秋の尾瀬を丸ごと楽しむ

■尾瀬沼~沼山峠~御池~三条の滝~見晴し~尾瀬ヶ原~至仏山~鳩待峠
■2015年10月3日(土)~4日(日)
■上田、Wさん、ORさん、Tさん

②尾瀬沼に映る燧

7月のサークルの同窓会で37年振りの旧交を温めた折に、山好きが何名かいて、秋頃にどこかへ登ろうということになった。
帰宅後2年先輩で埼玉在住のWさんから、「尾瀬の秋もいいよ!」ということで、行き場所は尾瀬に決まり何度も尾瀬に通う先輩にコースの計画をお願いした。Wさんを除き私を含む参加者が燧ケ岳は登っているけど至仏山はまだということで、上州側から入山し、片品の三平峠から尾瀬沼に下り、左大回りで沼山峠から会津バスで御池にまわりここから三条ノ滝を見て尾瀬ヶ原の東の入り口「見晴らし」の尾瀬小屋に一泊。翌日は尾瀬ヶ原を全部歩き、山の鼻から至仏山、鳩待峠に下りるという尾瀬を丸ごと楽しむプランを提案頂いた。
メンバーは男子はWさんと愛知から私、宮城からはサークルの同期のORちゃんと大学生の娘さんという新鮮なパーティ。期待に胸を膨らませながら当日を迎えた。
ところが別用で土日を東京で過ごす連れ合いと新幹線に乗った頃、山行に向かう私には非常に珍しく体調は午後から急降下。夜更かしがたたってか頭は痛いは結構寒気はするは、先が思いやられたが新幹線の中でひたすら眠る。連れ合いがNETで見つけた自然食・添加物を使わない中華料理屋さんであっさり味の野菜たっぷりラーメンとショウロンポウで暖まった後、葛根湯を飲んで大分持ち直した。
JR大宮駅でWさんに21時過ぎにピックアップ頂き、途中混んでいたものの沼田経由で片品の道の駅風の駐車場に12時半に着き、車中で即仮眠した。
◆10月3日(土)
まだ暗い中4時半に起床。数Km奥の戸倉の旅館に前夜泊したORちゃん親子をピックアップ。再会を喜ぶ。車をここから北東の大清水まで突っ込み、下山後は戸倉に置いたORちゃんの車で残置したWさんの車を回収という作戦だ。5時過ぎに白み始めた頃大清水に着き、5:30の9人乗りのワゴン(eco-bus)に乗車で標高1420m 一ノ瀬までのアプローチ。さすが人気のある尾瀬はアプローチが便利でありありがたく利用する。
天気は快晴で気温は7℃、清新な空気の中、6:05に出発である。

①一ノ瀬を出発

ブナやナナカマドなどが色づく中、三平峠1760mで休憩。展望は無いが静かな峠。15分も下ると待望の尾瀬沼(標高1660m)。尾瀬沼山荘近くの湖岸に立つとほとんど無風快晴で湖面に映る逆さ燧が見事である。湖岸の近くには少し霧も出ていい感じ。

静かな湖面に映る燧ケ岳

②尾瀬沼に映る燧 狭霧が晴れゆく③尾瀬沼の狭霧
木道をほぼ湖岸沿いに進み有名な長蔵小屋で休憩(8:05)。もちろん湖岸で4人そろってパチリ。

④尾瀬沼と燧ケ岳

長蔵小屋

⑤長蔵小屋4

ビジターセンターや明るい笑顔のお姉さんが迎えてくれる素朴なお土産屋さんなどいい雰囲気である。ここから北に5分で燧に登る長英登山道や尾瀬沼北岸の道を左に分け、大江湿原に向かう。この辺りは初夏にはニッコウキスゲがいい場所とのことだが今は一面の草紅葉の中を行く。沼山峠1781mには小さな展望台で、南面の穏やかな山並みが美しい。

⑥沼山峠5

少し下り1710mの尾瀬・沼山峠で会津バスに乗り、紅葉の山腹をトラバースしながら福島県桧枝岐の標高1500mの御池まで移動する。

⑦沼山峠バス停6

山腹に広がるブナ平が素晴らしいが紅葉はまだ少し早いようだった。

⑧ブナの平
御池でカップラーメンなどで腹ごしらえをして三条ノ滝に向けて出発。ここからは燧裏林道と呼ばれる燧ケ岳の北西面の1600m付近の山腹にひろがるいくつかの草紅葉の湿原(田代)と赤や黄色の紅葉が美しい森林が交互に現れるコース。

⑨葉の燧裏林道 上田代を行く

天候も素晴らしく北西に10km離れた平ヶ岳がどっしりとした姿を見せている。15年程前に山岳会の夏山合宿で只見川の大白沢が正面に見え懐かしい。

⑩ 平ヶ岳 裏燧と草紅葉の上田代⑪裏燧と草紅葉 きのこの名前は分からないがこれも秋の恵み⑫ 秋の恵み
兎田代分岐(1450m)でまっすぐの下り坂を1240mまで下ると轟々と落差100mで流れ落ちる三条ノ滝がいよいよ見えてくる。広い尾瀬ヶ原の水を全て集めて流れ落ちると思うとすごいなあという思いがしてくる。

