クライミングトリップ 小川山~谷川岳「マチガ沢本谷→東南稜、一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁南稜」(後篇)

【谷川岳】2015.9.18-23(書いた人;山形)
【年月日】2015年9月18日~23日
【メンバー】L.白井、山形

SWの後半戦、9/21&9/22の記録です。

9/20に変形チムニーを撤退という形で終えた我々であったが、全く気落ちはしておらず美しい谷川岳を見ながら宴会が出来て良かったとさえ思っている。加えて8時間以上の睡眠を取ることができ、体力は完全回復出来たのだから。コンディションは完璧と言って良いだろう。
天気も良い方向に向かっている。うれぴー!!

そう、魔の山との真の闘いは今日からだ!

①9/21 マチガ沢 本谷→東南陵→ピーク

ぐっすり寝たにも関わらず二人共予定の3時を過ぎ,3:45過ぎの起床となる。
長距離の移動、睡眠不足でやはり疲れていたのであろう。
僕が白井さんを起こした記憶はこれまでの山行で一度もなく、この先もある気があまりしない…いつも起こして頂いている訳です(これからもよろしくお願いします、てへぺろ)。

今日は最初は標高差1000 mの沢を詰めあげる為、沢靴を着用し入渓場所のマチガ沢本谷に向かう。

いいぞー!やはり晴れている、we are 晴れ男s。
もう既にピークのトマの耳が見えている。
こんなに広がった沢は初めてで終始明るい沢を堪能する事となる。

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入渓後ほどなく

地形の変化が激しく全く飽きません。楽し過ぎルートですコレ!
高度感も目に見えて大きくなってくるのが分かるので「俺って今まさに沢を詰めてんじゃねーの、おいおい気持ちええやんか!もー!」的な心情になります。
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快適さが伝わるでしょうか。基本的に泳ぎはありませんでした。
水が枯れている場所もあり、沢登というより岩登りの要素もあります。

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ゴルジュの連瀑帯

途中で出会ったパーティーは1パーティだけでシンセン沢に向かうとの事でした。
東京の山岳会の方で60歳前後のおじさんでしたが翌日も2ルンゼに行くとの事で元気いっぱいです。

上部に行くに連れてゴルジュの連瀑帯が続き楽しさ倍増です!この時の心情は「いいぞー!かかってくるがよい!カマン!」です。

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ここは高巻き

一か所だけヌメヌメの滝があり、見た目は易しかったのですが思ったより悪い箇所が一つありました。
そこで白井さんが唇を切るハプニングがありましたが大事には至らず良かったです。
結局ザイルを出したのですが見た目が易しかった分、最初ザイルを出すかどうかの判断を誤りました。
上田さんの天気予報では午後からガスると分かっていたので時間を急いていた事も理由の一つです。
うーん、ザイルを出すかどうかの判断って結構難しい…。
この点はもっと経験を積んでいかないと。

更に進むと雪渓が残っていました。中をくぐって通過するのですが、通過中に崩落するとお陀仏です。
音の振動でも壊れるんじゃないかーとビクビクしたので山形は声を出さず、音も立てず忍者のように通過しました。
この時の心情は…もう要りませんか笑

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崩落しないで下さい

遡行に5時間程要したでしょうか。
良く寝ていたし、楽しいし全く疲れは感じませんでした。

無事に東南陵の取り付きに到着です。多少ガスってきてしまいました。
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東南陵は全部で3ピッチで以下の通りで登りました。
1ピッチ目 Ⅳ+ 白井さん
2ピッチ目 Ⅳ 山形
3ピッチ目 Ⅲ 白井さん

1ピッチ目が濡れており、ちょっとやらしかったですが後は快適快適!!
楽しかったなー。また行きたくなるルートです。
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3ピッチ目山形フォロー

3ピッチ目を無事に終え、草付きを少し歩いて山頂に到着です!
昨日、登り切れていなかった事もあり喜びは大きかったです。
さすがSW,山頂には人が多くいました。
山頂に着く頃にはガスが出てきてしまったので紅葉は拝むことが出来ませんでした。

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13時頃に山頂到着

下山は一般登山道である西黒尾根を下りました。
昨日、敗退宴会をした為にお酒が枯渇していたので山形は車に残置してあったビール、日本酒、赤ワインを取りに行く事にしました。
結局、行動時間は13時間程になってしまいましたが晩御飯は美味しい白ご飯を炊いて頂き、ガソリンであるお酒もしっかり飲めて翌日の一ノ倉沢リベンジに備えます。

②9/22 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁 南陵ルート

この日は予定通りに3時に起きる事出来ました。
天気予報でも快晴の予定、とても楽しみです。

当日までに何度も帰還が遅れてヘッドライトでテン場に戻るパーティを見ていたので出来るだけ早く出発したかった。
まだ薄暗い4時半頃にテントを後にします。

アプローチ中はモルゲンロードを見れたりと気分は高まっていきます。
「よしゃ、今日は絶対登るぞー!」という気分になります。
この時ばかりは岩壁も威圧感を潜め、「頑張れよ、小僧」というような感じで佇んでいるようでした。

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夜明けのテールリッジから見上げる衝立岩

取り付きである南陵テラスに到着し、準備します。
我々が一番乗りです!
むしろ今日南陵テラスに取り付いていたのは我々だけでした。
ラッキー!!独り占め!

