【湯俣川~弥助沢~鷲羽岳】22.8.10(白井良岳)
【2022年8月10日~13日】
【メンバー】L.白井、河合、中村
北アルプスの裏銀座ルートに鎮座する鷲羽岳へと突きあがる湯俣川沿いに、今は廃道となった伊藤新道がかつてあった。
その伊藤新道を再生整備し、一般道として三俣山荘まで繋げるプロジェクトが立ち上がっています。
2年ほど前より湯俣川を知り、一般道と再生される前に原野の湯俣川を登っておきたいと思い今年中に行きたいと思っていました。
お盆休みを利用し、会の仲間の中村君、読図のプロの河合さんを釣り上げ一緒に行くことにしました。
当初は湯俣川の沢中で一泊し、翌日に鷲羽岳、水晶岳を往復し野口五郎小屋まで、3日目に烏帽子小屋まで縦走してブナ立尾根を高瀬ダムまで下山の予定でした。
結局台風8号が発生し大事をとって二日目は鷲羽岳を越え竹村新道を下山。夜中の20時半に晴嵐荘まで行動となりました。
10日の晩新城市の河合宅へ20時集合し出発。12時半頃には七倉の駐車場に到着するがすでの満車に近い状態。下の方に車を停めてテントを立て寝る。
11日(木) 5:00起床—5:45七倉—タクシー—6:00高瀬ダム—8:30晴嵐荘—9:00墳湯丘—9:45第一吊り橋—13:20硫黄沢出合—16:00樅沢泊地
起床しテントを撤収、6時にタクシーを予約してあったので5:45程にタクシー乗り場へ行くとタクシー待ちの他山客の列が出来ていた。
幸いに自分達は予約してある旨を伝えると、すぐに待たず乗せてもらえました。
タクシーに乗るとあっという間に高瀬ダムに到着。
ポツポツと小雨が降るが、気分良く高瀬ダムの湖畔の林道を歩く。林道はトンネル歩きもあるが1時間ほどで終わる。その後は登山道となるがよく整備されていて歩きやすい。ほとんど高低差もなく気持ちよくアルプス独特の濃い緑の中を歩く。
対岸に晴嵐荘が見えてくるが、自分達は湯俣川を遡行するためや晴嵐荘には寄らず右岸沿いに行く。水俣川にかかる吊り橋を渡る手前で沢登り装備に着替え出発。
タクシー待ちの登山客
高瀬川沿いの林道
対岸に晴嵐荘が見える
沢装備に着替え準備万全
身支度が終わるころには天気も回復しやる気満々である。すぐに墳湯丘となり、手で触ると火傷しそうな熱いお湯が出ている。
対岸には球状石灰石の異様な姿が見える。まるでSF映画でてきそうな未知の物体に見える。対岸に渡って近くに行ってみたいが本流の流れが深くて早く、たやすく渡れそうにないので諦める。
ほどなくして第一吊り橋が見えてきた。今年中に吊り橋も設置し終える予定となっていたので、その他の登山道も整備され歩きやすくなっているかと思いましたが、湯俣川沿いは結局この吊り橋以外ちゃんと整備されているところは無かったです。
なので小さく高巻いたり、渡渉を繰り返して登って行くのでまんま沢登りです。
ただ、河が大きいのでほとんど、どちらか対岸沿いを歩く感じでいけます。
熱いお湯が出てます
球状石灰石
噴出丘を後にして登る
新しく架設された第一吊り橋。すごく揺れます
つづいて通称”ガンダム岩”。どこがガンダムなのか解らなかったです。
今回は水量が少なく岩の下をくぐりスラブ登って簡単に通過できました。
その後も何度も渡渉を繰り返しながら青空のした、荒涼とした沢をひたすら登って行きます。
硫黄沢の出合は全く不思議と言うか、一見の価値があります。
硫黄沢はさらに荒涼性が増して、乳白色の沢が流れ落ちて来てます。
ガンダム岩
写真だと解りにくいですが、50mほどFIXロープが水平に張られてます。自分達は使わず渡渉してやり過ごしました。
湯俣ブルーの登る
「引き返す勇気を!」と岩に書かれた難所。
難所を通り過ぎて渡渉したところ
頑張ってヘツル河合さん
湯俣ブルー
