIT(御油)に整備をお願いしました。(タイヤ、ブレーキシュー、チェーン交換、テイルキャリア/サイクルコンピュータ/テイルランプを新調 計\45,100也)久々の輪講での予行演習や宮路山へのヒルクライム半日トレーニングなど、自分の準備も行いました。
・宿の予約:5/13(月)早朝、奈良の実家発での行程を検討し、坂登りの負荷などを考慮して一日50~80km走行の計画で、5/13~5/18までの6日間まで宿を予約しました。宿坊があるところはなるべく宿坊(コロナで廃業多数で要確認)、お遍路宿、民宿、ゲストハウス、ビジネスホテルなど、それぞれの良さ(オーナーや同宿さんとの交流、お料理、気楽さなど)があるので、幅広く選択したのは良かったと思います。
GWなどの繁忙期は事前予約必須の感じでした。今回のようにGW明けであれば、当日朝に2~3件当たると空きがあるという程度の混雑具合でした。 

<巡回実績>5月13日~22日(10日間)

参拝寺
(番札所)
走行距離
km
走行路の状況 印象に残ったお寺、光景 宿泊場所

:電話番号

コメント
13 1,2,3,4,5 15 4番のみ山裾、他は平地 1番で袖なしの白衣を購入 寿食堂 088-694-2024
お母さんと交流
3番でTさんに声かけ、以降同行
14 6.7.8,9,10,11

17,16,15,14

53 12番の転がしは翌日に

平野部を先に廻る

6番は前回、宿坊泊 11番の藤は終了 名西旅館・花 088-644-0025 フランスのシニア女性2人と交流
15 13,12,18,19 67 13番の後、12番の山登り最後の3kmは自転車を押す

思い出に残る一日

やはり12番焼山寺が深山幽谷の趣 13番立江寺宿坊 0885-37-1019 12番で歩き遍路の女性と交流

Tさんと唯一の同宿

16 20,21,22,23 70 20番は山登りで最後は押した 21番は自転車を下に置いて、往復ロープウエー利用(21番からの下りは路面状態良くないとのことで不使用) 20番鶴林寺深山の雰囲気良かった

21番太龍寺も良かった

ビジネスホテル ケアンズ(日和佐駅前)

 0884-77-1211(素泊り)

20番でスマホを忘れそうに
17 24,25,26 90 ほぼ海岸沿い77Kmを一路、室戸岬へ さほどのアップダウンなし

思い出に残る一日

やはり室戸岬周辺の海岸風景、高台に建つ24番が素晴らしかった 民宿うらしま0887-23-1105R55沿い26番の入り口)かつお、美味! 前日追い越したMTBにパニアパックフル装備のおじさんと交流
18 27,28 71 27番は急坂の登りで押した
他はほぼ海岸沿いで快適
27番山の中のお寺は良かった 「小さなお宿 遊庵」0887-56-4408 70代のご夫婦のアットホームな宿、素晴らしかった 6周目、7周目のベテランの方と宿で交流

足摺は大月町廻りがお勧めとのこと

19 29,30,31,32,

33,34,35

84 南国市(岩崎弥太郎)高知市(龍馬)、土佐市に集まった七寺、走りやすい。35番はプチ山登り
33番手前は間違えて渡船ではなく浦戸大橋を走った(危ない) 午後からは単独に 35番手前で仁淀川横断
竹林寺は寺務所がモダン:お隣の牧野植物園はまたの機会に ゲストハウス リリアン 090-3786-991436番手前)

皿鉢(さわち)に盛られた夕食グッド!

32番から浦戸湾に向かう道路沿いの西村食堂の海鮮は豪快!

33番手前でTさん、パンク

20 36,37 107 盆地の四万十町(旧窪川町)に向かう七子峠(標高約300m)へは6kmのだらだらの登り、暑かった。

四万十市(旧中村市)は四万十川河口の街へは遠かった

37番は町中のお寺でほっと一息

ここからは海岸沿いに土佐佐賀経由

民宿さくら(中村駅横)0880-34-3062

改装され快適

中村駅前のいちもん屋で海鮮料理を頂く
21 38 112 終始R321、土佐清水港からは足摺岬往復(登り、トンネルあり)~大月町(R321

経由で宿毛へ 頑張った

38番は岬のすぐ横で素晴らしかった ゲストハウス すくもBOX
面白い宿で、ダイビングサークルのメンバーと一緒に宴会楽しかった
土佐清水のジョン万次郎資料館入り口で、おばあちゃんと懇談

