春のゴルジュ探検
【安倍川砂山沢遡行・瀬戸沢右俣下降】(記・比嘉)
【2023年4月23日】
【メンバー】山形、比嘉、他2人
朝方はまだ冷える時期ですが、沢屋の山形さんに誘われ静岡県安倍川へ。
遡行した砂山沢は記録が一件しか見つからず、下降した瀬戸沢は記録無し。どうやらゴルジュが凄いらしい。記録の少なさに冒険的な沢登りが待っているとワクワクした。

〇砂山沢遡行(グレード三級下)
私有地を抜け、踏み跡を辿って堰堤を巻くと、すぐにゴルジュが始まる。次々と出てくる小滝を楽しく越えていくと、2段15mの大物が出てくる。

出だしをシャワーを浴びながら登り、核心の中間部は岩が脆くヒヤヒヤしながらトラバースする。
しばらくして現れた7m滝は傾斜が強く、一見登れないかに見えたが、近づいて見るとホールドが結構ある。こちらも丸山さんリード。シャワーを浴びながらの面白い滝だった。

その後も5m滝、4mCS滝、3mCS滝と直登ならシャワークライミング必至の滝が続き、メンバーによって巻いたり直登したりと楽しんだ。


その先も登れる小滝とゴルジュが続き、想像以上の遡行価値の高さにメンバー全員が喜んだ。


しばらく登ると、水は減って倒木が増えてくる。徐々に遡行価値は低下し始める。
さがみ山友会Pが遡行終了したと思われる、5メートルの滝が見えてきた。

巻きも直登も困難で、4人でいろいろトライした挙句、脆い右壁を丸山さんが登って何とか突破。丸山さんの度胸は強すぎる。
倒木だらけになってきた沢を遡行していくと、落ち口に最近倒れてきたと思われる倒木が懸かる滝が現れる。

下部は脆いスラブ状でボロボロと崩しながら登り、倒木の根が多いかぶさる上部はハングしてさらに登りにくい。ハング越えはロープで確保されていたので、ダイナミックなムーヴで越えられた。
そのまま遡行していくと沢はガレ始め、脆すぎて登れない滝も出てきたので、遡行終了。斜面を登って瀬戸沢へ向かう。

〇瀬戸沢下降
砂山沢から尾根に向け登り、植林地を下っていくと瀬戸沢右俣に降り立つ。右俣は、概ねゴーロの中に時々ちょっとした滝がある程度の沢で、倒木が多い点以外は下りやすい。
瀬戸沢本谷に出ると、広大なゴーロが広がる。
どんどん下っていくと、徐々に沢幅が狭まり手始めに3m滝をクライムダウン。

しばらく歩くと、轟音が聞こえてきて、大きな滝が連続し、その下には深そうなゴルジュが続いている。眼下に広がる光景が、恐ろしげで足がすくんだ。
懸垂下降する。

下から確認すると、20m程度の滝であった。水量も多く大迫力だが、登れる滝ではない。

その下も滝が連続しており、どう下るのか丸山さんが先行して考えている。一旦右岸壁へ登ってからトラバースし、立木で懸垂下降してCS滝の下まで一気に下る方針のようだ。

立木からの懸垂下降は、CS滝の水流を避けながらのトラバース懸垂下降。
難しい懸垂下降なので、先行した山形さんと丸山さんをヒヤヒヤしながら見守った。
僕の番が回ってくる。
このラペルで重大ヒヤリがあった。
僕がトラバース懸垂下降中に、手が悴んで岩を離してしまい3メートルほど滝側にロープが振られた。滝の水流に巻き込まれながらの懸垂下降になりそうだったがロープの末端を下部で山形さんが固定していたので、そこまで振られることはなかった。
全身の震える緊張した懸垂下降だった。


こんな里山にこんな立派なゴルジュがあるのかと全員で驚いた。
この下も滝が続いていたら大変だと不安だったが、下降してみるともう大きい滝はなく、ゴルジュの景観を楽しみながら釜の深い小滝を泳ぎながら下る。

次第にゴルジュは緩まり、堰堤が4連続で出てきて、この変化に富んでいた沢下降も終了。
車に戻ると腕から血が…。


【まとめ】
砂山沢、瀬戸沢ともに想像以上のゴルジュで、瀬戸沢のゴルジュはかなり見応えがあった。砂山沢は楽しく登れる滝の割合が高く、腕の疲労が気持ちよく感じた。
同行した沢屋さんたちは、殆ど記録がないのに遡行価値が高い沢が埋もれているのを発見し、喜んでいた。
強い沢屋に連れられ、非常に充実した山行となったが、技術体力共に不足している私がこんな地に立っていいのかと不安もあったので日々の努力を頑張ります。
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