スバリ岳西面中尾根,針ノ木雪渓スキー滑降

★山行名 【スバリ岳西面中尾根,針ノ木雪渓スキー滑降】
★年月日 【2001年6月2~3日】
★メンバー【上田(CL)、山本、宮尾】

カナダトレーニング山行の一環として、未知の岩場での実力試しと雪上での歩荷、登下降を
目的とした。
6/2 曇り一時雨,あられ
8時20分、扇沢(標高2425m)を出発し、大沢小屋を経由し、針ノ木雪渓2000m
付近のノドの沢より標高2500mの白砂のコル(スバリ岳を赤沢岳へ向け下りきったあたり)
を目指す。途中あられが降る中、登攀具とスキー道具一式で25Kgに膨れ上がった荷物を
息絶え絶えにコルまであげる。コル着、14時。天気も悪いし、疲れてやる気なしで上田さん
がちろっと口走った偵察も取りやめにする。効率の上がる方策はその場その場で考えていけば
よいと思う。例によって、3時頃から酒盛りで、山本さんも久々の急登の歩荷で疲れた様子。
寒気が入っているためか5時頃から2時間ほど雨で、先々週の奥穂南稜の時といい、いつも初
日は雨というパターンが続いている。

6/3 快晴
夜半より強風だったが、昨日の天気とは大違いだった。5時発だが西尾根と中尾根の両方の取り
付きチェックのため縦走路と雪渓をウロウロトラバースし、2時間かかった。
7時、中尾根登攀(主としてP5-P2が登攀対象)と決めP5より取り付く。ぴたりと風も止
んだ。
P5:いくつかのクラックルートをとれるようであるが、右端の登りやすそうなルートをとる。
いきなりボロボロの岩に不安を感じる。未知のルートであることによる登る価値があるのか?と
いう点、そして最低限の安全はあるのかということ。来たからには登ろうと思い、不安を感じる
箇所にはマメにキャメロットをかます。ボロ岩を45mおそるおそる登り何とかビレイオフ・コ
ール。
P4まで長い草付き斜面:上田さんがどんどん登っていく、山本さん、私とフリーで続く。
P4:40mのボロ岩ルンゼ。岩を選べば抜けないのがわかってきた。キャメロットをマメにか
ます。
P3:小ハングを左から右へと、くねくね巻きその後、まっすぐ抜ければいいところを、抜ける
岩をだまして微妙なトラバース。後続の山本さんが苦労して途中でトラバースを辞め直登してい
た。あとの人の事も考えず、申し訳ないことをした。
P2:ボロ岩をハング下まで登り避けるように右にトラバース、直上する。細かいホールドまで
欠けるもろいスラブが登場。ホールドの安全性を見つけられず、突き出した岩をレイバックで抜
ける。これはよくあるパターンで動じなかった。ボロ岩に慣れてきたのかもしれない。

登山靴でのもろい岩場は穂高の稜線他わずかであり、経験不足で苦しかった。ピッチ数が少なく
助かった。
午後、マヤクボのコル(針の木岳とスバリ岳の中間点,標高2700m)より針ノ木雪渓に向け
てスキー滑降、15Kgの荷物を背負っても気持ちよく滑れることがわかり来年からの山スキー
に期待がもてた。今期のスキーはおそらく締めくくりかと思う。

岩場は、もろい岩の集合体、ちょうど夏期の滝谷(クラック尾根)ぐらいである。スケール的にも、
標高差約300mで同じくらいか。スバリ岳西尾根主綾も同様と見た。
堅い岩であれば、3~4級であり、登山靴でも何ら問題ないが、ここの岩はもろい。どこを掴ん
だら・どこに乗ったら抜けないか?ばくちのようなところがある。怖かったら極力支点をとるべ
きだ。
装備:キャメロット#0.5,#0.75,#1,#2,#3,エイリアン3種,
ロープ9mm×50m,ユマール,脱出用ハーケン4種
―記:宮尾―

この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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