豊川山岳会カナダ登山 詳細編

カナディアンロッキー(上田) 登山編
★山行名 【豊川山岳会カナダ登山 詳細編】
★年月日 【2001年7月19日~8月5日】
★メンバー【山本、梅沢、上田、宮尾】

<詳細記録:登山以外編> 
日時 :2001年7月19日~8月2日
メンバー:山本、梅沢、宮尾、上田

○7月19日(1日目)入国,移動 曇り時々晴れ
直前まで、航空券の確保でやきもきしたが、梅沢さんが1日遅れでカルガリーで合流ということでいよいよ
出発。
豊橋11時の新幹線で東京へ。成田EXP.14:03で、成田14:53着。航空券の手配業者から引き換え券のみ
を受けとっており、航空券との引き換えが必要なので早めに着くようにした。エアカナダのカウンターは無く
て全日空が扱っている。AC-3004で成田を17:45に出発。エアカナダは初めてだが、搭乗員は年配の人が
多い。きれいな若いスチュワーデスさんに世話をしてもらうのも楽しみの1つではあるが、女性がキャリアを
生かして働き続けられる環境がエアカナダにはあるということだと思う。
 1度夜になって日付変更線をまたいで同じ19日、バンクーバーに朝10:00に到着。国内線に乗り換えて、
荷物もカウンターで手続きしなおして12:30にバンクーバー出発(AC-210)。途中カナディアンロッキーを横
断するが、ほとんど雲に隠れて山は見ることができなかった。カルガリーに14:52着。
 空港を出たらまづはレンタカーの手続き。日本から予約しておいたバジェットレンタカーの事務所で手続き
をする。予約券と三人の国際免許証を提示して手続き終了。車はフォードのワインカラーのミニバンのウィ
ンド・スター。4人で荷物を載せて丁度という感じである。カルガリー郊外の大型スーパー SafeWayで1両
日の買い出しをする。:35.56$(以下カナダドル:約80円) 夕食もカルガリー郊外の中華料理店でたっ
ぷりとる。35.52$
  ひたすら西へ向うこと約1時間半、いよいよロッキー山脈の懐に入っていく。雪山は無く明るいグレーの
岩肌がきれいな山並が広がる。キャンモアでボウ川沿いの気持ちいいキャンプサイト(ボウ バレイ キャンプ
場)にテントを張る。ここは設備一切無しで、1日1張り17$。

○7月20日(2日目) 情報収集(バンフのinfo、カナダ山岳会事務所) 晴れ
朝おきると素晴らしい天気で、ボー川の南に広がるスリーシスターズの朝焼けがきれいだった。朝食後、カ
ナダ山岳会事務所近くまで散歩する。キャンモアは観光地では無いが、落ちついた生活の町である。キャ
ンプ場に戻り、車で出直してカナダ山岳会の事務所へアッシニボイン山の情報を得に出向くが、最新の情
報は無く、町のinfoか、レインジャーのオフィスで情報を得てくれとのこと。
 キャンモアのインフォに行き、まづMt.Shark Heli.へヘリコプターの電話での予約再確認。日本からメール
で予約は入れているので(クレジットカードNoを既に知らせているので、再確認ということで簡単に済む。電
話は、カードを使えるのと使えないのがあるが、コインはちょっと面倒。続いてバンフのインフォへ。しかしア
ッシニボインはBC州にあるため、BC州の現地のレインジャーへ問い合わせるようにということになった。
 この後カルガリーへ梅沢さんピックアップに行く。無事行きあえてようやく4人が合流してにぎやかになる。
梅沢さんはバンクーバー乗り換えが大変だったようだが、案ずるより産むが易しで合流できてよかったよか
った。買出しのためカルガリーのMEC(Mtn.Equipment Coop)へ行き、ガソリン、ガス缶などを購入:39.86
$ 購入のためには会員になる必要がある。(上田が登録) インタ―ネットでの購入もできる。 
例によって夕食をカルガリー郊外の台北レストランで取る。昨日よりも少しこぎれいな所で、63.11$使う。
オーダーし過ぎてお持ち帰りにしてもらう。酒屋でビール、ワイン、日本酒、コーヒー牛乳のようなリキュー
ルなどしこたま仕入れる。
 今日は電気、シャワーのあるところということで、同じキャンモアの中でもトレイラ―パークに泊ることにす
る。(電気、シャワー、ランドリー完備で22$)ここは全くの公園という感じで、林は無くサイト間も密集して
いるが設備は充実している。テント泊は少なく、キャンピングカーやトレイラ―(hook-up)の方が多そうだ。

