2024年12月26日 ~ 2025年1月1日
メンバー ダイチ(他)、ショウト(他)、塚本(豊川山岳会) (敬称略)
記録 塚本
年末年始にクライミングツアーに行く予定だったが、相方の佐藤が実家に帰省するとのこと。どうするか迷っていたところ、ダイチ、ショウトの2名と鳳来鬼岩で遊んだ帰りに大堂海岸に行く計画を立てていると聞き、仲間に入れてもらうことに。大堂海岸は高知の南端にある岬。クラッククライミングのエリアがある。私は普段は鳳来でフェースクライミングをやっているがクラックは完全な初心者で、どうなることか不安な状態。上級者のダイチ、ショウトに連れて行ってもらう形だが、せっかく行くならトップロープだけでなくリードでも登りたい。ダイチの友人が大阪から3名、現地で合流する形。車は豊橋組1台、大阪組1台の計2台、計6名のチーム。
12月26日 夕方17:00 ダイチの自宅集合。ダイチの車に荷物を載せて出発。高速道路をなるべく使わずに下道を走る。
12月27日 6:00頃 大堂海岸の駐車場着。大阪組と合流。日の出前で風が強く寒い。そのまま大堂海岸モンキーエリア前の駐車場へ移動。アプローチは踏み跡をたどって下るだけ、途中悪い箇所はロープが張ってある。尾鷲の神須の鼻のような懸垂下降、登り返しがなく、初日のアプローチとしては最高。岩場は日が良く当たり暖かい(写真1, 2)。
(写真1)
現地に到着して準備が終わると皆いつもの相方と登り始めるが、私はダイチ以外とはほとんど初対面。しかも初めてのエリアでトポさえ持ってない。大堂海岸トポは最近出版されたそうだが、既に売り切れで入手出来ない。日和見していたら大阪組の斉藤さんが「登るならビレイしようか?」と言ってくれる。正直にクラック初心者であること、リードはまだ自信がないことを伝える。上級者のグループに入れてもらって、ツアー最終日まで面倒を見てもらう気では来ていないが、やはり事故だけは避けないとならない。斉藤さんが先に登ってもらってからどうするか決める方針にする。斉藤さん、モンキーステップ 5.6を登って降りてきてから、「これはリードで登った方が良い」。私もリードで登ってRP。次に斉藤さん、スーパークラック 5.9 を登り、トップロープ支点を作る。私、トップロープをノーテンションで登る。感想を聞かれたので、私「楽しく登れました。」。斉藤さん「じゃあ、次はリードだね。」。次は斉藤さん、うず潮 5.8 を登る(写真3)。
斉藤さんのカムセットを真似して最小限のカムでリードトライ。途中で弾切れ起こしそうになり、クライムダウンしてカム回収しながら何とかRP。遠征中の課題でRP出来たのは嬉しい。斉藤さん、モンキールーフ 5.10a (写真4)トライ。私もトライしたが、初めてのルーフクラックで撃沈。カムエイドでトップアウトして回収。
(写真4)
もんきーステップ 5.6 RP
スーパークラック 5.9 Tr RP
うず潮 5.8 RP
モンキールーフ 5.10a TO
12月28日 東のエリア。アプローチ30分、懸垂下降20m、登り返しあり。ルーフワイドの珍しい課題、黒い悦び 5.11a(写真5、6)が本日のメインディッシュ。私には厳しすぎるので、近くにある適当な課題で遊ぶ。
(写真5)
(写真6)
石鯛 5.8(写真 7)をピヨ子が登りカムで終了点を作る。このエリアは終了点がないので、自分で終了点を作りクライムダウンしながら回収するようだ。終了点を借りて私もリードで登りRP。ルーフクラックの青い悦び 5.9 を斉藤さんが登り終了点を作ってくれる。ルーフクラックが苦手な私はトップロープでノーテンションで登る。黒い悦び 5.11aはダイチ、渾身のトライでRP。気持ち良く終了。その後は、青い悦びの回収便でダイチ、ショウトが登りカム回収。最後はクレオパトラ 5.11a(写真8)を斉藤、ピヨ子、原、ダイチ、ショウトの4名で遊び始めるが、登り返しがあるので、私は先に撤収。ダイチ、ショウトは夕方最後まで残り、クレオパトラ 5.11a RPしてからヘッドライト下山。
(写真7)
(写真8)
石鯛 5.8 RP
青い悦び 5.9 Tr TO