⑬三条の滝で

⑭三条の滝

登り返して進むと次は平滑ノ滝で幅広く1枚岩を緩やかに流れる。沢に下りてじゃぶじゃぶと歩きたい気分になる。

⑮平滑の滝

⑯紅葉が美しい

温泉小屋や気象観測施設を過ぎると尾瀬ヶ原の東玄関「見晴らし」に到着。さすがに尾瀬沼と尾瀬ヶ原を結ぶ要衝だけあってたくさんの小屋が集まっていてさながらロッジ村といった感じ。ロケーションは素晴らしく背後には燧、尾瀬ヶ原の向こうには翌日登る至仏山が望める。

⑳見晴らしの小屋と燧

尾瀬ヶ原の向こうに明日登る至仏山

⑰見晴しから至仏山を遠望

Wさんが予約してくださった今日のお宿、尾瀬小屋の受付をして4人でゆったりとした個室に入らせてもらう。

⑱尾瀬小屋前にて

小屋の前でビールで乾杯!懐かしいサークルの頃の話、近況など話は尽きず時間の経つのを忘れる。

⑲至仏と夕日

夕焼けを楽しんだ後は小屋の夕食。山の幸、川の幸がたっぷりの夕食を楽しんだ後は、寝不足の長時間歩行もあって19時過ぎにはみなさんは就寝。私も素晴らしい星空を楽しんで20時には床に着いた。

21 楽しい夕食

 

◆10月4日(日)
4時50分起床。残念ながら雲が出ていた。6時少し前からたっぷりの朝食を頂く。雨が少しぱらつく中カッパの上衣をつけて尾瀬ヶ原の木道を6時50分至仏山に向け出発。

①尾瀬小屋の前で

長さ8Km 幅4kmの広大な湿原をほぼまっすぐに進む。

雲に隠れる燧ケ岳と麓の見晴しの小屋

②尾瀬ヶ原散策スタート

草紅葉は美しいが今日は小雨で茫洋とした感じで至仏山も中腹から上は雲に隠れて見えない。30分あまり進むと竜宮小屋。伏流水の入口と出口が近辺にあって竜宮現象と呼ばれるとのこと。
http://pacifica-inc.co.jp/dpanorama/oze200509/02_aboutoze/mysterious.html
竜宮を過ぎると池塘が増えてきてその傍らには水芭蕉の大きな葉も見えてくる。

時折遠くの白樺林に陽が指して輝いてとても美しい。

③草紅葉と池塘

④池塘と紅葉

カモちゃんが静かに泳ぐ⑤カモくん

池塘に浮かぶ落ち葉と白樺が美しい

⑥池に浮かぶ紅葉

8:50に山の鼻に到着。鳩待峠からの登山者で更に賑やかになる。コーヒーを入れて暖まりエネルギー補給していよいよ至仏山の裾野に向かってまずは平らな木道のアプローチ。雨は止み、至仏山に垂れ込めていた厚い雲も頂上近くまで上がってきたようで期待をしながら登り始める。1ピッチ目は黄色や赤く色づいた斜面を登っていく。

⑦紅葉の中を至仏山の登り

1700m位で森林限界の看板が出て、ここからは有名な蛇紋岩の中につけられた道を辿る。今年は同じく蛇紋岩の山、7月の早池峰山に続き至仏山にも来ることができた。
蛇紋岩の山 http://www.mouzuika.com/jamon.htm

⑫蛇の模様、蛇紋岩

⑧雲に煙る燧と尾瀬ヶ原

所々見晴台で休憩を取りながら登っていくと、残念ながら燧ヶ岳は上半分が雲に覆われ霞んだ姿のままであるが、朝から辿ってきた尾瀬ヶ原が眼下に広がっていく。

⑨1800m付近

尾瀬ヶ原を遠望する 大小の池塘がとてもきれい

⑩尾瀬ヶ原を見下ろす

気を取り直して蛇紋岩の道を辿ると、朝からの雨で濡れているのと段差が大きいので歩きにくく、結構消耗する。若いTさんはしっかりとした足取りでついて来るがシニアチームはマイペースで頑張る。

 

⑪蛇紋岩の登りを頑張る頂上直下で僅かに陽が射したもののすぐにガスの中に入る。

麓の紅葉がきれい

⑬きれいな紅葉を見下ろす 北に延びる岩尾根⑭頂上直下 北尾根の岩稜
ついに頂上に到着。よく頑張りました。

⑮頂上で

めいめいの行動食で生気を養い下りに入る。やはり蛇紋岩の道は歩きにくく、鳩待峠往復組も合流して結構の混雑でゆるゆると下る。

⑯鳩待峠(左上)への下り

小至仏山(2100m)を越えて下ると鳩待峠方面や日光連山方面も見えてくる。

ダケカンバと紅葉

⑰ダケカンバと紅葉

1700mより下ると蛇紋岩は無くなりのんびりと紅葉の中を下って鳩待峠に到着(15:10)。

⑱片品村
ワンボックス型のタクシーに乗り合いして戸倉まで乗車。ORちゃんの車で大清水にあるWさんの車を回収しここで解散となる。ここからはWさんの車に同乗させて頂き、混雑を避けるべく上越新幹線本荘早稲田駅まで。ここでお別れとなる。東海道新幹線乗り継ぎで豊橋経由で帰宅した。

<感想>
37年ぶりに再会した同窓会で山好きがいることを知って、今回は先輩が何度も足を運ぶ尾瀬を丸ごと楽しむことができました。
懐かしいメンバーとゆったりと木道を歩く、急な岩の道を頑張って登る、いい思い出になりました。同窓会メンバーで自然に触れたり山に登ったり、このような場を持てればいいと思う。

この記事を書いた人

愛知県山岳連盟 豊川山岳会事務局
山岳上級指導員 気象予報士
NPO法人 ウェザーフロンティア東海会員

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