根子岳(長野県須坂市)大谷不動

★ 山行名【根子岳(長野県須坂市)大谷不動】
★ ルート名【不動裏(右・左)、本流】
★ 年月日【15年2月7日~10日】
★ メンバー【保科(ガイド)氏、内山、他3名】

《2/7》
自宅~豊橋~名古屋~(JR)~

 「急行ちくま」は指定が取れなかったので乗り込むまでは座れるかどうか不安いっぱい
だったが、空いている座席を見つけ一安心。さすがに飛び石とはい言え、休みを取れば4
連休となる週末は名古屋でほぼ満席。
 「ちくま」はよく利用するが、いつもは塩尻か松本までなので、あまりよくは眠れない
のだが、今回は終点までなので比較的よく眠ることに成功。
 長野駅に到着後、長野電鉄が動くまでの間、駅ビル内の大衆食堂で朝食をとったりしつ
つ時間をつぶし、始発で須坂駅へ向かう。
 
 
《2/8》
 (5:30)長野駅(6:30)~長野電鉄~(7:30)須坂(9:00)~(車)
~(12:00)峰の原スキー場(13:00)~大谷不動BC(17:00)
 
 須坂には7:30頃に到着するが集合時間は9:05なので待合室と駅1Fにある「ミスド」
でお茶を飲みながらすごす。
 8:40頃に保科氏と合流し荷物を積み他のメンバーが合流するのを車内で待つ間、今
山行の予定を話し地図で場所を確認。
 8:55頃に予定より早く全員が集合し車2台で林道へ向かう。助手席の私は地図を見
ながら下山予定の林道までナビ役となるが、林道手前で積雪の為車では入れなくなる。
 しばし相談の結果、ここへ1台デポし、もう1台で峰の原スキー場まで行くことにする
が、どう頑張っても5人+荷物を積めないので、やむを得ず2往復とする。12:00に
全員が出発地に集合し荷物を整える。
 4人がスノーシュー、1人がスキーで、それぞれが「そり」を引きながらの行動となる。
出発地がスキー場なのでスキーヤーの邪魔をしないように隅の方を縦列で歩き20分ほど
で林道へでる。
 ここからは単調な下り主体の林道歩きなのだが、腰からロープで引いている「そり」が
思うように動かず、みんな一苦労。
 ちょっとの坂道でひっくり返ったりするので、その度に「起こしてまた歩く」を繰り返
す。「そり」をうまく引くには、積載バランスと均等に引くのがコツなのだが、参加者全
員が初体験なのでうまく行くはずもなく、結局この日は最後まで「そり」に翻弄されるこ
とになる。「犬の気持ちが分かる」とは参加者の弁。
 事前にスキーで40分との情報があったが、こんな状況もあって、結局、4時間かかっ
てBCとなる大谷不動に到着した。
 既にテントは4張り設営されていた。暗くなり始めていたので、急いで整地し2張りの
テントを設営。食事は各自がそれぞれに作り準備ができたところでビールで乾杯した。
 夜になっても2月とは思えないほど気温が高く、「ドォーン」という音が2回ほど響く。
雷とは違う音に明日の登攀状況が心配だが、食事の後に明日登るルートを確認し
21:00就寝。

《2/9》
 大谷不動BC(9:00)~(9:20)不動裏の氷爆(14:00)~大谷不動BC(15:00)~
 
 6:00に起床。
 各自、朝食後BCでハーネスをつけて9:00に出発。
 不動裏の氷瀑へ向かう道はトレースがついていてラッセルもなく20分ほどでF1取付
へ。F1は、傾斜は緩いが45mほどある。
 このエリアに来る人ならばロープが無くても登れるだろうが、距離があるので、確保し
て登攀開始。みんな難なく越えて核心のF2取付へ。
 左右両方にほぼ垂直の氷瀑がかかっていて、その氷瀑の裏が5人ほど入れるテラス状に
なっており、一旦そこに集合。
 気温が高い場合は、雪崩の危険性も指摘されているルートなのだが、ここにいれば、安
心できるし風も当たらないので休憩場所には最適なテラスである。
 まず、最初に左側を保科氏がリードで登り、左と右の両方にトップロープをセット。ガ
イドブックによると、この滝は大谷不動の入門ルートと紹介されていて1番簡単なルート
とのことだが、それでも V級 45m のスケール。TRで順番に登るが、みんな楽々と完
登! すぐに右へ移る。
 右は VI-25m で全面垂直。私は3番目に登るが結構キツイ。
 最初の2人は3分の2を越えたあたりで、左側へ移動しながら登攀したが、私はそのま
ま直上した為垂直~ハング状となっていて苦戦つつも完登する。
 降りてきて一息つくと、「わざわざキツイ方へいくんだから」と言われるが、そんなつ
もりではなく、単に左側へ行けなかっただけである。2回目もなぜか左へ行けず、直上し
てしまった。
 トラバースが苦手なことをはっきりと認識。まぁ、TRとはいえ今まではV+までしか
登ったことが無かっただけに初のVI級を登れてとりあえずは良しとする。
 14:00に終了とし、F1を懸垂で降り15:00にBCへ帰着。

