【稲子岳南壁左カンテ】24.2.10(白井良岳)
【西暦2024年2月10~11日】
【メンバー】L.白井、中田
一昨年の秋に登った稲子岳南壁の左カンテのルート。
その時、このルートは冬季に登っても面白そうだとずっと思っていました。
今回登るにあたって調べてみると、やはりそれなり冬季でも登られています。
今月5日に関東を中心に大雪が降り、ちょっと心配もありましたが行ってみました。
10日(土)
10日の土曜日に入山。みどり池登山口の駐車場は午後とあってすでに満車状態。ちょうど一台分空いていたので停めることができました。
装備を整えすでにトレースがしっかりできている登山道を登っていきます。
2時間ほどでしらびそ小屋に到着。テント場には先客が一張りありました。
新雪を踏み固めテントを建てます。何気に今シーズン雪山でテント泊は初の自分。
しらびそ小屋は冬季でも営業してます。
みどり池登山口
しらびそ小屋手前の登山道
しらびそ小屋
テント場
当初はラッセルを予想して初日の本日に、稲子岳南壁のとりつきまでラッセルしてトレースを付けておこうと思っていましたが、新城市を出発して高速に乗ってから中田君が「あ!冬靴忘れた!」
と悲痛な叫び…
まだリカバリーできる時間だったので取りに戻り1時間ほどのロス。
そのためしらびそ小屋に着いたのが16時前、なんだかんだテントを建てて、下見に行こうと準備していると結構な雪が降りだすしまつ。
じきに暗くなるので「もういいやぁ、明日頑張ろう」っと諦めてテントに潜り込んで宴会。
宴会と言っても飲むのは自分だけ、中田君は山小屋でコーラを2本買って飲み干す。
水は小屋で無料でもらえました。一泊一人1000円、テント一張り500円で合計2500円。駐車場も無料なので黒百合ヒュッテ経由で入山するより経済的かと思います。
夜中は時折雪が降って、明日の登攀がちょっと心配になりました。
下見行く前から雪が降り続く
鍋の後の絞めのラーメン
11日(日)4:00起床—テント場出発5:30—南壁取付き7:30—登攀開始8:10—登攀終了11:00—休憩後下山11:30—テント撤収し下山13:30—みどり池登山口14:30
夜中に思ったほど雪は降り積もることは無く、積雪5㎝程度だろうか。
小屋の温度計はマイナス11度であった。八ヶ岳にしては普通だろう。歩いてラッセルしだすと暑くなりオーバージャケットを脱ぐ。
自分たちの南壁のアプローチは、5日の大雪と昨日の降雪でよく使われているトラバースのアプローチはどうせトレース無いだろうと考え、下からラッセルして取付きました。
ほとんど中田君のラッセルで2時間ほどで到着。
アプローチ中に朝日が昇り壁を照らす。青空が広がり風も穏やかでベストな天気だ。天気がいいと俄然登攀意欲も上がります。
稲子岳南壁
1P目 中田リード
末端の子尾根を10m弱登り立木で確保を作り登る。出だしのフェイスにアックスをひっかけて登るのが冬壁らしくていい。
2P 白井リード
カンテ左を登る垂直な壁が続くわけではないので楽だが、長い。
途中ハンガーボルトとが2本両サイド打たれた小クラックを登るのが難しい。自分は右に残置ハーケンを見つけ、右から回り込み登るが少々嫌らしい。
中田君は気合で直上したらしい。
ロープ45mほどでチムニーが見え。左に懸垂用の残置が散見するあたりで、岩を使って確保支点を作る。
既存の場所までロープが届いたかもしれないが、安定した場所があったのでここでピッチを切る。
3P目 中田リード
懸案のチムニーのあるピッチ。中田君は迷わず右のチムニーへ。確かに左のクラックはOWサイズで冬靴アイゼンでは登りにくそう。
兎にも角にもこのルートはハンガーボルトが至る所に打たれていて安全だけど、もうゲレンデのようでいいのか悪いのか?
4P目 白井リード
Ⅱ級ほどのピッチを20mほど進み、壁の基部で確保。
5P目 中田リード
ここもⅢ級+ほどだか最後壁を右へ回り込むところがアイゼンだと動きにくいか。
フォローする白井
3P目をフォローする白井
いろいろ講釈をたれている白井
3P目をリードする中田
セルフタイマーに間に合わない白井 奥は天狗岳東壁
スマフォで撮り直す
晴天のなか休憩して中山峠から下る登山道へ合流する。
雪道の下りは早い。膝にも優しいし適当に足を出していけばさっさと下れる。
テントを回収して荷物が重くなったが、雪道は楽だ。
しらびそ小屋の前の池は完全凍結していて湖面を歩いても大丈夫なのか足跡が湖面中央まであった。
下山途中に山岳警備隊の車両が林道奥に止めてあった。
パトロールかな?と中田君と話した。
下山後に昨晩から下山しない登山者が2名ほどいたのを知る。根石岳と天狗岳周辺で遭難死、一名は凍死したらしい。
最近妙にこの手の安易な死亡事故が目立つような気がする。
昨日から入ったのならものすごく悪天ではないのに、なんで道迷い?
雪山へ行くためのトレーニングや技術、知識が不足している人が運悪く遭難してしまうのだろう。
不運が重なると技量が足りない登山者はすぐにあの世に連れていかれてしまう。
厳しい一面が登山にはある、と言うことを忘れず自分を諫める。