平成30年度 高校等の先生対象研修会
【立山登山研修所】18.6.30(河合)
【2018年6月30日~1日】
【メンバー】河合
今回の研修は、那須雪崩事故を受け高校の先生を中心に研修が開催された。参加者は18名と小規模で少し寂しい。
私は、O講師の方と2人で4班3人を受け持つ。今年の春に行われた愛知県山岳連盟の講習会は私一人で22人の方を対象に話をしたが、この研修はマンツーマンに近い体制である。
初日は、初めて研修所に来所され、緊張もされていることから、雑談を30分行う予定をO講師と事前に打ち合わせた。ところが、雑談をしていくうちに地図の研修よりも受講される先生方の求めているものが雑談の中にあるような気がしたため、1時間30分ぐらいとってしまった。実は初日4時間の研修内容は2日目に行われる実技登山について地図上で危険個所はないか、装備は何を持って行かなければならないか、またおおよそのコースタイムを検討し生徒を安全に引率するために引き返す時間等、事前のコースプランニングを立案しなければならず、また、地図の特徴物も押さえるといったカリキュラムをこなさなければいけない。他の班の方たちはどんどん課題を消化していくのに我々の班だけは雑談に大幅な時間を使ったわけである。
2日目は、尾白川の遡行。2つの滝があり地図記号として地図に掲載されている。高さは約5mと10m。ロープも設置され危険な個所はない。しかし、研修のため想定として、「ロープを張るまでもないが、生徒の中に高所恐怖症の方がいて、より安全に通過するため、FIXロープを張り通過する。」という課題を行った。
もし、本格的なFIXロープを張る登山計画が出てくれば、それはすでに高校生が安全に登山するコースから逸脱しているわけで、本末転倒になってしまう。
滝、通過後は、読図講習をメインに行う。沢の分岐や道の曲がりが出てくると、現在位置の確認をスマホの地図アプリ(ジオグラフィカ)で行い、どちらの沢に行くのが正しいかをコンパスを使用し行った。受講された先生方もコンパスを常用的に使用されているわけではないと思うので、よい練習になったと思う。
北尾根に出たところで、受講生の方が熱中症による体調不良になった。心配したが、何とか歩けるようになったため、大辻山への分岐から本道へルートを短縮し行動した。
今回の研修では、こういったアクシデント等に対して登山計画をどう設定るすか、生徒を安全に確保するかがメインテーマとなっているため想定内であった。
今回の研修は、読図だけにとらわれず、安全登山を考える研修会のため、アクシデントへの対応も受講生が的確な対応をされていた。
2日目は、テント生活も含めた講習内容となっていて国立立山青少年自然の家でテント泊。テントの設営や炊事も受講生の方と一緒に行った。今までの研修は、研修施設で食事は作らなくてもよかったので、かえってテント泊はいつもの山へ来たような感じで新鮮であった。
夜は8時から大西先生から高校生登山について講習があり、その後懇親会を行い普段から部活等でご苦労されている話をお伺いすることができた。
3日目は、朝起きてから出発まで1時間30分で行うという目的を立て行動した。集合が6時と出発が6時と班内で認識のズレがあり上手くはいかなかったが、問題意識を持つことができた。研修会では、なるべく多くの気づきをしてほしいため、研修の内容と目的以外あまり口を出さないようにしている。
今日は来拝山(899.5m)へ登る。昨日体調が悪かった受講生もペース配分を考え、引き返すプランも事前に計画した。来拝山山頂で私の登山靴の底が剥がれそうになっていたので、受講生の方にテーピングを使い補修する実技をしてもらった。私たちは最後尾を歩いていた班だったので、北村主任講師がそばにいてくださり、靴の底はテーピングを回転させ紐状にして足の甲の部分は平らのまま貼り、これを数回繰り返すと強度が増し、補強されると教えていただいた。いつもテーピングを持っているが、ぐるぐる巻いていただけに、勉強になった。
来拝山は急な登り下りの山で、滑りやすいところもあるため、ペースがあまり上がらないが、下ってから平らなところでも行動に切れがなかったため、「講習のタイムテーブルはできているの?」と声を掛ける。声を出しすぎても出さなくても行けない。
平らな登山道には道の分岐が多数現れ、地図アプリの「ジオグラフィカ」を使ったり、使わなくても把握できたところは使わず現在位置を確認し、コンパスで進行方向を確認した。コンパスの使い方に不安を持っていた受講生も今回の研修で身に着いたようであり、ホッとした。
今回の研修会は、初めてのプログラムであり、心配したが高校生の安全登山をテーマに組み立てられていて、受講生の先生方も真剣に研修に取り込まれていたのが印象的だった。
この記事を書いた人

- 豊川山岳会に入会して35年と少し過ぎました。読図コーナーを担当しています。地図に興味を持ってもらうことで、全国の遭難が1件でも減少することを願っています。
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