12月29日 前傾壁・ウミガメ(写真9,10, 11, 12)。
(写真9)
(写真10)
(写真11)
(写真12)
アプローチ1時間、懸垂下降 25m。下降路が崩れやすくFIXロープが張られていた。懸垂ポイントにラッペルリングもボルトもなく、トポの写真から懸垂ポイントを推測して、懸垂支点を構築。240mmスリングと安全環付カラビナで支点構築。50mシングルロープを折り返すと下まで届かないので、末端をエイトノットで結んで1本懸垂で降りる(写真13)。
(写真13)
メインディッシュはカイオウ 5.10d(写真14、15)。大堂を代表するワイドとトポに記載。ダイチがトライしてカムセットしてから、他のメンバーも交代で遊ぶ。私も混ぜてもらうが、厳し過ぎて何も出来ない。瑞浪のアームロック効きますか5.10aから修行すべきと思った。
(写真14)
(写真15)
原・ピヨ子ペアは、さかなさかなクラック 5.10b (写真16)をトライしRP。斉藤さんは5.10b (写真17)をトライしてRP。続けて私もトライするが、ハング越えのところで一部ハンドの効きが甘く、テンション。トップアウトして回収しようとするも、ここでトラブル発生。ロープがクラックの中でスタックしてしまい終了点にクリップしてもロワーダウン出来ない。原因はルーフの手前で延長のアルパインヌンチャクを掛けてなくてロープの流れが悪くなってしまったため。完全に私の経験不足が招いた結果だが、降りられないとカムの回収が出来ない。仕方ないので、ビレイ解除してもらって懸垂で降りながらカム回収。ここでまた失敗をする。下降しすぎて一番上にセットした0.75を残してしまう。ATCでは懸垂下降途中で登り返しは出来ないので、大人しく降りて、夕方のユマール撤収時に再度懸垂して回収することに。終了点のクライマーとビレイヤーとの距離20m, 風も強く声での合図がほとんど不可能で、身振り手振りで意思疎通したが、細かいところは伝わらず。降りてきてから斉藤さんにトラブル内容を説明。ユマールしてから再度懸垂して0.75回収したら、無駄に疲れてしまった。豊橋組は翌日もウミガメで遊ぶ予定なので、ギア残置して撤収。
(写真16)
(写真17)
12月30日 前傾壁・ウミガメ。朝、駐車場に到着するとダイチ、ショウトがこのままドライブに行こうと提案。確かにクライミングだけも味気ないので、四国の果てがどうなっているのか観光へ行くことに。展望台からの風景(写真18、19、20、21)を堪能した後に、ウミガメエリアへ移動。懸垂ポイントでショウトが斉藤さんのプーリーを返却し忘れたことに気付く。ギアの返却のために一度戻るため、ダイチと塚本の2名で先に降りることに。
(写真18)
(写真19)
(写真20)
(写真21)
懸垂支点は今回カムで取ることに(写真22、23)。ここでダイチが懸垂しながらカムセットしたいから、私のATCを貸して欲しい、代わりに俺のグリグリで降りてくれと無茶振り。私はグリグリで懸垂下降したことないので不安だったが、グリグリでビレイやソロクライミングはやったことがあるので、上下間違えなければ問題ないと承諾。グリグリはATCと異なり上下間違えるとブレーキが効かず、いくらでもロープが出るので注意。カムで構築した懸垂支点、グリグリの下降両方とも初めてなので、何度も確認して慎重に降りた。下に降りてから、ダイチ、塚本2名、カイオウ 5.10d をトップローブでトライ。昼頃、ショウトも降りてくる。3人でカイオウを順番にトライ。ワイドクラックをほとんどやったことがない私には厳しすぎる課題で、下部を少し上がったところで降ろしてもらう。ダイチ、1テンショントップアウト。ショウトはカムセットしながらノーテンションでトップアウト。次回来るときは二人ともRP出来るはず。私もワイドを練習せねば。次の日は別エリアへ行く予定なので、全装備を回収してユマール。
(写真22)
(写真23)
