北穂東稜(鼻の下ってこんなに伸びるんだ)

【分類・山域】北アルプス 北穂高岳 東稜 【記】中川
【日時】2019年8月23日(金)~8月25日(日)
【メンバー】古賀さん、冴岐さん、L中川
【天気】登攀日:晴れ

今年行きたいルートのひとつ「北穂高岳東稜」へ行ってきました。
初級バリエーションルートなので今の自分にピッタリなはず。
さらに翌日は「前穂北尾根」の予定。
ハードな計画だが、予定通りに行けるでしょうか。

【行程】(図はコチラ
8/23(金)
1930豊川→2330道の駅上宝駐車場
8/24(土)(上高地~涸沢 4H)
0430道の駅上宝→アカンダナ駐車場→0550シャトルバス→0630上高地バスターミナル→1130涸沢テント設営→1230涸沢発→1330北穂東稜分岐→北穂東稜登攀→1630北穂小屋→1700北穂山頂→1830涸沢着→テント泊
8/25(日)(涸沢~上高地 5.5H)
0330起床→0600涸沢発→0820横尾→0920徳澤→1120上高地バスターミナル→1130バス→アカンダナ駐車場→帰豊

【北穂東稜登攀記録】(分岐~北穂小屋まで3H)(図はコチラ
1330北穂東稜分岐→1400取付→1440稜線→1530懸垂→1630北穂小屋

【装備】
キャメロット#0.5、#0.75、#1、#2、#3の5本
ロープ50m
アルパインヌンチャク7本
スリング適宜(スリング(3m、5m)があると便利)
(ナッツ、ハーケン、ハンマー等は不要)
各自アタックザック
今回はロープ1本で中間者はアッセンダー若しくはタイブロック

【本文】
金晩に豊川を出て、道の駅上宝駐車場で休む。翌日朝イチのバスでは睡眠不足となってしまうので3本目のバス0550狙いで0430起床。
予定通りのバスに乗り上高地入り。
さすが上高地です。観光客、ハイカーが多く、まるで街中を散歩しているかのような賑やかさ。

↓古賀さんと上高地デビューの冴岐さん。足取り軽いです。

ほぼ平らな登山道を歩いて行くと、喉が渇く頃に小屋というか売店が現れ甘い誘惑・・・水分だけ補充して先に進みます。
標準タイムの0.8で涸沢まで順調に進めました。私は微妙に体が重かったんですが、古賀さんの安定したペースメイクのおかげで涸沢までアッという間に着けました。

↓涸沢テン場到着。テント少ないです。

涸沢に着くとテントを設営し、ひと休み。浅田代表から無理しないようアドバイスを頂いていたので、はやる気持ちを抑えて状況把握。
天気も良いし、時間も予定通りだし、三人とも多少の疲れはあるものの元気なので予定通り東稜へ向かうことにしました。

↓涸沢小屋とその奥の北穂東稜。


北穂南陵ルートを小一時間ほど行くと東稜への分岐に到着し、ガレ場をトラバースし取付に向かった。
ガレ場はそこそこ悪かったので落石に気を付けながら丁寧に進んだ。

↓北穂南稜から東稜へ向かう分岐点から目指す「ゴジラの背中」を眺む。


30分程で取付ポイントに到着したが、そこが正しい取付ポイントなのかは謎。取付・アプローチ核心を楽しめるのはバリエーションルートの醍醐味でもある。

↓取付き地点。楽しくてしかたない。

中川が取付いてはみたものの悪い・・・痛風クライマーの冴岐さんにリードをお願いして一段上に登ってもらう。
落石の嵐。「ラ~ク!」の連呼。ここは先行パーティーがいたら、近づかないのが賢明。後続パーティーは落石の危険がなくなるくらい離れてから取付くべし。若しくは違う取付きポイントから取付くべし。と。

↓稜線へ登るまではこんな感じ。ラクに注意です。

取付いて40分ほどで稜線「ゴジラの背中」に出る。風もなく穏やか。
稜線上はとにかく景色がイイです。明日登る予定の前穂北尾根がドーンと構えています。常念方面も綺麗に見えています。
さほど難しくなかったのでロープを解き、程良い緊張感を味わいつつ高度感のある岩稜帯を進みました。

↓高度感のあるナイフリッジ。

↓楽しくてしょうがない。

↓絵になる~。

↓明日行くから待ってろよ前穂北尾根!(古賀さん)

↓余裕余裕の冴岐さん。


意外とゴジラの背中自体は短く、あっという間に終わってしまいます。
ゴジラの背中の最後には残置スリングがあります。クライムダウンも出来そうでしたが、せっかくロープもあるので懸垂下降。

↓懸垂下降をする古賀さん。

懸垂下降をしてから小屋までが長い・・・

↓う~ん北穂小屋まで遠いなぁ。楽しくてしょうがないポーズを取ってる冴岐さんと古賀さん。

↓ゴジラの背中を振り返り見る中川。満足!


