【熊野古道伊勢路】25.22(白井良岳)
【西暦2025年2月22~23日】
【メンバー】L.白井
今回三重県の神須の鼻のクライミングに誘われてクライミングをするつもりでいましたが、ちょっと閃き、今回のように犬連れで熊野古道伊勢路を歩くことにしました。
何年も前から愛犬と旅をしたいとずっと考えていましたが、どうしても交通の公共機関が使えない(犬を乗せてくれない)のでどうしても周回プランか往復のプランしか作れないと思っていました。
しかし、今回伊勢路は神須の鼻の近くを通っているので、22日は南の大泊からスタートして神須の鼻まで歩き、23日は尾鷲で降ろしてもらい、神須の鼻まで歩くというプランを思いつきました。
そして念願の愛犬ギンジと2日間の楽しい伊勢路を歩くことが実現できました。
一緒に行ってくれた中田くんと米倉君に感謝です。
21日(金) 新城市—車で移動—尾鷲市
仕事を終えて、バタバタと準備をします。
ギンジは自分が寝袋やらザックやら引っ張り出し準備をしだすと、「また父ちゃんはお山へ出かけるのね」と言う感じで今でくつろいでします。この時点では当の本人も出かけるとは思ってもいない様子。
キャンプやら旅行やらでギンジを連れて出かけることは今までに何回もありました。しかし、いつも出掛けるの早朝とか午前中なので、こんな夜から出かける事はいままでにありませんでした。
さて、準備も終わり「一緒にいくよ!」とギンジにハーネスを付けリードもつけ促しますが、しかしギンジは全否定し出かける気は全くありません。
こんな夜からどこへ連れていかれるやら、しかもお母さんは一緒に行かない様子に完全に警戒心マックスです。
半ば強引に玄関から引っ張り出し車に乗せました。
乗せてしまえばこっちのもの、一路尾鷲市に向かって高速道路を走ります。今回大きな寒波が入ってきていて少し天気が心配でしたが、取りあえず雪の影響はなさそうです。
22日(土) 尾鷲市—(車で移動)—伊勢路:大泊8:20—波田須の大吹峠口9:25—新鹿海水浴場10:20—二木島峠11:50—二木島駅12:30—神須の鼻14:15
尾鷲市のとある公園でテント泊し、早朝に出発します。
車で紀伊半島を南下して大泊まで運んでもらいます。大吹峠へ至る登山口に降ろしてもらい、慌てて準備をして出発。
1キロほど歩いて行動食を車に置いてきてしまった事に気づくが、諦めてどこか商店ぐらいあるだろうと思い歩き出す。
ギンジはテンションマックスでいろいろ横道をそれながれついて来ます、と言うか基本ギンジが先行して自分がちゃんと来ているか確認するとまた先行するパターンで進んでいきます。
時折、道を間違えていくので「そっちの道は違う、こっち!」っと促すと理解して正しい道を先行していきます。
道中熊注意の看板やら鈴やら目が付きます、そいうことからはギンジは最良のクマよけですが、逆に辺に刺激しないか心配でもあります。
もし、熊に出会ってしまったら全くギンジには勝ち目はないでしょう、ましてやヘタレギンジでは自分が逃げる時間稼ぎにもならない気がします、真っ先にギンジが先に逃げ出すきがします、なので最初から期待してはいません。
ここで波田須駅から歩いてきた登山者2名とすれ違いました。
波田須側の登山口へ降りるとしばらく車道を行きます。
波田須の集落は港の無い集落ですがこじんまりとした、いい集落です。
梅が花開きだしており春を感じさせます。この集落には「徐福の里」というモニュメントがあり、今回は道を間違え寄ることが出来ませんでしたが遠目にみた感じは、大きな大木が立っており、また来るときは立ち寄ってみたいです。
徐福の里の説明文を載せておきます。
秦の始皇帝の命を受け不老不死の秘薬を求め船出した徐福が漂着した所で中国文化をひろめたといわれる伝説の地です。帰国を断念した徐福は永住を決意し、やがて窯を設け、焼物を教えたと言われています。今も残る窯所、窯屋敷という地名はこのことを伝えています。この他、土木・農耕・捕鯨・医薬などの中国文明を広めたことから、当地では神として崇め手厚く祀ってきました。波田須の地名は古く「秦住(はたす)」と記され、徐福の足跡や品が数々残っていることなどから、徐福の渡来伝承の残る全国20か所以上の中でも有力とされています。またこの地域には徐福が探し求めていた不老不死の仙薬とされるアシタバや天台鳥薬の木が茂っています。徐福の宮の参道修復中に数枚の古銭が発掘され、2002年に中国の学者が鑑定したところ、中国秦の時代の古貨幣「半両銭」と判りました。「半両銭」の出土は国内でも大変珍しく貴重なものです。
テントの中でおすまし
さあ、出発だ!
