一回で二度楽しい~冬山&春山の爺ヶ岳~

【山行名等】21.5.3(二橋)
【2021年5月3日~4日】
【メンバー】河合、遠山、岩瀬(蒲郡山の会)、二橋

2年ぶりの春山合宿。
数々の伝説をもつレジェント岩瀬氏(蒲郡山の会)、をゲストに迎え、当初5/1涸沢ベースで北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳の周回2泊3日を計画していた。しかし、悪天の為日程、コース変更を余儀なくされ、この時点で、日帰りか1泊2日に範囲は狭まった。

せっかくのGW、北アルプスが諦めきれないので山行記録を探し、天気予報をチェック。多くの天気予報は5/3は好転するものの強風は残り、5/4は晴天、5/5は雨。となると5/3入山し一泊二日、風の様子をみて行けるところまでが現実的。ということで、行先は柏原新道登山口から爺ヶ岳、鹿島槍へのピストン(5/3爺ヶ岳冷池テント場、5/4にアタックで計画。

5/2夕方、新城に集合し一路目的地へ向かう。早い時間に出発できるのはありがたい。道中、岩瀬氏の1ヶ月前の山行記録(爺東尾根~爺~鹿島槍~赤岩尾根18時間行動)を拝聴する。ほぼ初心者の私には、コースの難易度等想像しきれない部分も多いが、すごいことだけは分かる。山行にご一緒させていただけるのはとても光栄だが、さらに緊張する。途中仮眠をとり登山口へ。

6:00 柏原新道登山口で登山届を提出、相談所の方が丁寧に山頂付近の天気の様子を教えてくれた。
予報は天気は好転のはずだったが、山頂方面はどんよりした厚い雲に覆われており、冷たい風は登山口をも吹きつけていて、山の様子は容易に想像できた。

暫くは樹林帯の中を歩くがあっという間に雪がつき、夏道から南尾根に入るあたりでアイゼンをつける。
1週間前の山行記録の様子では、2000メートル付近までは夏道と雪の道ミックスで、それ以上は雪道、全行程ツボ足でいけたらしい。尾根や稜線の写真も土が出ている部分が多かったが、この一週間でだいぶ積もっていた。

尾根に上がると、風はさらに強くなっていき、パラパラと音がし始める。雪が降ってきたのか、木の枝についた雪が落ちてきているのか、よくわからないが空を見上げてもどんよりしたままだ。林を抜けるあたりで冬用のハードシェルを身に付けた。

林の中を抜けたあたりでさらに風は強くなってきた。
鹿島槍ピストンだといっていたパーティーが何組か下山してきた。強風の為ジャンクションピークで撤退してきたそう。樹林帯のあたりがテント適地だと教えてくれた。

樹林帯とはいっても若干頼りない樹林帯だったのと、尾根上だけあって15M弱の風は吹いている。経験豊富な先輩方の判断で、経験の為、行けるところまで様子を見に行こうとなった。頼りない樹林帯を抜けると、15~20Mの風が吹き付けてきた。頼りなく感じた樹林帯も、だいぶ風を防いでくれているんだとありがたく感じた。

歩行中、風に足をとられて(私だけ)何回かよろけた。耐風姿勢を習ったが、突風なので準備ができない。先輩方は、そんなときもあわてず耐風姿勢。風を予想している様だった。あとで聞くと、上空の音を聞くと突風が来るのが分かるらしい。でもその技術、身に着けるのだいぶ難しいと思います ( ;∀;)。
岩が露出しはじめ、アイゼンも効きにくくなったため、2,400m付近で撤退。
2,350Mの付近の樹林帯に戻り、13:30本日の行動終了。

テント設営開始。
強風の中、尾根上でのテント設営は(私は)初めてだった。固定はとても強固に行った。
初めて「竹ペグ」なるものも使用し、しかも50cm以上掘って固定。竹ペグも直接テントの紐を結びつけるのではなく、お手製で捨て紐(?)が付けられていた。翌朝凍って掘り出せなくなることもあるらしく(←今回は無事回収、残置なし)その場合に切り落としてしまうらしい。お手製の風よけ付きトイレも建設され、ふだん山の中でご機嫌な呑み助さんの、真の実力を知った。※残念ながらトイレの写真を撮り忘れました。

