「呪い」と「初パイン」の北岳バットレス

【南アルプス 北岳バットレス登攀】2018.8.3(記:中川)
【2018年8月3日~8月5日】
【メンバー】山形さん(L)、中川
【天気】晴れ
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【行程】
20180803(晴)
0600発→1000芦安→1200広河原→1330白根御池テン場→1500バットレス取り付き偵察→1800テント場
20180804(晴)
0300白根御池→0600ピラミッドフェイス取り付き→第4尾根主稜→1230登攀終了→1300北岳山頂→八本歯のコル→1530大樺沢二俣分岐→1600白根御池
20180805(晴)
0230白根御池→0530下部フランケ→0930Dガリー奥壁→1330登攀終了→1400吊尾根分岐→八本歯のコル→1500白根御池(撤収)→1550白根御池→1650広河原→1710広河原発タクシー→1800芦安駐車場→温泉→1130帰
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山形さんは「呪い」を解きに。
中川は初めてのアルパイン「初パイン」挑戦に。
それぞれの想いを胸に北岳バットレスに向かいました。

豊川山岳会では「山形さん×北岳バットレス=呪い」はあまりにも有名。初めて山行計画書を出してから実に4年、6回目の挑戦のようです。
今までは荒天のためバットレスに近づく事さえ許されていませんでしたが・・・さて「呪い」は解けるのでしょうか?

私はクライミングを始めて一年ちょっとの初心者です。ホームゲレンデの立岩でザックを背負って2段ハングをリード出来るようになるまで特訓し、その立岩までの往復を歩荷したり、岳連の確保講習会でビレイスキルを習得したり、小川山や瑞浪でクライミングをしたり・・・果たしてその成果は出るのでしょうか?

 

【20180803】広河原~BC白根御池テント場~偵察

↑山形さんの前方には北岳バットレス!
快晴で何事も無いかのように見えますが・・・
間違いなく「呪い」を背負っているはず。用心用心。

↑右奥の一等地。オレンジのテントが我が家。

↑明日に向けて偵察です。D沢を求めてトポを確認する山形さん。

今回のルートは下記の通り。
初日は③④の青いライン、二日目は⑤⑥の赤いライン。
①②は狙っていたアプローチルート。
初日は①の入り口を間違えて①よりかなり左の沢から入ってしまい迷子になりました(笑)
二日目は狙い通り①②と繋いで⑤⑥の赤いライン。

 

【20180804】ピラミッドフェース~4尾根主稜~北岳ピーク

↑クライミング初日は快晴!
アプローチに迷い・・・いったいココはどこだ?トポを確認する山形さん。
(結果的にはココは「横断バンド」。狙っていた場所でした)

↑ピラミッドフェースの出だしあたり。
(実はこの時はドコを登っているのか分かっていなかった)

↑ピラミッドフェース。余裕の笑顔ですが・・・
実は現在位置を把握出来ていない(笑)
翌日に「下部フランケ~Dガリー奥壁」を登っている時に
このルートが予定通りの「ピラミッドフェース~4尾根主稜」ということが分かった。

↑ピラミッドフェース中間あたりの山形さん。

↑4尾根主稜緩傾斜のクラックをリードしてセカンドビレイをする中川。

↑八本歯のコル方面に向かって、きっと居るであろう河合さん達に向かって
「河合さ~ん」と叫んびましたが・・・届かず。

↑河合さん、古賀さん、遠山さん達は、こんな感じでバットレスを見ながら登っていたみたいです。
あの壁のどこかに私達が居るはず。(Photo By 古賀さん)
(写真をクリックするとブログ記事◆雲上の縦走路“白根三山”を歩く◆にジャンプします)

↑これが4尾根主稜の有名なマッチ箱です。懸垂下降で20m程降りた後にマッチ箱の横を登ります。
絵になりますね。

↑マッチ箱の横を登る山形さんをビレイする中川。

↑4尾根主稜の終盤。高度感のあるリッジ。

↑4尾根主稜の終盤「枯木テラス」城塞ハング下です。

↑4尾根最終ピッチでビレイする中川。あ~楽しかった~。

↑ご褒美の景色は鳳凰三山。この日はMt.フジは見えませんでした。
いや、見えてたのかもしれませんが、振り返って景色を見る余裕無しでした(笑)