○7月21日(3日目) バンフ周辺のハイキング:キャッスルMtn.山麓 曇り
22日から始まる登山の足ならしでハイキングに行くことにする。7時に起きて朝食を食べ、9時前に出発。
天気は曇りで下降気味である。トランスカナダハイウエィを飛ばしバンフ方面に向かう。バンフの町の手前
ではカスケードマウンテンが目の前にそびえ、その名のとおり一筋の滝が落ちている。バンフの町の後ろに
は町の象徴のような山、Mt.ランドルのピラミダルがそびえている。この周辺は下部に森林やメドゥがある
だけですぐに灰色の岩山になっている。Mt.ノーケイを過ぎると北の方には岩登りルートのあるMt.ルイ がき
れいな岩肌をのぞかせている。道が北に向きを変えると次々と2800m級の岩山が姿を現わす。穂高位の
感じだが下部まですっきりとしたきれいな山々が続く。ボウ川沿いの休憩所からは遠くに今日のお目当て、
キャッスルマウンテンの城塞が見える。ボウ川に面した西面にクライミングルートがあるようだが、ハイキン
グ道はその裏側の湖が2つある斜面に伸びている。





キャッスルマウンテンで


 トレールヘッドには休憩所兼売店がある。身軽なハイキングのいでたちでスタート。よく整備され、つづら折
になったハイキング道をゆったりと進むが。ついついトレーニングのつもりになって歩みを早めてしまう。山
本、宮尾、上田の3人は3日目で良く眠れるようになってきたが、梅沢さんはまだ2日目でまだ時差ボケで
はなかったろうか?沿道には花が目を楽しませてくれる。中でも以降もよく見かけたインディアンペイントブ
ラッシュ。高度や土壌によって(?)、オレンジ色から真紅から少し赤紫がかったものまで少しずつ色合いが
違う。1時間半程で傾斜がゆるみ1つめの湖、タワーレイクに着く。他にも数パーティと行きあって思い思い
の場所で休憩。前には湖、左には高低差400m位はある岩壁(東壁)で眺めが良い。休んでいると虫がや
ってくる。めちゃくちゃ多いわけではないが、蚊取り線香つけたり、宮尾は網をかぶったりしている。急登を
20分程歩くと上段の湖、ロックバウンドレイク。これもまたきれいで、正面はその名のとおり壁になっていて
行く手を阻んでいる。急にかき曇ってシャワーである。カッパを来てそそくさと下ることにする。
 雨でも結構登ってくる。宮尾はどんどん下って行き、後の3人はのんびりと下る。降りてきたら雨もやみ、
日も射して来た。いい気分でトレイルヘッドに到着。自転車のツアーのグループも気持ち良さそうに走って
行く。
 しばし休憩の後バンフへ取って返し、町の東のトンネルマウンテンキャンプ場にテントを張ってから(混雑す
るため)、バンフホットスプリングス(温泉)に向かう。町の南にある橋を渡って左へ車道を登って行くとホテ
ルがあり、その上に温泉がある。と言っても1人12$で、幅数m長さ15m位の小さな屋外温水プールとい
った感じで、みんな水着を来ておとなしく入っている。登山を前にのんびりできたが、大勢であるため、ちょ
っと窮屈であった。
 町へ戻る時にムール鹿を見た。置物のようでかわいい。
 登山準備の買い出しをスーパーで済ませる。共同でクッキーやら甘いものを買い、各自ではパンやチーズ、
ソーセージ類を買うが、やはりおにぎりとか馴染みの物が無いのがちょっと寂しい。買い物を済ませて出て
きらアクシデント。警察専用の停車位置に止めてしまったようで、罰金請求の張り紙。確かに、一般の駐車
だめよと書いてはあるが、不注意で見逃してしまっていた。
 バンフ トンネルマウンテンキャンプ場に戻ってきて明日の準備。そのときに上田は重大な落とし物に気付
く。何と「パスポートを紛失」してしまった。

