【北海道:羊蹄山、十勝岳】
【年月日】2023年8月29日~30日(上田)
【メンバー】上田歳彦
百名山の98座、99座目を当初7月末で山岳会員や学生時代の友人と計画したものの、連れ合いが6月初めに倒れ7月初めに急逝したために、忌み明けの8月末に単独で北海道に行くことにした。
7月末の北海道は7/29には7名で羊蹄山真狩コースから、頂上付近で風雨の中登頂、翌日は十勝に移動したものの悪天で十勝岳登山は中止で観光と、少し残念な北海道遠征でした。
今回はお天気に恵まれて、8/29に羊蹄山、8/30に十勝岳と登ることができ、登山予備日の8/31もかつて家族旅行をした美瑛、旭川で観光ができました。
8月28日(月)
セントレアの15:30ANA便で新千歳空港に17:10到着。
途中右側に見えた富士山
陸奥湾に出た頃にお日様と反対側の雲に彩雲~ブロッケン現象を見ることができた。機影がくっきりで自分は初めて。
例年にない猛暑が北海道でも続いていたが数日前から少しだけましになった様子。
夕焼けがきれいで、彩雲とともに行く手を祝福してくれているよう
空港から少し離れたワンズレンタカーで軽のハスラーに乗車し、千歳市街経由で登山口の真狩に向かう。途中千歳市内の食堂でホッケ焼き定食を頂く。分厚い身で絶品だった。
支笏湖の南の山越えの道R453、R276経由で喜茂別町、留寿都村経由で羊蹄山南麓のまっかりユースホステルに21時半に到着。(遅れることを途中で連絡)三人部屋のドミトリーを一人で使わせて頂きゆったり! 網戸が開けてあり20℃で涼しかった。(もちろんエアコンなし、扇風機のみ)
月齢12のお月様、ほぼ南中していても低い北海道の夏の月でした。北を見ると羊蹄山のシルエットが大きかった。
8月29日(火)
4時過ぎに起床。ユースでお湯を頂き、車で数分の羊蹄自然公園の駐車場へ。5:20に気持ちのいい公園(標高390m)から出発。標高差1500mは結構のプレッシャーがある。朝焼けがすばらしかった。
登山届けを出し、緩やかに登っていく。
白樺~ダケカンバの林がとても美しい。4合目位からは傾斜も増すが、登山道はジグザグに進み歩きやすい登山道である。
ただ5~8合目は所々クマザサが登山道を覆っており、かき分けながら進む。進みにくいというほどの笹藪ではない。
日が差してきて秋の雲が美しい。ミニ羊蹄山のような尻別岳(1107m)もきれい。
7合目辺りまで来ると木の背が低くなり、空が広い。
遙か南には洞爺湖と有珠山が望める。
やがてハイマツが現れ、九合目で羊蹄山避難小屋への道を分ける。
しばらく行くと岩場の展望台で外輪山が望める。写真の中央付近のコルをめざす。
西を見ると避難小屋の向こうにニセコ連山の東端のニセコアンヌプリ(1308m)とたくさんのスキー場リフトが見える。
イワギキョウの群落がきれい
リンドウ
ウメバチソウ
オトギリソウ
外輪山に到着(9:10) 頂上は中央のやや右側の三角。お鉢の底の標高は1710m。(頂上から-180m)
天気もよくまだ早いので、左回りでお鉢巡りをする。(頂上までは岩場経由30~40分、頂上から元の地点まで45分)
岩場のアップダウンを経由して9:50に登頂。今回は連れ合いのマスコット同行です。
頂上から外輪山の西側方面(ザレ場のコルは真狩ルートからの外輪山)
写真のピークは1892.7m三角点(京極コースからの外輪ピーク)
頂上からの展望
頂上でシマリスちゃん、登場
ここからのお鉢巡りは穏やかな漫歩コース。1892.7m三角点からのなだらかな外輪山
一番大きい父釜(最大直径800m)のお鉢巡りを2/3位歩いた地点からは西隣に小さな子釜、その向こうに母釜(北山1843.4m三角点のあるお釜)が見えた。母釜を巡ってくる登山者の姿も見える。
母釜への分岐付近から 正面が真狩コースのコル
正面が頂上
下降点からは、埼玉から来て今回6日間でトムラウシ、大雪・旭岳、十勝岳、樽前山、羊蹄山と登ってきたという同年代の単独の方とお話をしながらの下り。一人で退屈していたので楽しく話しながら下る。途中15人位のガイドパーティ(バスで幌尻岳、旭岳、十勝岳、羊蹄山のツアー)を追い抜いたが、西面の比羅夫コースから朝3:30に出発、頂上往復してから左回りで真狩コースを下山。岩場を通らないので負担が少ないのかも知れない。
13:40に下山してまっかりユースまで戻ってきたら五合目から上は雲に覆われていた。
まっかり温泉で汗を流して、十勝岳方面へ先ずは札幌をめざす。R276から喜茂別町、R230を中山峠、定山渓、札幌市街地の南東側を走る。
札幌と言えば私の思い出は、就職した会社(当時ミノルタ)の札幌営業所で5月に1ヶ月間実習。宮ノ森に下宿し、同じ新人2名で週末には積丹旅行や道東旅行を楽しんだ。職場の歓迎会はジンギスカン鍋でした。今回も焼き肉屋さんでジンギスカンを頂きました。よくあるマトンと野菜を混ぜて焼く「鍋」ではなく、焼き肉の一品がジンギスカンで網焼きでした。ジンギスカン鍋は昭和の文化だったのかな?