異世界を登る
硫黄沢
硫黄沢を通り過ぎしばらく行くと弥助沢の出合だ。
弥助沢に入ると渓相は一転して、両岸には樹木が生繁、よくある日本のいつもの沢の風景となる。
しかしながらこの沢はすごくヌメりが強く、ラバーソールの中村君は苦労する。しかも、巻いたり渡渉するのが煩わしい感じでいまいち面白みに欠ける。
先を行っていた二人組PTに追いつき先に行く。
15時を過ぎてそろそろ幕営地を探すが、なかなかいい所が見つからない。
天気は良さそうなので増水もしないので河原付近でいいのだが、あっても岩がごろごろしていてイマイチな感じだ。
16時になり、もうここでいいとして、比較的大きな河原を幕営地とする。
河合土木が整地工事を行い、中村釣り師が竿を出し釣りに行く。自分は焚火係だ。
焚火をして大自然の中でお酒を飲む、あとは食事してタープも張らずにごろ寝しました。
至福のひと時でした。半分はこのために沢登りをすると言ってもいいくらいです。
因みに釣り師の中村君は坊主でした。登ってくる間でも全く魚影を観なかったので予想はしてました。
しかし翌日幕営地より30分も登ると魚影が出だし、尺近い魚影も見られました。
緑が濃い弥助沢
幕営地
ご機嫌な河合さんと調理中の中村君
12日(金)泊地6:00—9:00脱溪(トラバース道)—11:00鷲羽岳—13:00水晶小屋—13:40東沢乗越—15:25真砂岳山頂手前分岐—16:30南真砂岳—18:00湯俣岳—20:30晴嵐荘—21:00ビバーク地
4:30頃起床する。ちょっと雨がパラついたが問題なく朝食を済ませ6時頃出発。
30分ほど登ると魚影が出だす。その後もあまり擦れていない感じの尺近いイワナも見られた。しかし、ゆっくり竿を出しヒマも無いので先を急ぐ。
本日は台風8号が迫っているらしいので早く携帯の電波が入る稜線まで行き天気予報を確認したい。
その後弥助沢を辿り詰めあがるが、沢自体は平々凡々とした感じだ。雨が時折普通に降るのでカッパを着て遡行を続ける。
最後の詰めは鷲羽岳の麓を横切る伊藤新道へ出る。
地形図を見て確認中の河合さん
GPSでも確認
そこで沢登り装備を仕舞い、身支度を整える。雨が時折降るので上下ともカッパを着る。自分は濡れた服の上にカッパを着ていて寒かった。歩いていれば何とかなる。
鷲羽岳の登りが長く感じる。さすがにお盆休みだけあって登山者は多い。
13時頃水晶小屋に到着。相変わらず天気はいまいちで、あまり展望が無い。本日中に竹村新道を下る事と決める。なので、水晶岳へは行くことは無かった。
東沢乗越近くまで来ると大分天気が持ち直し、たまに雲が取れて展望が良くなる。せっかくアルプスの稜線を歩くのだから素晴らしい展望を味わいたい。
河合さんのアプローチシューズのソールがはがれそうになって、テーピングでぐるぐる巻きにする。なんかGWにも同じ光景を見た気がするんですけど。
先頭を歩く自分の調子が今一つ。今までになく足が上がらず不安になる。弱気になって野口五郎小屋に泊まるかどうかを皆に確認するが、竹村新道を下る事と最終確認する。自分のトレーニング不足を痛感、反省。
そうと決まったので覚悟を決めて竹村新道を下る。燕岳や餓鬼岳方面は雲が無く、素晴らしい展望が望め、ひと時の休憩時の癒しとなる。
下山中に本日晴嵐荘を出発して高天原温泉に入って来た、と言うツワモノの兄ちゃんが追い抜いて行った。今日はテントを張りっぱなしの晴嵐荘迄戻る途中だそうだ。天狗の様な健脚だ。
竹村新道のくだりは湯俣岳を越えついにヘッドランプをつけての下山となる。3人が3様とも膝が痛くなり、脂汗だか冷や汗だか鼻水だか解らない液体を流しつつ頑張って下る。沢の音が聞こえだし、硫黄の臭いがしだすともう少しで晴嵐荘だ。励まし合って敗戦兵のごとくうめき声をあげながら下る。
