【南東北・飯豊山】2019.7.27(上田)
【年月日】2019年7月27日~29日
【メンバー】 上田歳彦 OB 6名 、県内山岳関係 3名 (日をずらして単独入山した西村さんの晴れの写真、上田の学生時代の飯豊縦走の写真も載せてます)
学生時代の友人による夏山合宿も区切りの第10回を迎え、今回は東北の重鎮、飯豊連峰とし、その南麓、喜多方に集うこととした。いつもの大学同級生メンバー(Ko君、Ka君、N君、D君)に加え、喜多方在住の先輩Tさんと埼玉の先輩Wさん、愛知組4人の10名の大パーティとなった。私自身は学生時代の42年前の紅葉の時期に川入から入山して、本山~大日岳~北俣岳~杁差岳の全山縦走して以来の入山である。愛知組は気象予報士の先輩Itさん、シニア山岳会と愛知岳連の事務局を務めるSさん、岡崎山岳会のImさんで豊川を7月26日15時前に出発、新東名~環央道経由で東北自動車道、磐越道で西会津IC近くの道の駅 西会津へ夜半前に到着、軽く一杯やって就寝。
7月27日(土)
早朝、東京方面からの会津若松駅までの夜行バスなどで集まったメンバーを合わせて、6時過ぎに道の駅 西会津に全員集結。問題はお天気、直前に熱帯低気圧から台風に変わった6号が、近畿から東海にまさに上陸するタイミングで雨域が東北南部まで広がり、影響が出そう。ただ大荒れでは無く止み間もありそうなことから、予定通り27日に登山開始とした。道の駅近くのコンビニで買い出しし、Tさん、Ko君、上田号の車3台で弥平四郎登山口に向かう。
途中、飯豊の山並みが姿を現す弥平四郎集落には登山届のポストがあり提出。これより未舗装路 約4kmで弥平四郎登山口の駐車場。30台程度駐車可能のスペースに20台程が駐車していた。支度をして8時に出発する。
登りは西側(左側)の巻岩山コースで、初めから350mの急登となる。暑さにあえぎながらゆっくりと登るが、本格的な登山がお久しぶりメンバーにはかなりつらい。途中、美しいブナ林が潤いを与えてくれる。
ようやくのことで、尾根上の上ノ越(1260m)に11:00に到着。Tさんが持ってきてくれたご自宅のキューリの塩もみや、レモンの砂糖漬けで鋭気を養う。ここからは尾根は痩せていき、木の間からは本山から大日岳の稜線が時折望めるがガスに隠れていることが多かった。ゆっくりと進めて巻岩山を過ぎると傾斜もゆるやかな吊り尾根状になり、疣岩山手前で右から松平峠の道と合流し次に獅子沼へ下る道を左に分け、回り込むと間もなく疣岩山の頂上。(14:10着)本山から大日岳の稜線はガスに覆われているが雪渓が残る山腹が望め、三国岳の頂上にようやく三国岳避難小屋が望めた。このころから山脈の南西方面は黒い雲に覆われ、遠雷も聞こえるようになった。なだらかなアップダウンで三国岳に近づくに従い雨がポツポツ、雷鳴も近づいてきた。そそくさとカッパを着て小屋へ急ぐ。稲妻こそ見えないものの一分間に1~2回の雷鳴に緊張感は高まり、いつしゃがもうかとタイミングを考えながら何とか小屋に15時に到着。全員事なきを得た。
三国岳避難小屋は2階建てで定員50名。お一人で7月初めから9月中旬まで入山されている運営管理人の金子さんと受付をする。今日は比較的空いていて1階を我々10名でゆったりと使わせて頂く。
管理人の金子さんの腕章 山都町、今は喜多方市
程なく雨も止み日が差してきてブロッケンや時折、稜線が望める。
大日岳(左)から御西岳への稜線
きれいに見えた大日岳から本山への稜線とSさん 決まってますね!お楽しみの外での宴会に続き、17時半にはパックのご飯とレトルト(カレー、中華丼、親子丼より選択)とお味噌汁を頂く。厨房設備も無い小さな避難小屋で暖かい食事を頂けるのがありがたい。夜には再び雨が本降りになり小屋の屋根をたたいていた。
7月28日(日)
朝方~午前中に雨が残るとの気象予報士仲間のOさんの情報で、朝5時に朝食を頂き天気の様子見。いったん止み間となりそうなので6:30に出発。
山はガスの合間に見え隠れしている。しばらくは痩せた岩尾根の小さなアップダウンが続く。種蒔山は東側を巻いており尾根が広くなる。短い雪渓のトラバースを過ぎると切合小屋に8時過ぎに到着。小屋の前には雪渓から引いて水質確認もされているという水場がありありがたい。小屋の方に使わせて頂くことを一声かけるのは忘れないようにしたい。(使わせて頂いてそのまま立ち去ろうとしてしまい、お小言を頂戴することになる)