札幌ICから三笠ICまでは道東自動車道、R116号などの山越えで富良野に入り、22:30には十勝岳登山口 望岳台に着き、テントを張って眠りについた。雲の合間に少し明るい星が望めた。
8月30日(水)
4時過ぎに起床し、ありがたいことに晴れ間が広がる中、望岳台(標高934m)を5:10に出発。右が借りたレンタカー ハスラー
羊蹄山の後、ゆっくりとお風呂に入り、しっかりとジンギスカン、ゆっくり休めて疲れはいったん回復。今日も元気に登れそうだ。
朝焼けの秋の空に、右から美瑛岳、美瑛富士、わずかにオプタテシケ山
十勝連峰、富良野岳からオプタテシケ山(更には遙かトムラウシ山)までの縦走なども楽しそう。
溶岩台地を十勝岳避難小屋に向け進む
避難小屋手前から望岳台方面を振り返る。なだらかに登ります。
登山道の右側、前十勝方面は火山活動のため立入禁止の標識
十勝岳避難小屋6:05到着 火山観測測器があります
避難小屋の左から急坂を登ると「昭和噴火口」の右手に火山景観が広がる(7:00)
昭和火口の急坂を登ると平らな火口縁のザレ道
左側はスリバチ火口 時折ガスが晴れます
1821m三角点付近から 右側の急斜面からスカイラインの尾根伝いに左の十勝岳頂上をめざす。
大半がガスに覆われていたが、時折雄大な火山景観が姿を現す。
8:06 十勝岳登頂 今日もマスコット同伴です(^o^)
前十勝付近の噴気、結構激しい。今日の登山路は終始この噴気の風下にあたり、喉がひがらくなった(^_^;)
避難小屋に下る砂礫にあるお花たち
昭和火口の北側の北向火口の斜面。下りはガスが晴れる時間が増えてきた。
気象庁の火山観測機器
今回の登山に同行したマスコット
連れ合いが手提げ鞄にぶら下げていたパンダちゃんとシェリーメイちゃん(倒れる前月の子供たちとのディズニーシーでゲット)
19年前に家族で訪れた富良野盆地、明日の観光が楽しみ。
景色を楽しみながら、19年前の家族旅行を思い出しながらのんびりと望岳台に下る。11:25
望岳台の防災シェルターは、ジオパークの説明展示や火山情報など興味深かった。
十勝岳望岳台防災シェルター | 十勝岳ジオパーク 美瑛・上富良野エリア (tokachidake-geopark.jp)
今日のお宿は、7月末の合宿でも利用したという、車で10分の吹上温泉白銀荘(一般社団法人かみふらの十勝岳観光協会)。露天風呂を早速頂く。広くて十勝連峰が見えて最高の露天風呂でした。
吹上温泉保養センター 白銀荘 (kamifurano.jp)
自炊施設は100点満点で、常連さんが時折自炊してみえた。
ただ食堂はないので、自分は白金温泉まで(車で約20分下り)おりて、おそばをたっぷり頂いた。
白金温泉の白ひげの滝
白銀荘に戻り、ドミトリーのベッドでお昼寝.。
夕方、食堂で一杯と思い、やはり一人飲みの方にお声かけをした。
茨城から来られた佐藤 実様(70歳)は、百名山完登はもとより、200名山、300名山もあと数山、各県最高峰も完登、各県の百山などの登頂、日本最低山の探索(人工だが八郎潟に何と標高0mの「山」 日本一低い山 大潟富士 | 大潟村公式ブログ おおがた散歩 (ogata.or.jp))など、ユニークな山登りを続けていらっしゃいます。私も持っていて昔時々調べた写真集「日本の山 1000」(山と渓谷社)の中では667座(2/3)以上を登頂、日本の山名がある山全体では1234座を遙かに超えて2345座(重複無し)に迫るとのこと。日本国中山だらけで貴重なお話をお聞きすることができた。2時間にわたり話が弾みこれからのそれぞれの山登り談義を楽しんだ。
後日、これまでの膨大な登頂記録の表の資料を頂戴した。ご関心のある方には共有可能と伺っているので、ご興味のある方はご連絡ください。その資料の一端を掲載させて頂きます。