12月31日 モンキーエリア。大堂海岸最終日。夜中雨が降ったため、テントを乾かすため、テント残置したままエリアへ移動。 塚本、もんきーステップ 5.6 を再登。簡単だが、プロテクションをこまめに取りながら練習。ダイチ、ショウトは岡山ルート 5.10c (写真24)をトライし、RP。トップロープ支点作ってもらい、塚本もトップロープでトライ。なんとかノーテンションで登る。リードで登るにはまだまだ修行が必要だが、ムーブは出来ないところがない感じ。プロテクションの取り方をもっともっと練習せねば。
(写真24)
ダイチ、ショウトは登竜門 5.11- (写真25)をトライ。ダイチ RP, ショウト 1テンション。私は岡山ルートで力を出し切ってしまいガス欠で終了。移動があるので午後14時頃撤収。テント場に戻りテントを回収してから帰路へ。高知に来てから5日間グルメ観光もしなかったので道の駅なぶら土佐佐賀でかつお三種丼を食す。0時過ぎ、淡路島を通過、車内で2025年あけましておめでとう。姫路の岩場小赤壁の駐車場着、車中泊仮眠。
(写真25)
もんきーステップ 5.6 RP
岡山ルート 5.10c Tr TO
1月1日 小赤壁。5時ぐらいから駐車場に車が入り始め、大渋滞に。初日の出を見に来ている方達と思われる。エンジン音で寝られない。リサーチ不足でタイミングが悪いところで車中泊をしてしまった。日の出が終わると客が帰り始め、7時には駐車場ガラガラに。本日のメインディッシュはワイドクラック、リービテーション 5.11c。私はイージードライブ 5.5 (写真26)をトライしRP。プロテクションをこまめに取ること、延長のアルパインヌンチャクを入れてロープの流れをスムースにすることに気をつけて登る。カムの取り方と適切な距離感が掴めてきた。ショウトが遊んだフェースルートのイルカはおるか 5.9(写真27)のヌンチャクを回収ついでに登りRP。5.9にしてはバランシーで強度が高い。終了点がリングボルトなので掛け替えてスリングと安全環付ビナ回収。
(写真26)
(写真27)
ダイチ、ショウトはリービテーション 5.11c(写真28)をRP。昼過ぎに撤収。帰りに食事に寄る予定だったが、元旦のためコンビニ以外の店がほとんど休業していた。
(写真28)
イージードライブ 5.5 RP
イルカはおるか 5.9 RP
感想
初の大堂海岸遠征は天気に恵まれ6日間クライミングを楽しむことが出来た。大堂海岸はアプローチが悪く、上級者向けの印象を受けた。神須ノ鼻での5日間クラック合宿を経験していなければ、付いていけなかったと思う。クラックを初めて1ヶ月程度の超絶初心者の私がこのエリアの遠征に参加できたのは、仲間の理解と協力があってのことで、初心者同士では絶対に行くべきではないと感じた。特に懸垂下降、ユマール、荷揚げ、終了点構築、ロープ結び替え等のロープワークは習得していることが前提であり、グループ行動中、他人の手元の確認をする余裕はない。またらハング、棚やフレーク等によりロープがスタックしやすく、終了点にロープを掛けた後にロープが流れずロワーダウン出来ないことが起こりやすい。必要な箇所にヌンチャクを延長したり、終了点を延長する工夫が適宜必要。そのため限界グレードよりも少し余裕を見た課題をトライする等、自分の技術と体力に余裕を持たせた遊び方が良いように思う。
大堂海岸のプロテクションは瑞浪や神須ノ鼻に比べて圧倒的に取りやすいように感じた。また長い課題が多く1本登るのに時間がかかるため、ある程度クラックリードに慣れて短時間でトップアウト出来る人でないと、仲間から顰蹙を買う。折角、時間とお金を掛けて遠征に来たのに、アイツのせいで登る時間が少なくなってしまったと不満が出ることは避けたい。瑞浪、名張等で10台を安定してRP出来るようになってから遠征に参加すべきだろう。またフェースで5.12登れてもクラックは全く別競技であることを常に意識し、ジャミングやプロテクションセット等の基本を忘れず、フェースムーブに逃げないようにクラックに真っ向から勝負したい。
反省点としては、印刷されたトポを持ってなかったため、エリアも課題のサーチも後手に回り、仲間の勧めてくれた課題ばかりトライしてしまったこと。次回は自分がトライしたい課題やエリアをもう少し絞ること、事前調査をしっかりすることを心掛けたい。また風でコールが全く届かないため、簡易のシーバーがあると便利かも知れない。