○7月22日(4日目) ヘリで入山 +R.C.Hind Hutまで入山 曇り時々雨
 22日から24日までの詳細は「カナダ登山編:上田」参照
    標高2650m カナダ山岳会 RCハインドハット泊 (1人1泊15$)
    Mt.Shark Heliport 403-678-2883

○7月23日(5日目) Mt.アッシニボイン(3618m)頂上アタック(北稜より往復、全員登頂) 晴れ
15時間行動

○7月24日(6日目) 下山 アッシニボインロッジから25kmで車まで キャンモアのトレイラ―パー
ク泊 曇り時々雨

○7月25日(7日目) AM:洗濯、片付け  PM:バンフ観光 バンフ トンネルマウンテンキャンプ場
晴れ時々曇り
 ぐっすりと眠り、ゆったりとした朝。第1目標を終えてまずはやれやれである。朝食と洗剤が足りないので
近所のガススタンドにガソリンを補給しがてら調達に行く(ガススタンドと一緒にコンビニエンス・ストアがあ
る)。まずまずの天気で朝食の後、それぞれがシャワー、洗濯、干し物と忙しい。トレーラーパークには1
$で2分のシャワー、洗濯機、乾燥機がある。小銭がたくさん要る。25¢と1$コインが便利である。大き
な店を広げて、隣のサイトやフェンスを使ってロープを張って干し物をする。
 朝食の時に上田の重大発言。パスポートをどうもキャッスルマウンテンのハイキングで紛失したらしい。バ
ンフの警察へ届けて、以降再交付等に向けた手続きが必要だとメンバーに説明した。登山の前日21日に
分かっていたが、登山に支障が出るとまずいので、公表はこの日になってしまった。片付けが済んだ後、車
でバンフの町へ出て警察(パスポートの紛失届けと21日の駐車違反の手続き)と街中の観光をすることに
なった。
 警察に出向くと、駐車違反の罰金の支払いは市役所(Town Hall)でやってくれとのことで、宮尾、山本、梅
沢はそちらへ。上田は残って紛失手続き。混み入った話になると英語力の不足が恨めしくなる。女性の事
務員の主張は以下のとおり。
* いつ、どこの時点まで所持していたか?
* 紛失証明は本来市役所で出す。市役所の用紙がここにあるので、警察で書きますが、原紙を市役所
へ提出のこと。
ということで、キャッスルマウンテンのハイキングで紛失した旨の証明書を出してもらった。市役所へ出向い
て証明書を提出し、以降の処置のアドバイスを受ける。パスポートを再発行するか(普通、数日を要す)、渡
航書を発行してもらうか(半日~1日で可)どちらかとのこと。渡航書だと帰りのバンクーバーで手続きがで
き旅行の日程に影響を及ぼさないのでそうすることにした。とりあえづは一件落着である。
 渡航書発行の手続き:①紛失証明書 ②日本の免許証 ③航空券 ④顔写真2枚(45×35) ⑤現金34.72
$ バンフを管轄しているエドモントンの総領事館でパスポート発見の届けが出てないか直前(8/8)まで確
認した上、バンクーバー総領事館にて渡航書の発給を受ける。半日~1日で受給できる。総領事館はエド
モントン、バンクーバーとも日本語を話せる現地の人や日本人が駐在していた。
 
  昼食は諸手続きの合間にスーパーで買ったサンドイッチとジュースで済ませる。その後も単独で自然史
博物館をのぞきに言った。サスカッチ(カナダの未確認類人猿:別名bigfoot)の実物大置物が面白かった。
山の本やお土産のカレンダー等購入。 絵葉書用に日本向け切手(1.05$)を購入。
  それぞれの用事、バンフでの観光を終えて例のスーパーマーケットに集結。今夜は肉と米をたらふく食べ
たいということで、夕食はビーフステーキとジャポニカ米にする。米はまずまずうまく炊けた。ステーキは思
ったより硬かった。焚き火名人の山本さんが焚き火をふんだんにやってくれて、遅くまで話し込む。