↑「呪い」から解かれ、無事登頂を果たした笑顔の山形さん。
初パインの緊張から解放されて笑顔の中川。2人とも大満足です。

↑ピークからの帰りにアプローチを再度偵察。
C沢とD沢の出合。うっすらと「D沢」と赤ペンキで書いてある。
ココを見付けられるかどうかが核心。

【20180805】下部フランケ~Dガリー奥壁

↑今日もいい天気です。「呪い」は完全に消え去りましたね。
下部フランケへのアプローチ下部岸壁(第五尾根支稜)をリードする中川。

↑下部フランケの1ピッチ目(5.10a)をサクッとリードして余裕の山形さん。

↑下部フランケの1ピッチ目(5.10a)をフォローで登る中川。
初めてのハーケン回収も経験しました。

↑下部フランケの2ピッチ目をリードする中川。楽しい~。

↑下部フランケの最終終了点へ登ってくる山形さん。
この後は草付バンドをトラバースしてDガリー奥壁へのアプローチへ。

↑Dガリー奥壁へのアプローチ起点。あそこまで行くトラバースはドキドキでした。

↑Dガリー奥壁の5級クラック~スラブをリードする中川。
5級のクラックをクリア。楽しい~。

↑Dガリー奥壁のラスト。城塞ハング下。さすが人気のルートです。渋滞に嵌りました。
バスの時間に間に合うのか?と心配しつつも余裕の山形さん。

↑プッハー!!!
登攀終了してから吊尾根分岐まで駆け上がり、八本歯のコルを経由して
白根御池テント場までトレラン。
吊り尾根~白根御池までコースタイム2.5時間のところ1時間程で到着。
私はほぼ空身、山形さんはロープ2本、ガチャたくさんのザックを背負ってのトレラン。
山形さん、荷物を背負って頂き、ありがとうございまいました。

↑すっかり「呪い」から解き放たれた背中は軽く見えますね。
白根御池テント場から広河原まではコースタイム1.5時間ですが
1時間でやっつけて無事に予約したタクシーに乗れました。

そんなこんなで、山形さんは無事に「呪い」を解き、中川は「初パイン」を楽しめました。

【感想】
私が山岳会に入会したのは、一般登山道で出くわす岩稜帯などでビビって足がすくんでしまうのを克服し、楽しく山登りが出来るようになる。でした。
それがいつの間にかクライミングに嵌りだし・・・クライミングの面白さを味わってしまうと人生狂いますね(笑)
これからも楽しいクライミングをしたいと実感した「初パイン」でした。
山形さん、お誘い頂きましてありがとうございまいた。
いろんな場所へ連れていってもらい、いろいろ教えて頂いた先輩方には感謝しかありません。豊川山岳会、イイ会です。

【後付】

何事も無く「呪い」が解かれたかのように見えますが・・・
本当はこの前週が本番だったのですが、急に湧いた台風(しかも過去に例のない東から西へ進むルート)で延期を余儀なくされ、「呪い」のチカラ見せつけられていました。やはり「呪い」には勝てないのかと半ば諦め気味でしたが、河合さん、古賀さん、遠山さん達が偶然にも白根三山縦走で北岳へ行く日程と重なったことが功を奏したのでしょう。三日間とも良い天気でした。
河合さん、古賀さん、遠山さん、ありがとうございました。

【備忘録】
核心は何と言っても下部岸壁取り付きへのアプローチです。ネットで事前に調べておいたのですが、結局現地では迷ってしまいました。
一般ルートではないので道標はありません。知ってる人に教えてもらうのが吉。
土日で行くなら日曜日は渋滞必至。帰路、芦安駐車場行きのバスは1640に終了してしまうので、17時過ぎでも広河原発に対応してくれるタクシーを予約しておくことが吉。
ちなみに日曜日は早朝1時30分に起きて2時30分に白根御池を出発し、6時前に下部岸壁に着きましたが先客有りでした。ガチャ類は前日にデポしておくのが吉。朝の準備は手早く済ませるのが吉。

この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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