小屋を過ぎると広い尾根の斜面には傾斜のゆるい雪渓が残っており100m余りをスプーンカットの上を慎重に歩く。
左下にうっすらと虹が見えた
草履塚から本山への登り周りは様々な高山植物が花盛りで、マツムシソウの群落やクルマユリ、コバイケイソウ、チングルマ、シシウド、キキョウ、ベンケイソウなど数え切れない種類の花々が目を楽しませてくれる。
草履塚より姥権現~御秘所の岩場(ガスの右手前)
草履塚(1908m 9:40)を下ると姥権現の石像とその先に御秘所の岩場(1882mの標高点)が見える。10m余りの区間ではあるが高度感のあるナイフリッジを鎖とスタンスを頼りにを慎重に登っていく。ガスが切れて御前坂の最後の急な登りが望める。途中西風が強まり小休止。ひと登りすると本山小屋である。小屋の30m手前の左側には固有種のイイデリンドウの小さな株があり一輪だけ10mm程の青紫の小さな愛らしい花を咲かせていた。また盛りはやや過ぎているもののヒメサユリの薄いピンクが雨に濡れてとても美しかった。小屋と飯豊山神社に11:20に到着。ガスの中をゆるやかな下りと登りで20分、飯豊本山(2105m)に11:50に到着。途中の足下にはイイデリンドウの群落がたくさん見ることができたが、今日の日射不足からか、先ほどの本山小屋の手前の一輪以外は全て青紫の小さなつぼみであった。(その一輪も帰りは閉じていた(^_^;))
残念ながら頂上は一面のガスで、御西岳や最高峰大日岳(2128m)に続く飯豊ののびやかな稜線を眺めることはできなかった。本山小屋に戻り、お土産購入やカップ麺など小屋でくつろがせて頂いた。来た道をゆっくりと下るが、時折時雨れたりでなかなかカッパは脱ぐことができない。
御秘所の上から草履塚(右)
御秘所の岩場を鎖を頼りに慎重に下る
野生のイチゴ 小さいく酸っぱいがイチゴに違いないただ昨日ほど大気が不安定でないことから、雷雨の襲来は無く助かった。切合小屋であるだけの水筒に水を頂き、ようやく日差しが差してきた山並みを見ながら17:05に三国岳避難小屋に到着。昨日暑さと重荷にやられたTさんは今日は快調、一方久しぶりのWさんは膝の故障がひどくならないようマイペース歩行。
三国小屋が見えればアップダウンでもう少しいずれにしても全員登頂し無事に戻れたのがうれしい。大変お疲れ様でした。
ガスも切れ日も差してきたので例によって外で宴会、小屋のビール(700円)や持ち寄りのお酒や岡崎山岳会のIさんが持ち上げてくれたソーセージとタマネギの炒め物、さつま揚げ、みなさん持ち寄りのおつまみなどおいしく頂き、話に花が咲く。明日本山に向かうという新潟県の平均年齢74才のシニア山岳会グループや宮城・女川の男子グループなど今日は賑やかである。日が落ちてからは今日は喜多方市の花火大会が19~20時頃まであるということでスタンバイ。距離は25~30kmあるのでお月様よりも小さな花火の輪が出る程度だが、そのたびに歓声が上がる。目を南西に移すと雲の中は稲妻が時折光っていた。夜に入るとTさんの天体撮影開始。がっちりした三脚での静止撮影や、動く星を点に写すための赤道儀を装着し、木星、天の川銀河、サソリ座や夏の大三角などを狙う。月が無いため空も暗く降るような星空や流星、人工衛星も映り込んでTさんの写真に見入りながら21時過ぎまで楽しんだ。他のグループの方も参加してミニ天体観望会で交流ができおおいに楽しんだ。
以下、喜多方のTさん(高橋善樹さん)のプロ級の星の写真です。掲載させて頂きありがとうございます。
南の空の天の川(暗黒星雲がまだら模様)と木星:上には流星、中段には暗く工衛星が横切る。右下は遠雷。
天の川(銀河の中心、いて座方面)と右下は喜多方の夜景 :赤道儀による追尾撮影 60秒
夏の大三角(織姫、牽牛、白鳥)付近の銀河 中央やや右に人工衛星Tさんは22時半頃まで撮影を続けたとか。夜中1時半頃目が覚めて外に出てみたら満点の星空。既に冬の星座が登ってきていた。
★今回業務多忙でOB合宿はパスし、6日ずらして単独で入山した西村さんの写真
西村さんの行程:8月2日 弥平四郎登山口~切合避難小屋 8月3日 切合避難小屋~本山~御西岳~本山~三国岳避難小屋 8月4日 三国岳避難小屋~弥平四郎登山口
前の週のOB合宿は台風の影響もあり展望は今ひとつでしたが、梅雨明け後の西村さんの山行は最高の天候で、飯豊のたおやかな展望を楽しめたようです。写真を借用したので掲載させてもらいます(*^_^*) やっぱり晴れはいいねえ(*^-^*) ありがとう!