ゲストハウスの漁師さん料理、very good

22 39,40 64 朝一で39番往復、続いて40番往復、正午過ぎに宿毛駅へ 今回最後の40番でお土産 14:37宿毛駅発~中村、高知、岡山乗り換え 23日帰宅予定を1日前倒しで奈良へ帰宅
合計 140 733        

 <日々の記録>

5
月13日
雨の中、弟に最寄り駅(近鉄大阪線五位堂駅)に6時過ぎに送ってもらい、輪行袋の自転車約15kgとデイパック約4kgを担いで近鉄、御堂筋線と乗り継いで、新大阪駅から岡山駅、瀬戸大橋線(マリンライナー)、高松経由(うずしお)で高徳線の板東駅まで。

乗り換えはさすがにきついが何とか1番札所の最寄りの駅までたどりつく。板東駅では台湾から来られた歩き遍路(逆打ち)の男女お二人と言葉を交わす。40日あまりで来られたとのこと、早い。生憎の雨のため、1番札所霊山寺の近くの洋食店でゆっくりお昼を頂く。
門前のお遍路用具店さんで、袖なしの白衣(上衣)を購入、小降りになってきたので13時半頃からお参りする。16年前を思い出す。
本堂でお札を入れ、般若心経を唱え、お祀りされている仏様の真言を唱え、大師堂でもお札を入れ、大師様の真言を唱える、以下略式ですが同じ作法でお参りをさせて頂く。山形から見えた年配のご夫婦とお話。

2番札所

 1.2kmと近くの2番極楽寺をお参りし、3番金泉寺で同じ自転車遍路の同年配の方と言葉を交わす。(Tさん)試しに一緒に走ってみることになる。アルミフレームのロードレーサーにサドルにバッグ、背中にはデイパックという出で立ち。
4番大日寺へのゆるやかな登りでも私より少し早くしっかり登っていかれる。

左はTさんのロードバイク

5番地蔵寺の五百羅漢像は既に閉まっていて残念。今日はここまでで私は6番さん手前の寿食堂(兼民宿)でお泊まり。70台とお見受けするお母さん始めご家族で25年営まれているとのこと。アットホームでほっこりである。

5月14日
 朝食は6時半、お家の娘さん(小学生と中学生)は既に起きていて学校の支度。
清々しい快晴の中、早苗の田んぼと遠くに四国の山々を見ながらのサイクリング、最高である。

6番安楽寺に8時前にTさんと待ち合わせて合流。今日から一緒に廻ることにする。安楽寺さん、16年前に宿坊に宿を取らせてもらったことを思い出す。
6番安楽寺                             9番法輪寺

 7番十楽寺、8番熊谷寺、9番法輪寺、10番切幡寺、少し町中を走り四国三郎吉野川の川島橋を渡り、11番藤井寺へ。前回は4月末で藤棚が見事だったが、今回は既に翠深まる季節です。

11番切幡寺の石段


四国三郎 吉野川

11番藤井寺

ここから12番焼山寺の遍路転がしの道は山道で峠越えも大変なため、自転車遍路の記録のお薦めのとおり、平野部の17番井戸寺を、Tさんとともにめざす。16番観音寺、15番国分寺、14番常楽寺と廻り、13番大日寺横の名西旅館・花に私が、隣の旅館かどやにTさんが宿泊となった。
16番観音寺

Tさんの部屋にお邪魔して、一杯やりながら翌日の12番遍路転がしのアプローチの作戦会議。自転車ではなるべくアップダウンの少ないコースを選択したい。

5月15日
7時半に13番大日寺にお参りし、県道20号、21号経由でR438(寄居コース)で順調にアプローチして、最後4km余りの急な登りに入る。荷物無し、日帰りならライドで登りたいところだが、無理をせずに降りて押すことにする。杖杉庵のいうお休み所は展望良く一休み。神奈川から来られた歩き遍路の単独の方と言葉を交わす。
Tさんと焼山寺さんの急坂を頑張る(^o^)
 

この後も少しのライドと結構な押し歩きで、12番焼山寺に到着。深山のお寺で、苔むした山門などいい雰囲気。この日はお釈迦様の命日ということで、お参りのお道具が飾られ、甘茶も振るまわれていた。

次にめざすは18番恩山寺。前日同宿のフランスのシニア女性と再会。恩山寺では地元のおじいさんと懇談。全国あちこちの橋梁工事に携わったとのこと。それぞれご苦労の人生である。
小雨が降る中今日のお宿、19番立江寺宿坊に16時過ぎに到着。Tさんとは今回唯一の同宿。宿泊者でお寺のお勤めに参列して、お楽しみの夕食で一杯。同宿の方ともいい交流ができました。