疲れたカラダに鞭を打ってヒーヒー言いながら登ります。ゴジラの背中を終えてから40分程でようやく北穂小屋が手の届くところに。
小屋のデッキに人が見えます。手を振っています。そして「すご~い」とか「頑張ってくださ~い」とか黄色い声が聴こえてきました。
背筋がスッと伸びて重かった脚が軽くなりスピードアップ。って前に居た古賀さんと冴岐さんは恐ろしいスピードで駆け上がって行きます。
恐るべき底力(笑)
恐るべし黄色い声(笑)

一般ルートとは違うところからデッキに上がります。そして夕飯前のまったりタイムのデッキには1000人くらいのギャラリーが居たでしょうか。(盛り上がり具合からするともっといたかも?!)

↓ギャラリーで溢れかえっている?デッキに登る冴岐さん。


暖かい拍手で出迎えられ、更にはハイタッチで祝福をしてくれました。嬉し恥ずかしです。
鼻の下を伸ばした私達はさぞやマヌケな笑顔をしていた事でしょう。その時の写真が無いのが悔やまれます。
コーラで祝杯をあげて下山。

小屋のすぐ裏には北穂ピークがあります。百名山ハンターの冴岐さんを先頭に北穂ピークで記念撮影(伸び切った鼻の下はしばらく戻りません)をして涸沢の我が家へ帰ります。

↓伸びてるね~鼻の下(笑)


さっき登ったゴジラの背中を見ながらの下山路は満足感で一杯でした。

↓北穂テン場からよく見える北穂東稜。短かったけど楽しかった。

テントに着くと荷物を整理し、夕飯を食べて、明日に備えてすぐに寝ました。
ヤマへ来るとだいたい2時間刻みで起きる私は、星空を眺めに外へ出ます。夜中はそこそこ風が強かったです。流れる雲の間から星が見えました。
テントでは電波状態がイマイチなので涸沢ヒュッテで明日の天気予報をスマホで確認します。
雨はなく晴天予報だが、風が吹きそう。結構荷物が大きいし風は嫌だな。と。

そうこうしていると起床予定時間の0330。古賀さん、冴岐さんも睡眠バッチリで心地よい目覚めの様子。
しかし、風が強い。昨日の疲れもあるし、何しろ荷物が大きい。この状態で昨日の北穂東稜より長い前穂北尾根に取り付くのは自信がないな・・・
と弱気になっていた。
幸いにも私達のすぐ上のジャンダルムに浅田代表、河合さん、遠山さんが居る。メールで稜線の状況を聞いてみた。
すぐに浅田代表から電話が入り、風は無いが小雨でガスガスとのこと。行くかどうかは体力次第。と。浅田代表アドバイスありがとうございました。(憧れのジャンダルム編はコチラ
う~む悩ましい。と思っているところにこちらも雨が降り出しました。
雨のせいにして前穂北尾根は諦めパノラマコースで下山はどうかと提案。
前日のハイタッチで満足してしまったのも、諦める要因のひとつでもありました。この時点でも思い出すと鼻の下が伸びてしまいます(笑)
古賀さん、冴岐さんには申し訳ないと思いましたが、伸び切った鼻の下を確認すると「満足」と書いてあるのでプラン変更確定!

0600に涸沢を出発しパノラマコースへ。ってパノラマコースの入口に進入禁止のロープ。古賀さんが小屋で確認すると「2日後に開通予定」と。
行けるとは思いましたが、パノラマも諦め横尾経由で帰る事に。結局は一泊二日の北穂ピストンってこと?・・・(笑)

天気も良く屏風岩がドーンと見えています。どこにルートがあるんだろう?アプローチはどこから?と盛り上がりながら横尾まで歩きます。

↓屏風岩。ココも行きたいね~。


徳澤では観光客と並んでソフトクリームを頂きました。大変おいしゅうございました。

↓楽しくてしょうがない。

登りよりもゆったりしたペースで上高地に到着。

↓ザ・観光地「上高地」(余裕で下山してきた冴岐さん、実は痛風を抑えるためにロキソニンを行動食としていました(笑))


「ひらゆの杜」で汗を流し、古賀さんオススメの「中華そば宮川」でランチを食べて帰豊。

予定していた前穂北尾根は登れず次回へ持越しとなってしまいましたが、素晴らしい一本(北穂東稜)があったので満足です。

伸びちゃった鼻の下はいつ元に戻るんだろう・・・
以上。

【メモ】
前穂北尾根について
涸沢ベースとせず奥又白池から5・6のコルアプローチするルートを考える。
上高地ー徳澤ー新村橋ー(パノラマコース)ー(中畠新道)-奥又白池ー5・6のコルー前穂北尾根ー前穂ー重太郎新道ー上高地
奥又白池~5・6のコルまでは2時間弱、前穂北尾根に6時間かかるとすると・・・朝イチのバスで行けば日帰りも可能か?
0530上高地ー0800徳澤ー0900中畠新道分岐ー1030奥又白池ー1230:5・6のコルー1830前穂ー2030岳沢ー2130上高地
日帰りは厳しそう。奥又白池泊で翌日アタック。若しくは初日にアタックして適当な場所でビバークか。
いずれにせよ荷物は極力減らしたい。30リットル程度のザックに収まるように荷物を作れるようにしたい。
岳沢小屋に泊まるならテント装備が不要となりアタックザック程度でお気軽だが、達成感に欠けるような気がする。
奥又白池泊で翌朝イチで前穂北尾根をやっつけた後に明神経由で上高地に降りるのも面白そうだ。

 

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