「約束の」北岳バットレス

【分類・山域】南アルプス 北岳 バットレス登攀 【記】中川
【日時】2022年9月30日(金)~10月2日(日)
【メンバー】中川、Tさん
【天気】登攀日:3日間とも快晴

会社の同僚Tと自身3度目の北岳バットレスへ行ってきました。

↑あそこに行きます。

過去2度の記録は下記
「呪い」と「初パイン」の北岳バットレス2018/08/15
https://toyokawa-ac.jp/climbing/16328
アツイ想いの「北岳バットレス」2019/08/14
https://toyokawa-ac.jp/climbing/19996

私が豊川山岳会に入るきっかけは、岩場が怖くて安心して山登りが出来ないので岩稜帯を安全・安心に通過できるようにしたい。でした。
それと同時に、会社の同僚から「バットレス行きましょうよ」のお誘いがありました。ただ、そんな彼はクライミング経験ゼロ。
経験も道具も無いのによく誘うなと思いましたが、迂闊にも「いいね」なんて約束をしてしまったクライミング経験ゼロの私。

2017年4月に豊川山岳会に入って丸5年が経過した2022年10月に約束を果たす日は訪れました。
彼と私はそれぞれ別の山岳会で山の知識やクライミングの経験を積み、仕事終わりにジムで一緒にトレーニングをしたりして、いざ本番です。
先週、先々週の台風で流れに流れた3度目のチャンスです。やっぱり北岳バットレスには「呪い」があります(笑)

9/30(金)アプローチ
Tの車で芦安駐車場まで行き、広河原行のバスが満席だったので、近くにいたバットレスクライマーに声を掛けて乗り合いタクシーで広河原へ。
広河原から白根御池テント場までは歩荷トレーニングです。1200広河原-1430白根御池。
白根御池テント場はそれほど混み合っておらず、行きつけの池の奥にある別荘地にテントを張りました。この別荘地からは池に映る「逆さ北岳」が見えるのが良いです。
過去2度行っているのでバットレス取付きへの偵察は見送りにして、くつろぎの時間を取り、早々に就寝。
この慢心が明日の「やらかし」に繋がります(笑)

10/1(土)
0200起床
0330テント場発
0530下部取付着
0600五尾根支稜登攀開始
0850四尾根取付登攀開始
1115マッチ箱懸垂
1300城塞ハング
1320登攀終了
1340北岳山頂
1600白根御池テント場

さすがに10月ともなると深夜早朝は冷えます。暖かい食事を取って身支度。
昼間は晴れて暑いという天気予報。楽しみでしかたない。
下部岸壁取付きに向けてアプローチ。先行パーティーのヘッデンが見えます。後続にもヘッデンが見えます。
今日の渋滞はどれほどだろうかと考えながら取付きに向けて進みます。
なんとなく記憶と違う雰囲気のアプローチルート・・・
まあ多少違っても何とかなると思って進んでいくと、やっぱり間違えてました。軽く「やらかし」のジョブを入れます。
一本手前の尾根筋を詰めていました。詰め上がったあたりでガレた涸れ沢を横断し、五尾根支稜取付きに到着し、ハーネスを着けて身支度をします。
ここで最大の「やらかし」が発覚しましたが、一旦スルーして話を進めます。

先行パーティーも後続パーティーも男女ペアでした。この日は全体でも5組プラス フリーソロクライマー一人でした。
私達と私達のすぐ前のパーティーは男性がオールリードをされており多少時間が掛かってくれたおかげで私達はゆったりと登れました。
最近何かと忙しくクライミングトレーニングが出来ておらず、というか山登り自体も久し振りという私は、正直ゆっくりで助かりました。

過去のバットレス登攀で主要ピッチのリードはやらせてもらっていたので、今回はTに、出だしのクラック、三角形の垂壁、城塞ハング、のオイシイピッチのリードをお譲りしました。(というか久し振りのクライミングで私がリード出来たか怪しい)
途中からは富士山を背に快晴の中気持ち良いクライミングでした。クライミングが終わればそのまま日本二位の標高を誇る北岳山頂で記念撮影。下山途中の北岳肩の小屋に寄ってコーラで乾杯。
「約束の」北岳バットレス は5年もの歳月が掛かりましたが、楽しく約束を果たすことが出来ました。
やっぱりマルチピッチは楽しいですね。パートナーあってこそのマルチ。今回のパートナーTに感謝です。
北岳バットレスは富士山も見えるし、3000m超のピークも踏めるし、上にも小屋があるし、ベースの白根御池も綺麗だし、至れり尽くせりで最高です。
こんな経験が出来るのも、いろんな経験をさせて頂け、多くの知識を学ばせて頂ける豊川山岳会あってこそです。感謝しかありません。

楽しいクライミングでしたが、今回の最大の「やらかし」は過去最悪でした。
それは、ロープを間違えて持ってきたこと。50mのダブルロープを持ってきたはずが、下部岸壁でハーネスを着けてロープ袋を開けると、40mの赤いシングルロープ・・・
目がテンです。Tも開いた口が塞がりません。
阿吽の呼吸でダブルロープ一本で登ることに。私は40mのシングルを歩荷クライミングです。そりゃ「自分で持て」ですわ。
楽しいクライミングでしたが、道具の確認は目視確認が必要と反省しました。Tよ、スマン。

↑白根御池までのアプローチ歩荷

↑下部岸壁 五尾根支稜取付 先行パーティーと中川

↑下部岸壁 横断バンド (ここ嫌いです)

↑富士山ドーン

↑四尾根主稜 出だしのクラック をリードするT

↑両手離しで楽しむ中川

↑マッチ箱懸垂のT

↑マッチ箱からの城塞ハング方面 グッドロケーション

↑城塞ハング前 高度感満載のトラバース をするT 

↑城塞ハング前のビレイポイントから眺める富士山とT

↑四尾根主稜を登り終えて景色を楽しむ

↑ピーク到着 たくさんの登山者がいました。

↑北岳肩の小屋を見下ろすT 景色ヨシ

↑テントから眺める 池に映る「逆さ北岳」

10/2(日)
荷物をまとめて0830に白根御池を出て、1000に広河原。1100バスに乗って1200に芦安駐車場。
金山沢温泉で汗を流し、中華の勇福で腹を満たして帰路。

満足の山行でした。

この記事を書いた人

目次