○7月26日(8日目) 晴れ時々曇り:休養を兼ねて移動と観光:レイクルイーズ、モレーンレイク ウォータ
ーファウルキャンプ場
  バンフエリア最後の朝である。7:30起床、おじやの朝食を済ませ、11:30トンネルMtn.キャンプ場を後
にする。 バンフのポストへはがきを投函し、一路北上する。
 やはりまだ疲れが残っている感じ。キャッスルMtn.を通りすぎ北上して、レイクルイ―ズへ13:05到着。
きれいな湖水の正面に屏風のように広がるMt.ビクトリア。素晴らしい景色ではあるが、ここは観光地。雑
踏の中では感動は少ない。バンフの街中同様、日本人らしき観光客も多い。中国人らしき団体も多い。隣
の立派なホテルはキャンプ生活を続ける我々とは別世界で、ハープを演奏するお姉さんに見とれたりして
しばしゴージャスな雰囲気を楽しむ。この先、トランスカナダハイウエィ沿いにまともな食料品店はジャスパ
ーまでない(サスカチュワン・クロッシングとコロンビア氷河に簡単なものはある)ので買い出し(食料21.6
$ ビール19.2$)後、モレーンレイクの方へ車を進める。
  14:30 モレーンレイク到着。こちらの方が若干人はすくないがやはり観光地である。湖岸の入り口の左
にバベルの塔という名の岩塔が前衛としてそびえている。湖岸の右側にはレストラン、左には湖の名のと
おり50m程の高さのモレーンがあって展望台になっている。我々は左岸(右側)の遊歩道沿いにピクニック。
正面には絵はがきで有名なテンピークスの峰峰がそびえている。 特に一番左のMt.Fayの雪稜や右の
DeltaFormの岩稜は魅力的で、ガイドブックと対照しながら景色を楽しむ。持参した行動食で道端で昼食を
楽しむ。我々の次のターゲットはコロンビアアイスフィールドのエリアなのでこの地域に滞在はできないが、
テンピークスの登山や近所のMt.テンプル(3543m)はルートとしても手ごろで機会があれば登ってみたい
所である。Mt.テンプルは独立峰のような立派な山で頂上付近の懸垂氷河が白く輝いて美しい。
  15:50、車に戻って当初予定していたレイクルイ―ズのキャンプ場の受け付けをしようとしたが、熊が出
没したのでテント泊は閉鎖(キャンピングカーはOK)とのこと。受付の人がお勧めのウォーターファウルキャ
ンプ場に向けて更に北上することにする。






ハウスピーク:クロウフット氷河近く


  クロウ・フット氷河のビューポイントまで来るとハイウエイ左の峻峰の眺めが素晴らしい。Howse Peak
3290m,Mt.Chephren 3307mなどが屏風のように連なり素晴らしい場所である。18:30 ウォーターファウル
キャンプ場到着。管理人が常駐しない自己申告のキャンプ場で1張り17$。木立の間にゆったりとテント
サイトが点在する静かなキャンプ場である。
 夜は梅沢さんの手料理に舌鼓(チャーハン、クリームシチュー(キャベツ、ポテト) オイルサーディン、鮭
缶)。のんびりと休養できた。シマリス(Chipmunk)も出てきてかわいかった。