5
月16日
  7時半に宿坊の朝食。雨も上がり元気に登りの20番をめざす。鶴峠からは右へ押したり、乗ったりで鶴林寺へ。こちらも深山の雰囲気で、山門や大師堂にあってお大師さんを守ったという鶴がかわいい。危うくスマホを境内に置き忘れるところ、他の参詣の方に声を掛けていただき助かった。

短パンTシャツで高速で下っていたら体が冷えてやや不調に。
 21番太龍寺は当初、ロープウェーに自転車を乗せて、自転車で車道を下るつもりでいたが、その道が苔むすなど転倒のリスクがあるというTさんの意見に従って、自転車を下に置いて往復ロープウェーとした。尾根越のロープウエーでかつていたオオカミの像や、お大師さんの像など、境内以外の散策も楽しそう。境内は広く見所も多かった。

ロープウェイ駅からは川沿いのゆるやかな登り道で、低い峠を越えて阿南市の平野側へ。R55沿いに南下し、開放的な22番平等寺にお参りをして、JR牟岐線にほぼ沿って海岸近くを南下する。

海岸沿いの県道25号からウミガメの町 日和佐町へきれいな入り江の日和佐港を通るとようやく阿波の最後の23番薬王寺にお参り。
16年前の最後のお参りのお寺に到着。今回初めてのビジネスホテル泊まり。からだが冷えて不調になったのを日和佐駅近くのお店でしっかり頂いて休養。

23番薬王寺                    日和佐港 右の小山の上には日和佐港
NHKの連ドラ、「うぇるかめ」の舞台

5月17日
 今日は前半のハイライトと思っている室戸岬を廻り24番最御崎寺(ほつみさきじ)まで75kmまでの長い道のり。7時にTさんと待ち合わせ、コンビニで食料、飲み物を買い込んで元気にスタート、最初だけ内陸部、まもなく長い海岸沿いをR55沿いにひたすら南下する。いよいよ土佐に入り、内側に弓なりの海岸線の遙か向こうに室戸岬が見え始め、期待に胸が膨らむ。海岸沿いの岩礁に打ち寄せる太平洋の荒波や岩塔が目を倒しませてくれる。

ようやく室戸岬が近づき、岬に沈む尾根を回り込むと室戸岬。中岡慎太郎の大きな像が太平洋の荒波を見つめる。桂浜の龍馬像は有名だが、慎太郎像は知らなかった。

少し進むと24番へのつづら折りの登り。太陽が照りつけ、走ってきたからだには堪える。またまた自転車を押して汗だくになりながら3ターンほどで24番。木立に囲まれて気持ちのいいお寺。山門、多宝塔が立派。境内には牧野富太郎博士の連ドラ「らんまん」でも出てきた「ヤッコソウ」が自生するとのこと。

次の25番津照寺(しんしょうじ)は漁師さんから信仰を集めるお寺さん。狭い斜面にある境内からは海が見える。
26番は最後は急な登り。下ってすぐの今日のお宿、民宿うらしまに早めの17時に入り、久しぶりに洗濯。食事時には今日追い越したMTBで装備を満載して(おそらく総重量は2530kg?)、今日はテント泊の方と交流。自転車遍路談義に花が咲く。


5月18日
 今日もいい天気で暑くなりそう。別宿のTさんと7時過ぎに待ち合わせ、海岸沿いを27番神峰寺(こうのみねじ)に向けて出発。27番は遍路転がしで、30km程海岸沿いを走った後、海抜0から標高300m位までをジグザグに登る。途中押しや休憩(雲水さんもお休みされていた)を入れてようやく到着。やはり山の中のお寺は気持ちが良く好きである。

更に30kmあまり海岸沿いを走り、平野部に入って少し斜面を上がると28番大日寺。お参りをして17時前には今日のお宿「小さなお宿 遊庵」さん。70台のご夫婦が長年営まれる、お部屋や庭がゆったりとして気持ちのいいアットホームなゲストハウス風のお宿で、お部屋は3室のみで私含め3人で満室。Tさんはご近所の民宿泊となる。              お世話になったオーナーご夫婦と

同宿は70代の歩き遍路さんお二人で、今回が6巡、7巡目という大ベテランで関東からと仙台からきておられるとのこと。歩きお遍路談義に聞き入る。なぜ何度も廻るのかといった話はなく、こうして元気にまた出かけてこれて感謝し、自然体で楽しまれている様子がうかがえた。ただコロナでお宿の運営が大変で、道のりの長い土佐のお参りでは一部なくなってしまった貴重な宿泊地がなくなったとも言ってみえた。

