中高年安全登山指導者講習会  9/27~9/29

中高年安全登山指導者講習会が県民の森で開催
9月27日~9月29日に県民の森で行われ、河合君(9/28)、上田(9/27~29)で参加して来ました。
主催は国立登山研修所と日本山岳協会、主管は愛知県山岳連盟でした。
◆9月27日(初日)
国立登山研修所 所長の渡邊氏
登山研修所 渡邊所長
日本山岳協会 会長の神崎氏
日山協会長
愛知県山岳連盟会長の安藤氏
愛知岳連 安藤会長
主催者の挨拶の後、下記の3つの講義が行われました。
  (1) 講義1 「道迷い防止のためのナビゲーションの考え方」
      村越 真氏 (静岡大学教授教育学博士、国立登山研修所専門調査委員)
村越先生
  (2) 講義2 「登山計画とナビゲーション技術の実際」
      小林 亘氏 (日本プロガイド協会所属、国立登山研修所専門調査員)
小林先生
特徴物を読む
  (3) 講義3 「山岳遭難を防ぐための気象の基礎」
      上田 歳彦氏 (気象予報士、NPO法人WFT、豊川山岳会 )
村越先生の講義では近年の山岳遭難の全般的な状況から、道迷いの原因や防止するためのポイントとなる考え方を分かりやすく解説されました。村越さんは若いころからオリエンテーリングのトップアスリートとして活躍され、河合君も以前から競技会で知り合いとのことでした。
小林亘(わたる)さんは元春日井山岳会で、H6の愛知国体の審判でご存知の方も多いと思います。ナビゲーションのための地形の把握や特徴物を地図と現物と対応させることを、ここまで良く噛み砕いて説明できるんだな、というくらい分かりやすいお話でした。
私の気象の基礎の話は、大分想定違いで、みなさん地上天気図も含めてあまり馴染みがある方が少なかったようで、気象のメカニズムの説明や高層天気図の読み方など消化不良だったようでした。今後話題を絞り込んだものに改善していきたいと思います。
◆9月28日(2日目)
 実技研修で県民の森管理棟から宇連山周辺(芝生広場、国体尾根)を使って、現在地確認、特徴物の地図との照らし合わせ、今後の行程の予測に絞って、ナビゲーション技術実技が行われました。
管理棟前から出発
目印となるフラッグのカゴを持って、先頭の河合君出発
目印のフラッグのかごを持って先頭、河合君出発
1班のリーダーが河合君で、高校登山部時代から30年通いなれたルートでナビゲーションの基本を分かりやすく説明、大変好評でした。
一斑集合
ピンポイントで説明
一斑 お疲れ様
5つの班が周回コースを終えた後、河合君の指導で芝生広場でプレート付きコンパスの①②③を各自実技演習。三角形⇒四角形⇒五角形とみなさん真剣に取り組んでいました。
コンパス①②③の説明
演習用の地図を余分にもらってきているのでぜひトライを!
夜は食事をしながらの技術交流会ということで、国立登山研修所や日山協の幹部の方々、参加者のみなさんと交流が図れました。
◆9月29日(3日目)
研究協議として下記の3つの分科会に分かれて、参加されたみなさんから事前に提案された事例や課題を中心に討議をしました。 
    第1分科会  座長  岩瀬 幹生(愛知県山岳連盟副理事長)
           「中高年登山者のために安全登山に関する課題と改善について」
    第2分科会  座長  吉村 賢(愛知県山岳連盟遭難対策委員長)
           「登山計画の立て方と事故防止について」
    第3分科会  座長  上田歳彦(気象予報士、NPO法人WFT、豊川山岳会)
           「気象遭難の身近な事例と防止策について」
私は第3分科会に参加し、気象に関連した4つのテーマで議論しました。
第3分科会
①泊り山行での入山後の天候判断と山行継続・変更の判断について、風雨での身を守る装備について
・情報を共有し、パーティ全員で行けるかどうか判断する(他人任せしない)
・入山前の情報:TV等 地上の予報では大荒れでは無い ⇒実際の山で高度、風で体感温度下がる想定⇒山の天気予報活用
・カッパのメンテ、更新(メンテしても濡れてくるようなら)
②山での雷の対処法について
・遭遇事例:①五龍岳  岩棚で2時間待機  ②ハイマツ帯砂礫地:テントが高い位置⇒テントを出て低い方へ一時避難 ③GWに雷雲の中に ストックが放電(音)
  天気予報で、「大気が不安定」との言葉が出れば、雷の発生が予測される。
  気象庁発表の雷注意報をチェックする。
  山小屋やスマホで気象庁のレーダーエコーや雷ナウキャスト確認
・岩稜帯の通過など、雷を避けにくい行程の場合は計画の再考(稜線まで行かない)
     
③地形と気象の関係について
・東北の山、10月からは日本海の天気、降雪の状況をウォッチしている
・山域によって悪天となる風向が違う:海側から吹く風  北アルプスでは西風   「山岳気象大全」参照
・天気予報はその山の風上側(鈴鹿だったら彦根)
④今年のGW雪崩に遭遇したが、どの時点の判断で回避できたか?
  ・危険があると思った時(リーダー、リーダー以外のメンバー)  ⇒率直に言いだす
  ・起きるかどうか、先ずは地形(沢は避ける)  次に天気の急変(雨、雪、昇温)
各分科会の検討内容を全体会で報告し、お昼に解散となりました。
全体会での報告
無事に終了し、ほっと一息です。愛知県岳連のスタッフのみなさん、お疲れ様でした。  -上田-

この記事を書いた人

愛知県豊川市に拠点をおき、奥三河の山々をホームゲレンデに、四季のアルプスのピークハント、縦走、ロッククライミングから沢登りとオールラウンドな山登りをしています。
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