○7月27日(9日目) 移動、アサバスカ登山準備:コロンビアアイスフィールド アイスフィールドキャンプ場
晴れ時々曇り
6:40起床 朝食は例によってハンバーガー。9:40アイスフィールドへ向け出発。キャンプ場からハイウエ
イに出ると昨日午後以上の天気で、峰峰のコントラストがはっきりしてすばらしい眺めである。
11:00 サスカチュアンクロッシングは交通の要衝とあって観光客で賑やかだった。ひたすら北上し、峠に
向けたカーブを登りきるとコロンビアアイスフィールドのエリアに入る。ここはカナディアンロッキー第2の高
峰Mt.コロンビア始め、3600m以上の高峰がたくさん連なるエリア。アサバスカ氷河など数々の氷河が存
在し、北アメリカ大陸の中でも有数の氷河の面積を有している地域とのこと。
12:00 コロンビアアイスフィールドのインフォへ到着。お目当てのアサバスカ山シルバーホルンが正面左
に見え、すぐそれとわかる。白く輝いて気持ちの良さそうなルートである。我々はいったん、アイスフィールド
キャンプ場にテントを張りにいくことにする。キャンプ場ではシルバーホルンを登ってきたカナダ人が傍にい
て話を聞くことができた。雪質も良く、いい天気で楽しめたようだ。
 再びインフォへ戻り、天気予報や登山情報を収集する。バンフ、ジャスパーの天気予報(アイスフィールド
は予報無し) 明日は雨との予報で今一だが一応アサバスカ山シルバーホルンの登山届けをする。(「カナ
ダ登山概要」参照) 相談に乗ってくれたのは観光案内も兼ねている若い女性だが、きちんとした体制で登
山届に必要な事項や登山ルートの情報についても詳細な受け答えをしてくれる。
 登山を前にたっぷり食べたいということで夕食はビジターセンターの中華レストラン食事を取る。(4人で1
06$) 売店で行動食の買い出しをする(スナックとパン程度はある)。アイスフィールドキャンプ場14$。 1
6時(日本、朝6時)初めて家に電話 
 
○7月28日
(10日目) 雨のため登山中止、ジャスパーへ移動 アサバスカ滝見学 ジャスパーのツーリストホーム泊
  夜中から本降りになり、待機するものの止まずに登山中止とする。このまま粘っても回復する見通しが無
く、食料等も十分でないのでジャスパーまで北上することにする。びたびたになったテントを撤収し、イン
フォで登山キャンセルの届けをする。かなり濡れたので体制を立て直そうとのことで、宿を探す。ジャスパ
ーから更に北東1時間程度の所にあるミエテ温泉の宿は満員。ジャスパーのツーリストホーム(食事無し
の民宿)を地球の歩き方で探し、電話すると空いていたので予約する。
途中アサバスカ滝に寄るころには雨はほとんど止んでいたが雲は厚い。アサバスカ川の雨水を集めて
ごうごうと落ちていた。高度差は10m程度だが、幅と水量は相当なものだ。散策できるように遊歩道とフ
ェンスがあり、滝とゴルジュ帯を覗き込むことができるようになっている。観光客に混じって写真を取りな
がら見学する。
 Ice field park wayの本道の93号と別れ、次の目的のエディス・キャベル山のアプローチにつながる93A
を走る。本道より道幅が狭く起伏もあって時間がかかる。トレールヘッドへの入り口 を確認してジャスパ
ーへ。まずツーリストホームをしばらく探してようやく見つけた。半地下室が泊り部屋になっており、3部屋
中2部屋に分かれて入った。主人は70歳位の上品なマダム。1人30$ということでまづまづの値段だが
テント生活を続けてきた我々にとっては結構「高額」である。我々に部屋の使い方を伝えて用事に出かけ
行った。 
 片づけを済ませて情報収集と買出しに町へ出かけた。ジャスパーはバンフとは大いに異なって手ごろ
な大きさの町である。観光客向けの店も結構あるが、少し歩くと公園があったり、住民用の必要な施設
があって生活の町でもある。雨もやみ落ち着いた町並みを行くと、駅前の広場にかわいい建物のインフ
ォメーションセンターがある。ここでレインジャーの事務所(warden office)の場所を確認し、そちらへ向か
う。車でアイスフィールド方向へ3分程戻り東側(左側)に入り込むと、様様な行政サービスをしていると
思われるwarden officeがあった。エディス・キャベル山(3363m)のルート状況を知りたいというと屈強
な若いレインジャーが現れて教えてくれた。アドバイスの内容は以下のとおり
* 今年の夏は天候不順でルートの状態もあまり良くない。エディス・キャベルも上部は不安定な積雪が残
っている可能性大
* 加えてエディス・キャベルは岩質が石英質で濡れると非常に滑り易いので注意を要する
* 天候が安定しているバンフエリアの山、例えばキャッスルMtnのアルパインクライミングルートやバガ
ブーのエリアはどうか? そちらをむしろ勧める
ということで、今回はエディス・キャベルはあまりお勧めじゃないよということだった。
 町へ戻って夕食のフライドチキンとサラダを買って帰って宿でくつろぐことにする。上田は再び町に出て(宿
から5分)、土産物店でインターネット。留守本部の河合君と自宅に状況を知らせるメールを送った。久々の
屋根の下でふかふかのベッドでくつろぐことができた。例によって4人で一杯やって床についた。