本山を振り返る
御西岳に向かう稜線から大日岳
御西小屋と大日岳
飯豊の固有種 イイデリンドウもいい天気で満開!
三国岳避難小屋の管理人 金子さん、優しい笑顔がいいですね!
大日岳の右に沈む夕日
7月29日(月)
4:40起床。丁度米沢盆地の向こう蔵王連峰の南あたりにたなびく雲からオレンジのご来光。
川入からの登山路、三国岳への最後の登りが剣ヶ峰の岩稜 5分下降した北側に水場あり 初日にD君、Imさんが下って汲みに行ってくれたm(__)m朝のコーヒー、小屋の朝食を頂く。お世話になった管理人の金子さんと集合写真。2日間大変お世話になりました!
さあ、下山と思ったらWさんの靴底がはがれた! Sさんが持ってきた結束バンドと靴紐で応急処置。
最後、本山ともお別れ。今度は縦走をしに来ますよ!
疣岩山への登り返し
7時に出発し、疣岩山からは祓川小屋に下る道を取る。松平峠までは標高差約350mの非常に急で砂に覆われた滑りやすい尾根。スリップに注意しながら慎重に下る。松平峠に9時半に着き休憩、ここからは尾根の西面の斜面をトラバースしながら下っていく。間もなく小沢を渡る所が登山地図上の水場で、雨の後で勢いよく流れている。おいしい沢水である。引き続き斜面のトラバースで下っていく。ぽつぽつ降り出したかと思うと大粒の土砂降りがしばらく続き、丁度祓川小屋が現れ雨宿りとする。10分程下り橋を渡り少し登り返すと駐車場に飛び出す。12:10着 3日間の飯豊山行を無事終えることができた。
◆飯豊に咲く花たち
西会津町市街に南に下り、山並みを1つ越えて東側の喜多方町の川入登山口手前の「いいでの湯」でお風呂と昼食。お蕎麦がおいしかった。Tさんの案内で、喜多方の酒蔵(大和川酒造 http://www.yauemon.co.jp/)と「新宮熊野神社 長床」(https://gokujo-aizu.com/areainfo/204)を訪れ、今日のお宿 「いいで荘」へ(http://www.sobanosato.jp/recreation/ 一泊2食 7560円~)。
夕食の宴会、部屋での二次会と、登頂を祝して楽しい会となった。 翌日朝食後解散とした。
<お天気の状況>
天気図は27日、28日、29日 09時の地上天気図。
26日~27日
26日に日本の南海上を北上する熱帯低気圧から変わった台風6号が、27日7時には三重県南部に上陸、同日午後3時頃には熱帯低気圧になったが、湿った気流の影響で近畿や東日本で局地的に激しい雨に。福島県の会津地方など東北南部でも南西からの湿った気流の影響で雨模様で、飯豊連峰でも曇り時々雨の天候となった。28日
台風から変わった熱帯低気圧は東海上に離れたが、日本列島には引き続き暖湿流が流れ込み、西~北日本では大気の状態が不安定。飯豊連峰でも霧時々雨の天候。東海地方が平年比で7日遅い梅雨明け。
29日
関東甲信で平年比で8日遅い梅雨明け。全国的に夏空が広がったが、高気圧の縁に沿って、湿った空気が流れ込んだ影響で、山間部を中心に、雷雨があった。
<感想:上田>
42年前にワンゲルの秋山合宿で入山した長大な縦走ルートの展望は叶いませんでしたが、仙台で学生時代を過ごした仲間、山岳会の仲間で飯豊本山まで登れたのはいい想い出になりました。今回10回の区切りになりますが、みなさんがこれを励みに健康で山に親しむ機会を続けられればと思います。来年は涸沢から穂高になりそうです。
おまけで、42年前の写真を当時のリーダー経由でD君が入手してくれたので、貼付けます。
1977年9月26日から10月1日までの5泊6日。 メンバーは小山、板橋、加藤、上田、上舘、中峯、徳富でした。
9/26 仙台=山都~中十五里~横峯 9/27 ~地蔵~三国~切合~本山~御西小屋 9/28 ~大日ピストン~烏帽子~カイラギ小屋 9/29~北股~門内~地神~頼母木 9/30 ~大石~杁差ピストン~地神北峰~丸森尾根~飯豊山荘(テント泊)10/1=長者原=小国=仙台
三国から種蒔山、草履塚、本山方面 (右から3番目が上田)
本山にて 手前右がリーダーの小山(おやま)さん 手前左が上田
烏帽子から本山方面を振り返る 全山紅葉だった
最後の杁差(えぶりさし)岳(後方右)ピストンを終えて頼母木山から
飯豊山荘に下山しテント泊(最終日にチラシ寿司を作る食材があった!)