5月19日
7時過ぎにTさんと合流して出発。朝、MTBの方とすれ違う。今日は時折の雨。カッパを着けて、また転倒などトラブルに注意してのゆるゆるの走行となる。岩崎弥太郎が生まれたという南国市の平野部の29番国分寺、30番善楽寺と廻り、いよいよ高知市へ。

標高約140mの五台山公園に向けて登っていく。先ず県立牧野植物園がわかりやすく出てきて賑わっている。残念ながら今回は観覧を見送り、31番竹林寺へ。お堂の他に法要を営むためのきれいな施設もあり、多角的な経営をされている様子。お堂は自然の中にたたずむ様子で気持ちが良かった。

次に南国市に再び入り32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)へ。その後は高知港のある浦戸湾に向かう砂浜に沿った気持ちのいいロード。Tさんとお昼ご飯のお店を探してようやく海鮮のドライブイン西村食堂さんへ。雨で冷えた体を温めるおうどんと鰹のたたきの海鮮丼のセットを頂き大満足。鰹一匹の海鮮定食も豪快で大人気のお店でした(^o^) 浦戸湾の渡船に自転車ごと乗る予定がアーチ状の浦戸大橋(桂浜のすぐ西側)を渡ることになり少しドキドキ。

ここでTさんを見過ごしてしまい。13時半に先に33番雪蹊寺に着いてしまう。連絡するとパンク修理中とのこと。明日はTさんは少し観光で高知市周辺におられるということで、予定通りこれでいったん別行動となり、先に進む。平野部の34番種間寺(たねまじ)を過ぎると仁淀川を渡り、土佐市に入る。

 35番清瀧寺(きよたきじ)は山の中。標高200m余りまで頑張って登って拝観時間は過ぎてはいたがお参りさせて頂く。その日に予約を入れたゲストハウス リリアンさんは36番さんの手前の福浜にあり、近づく頃にはとっぷりと日が暮れていた。時折雨が降る中、よく走った一日で大満足。
ご近所さんにお宿の場所を確認し、リリアンさんへ。オーナーさんが夕飯を待っていてくださり、ご当地名物の皿鉢にきれいに盛り付けられ、ビールで一杯。オーナーさんとの交流も楽しかった。ありがとうございました。

5月20日
 6時の朝食は歩き遍路の方お二人と。お一人は若いフランス男性。元気そうであるが、日本食はまだなれるまではいっていないよう。鰹節を自分で追加で削れて新鮮な香りを頂いた。
7時には36番青龍寺(しょうりゅうじ)到着。参道には青紫のアジサイが咲き始めていた。朝の静謐の中、本堂への階段は気持ちが良い。近くに明徳義塾高校があり、相撲留学した朝青龍がこのお寺にちなんで頂いたのがこのしこ名とのこと。

元来た橋を渡り返し、長く東西に奥深く延びる浦ノ内湾の北側の道を須崎市に向けて進む。須崎の道の駅で休憩。歩き遍路の一団の女性10名近くが歩き始められる所で、大阪ナンバーのサポート車が一台伴走している様子だった。
ここからは内陸部に入り、トンネルや上り坂が続く。四万十町(旧窪川町)は盆地にあり、標高300mを越える6kmに及ぶだらだらの坂が七子峠まで続く。日差しが強く消耗してきてゆっくりと走り途中休憩を入れようやく七子峠。

ここからは快適な下りで、道の駅 あぐり窪川で昼食で、しっかり頂く。窪川在住の大学の同級生TA君に連絡を試みるがつながらず、またの機会。四万十町の町中の37番岩本寺にお参りし、強い日差しの木陰でほっと一息。

今日のお宿は四万十市(旧中村市)の中村駅目の民宿さくらさん、まだまだ30km以上の道のりを頑張る。旧佐賀町の道の駅なぶら土佐佐賀でおばあちゃんとお孫さん連れと言葉を交わす。この道の駅は海鮮業が随一のお店が入っていて有名とのこと。再び海岸に出て、土佐白浜などの美しい海沿いの道。ようやく四万十川の支流後川を渡り、中村駅の民宿に到着。その日の朝予約で残念ながら夕食が無いので、駅南の物産館にあるレストランいちもん家で海鮮とビールを頂く(^o^) 今日は良く走りました。

5月21日
 朝6時半に民宿の朝食を頂き、宿のおかみさんと交流。7時過ぎには好天の中を、今日はいよいよ四国最南端の足摺岬をめざす。今回の旅の最後のハイライト。この日の宿を宿毛市に定め、今日明日で今回のフィナーレとするルートも定まった。