○7月29日(11日目) ジャスパー観光 MTBレンタル(サタディナイトレイク往復) ジャスパー:ワピテ
ィキャンプ場 曇り時々雨
 8:00起床、9:40にチェックアウト。日本からのお土産ということで、毛筆で漢字を書いたうちわをあげた。
 依然として天候がすっきりしないが、やはり当初目標どおりエディス・キャベル山の東稜をめざすことにし、
天気待ちすることにした。インフォで天気予報を見ると30日は70%の降水確率、31日には晴れマークで比
較的良くなりそうなのでその日をアタック日とした。バンクーバー行きのバスの確認や、バンクーバーの宿
の確保など事務処理をし、町で買い物を楽しんだ後、Wapitiキャンプ場へ入る 17$。ジャスパー近郊には
更に規模が多きいウイスラーキャンプ場があるが、ワピティの方にした。林の中に広がるゆったりとしたキ
ャンプサイトで、シャワー、焚き火の竃もあってお気に入りのキャンプ場となり、ジャスパーを離れるまで5
泊することになった。
  最初の登山からブランクが大分空いて退屈してきたので、3時ごろから自転車に乗りに行こうということ
で町のFreeWheelというレンタサイクル店でフルサスペンションのMTBを借りた。3時間で28$ということ
で、 KONAというメーカーの限定仕様、ホ―チミンというなかなかいい自転車であった。周辺の地図をもら
い、アウトドアマップを持ってSaturday night Lakeへと向かった。ガイドブックでは中級コースということで林
道からいきなり傾斜のある山道へ。アウトドアマップではちゃんと自転車マークもあるため間違いは無いよ
うだ。登りのトラバースであるためとても我々の技量では乗車は無理で、押して登る。ようやく傾斜が弱まり
自転車をこぐ。段差や木の根っこを避け、連続した路面を辿るべくハンドルを操作し体重を移動する。一瞬
の気の緩みも車体を止めることになり、正に路面と自転車との格闘の連続である。足を着いてたまるかと
いう気合で何とか粘りながらペダルを踏む。体力的にも結構きつくなるが、そこは山屋の根性でトライして
いく。片斜面の水平なトラバース道を行くと女の子2人が自転車に乗ってくる。1人は血相を変えて、「大き
なムースに追いかけられて怖かった。もう向こうへ行っちゃったけど。」とのこと、見たいような怖いような。し
ばらく行くとトレールから10m程離れた所に大きなのが草を食んでいた。角は小さいので雌かも知れない
が牛ほどもあって、目を合わせないように一目山にかけぬけた。左に池を見たり平坦な道を行ったり、少し
づつ余裕が出てきて周りの景色を楽しみながら走る。Saturday night Lakeへの分岐の標識が出ていたので
みんなを待つ。宮尾、山本さんはすぐ後を着いてきた。いつも自転車通勤で慣れているせいだろうか。梅沢
さんは結構苦労しているようでなかなか現れない。4人そろって休憩し、ここからは急なので歩くことにす
る。
  数分で湖に着く。静かな湖水の横にバックカントリーキャンプ場がある。めったにキャンプを張る人がいな
いせいか、整備が行き届いているというわけには行かないが、静かである。熊よけの食料ハンガーもある。
休憩後自転車までバック。帰りは主に下りで、片斜面も多いので転倒しないように快適に飛ばす。やはりフ
ルサスのMTBならではで快適にトレールを下っていく。大きな湖Cabin Lakeで休憩し、レンタサイクル屋さ
んに6時過ぎに戻る。エキサイティングな一時でいい気分転換になった。
夕食はピンクサーモン焼きとキャベツと大根の醤油のスープ、大根とレタスのサラダで半分和風が楽しめ
た。
22時就寝

