【仙ノ倉岳西ゼン】24年10月12〜13日(牧原)
【2024年10月12〜13日】
【メンバー】白井 中田 牧原
3連休を利用して、遠方の上信越の沢登りいく予定があると(厳密にいうと結果的に私のレベルを考慮してこの沢登りになったが)聞き、谷川連峰の南西面にある西ゼンを行くこととなった。
12日
土樽駅で待ち合わせ。
毛渡橋付近の林道を登っていくと平標新道に続く車止めゲートに着く。12日は移動日として割り切り、入渓点まで行き、その周辺で焚き火をし、翌日に備えるという算段だ。
林道ゲートから群馬大所有の山荘までは30分ほど。整地された区画があり、焚火後もある。まだまだ時間もあったので、当初の予定通り入渓点までいく。沢沿いの道を歩くため、ところどころ泥沼が出てくる。そしてヌメヌメの岩。
私以外はスポルティバのアプローチシューズ。私はトレラン用のシューズ。差は明らかだった。明らかにグリップ力に雲泥の差ある。軽々乗り越える二人をよそに腰が引ける自分。まだ沢登りすらしていないのにこの始末。
1時間ほどで入渓点。ゴーロがあり、とてもでないけど寝れるような整地はない。寝れるとしても登山道を塞ぐことになる、また焚き木がない。あれこれ考えた結果、結局群馬大山荘付近まで戻ることとする。焚き木は多くあり、整地され、水場も近くで、前日泊するならここが間違い無いだろう。
お酒と焚火の力を借りて、長らくあいた時間、初対面のもどかしさを埋めていく。
13日
5:50 群馬大山荘 6:50入渓地点 8:20 第1スラブ 10:00 第2スラブ 11:30藪漕 12:30平標山山頂 15:40下山
テント地にはテントや寝袋などはデポする。入渓地点まで1時間ほどウォーミングアップする、3回目の泥沼通勤経路である。
入渓地点から特に変わり映えのない、ゴーロ地帯である。ある程度するとナメ滝が出現してくる。先週から雨が断続的に降っていたせいか、ブログにあるようなフリクションを効かせてぐんぐん登っていく、ということはなく、ヌメヌメのスラブを登っていく。話が違うじゃないか。
最初の関門、ナメ滝10×25m、10×25mを登る。やはり全てナメ滝ならぬヌメ滝なので直登できずに左岸から巻く。余りの大きさと連続性から、これが第1スラブと勘違いをしていた。
他のブログも見ると、第1スラブと勘違いすることがあるようだ。
第1スラブもどきを登った後写真を撮る。奥に見えるのが第1スラブ
いくつかの滝を超え、上部に出ると本当の第1スラブが見えた。1枚岩の大スラブは圧巻だ。直登しやすいルートはあるものの、漏れなくヌメ滝なので、階段上になっている草付きをとりつく。草付きももちろん濡れているし、溜まっている泥もスリップ材になるので、大スラブに見惚れる時間なんかもちろんなく、文句をぐちぐち言いながら高度を上げる。ガイド的存在の二人には何回かお助けロープを恥ずかしながら出してもらった。
第1スラブを抜けると第2スラブに続く。第1スラブよりも傾斜があること、テラスもそこまで多くないので、小休止の取りずらさを思うと、緊張の連続で1番喉がカラカラになったパートだった。ここで隠しアイテムのフェルトからラバーにチェンジできる優れものを使用する。
濡れていない箇所は、このラバーが効く。足を信じることができる。最高ォーーー、と思ったのも束の間、すぐに草付きパートだ。
もうお気づきかもしれない。西ゼンはいわゆる映えスポットで映えスポットを見るために草付きやら、ヌメヌメ滝、枝登りやら、いわゆる汚れ仕事をするわけだ(個人的感情も入ってしまっている)。けれどそれに見合う、自然の雄大さ、見事なスラブを堪能することができる。
※気象条件によっては岩が乾いていて、登攀的要素も加味できるかもしれない
第2スラブを抜けると、小滝をいくつか越して、藪漕ぎゾーンだ。トポだと向かって右に沿っていくとあるが、いくつかの記録を見ると左側の方が藪漕ぎが少ないらしい。迷わず左から詰めていく。膝上から首ぐらいまでの藪漕ぎに1時間程度格闘し、稜線にでる。
風が吹くと水に打たれた身体がガクガクと震える。山は少し紅葉していて、少ない秋晴れを登山者は楽しんでいるようでいる。ベンチにはバナーで水を沸かし、カップヌードルを啜る登山客がちらほら。「恵んでくれ。恵んでくれと。」心の中で叫んだが、そんなことは知らない。私たちはぺちゃんこになったおにぎりやパンをかじるだけ。私たちの発ったベンチは涙で少し濡れていた。いや、違う。沢の水分で濡れていただけだ。
平標山山頂で上信越の山々を眺め、平標新道から下山する。
急峻、人のあまり入っていない踏み跡感、水分の多い土、緊張を強いられた西ゼンの後の平標新道はなかなかのものであった。途中、西ゼンを眺めることができたが、良くもあのスラブを登ったものだとつくづく感じる。
トータル10時間の行動時間となり、復帰戦にしてはとても刺激的な山行となった。
ハイカーにすらなれていない、私を見捨てることなくサポートしてくれた2人には感謝が止まない。