気温は0℃程だったので、テントの中は、とても快適。バーナーを炊いて温まるといつも通りの宴会がスタート。
今回はレジェンド岩瀬氏の山行やトレーニングお話も聞け、20Mの強風の音もテントのバタつきも心地よいBGMになり、和気あいあいと宴は進む。
扇沢も近く、スマホの電波も入ったので、酔っぱらう前に翌日の天候をチェック。
明け方まではこの強風が続くようなので、4:30起床、6時出発で爺ヶ岳アタックを計画。

LINEもつながり、各パーティの実況中継のコメントが多数アップされていた。
GWにこんなにも冬山を満喫しているのは私たちのパーティだけだった。雪が少ない南アルプスチームからはうらやましそうなコメントも届いていた。

夕飯は(私が)大好きなカレー。最近は生米持参でお米を炊いているが、難しい火の調整は先輩にお願いする、他力本願な食当。
食事も早々にすませ、宴もたけなわなところで7時就寝。こんな早く眠れるかなあと、皆様口々に心配されていたが、シュラフに入って5分もたたず眠りに落ちて行った(←私以外の先輩方)。

翌朝、まだ風はつよいが快晴となっていた。新雪は70cm程降ったようでテントは周囲に造った風よけが分からないほど埋もれていた。

朝食はアルファ米とみそ汁、魚の佃煮で簡単にすませ、予定通り6:00出発。


若干弱まった風と、快晴の天気、そしてデポして軽くなった荷物に背中を押され、快適に標高を上げる。

昨日は全く見えなかった、北アルプスの山々が見え始める。左に剱が見え始め静かにテンションがあがる。
南峰到着そして稜線歩きを楽しみ中峰へ。
8:00 中峰到着。360°の見事な大パノラマが私たちを迎えてくれた。
正面には鹿島槍が悠然と座り、その西側には剱の北方稜線から続く黒部の山々、南は槍ヶ岳、針の木。雪をまとった山々は優美で言葉を失うほどでした。

※この感動をお伝えする表現力がないので、あとは写真でお楽しみください。

剱をバックに爺ヶ岳山頂

 

鹿島槍をバックに爺ヶ岳山頂

 

鹿島槍

 

 

剱から黒部の山々

 

針ノ木

針ノ木

北アルプス南部

 

山頂で、うっとり感動に浸り写真撮影を済ませた後は、下山開始。この北アルプスの眺望とお別れしなければいけない寂しい気持ちで下り、テン場へ。

くつろいだ後、撤収開始。昨日埋めた竹ペグをスコップとピッケルで掘り起こし、テントを片付け、一晩私たちを守ってくれたシェルターはみるみるうちに跡形もなくなった。撤収は本当に早かったが、(先輩方によれば)かつてないほど頑丈に設営したため、皆様の額からは大粒の汗が、輝いていた←今回の山行で、ここが一番つかれたらしい。残念ながらこの時すでに風はなく、気温も上がり、春山の強い日差しがジリジリと私たちを照り付け始めていた。

再び下山開始。
昨日通ったコースの樹林帯の雪はだいぶ溶けていたが、アイゼンを脱げる状態にはなく、ということで、お決まりの木の根地獄。
転びながら下る。

下山途中、種池山荘から針ノ木へと続く稜線に巨大な雪庇がみえた。実際には4~5Mの高さらしく、あるタイミングで崩れるらしい。怖さを感じながらも、その絶妙なバランスで持ちこたえている姿はとても魅力的だった。

登山口付近から続いた夏道の雪もだいぶ溶けており、ようやくアイゼンが脱げた。
昨日は風の音に気をとられて、まったくその存在を気づかなかった扇沢を見ながら登山口へ戻った。

今回も天気に翻弄された山行でした。
振り返ってみれば、北アルプスの大パノラマと同じくらい、計画の立て方、初日の悪天候での行動は記憶に残っており、強風の中での行動や、テント設営、レイヤリングのタイミングなど、内容盛りだくさんでした。こんな悪天候の中、頼れる皆様のおかげで楽しくご一緒させて頂き、経験、ご指導を頂き感謝の気持ちでいっぱいです。

 

今回もいろいろ経験出来た山行でしたが、一番心に残った場面は下山後に見た写真!!

急登尾根を、こんな軽やかにステップを( ゚Д゚)。言葉がでません。
もっと練習しようと思います。一ヶ月400キロは無理ですが(^^;)。

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