上田の96座までの登頂記録
深田百名山登頂履歴(96座途中)& 山の天気と海外登山のスライド | 豊川山岳会 (toyokawa-ac.jp)
8月31日(木)
今日は美瑛、旭川観光と決めて、朝の露天風呂を楽しんだ後、8時に白銀荘を出発。
先ずは美瑛の「四季彩の丘」でお花畑を楽しんだ。ラベンダーは終わり、クレオメ、ペチュニア、ケイトウ、ダリア、これからのキンギョソウ、コスモス、コキアなど色とりどりの花畑と青空、登ってきた十勝連峰(頂上はガス)の景色が素晴らしく、家族旅行を思い出した。
「ケンとメリーの木(ポプラ)」は懐かしく、近くの「北西の丘展望公園」でも丘の町 美瑛町を楽しんだ。
蕎麦の花は終わりがけ、これから実をつけておいしい蕎麦ができるかな?
その後は一路旭川へ、先ずは旭川ラーメン。「特一番 動物園通り店」で旭川の醤油味を頂いた(^o^)
旭川市旭山動物園は、昔閑古鳥が鳴いていた動物園を一躍有名にした小菅元園長。ドラマや映画にもなり、小菅さんは今もNHK子ども科学電話相談で楽しい解説をされている。
旭山動物園は展示動物の種類こそそれほど多くないものの、わかりやすい展示方法、モグモグタイムでの生態の見学、環境保護や動物愛護の考え方が貫かれていて、素晴らしかったです。北海道の動物(ヒグマ、エゾシカ、ワシ類、フクロウ類)などの展示や生態の説明、人間との共生の課題についての説明もとても丁寧で良かったです。
手がすごく大きく、力が強そうな「森の人」オランウータン
アムールヒョウのおやつタイム
おやつは鶏の頭やオスのニワトリの雛:廃棄せず命を無駄にしません
オオカミ君三頭も個性があります夜走っていて時々見かけたエゾシカ君 立派な角です
2017年の旭岳~トムラウシ縦走の忠別小屋で50m程の距離で、雪渓を猛スピードで下るヒグマ君を見ました。近くで見ると大迫力です。
木の枝でおやつをたぐり寄せる若いチンパンジー
1つゲットしてもそれをすぐ食べるのでは無く、2つめ、3つめをたぐり寄せようとします。
人間のようにちょっと欲張り(^o^)チンパンジーの筋肉、筋力すごい
オオワシ、王者の風格があります
ワシミミズク
最後はやはり家族旅行で訪れた「川村カ子ト アイヌ記念館」に再訪。
副館長の川村久恵さんにお尋ねしたところ、本年7月に新装開館されたとのこと。
記念館の歴史 of 川村カ子トアイヌ記念館公式ホームページ (k-aynu-mh.jp)
川村カ子ト記念館副館長 川村久恵さん(52) | 北海道新聞 旭川支社 + ななかまど (hokkaido-np.co.jp)
左側が旧記念館
先々代の館長 川村カネトさんは測量技師で、昭和初年飯田線の前身の三信鉄道の敷設に貢献した方。
豊橋でも合唱劇 カネトが上演されている。
飯田線を切り開いたアイヌの測量技師 | NHK
この後、道央道を走り、岩見沢で降りて北海道のおいしいネタの回転寿司を頂く。長沼町の「道の駅 マオイの丘公園」でテント泊をし、雨の中の翌日午前中、新千歳からセントレアへ移動し帰宅した。
今回は当初予定からの延期の遠征となり、シンプルに羊蹄山と十勝岳の登頂と無事に帰宅することを目的とした北海道行きとなったが、天気に恵まれ懐かしい場所の観光もできて思い出深い旅となりました。
9/8~9/10に予定し100名山目となる水晶岳(雲ノ平~水晶岳~黒部五郎岳)も、クラブのメンバー、大学OBの友人と安全に楽しんできたいと思います。
【登山日の天気状況】
8/29、8/30の地上天気図を掲載します。
両日とも概ねサハリンにある高気圧に覆われ晴天となりました。
8/30は南寄りの湿った風で山頂付近が霧に覆われる時間が多かったです。