先ず四万十川の河口部の西岸国道321号線を南下する。

ゆったりと流れる仁淀川(Tさんは上流の清流探訪に昨日出かけられた様子)、清流四万十川、また別の機会に訪れてみたい。内陸に入り低い峠を越えて、土佐清水市の海岸へ。遠く足摺御崎方面がかすんで望める。

岩礁と荒波が特にきれいだった。県道27号線に入り土佐清水港から西回りで岬をめざす。途中、ジョン万次郎の生誕地の標識がある。

トンネルとアップダウンを繰り返し、ようやくのことで足摺岬につく。まず灯台の見える見晴台公園からの展望を楽しむ。はるばる走ってきた感慨に浸る。続いて38番金剛福寺にお参り。明るく開けた庭園とお堂が立派に並び、ここまで来れたことに感謝する。
足摺半島を来た道を土佐清水港まで戻り、海岸沿いにR321号で大月町を経由する。途中ジョン万次郎資料館入り口では、畑仕事休憩中の年配の女性と歓談。竜串海岸や叶崎灯台などの景勝地を楽しむ。

叶崎灯台

高知県ではたくさんの「守ろう憲法九条」の看板を見かけた。民権の地、土佐の心意気を感じた。

大月町に入り、月山神社などの海岸沿いでは無く、R321は内陸側を通り抜けていく。低い峠を抜け、下っていくといよいよ今回の最後の町、高知県宿毛市。今日もよく走った。無事がありがたい。

宿毛駅から西に2km程の漁船停泊場所のすぐ横が今日のお宿ゲストハウス すくもBOX。若いお兄さんと親戚のおじさんが海鮮など漁師料理を振る舞ってくださる。今日はたまたま大阪からダイビングクラブの若いグループ(女性5名男性1名)が同宿で、1つのテーブルを囲んで大いに盛り上がる。明日は愛南町(愛媛県南端)に潜りに行くとのこと。

ゲストハウス すくもBOXの前の停泊所

5月22日
 今日は最終日、曇りのまずまずの天気で、土佐の最終39番延光寺を往復し、反対側の伊予の最初の40番観自在寺を往復する。

40番観自在寺にて

宿毛駅に戻り、自転車を分解し輪行の準備をした上でお昼ご飯を頂く。
宿毛駅から土佐くろしお鉄道で中村駅、ここから土讃線特急で高知駅まで、高知駅から岡山駅まで土讃線特急を乗り換え、新幹線、御堂筋線、近鉄線で22時半に帰宅した。

尚、群馬のTさんはその後も自転車お遍路を続けられ、6月1日(上田の行程+10日)に88番大窪寺まで無事に廻られたとのこと。おめでとうございます! また高野山でお会いできればうれしいです(^o^)

 

<私にとってのお遍路と信仰>
 今回のお遍路は母と連れ合いのお弔いがきっかけでしたが、好きな自転車で自分と、そして自然と向かい合って走る魅力は感じていて、今回がそのいい機会という思いで出かけました。元々信仰心が厚いわけではなく、神仏や霊魂の存在を信じるものではないのですが、故人の言動(連れ合いのメモリアルブックや旅行記、日記を読むこともその1つ)と自分の来し方を振り返り、今後の生きる糧とする旅の1つとして自転車でのお遍路はいい機会となりました。
連れ合いのメモリアル記事
ブログ記事一覧|TOSHI君のブログ (ameblo.jp)

<お遍路で感じたこと、考えたこと>
 元々1人旅を覚悟していたわけですが、たまたま同じ自転車遍路のそれも同い年のTさんと一緒に廻れ、いろいろお話できたのは大変心強くありがたいことでした。人間やはり一人ではないんだ、どんなに狭い道でもそういう目を持って事に当たる限り、同行でき交流できる人はできるものだと感謝しています。またお宿でお世話になった方やお遍路道中でお世話になったり交流できた方には感謝の気持ちでいっぱいです。
目標を立てて、それを完遂するというのは時にゲーム感覚のように、時に片付け仕事のようにもなりがちですが、大変楽しい10日間でした。登山や秋の自転車遍路など、感謝の気持ちを大切に、失敗や危険を正しく恐れながら準備をしっかりして、元気でチャレンジを続けたいと思っています。

2024年6月11日(連れ合いが東京で倒れて1年の日に) 上田歳彦

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

愛知県山岳連盟 豊川山岳会事務局
山岳上級指導員 気象予報士
NPO法人 ウェザーフロンティア東海会員

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