いつしか空も真っ青に染まり、半袖で十分な気候、ワクワクドキドキのスタートです。

南陵テラスは以下の通り、登攀しました。
1ピッチ目 Ⅳ 山形
2ピッチ目 Ⅳ 白井
3ピッチ目 草付きを歩く
4ピッチ目 Ⅲ 白井
5ピッチ目 Ⅲ 山形
6ピッチ目 Ⅳ 白井
7ピッチ目 Ⅴ 山形
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1ピッチ目は山形がリードです。ひたすらに悪路であった変形チムニーとは違い、岩は既に乾いており「たのしぃー!!」という感情が溢れてきます。チムニー部がちょいと嫌らしかったですがしっかりルーファイして登れました。

2ピッチ目は安定の白井さん。フォローで登りましたが快適なフェースクライミングでした。

3ピッチ目は草付きを歩きます。だいぶ暑くなってきました。後続がいないのでゆっくり休みながら進みます。
眼下に広がる雄大な景色に心を奪われます。

最終ピッチを自分がやりたいと言って4ピッチ目も白井さんにお願いしました。これまた快適フェース。今回のブログで何回「快適」と言ってんねんって感じですね笑

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4ピッチ目白井さんリード

 

5ピッチ目は山形がリードです。写真にあるように6ルンゼ側の岩場からリッジに出る必要があったのですがルート取りが難しく、ロープを屈折させて重くなってしまいました。
ランニングの取り方ももっと経験積まないとなー。
ですが相変わらず登っていてめちゃ楽しいです!
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6ピッチ目はさくっと白井さんがリードし、いよいよ最終の7ピッチ目です。岩とひたすらに向き合ってきたSW合宿ですが終わってみればあっという間、これが正真正銘、最後のピッチです。もう、本当に感慨深かった。抜けた後に「やったー!!ふぉー!!」と思わず叫んでいました。
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ニタニタしながら白井さんを引き上げ、無事に抜けれた事に感謝し固い握手を交わしました。
写真も完全に変態ニタニタおじさんの顔になっています。

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7ピッチ目終了点でパシャリ

写真を撮りまくった後に懸垂下降にて下降です。
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無事に明るい内にテント場に戻っくることが出来ました。
テント場では心地よい風が印象的で「よく頑張ったな小僧」と言わんばかりに、この山行で見慣れた岩壁がありました。
しばし休息した後に一ノ倉沢を後にしました。

その後はイモ洗い状態の温泉に浸かり、体をキレイにした後一日かけて帰豊しました。

素敵な思い出をありがとう、谷川岳!今はそんな気持ちです。
本当にかっこ良い山で良い経験がたくさん出来ました。
まだまだ登ってみたいルートはたくさんある。次はいつ来れるか分かりませんが必ずまた来たい!

自分自身ももっともっと実力を付けたい。
ハーケンの打ち方、鐙の練習、トップで懸垂下降する、的確な状況判断等これからも大好きな岩と向き合っていきたい。

(記;山形)

 

追記:白井

「マチガ沢~東南陵」は沢登りから最後にピークへクライミングで終了する気持ちのいいルートでした。
途中の沢では足を滑らせて岩にキスし、唇を切ってしまいましたが大したことにならなくて良かったです。
オキの耳、トマの耳のある稜線はものすごい登山客で賑わっていました。
これにはちょっとビックリでした。
「南陵」は昔からの人気ルートです。
自分たちが登るときは貸切状態だったので、慌てずのんびり楽しんで登ることが出来ました。
基本的に残置ハーケンですが、たしかに楽しいルートですね。
登っている途中に「2ルンゼ」を登っているパーティーがよく見えました。
まだまだ登ってみたいルートは谷川岳にはあるのでまたいつか訪れてみたいです。
今回一緒に行った山形くんは、かなり色々な経験が出来、多くのものを吸収出来たと思います。
この調子でドンドン登って強くなって欲しいですね。

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この記事を書いた人

こいつノリで生きてるだろと思われがちな関西人ですが山に対しては真剣です。厳しいルートを登った後に絶景を見ながらテント泊にて赤ワインを嗜む、そんな登山が大好きです。

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