○7月30日(12日目) エディスキャベル偵察(エンジェル氷河)  晴れ時々曇り:「カナダ登山編」参照
○7月31日(13日目) エディスキャベル登山 晴れ後曇り、一時雨 14時間行動 :「カナダ登山編」参照

○8月1日(14日目)  AM:洗濯、片付け  PM:ジャスパーで買い物 曇り時々雨
朝7時起床 また、朝方キャンプ場の周りにかわいい訪問者。エルクのメスである。キャンプ場の名前ワピ
ティはエルクの別名である。日本から持ってきた赤飯のワンタッチライスとベーコンのコンソメスープにサラ
ダがうまかった。
 ジャスパーの町へ出て例によってコインランドリーで洗濯。もう慣れたもので手際がいい。洗濯の合間にイ
ンフォへ行って下山報告、入山手続きをしたお兄さんが出てきて無事帰還を喜んでくれる。昼食は中華レス
トランで久々の外食。うどん($7)で簡単に済ませる。この後は各自買い物に走る。カウチンセーターやフ
リース、Tシャツなど衣類がやはり多い。商店街の北のはずれの1つに日本人のおねえさん。買い物のアド
バイスやよもやま話をする。スモークサーモンやサーモンジャーキー、メイプルシュガーなどはバンクーバ
ーでも買えると後回しになる。あとはキャンプ場に戻ってのんびりする。
夕食はごはん、鳥の胸肉ステーキ、味噌汁(玉ねぎ、ベーコン) 共同食料$24 10:50就寝

○8月2日(15日目) ロブソンPPへ、ジャスパーの博物館 曇り時々雨
7時起床 おじやとサラダ、味噌汁。 9時出発。16号線をひたすら西へ向かう。徐々に下りとなり、まわりも
目だった高い山は見えなくなる。ブリティッシュコロンビア州に入り、10時ロブソンPPのビジターセンターへ
ついたが、カナディアンロッキーの最高峰、Mt.ロブソンは上半分が雲に隠れている。まわりに高い山が無
いだけにひときわロブソンの大きさが目立つ。下半分だけでもどっしりとした山容であることがわかる。ビジ
ターセンターに寄ってキニ―レイクやバーグレイクへのトレッキング情報などを見る。天候が良ければトレッ
キングだけでも訪れたい場所である。ますます天気が悪くなりぱらぱらし出した。ロブソンにかかるガスも更
に低くたれこめてきた。しかたが無いので12時にビジターセンターを後にジャスパーへ戻ることにする。
 1時にジャスパーに戻り、ジャスパー博物館をのぞく。例のMt.アルバータ(3619m)に1925年に日本隊(隊
長槙有恒氏)が初登頂を果たした時の装備などが展示されている。折れて離れ離れになったピッケルが近
年になって合体され展示されていた。登頂はスイス人ガイドの力によるところが大きかったのだろうが、交
通の便や装備も悪い80年も前には相当の苦労があったことだろうと思われる。町でガソリン給油 81.5L 
$61。
  キャンプ場にもどり、それぞれ帰りの片付け。登攀具やアックス類は梅沢さんが持ってきてくれたバッグ
に集結。あと1週間残る上田も登攀用の装備は日本へ持ちかえってもらうことにお願いした。最後の夕食、
最後の焚き火を楽しんで話しこむ。夜中は本降りになる。

○8月3日(16日目) 解散:宮尾、山本、梅沢、バスでバンクーバーへ:バンクーバー泊(YMCA)
曇り後雨
朝方には雨も止む。7時起床 5泊したワピィティキャンプ場最後の朝である。 朝食はスクランブルエッグと
パン。最後の片付けをして9:20出発。 車をおいてジャスパー散策。バスが12:20発とのことで、少し早い
が11:00に昼食(ハンバーガー)を取る。駅となりバス停(インフォの向かい)まで車で3人を送る。定刻通
りグレイハウンドの定期便が現れた。ゆったりとした席の配置のようで、乗車した3人を見送る。
 いよいよ、これからの1週間はたった1人。:1人旅編へ続く。

―記:上田―



この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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