20時半頃晴嵐荘へたどり着いた。小屋はまだ明かりが付いていたが、会の汚名を知らしめはならぬと通り過ぎ、高瀬ダム方面へ下山し、途中セバ沢が流れ来る出合付近に砂地の優良物件を見つけそこにタープを張る。
タープを張ってしまえば住めば都、宴会して夕食を摂る。雨が降り出したのでタープの下へ潜り込み、疲れていたので22時半まえには就寝したと思う。
登って来た弥助沢を望む
鷲羽岳への登り、後ろに三俣山荘
ガスガスの鷲羽岳山頂、100名山ゲット
黒部湖へそそぐ東沢
雲が取れて水晶岳や赤牛岳が見えた
あちらこちらにテーピングする河合さん
真砂岳手前の分岐、右が湯俣へ下る竹村新道
13日(土)
今日も明るくなった4時半頃起きだし、ノンビリ朝食を摂り撤収する。
夜中に”シャン、シャン”と錫杖をついて歩く人の音が通り過ぎて行った。修行僧の方だろうか?そんなのには昨晩下山中合わなくて良かった。
会ったらマジビビルと思う。
6時頃泊地を出発。思いのほか青空も見え天気がいい。
ノンビリ下り高瀬ダムへ。ちょうどタクシーを拾う事が出来ストレスなく8時半頃七倉へ到着。
七倉山荘の温泉に入り帰宅しました。
朝の一コマ
撤収後にパチリ
山行を終えて。初日は天気が良い中、日本離れした沢の風景でテンション上がりまくりの沢登り。
翌日は天気の悪い中の稜線歩きから、真っ暗の下山。
とても思い出深い山行となりました。楽しい、苦しい、つらい、痛いなどいろいろ仲間と共有して無事山行を終える事でき満足です。
またこんな仲間といい山行が出来るといいです。
あと、50歳を過ぎさすがに日ごろからトレーニングしないといけないと痛感しました。
【追記】
焚火交じりの、のどかな沢登は、数十年ぶり?だろうか?
この、のどかな時間を楽しむために、沢を登っているといっても過言ではない。
今年は、白井君と冴ちゃんと一緒に行くことができ、ラッキーでした。
久しぶりに、ヒザも痛くなり、テーピングで、ヒザをグルグル固め、声を出し、痛いと言っても誰も私を担いでくれないことは重々分かっているので、声を出さず、ごまかし、ごまかし・・・。
歩き、歩き・・・。
また、久しぶりのヘッドライト山行で、虫と蛾と戦い、再度、「私は、蛾が嫌いだ!!」と認識できた山行でもあった。マジ「蛾」が嫌い。
1匹?1羽?1ヒラヒラ?は我慢できても、3匹?3羽?3ヒラヒラ?+虫+虫+虫+虫・・・、& 口の中に虫が・・・。ゲホ・・・ゲホ・・・。ぺっ・・。
これは、気が狂いそう・・。
早く、下山しようと焦るも、下りの道に段差があると、「おヒサがぁ・ぁ・ぁ・。いっったぁ。」となり、落ち着け・・・。と久しぶりの自問自答。
水場に着き、タープを張り、一飲した安堵感は、最近味わったことがない。う・・・ん。今日の、お酒は格別。(いつもか?)
鷲羽岳山頂で、握手をするのを忘れ、この場で3人握手を交わしたことは、忘れない。
来年も、沢登りに行きたい・・・。
-記・河合-
【追記】
今回も辛く×3も楽しく充実した山行ができました。
きれいな湯俣川、かっこいい硫黄尾根、河原で適当に雑魚寝、ガスってますが鷲羽岳、長すぎじゃないですか竹村新道…。
2日目の竹村新道下山時は白井さん、私、河合さんの順番で並んで歩いていました。
3人がそれぞれの痛みに耐えながら晴嵐荘を目指す。もう歩けないと思っても、後ろを歩く河合さんのやたら明るいヘッデンの明かりに煽られ、止まると追突されそうで足が前に出る。先頭の白井さんも淡々と歩くので止まるわけにはいかない。
どれくらいか無心で歩くと晴嵐荘に着き竹村新道が終わった。
2泊3日の沢は超ハードモードになりがちだが、そうだから会の皆様と乗り越えた時の達成感は格別です。
来年も行けるといいな
-記・中村さ-