【分類・山域】トレラン・縦走 北アルプス(折立~上高地) 【記】中川
【日時】2021年9月19日(日)~20(月)
【メンバー】L中川、古賀
【天気】晴
【行程】
(計画)
1000折立→1400太郎平1800→2200黒部五郎小屋→0530槍ヶ岳山荘→0900横尾山荘→1400上高地
(結果)
0700折立→0930太郎平→1500黒部五郎小屋2200→0630槍ヶ岳山荘→1000横尾山荘→1300上高地
移動距離:約53km
行動時間:約23時間(8時間+15時間)
【序】
2020年9月19日からの四日間で完了するはずだった「馬場島~上高地縦走」が未完のままだったので宿題を片付けるべく昨年の終了地点「折立」へ向かった。
今回の山行の課題は
①上高地まで辿り着くこと
②短時間睡眠のテント泊
③長時間のナイトハイク
の3点である。
未完だった2020の記録はコチラ→◆剣岳から薬師岳へ縦走トレイル◆
【本文】
前日までの台風の影響もあってか早朝は曇天だったが折立に着いたら快晴となった。
ひとまず太郎平まではアプローチなので焦らず体を慣らしながら登った。
当初の予定では太郎平で仮眠をしてからナイトハイクとするつもりだったが、予定より大幅に早く太郎平に到着したため仮眠地点を先に送る事にした。
ジョギングを織り交ぜつつ北ノ俣岳、赤木岳を越えていく。振り返れば「剱」、前方にはこれから向かう「槍」が見えて気分は最高である。
15時頃に黒部五郎小屋に到着しテントを張って仮眠を取ることにした。
黒部五郎小屋のテント場に居たのは7時間。テント場の人たちとお喋りをしたり、食事をしたり、テントの設営や撤収の時間を引くと睡眠可能時間は4時間程度。
ところがまさかのタイミングで地震(17時20分頃)に襲われた。地響きを伴う振動で飛び起きた。その後も何度か揺れがあり、まともに睡眠がとれずに21時に起床。
怪我などの被害が無かったのは幸いであった。(下山後に調べると高山市で最大震度4の大きな地震で、槍ヶ岳周辺や涸沢では落石により登山道が一部崩落したようである)
当初の目的である「短時間睡眠のテント泊」は地震というハプニングにより200%達成出来た。
22時に黒部五郎小屋のテント場を出発し上高地を目指す。夜は昼に比べ照り付ける日差しもなく無く快適である。
山の朝は早いので早朝3時に出発というのはザラにあったが、さすがに日付をまたぐ前の22時出発というのは初めてだった。
道迷いには十分に注意が必要である。走るのはやめた方がよい。
ほぼ満月のタイミングだったので明るいナイトハイクになるかと期待していたが、夜は曇天でヘッデンの明かりだけが頼りとなった。
分岐点でルートを確認しつつ三俣蓮華、双六、樅沢岳と越えて行く。尾根で風に吹かれると一気に体が冷える。
徐々に空が白んできた頃に西鎌尾根の終盤に差し掛かった。所々ザレており滑落の危険を感じた。
槍ヶ岳山荘に着くと多くの人で賑わっていた。核心を越えた私たちはコーラで乾杯をし、カップラーメンで空腹を満たした。
槍ヶ岳山荘から上高地までは危険個所はなく重力に任せて下るのみである。西鎌尾根までとは違い人が多いので人に注意をしながら駆け下りた。
黒部五郎を出発してから12時間を超える頃にハンガーノックとなり危なかったが、横尾山荘でうどんを食べて復活した。
徳沢、明神、小梨平の賑わいを横目にゴールの上高地に到着。古賀さんと熱い握手を交わし河童橋で記念撮影。
長い旅も終了した。
風呂で汗を流し、レストランで美味い飯を食べ、帰りのバスで熟睡。宿題は無事に片付けることが出来、大変満足の山行となった。
古賀さん、ありがとうございました。
今回の3つの課題はどうだったかというと
①上高地まで辿り着くこと・・・〇(ほぼ予定通りの行動時間)
②短時間睡眠のテント泊・・・〇(地震のおかげで実質約2.5時間の睡眠時間だったと思う)
③長時間のナイトハイク・・・〇
すべてクリア出来た。特に短時間睡眠とナイトハイクはとてもよい経験となった。
ただ夜通しハイクはリスクが高いので通常の登山では「早出早着」の登山計画を基本とすべき。
時間に余裕を持った登山計画を立てるのが基本だと改めて感じる良い山行となった。
↓振り返れば「剱」を指す古賀さん↓槍を目指して駆ける中川↓気持ちよく駆ける古賀さん↓気持ちよく駆ける古賀さん↓秋色に色付着始めた黒部五郎のカール↓黒部五郎小屋を出発(22時)↓闇の双六↓明るくなりつつある西鎌尾根↓槍ヶ岳の前で記念撮影↓槍ヶ岳から一気に駆け下りる古賀さん↓河童橋で記念撮影↓ルートログ
【ナイトウォークの有効性について】
寒がりの私には夜歩いて昼間の温かい時間に睡眠をとる計画は有効だと感じた。
加えてシングルウォールのテントは夜露でびしょ濡れになるが、昼間ならびしょ濡れにならない。
さらに言えば昼間ならテントを張る必要すらないかもしれない。
次回縦走の機会があれば昼間に寝て、夜歩く計画を試してみる価値はあると思った。
「暗闇の危険性」と「景色が楽しめない」という点からすると同行してくれるパートナーはかなり限られる(笑)