綺麗に敷き詰められた石畳
熊注意の看板と鈴 このセットが何か所も設置されていました
トイレとか東屋とか駐車場がある大吹峠口
部落で2匹の犬を散歩しているおじさんとすれ違いました。2匹の犬の片方の犬が盛んにギンジに吠えてきてました。おじさんはギンジを前に「おまえ無理だぞ、やめとけ!かないっこないって。見てみろあっちの方がデケイよ、お前より。」と言いながら自分の犬をなだめていました。最初から喧嘩前提ですか…
自分は喧嘩腰というかギンジに興味があり「俺はあいつ(ギンジ)の匂いを嗅ぎてんだ!オヤジもっと近づかせてくれよ!」と訴えている様に見えました。
とうのギンジは知らんぷりでそそくさと通り過ぎていきます。ギンジの方はまったく興味はなさそうでした。
最後の民家の脇を通り過ぎるとき、なんかへっぴり腰で薪を割っている人見えました。挨拶して通り過ぎようとすると道の反対側で飼っていたニワトリさん10羽ほどがギンジに驚き蜘蛛の子を散らすように逃げていきました。
申し訳ないと思い「こんにちわ~すいませんニワトリ驚かせちゃって。」と挨拶をすると相手は30歳ほど(多分)ほどの女性でした。
彼女はちょっと驚き「あ、犬連れの人なんかはじめてかな~。ワンちゃん水大丈夫ですか?」と気遣ってくれました。
「大丈夫です、水持っていますので」と断って先へ進みました。
彼女は一人で田舎暮らしをしているのでしょうか?あんなへっぴり腰で薪割していて大丈夫かな~と思ってしまいます。
のんびりとした波田須の集落
梅の花が先やっと春を感じました
海を眺めながら
立ち寄りそびれた徐福の里の大木が見えます
閉まってました。
新鹿の港が見えてきました。海の青さが目に沁みます。ほんと南紀の海はいつも綺麗です。
風がつよく砂浜寄りを歩いきますが、あまりまったりと歩けません。
国道にもどり歩くと、商店が見えました。このお店で行動食を購入しました。
店内は小さな商店ですがそれなりに品が揃っており、満足の行く行動食の菓子パンなんかを購入できました。
ギンジを外の柱に繋いでおきましたが、ピーピー泣きながらもちゃんと待っていてくれました。
以前コンビニの前に繋いで買いをしに店内に入った時、自分の姿が見えなくなってパニックになってすっぽりとハーネスから外れ行方知らずになった事があったのでちょっと気が気ではなかったのです。しかも店内には地元の子供たちが何人も居て、先に買い物を済ませ出ていきました。ギンジは小学生や中学生が大の苦手なので、余計心配になったのです。
すっぽ抜け事件から何年もたっているし、さすがにギンジも大人になり状況は理解できているはずです。
いろいろあってギンジの尻尾は下がってしまいテンションだだ下がりです。
新鹿の集落を通り過ぎ、次は難所の逢神坂峠と二木島峠です。
逢神坂峠の登りは石畳が続く長い登となります。
以前熊野古道の大辺路を歩いてみて比較すると、圧倒的にこちらの伊勢路の方が石畳が多く整備されていると感じました。
そんな石畳の階段を登って行く途中にギンジがイタチを見つけ追いかけますが、間抜けな駄犬に捕まる訳もなく、ギンジはしきりにイタチが逃げ込んだ穴に鼻を突っ込み匂いを嗅いでいます。
そのおかげかギンジのテンションがあがり尻尾も復活!
逢神坂峠と二木島峠の間で休憩をとりました。雪が舞いだしますが、木漏れ日の間を雪がゆらゆらと舞い降りる様はなんか神々しく綺麗でした。
座って昼食をとっているといつの間にか背後から若い女性の登山者が歩いてきてました。
フリーでギンジを放していたので、「こんにちは~、大丈夫ですよ大人しい犬なので」と言うと、ギンジがスルリと彼女の足元に行きを匂いを嗅ぎます。
彼女はしゃがんでギンジをなでようとすると、すかさずギンジは彼女に腰とお尻を押し付け親愛のしぐさ。ふだんそんなに愛想のいい犬ではないのですが、時折人によって直球で初対面の人にも甘えることがあります、このスケベ犬め!
彼女は「わ~~ありがとう!」といって軽くギンジを抱擁。服装がまったく登山者らしくなく街歩きの服装できっと彼女は登山初心者で心細かったと思われます。ギンジのテンションもちょっと回復。彼女と別れ二木島を目指します。
二木島に着くと雪が本降りとなり、取りあえず二木島の駅に逃げ込みました。ちょうど電車が来たのですが、聞きなれないディーゼルエンジンの電車にギンジがビビり、ピーピーまた泣き出す。普段の散歩道に飯田線が走っていて電車には慣れていると思ったのですが…
直ぐに雪は止み、出発する。
新鹿の海が見えました
いつ来ても綺麗な新鹿の海
休憩中のギンジ この後登山女子に会う
二木島の駅で雨宿り
二木島の部落
ここからは、伊勢路を外れて国道311号を海沿いに歩き、神須の鼻の駐車場を目指します。
天気は回復し気持ちよく車道を歩いていきます。右手にずっと海を眺めながらいけるの気持ちいいいです。
途中何とも不思議なにおいがしたので調べてみると山沿いに植えられたあまり見かけない深い赤色の梅の花の匂いでした。
こいうのは歩きならではの発見ですね、車に乗っていたらなかなか気づけなかったと思います。
あと、歩いていると左手の山側へ登る山道があるのに気づきます。何の道だろうと思いグーグルマップで衛星写真で地形をみると、どうやら畑が登った先にあるようでした。
集落からだいぶ離れてますが昔の人は貴重な平地を開拓して畑として活用していたのかな~っと考えます。海沿いの町は平らな土地が少なく民家も急傾斜のところに折り重なって建てられています。今なら土地条例とかで絶対家屋の建築許可は降りないだろうな~と思います。
ココもクライミングルートがある盾ヶ崎を通り過ぎ、何とか今日のゴール地点の駐車場にたどり着きました。
ギンジも急に現れたマイカーに「あれ?なんでここに父ちゃんの車が?」って感じでしたが、ここ落ち着ける場所に来れて嬉しかったのか、疲れていたのかさっさと車に乗り込み自分の指定席のクッションの上でくつろいでいました。
広場でパシャリ
匂いが独特だった梅の花
とうちゃく~お疲れギンジ