《2/10》
 大谷不動BC(8:00)~(8:40)不動裏の氷爆F2~(11:00)F3~
大谷不動BC(14:00)

 昨日と同じく6:00に起床し、8:00に出発。
 昨日、他パーティより「F1は氷結不良で登攀不可。高巻きのルートもトレースあり」
との情報を得ていたので、トレースにそって30分ほど歩くと広い雪原状のF2取り付き
へ到着。
 正面に本流F2、左岸には「右側壁の氷柱(グリーンアイス)」、右岸には崖から氷柱
が垂れ下がっていて、非常にいい雰囲気の場所である。 各自登攀準備完了後、保科氏が空
荷でリード、内山ビレイで登攀開始。
 滝の大きさがロープスケールで60m強有るため、3分の2ほど上のテラス状のところ
で一旦ピッチを切る。
 私は3人目に登って4人目が登ったところで2ピッチ目の登攀開始。2ピッチ目は垂直
の氷柱で中を水が流れていてアックスを打ち込むと太鼓の様に「ど~ん」と響くし、所々
亀裂が入るのでリードは緊張する。
 そんな状態なので2nd以下は先行者が打ち込んだ穴へのフッキング主体で登攀。F2
を抜けて膝上位の雪を一〇〇mほどラッセルしてF3へ。F3は傾斜も7~80度ほどで
20m程度(4級)でO氏がリード。
 各自が登り終えたところで昼食休憩とし、ちょっと早いが行動終了としてBCへ戻るこ
ととする。 F2の左岸に有る立木から長目のスリングを掛けて支点とし、50mダブル
で懸垂。
 下降後、ロープが抜けずみんな一瞬「登り返し?」との思いが頭をよぎるがなんとか抜
けて一安心。
 BC到着後、天気が良いので濡れものを乾かしたり道具の整理をしながら夕食までの時
間をつぶす。夕食は不動様の倉庫を利用させてもらって盛大な宴会となる。21:00就寝。

 
《2/11》
大谷不動BC(07:30)~(11:30)林道終点(12:00)

 5:00に起床し、昨夜と同じ倉庫で朝食をとった後、テント撤収。
 パッキングを済ませて7:30に下山開始。 初日と同じようにソリを引きながら林道
を下る。
 途中スキー場にデポしてある車を取りに行く2名が先行し、O氏、D氏と私の3人は
「次回はスノーモービルだな」などと話しながら、ゆっくりと5時間ほど歩いて到着。
 車に着くとビールが用意されていて電車で帰る我々3人はありがたく頂く。しばし談笑
した後に須坂駅で解散となりました。
 大谷不動は、BCまでのアプローチに多少時間はかかるものBCから各滝までは大抵
30分程度ですし、見た目もスケール的にも各種氷瀑完備で、V+~VIグレードを登れ
る人には最高のアイスクライミングエリアだと思います。
 
 
【追記】
 「不動裏の氷瀑」は、気温が高い際は、左上(左氷瀑の落ち口)からの雪崩に要注意。
 我々が行った際にもデブリが出ていたし右側を登攀中に左側上部から小規模な雪崩が
起きましたので、確保者の位置にも注意が必要です。
 本流「二ノ滝」の登攀ではピッチを切った所のビレイポイントはブッシュとスクリュー
を使用しましたが、多少の不安は有ります。少し上に行くと立木が使えるのですが、そこ
に行くまでの状態が悪いことと、確保者が多少上に登らないと届きません。60mロープ
であれば何とかなりそうです。

―記・内山―







この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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