錫杖岳 左方カンテ

【分類・山域】クライミング 錫杖岳(左方カンテ)【記】中川
【日時】2019年5月26日(日)
【メンバー】白井L・中川、(中村(冴)さん・山形さんは「じーやの大冒険」)
【天気】晴れ

【行程】
0530 駐車場(中尾高原口駐車場
0630 錫杖沢出合(テン場)
0730 左方カンテ取付
0800 クライミング開始
1140 大テラス(7P目の基部)
1400 8P目終了点(登攀終了・懸垂開始)
1530 懸垂終了(左方カンテ取付ポイント)
1610 錫杖沢出合(テン場)
1700 駐車場(中尾高原口駐車場)着

【クライミング装備リスト】
・カムBD#0.5~#3、エイリアン黒、青、緑、黄
・ナッツ一式
・ロープ50mダブル

【オーダー】

1P(Ⅲ)ルンゼ:中川
2P(Ⅳ)ルンゼ:白井L
3P(Ⅴ)スラブ・フェース:中川
4P(Ⅱ)バンド:白井L
5P(Ⅳ+)チムニー:中川
6P(Ⅳ+)フェース・カンテ:白井L

大テラスで休憩
7P(Ⅴ+)チムニー・クラック:白井L
8P(Ⅳ+)スラブ:中川

錫杖岳では過去はリングボルトやハーケンが多くあったとのことですが、現在では残置支点がほぼ一掃されオールナチュプロのルートとなっているそうです。楽しみです。

【本文】

アプローチ

中尾高原口駐車場に車を停めて、槍見館の北にある登山口に登山届をポストインして入山。

左方カンテ基部までは約2時間。渡渉有り、雪渓有り、道迷い無し。

↓駐車場付近からは槍ヶ岳が見えます。

基部までのアプローチでは渡渉があります。増水時は注意が必要です。靴を濡らしたくなければ、裸足になれば大丈夫です。

↓渡渉する中村(冴)さんと山形さん。彼らはこの先少し行ったところで私達と別れて3ルンゼ(じーやの大冒険)へ向かって行きました。

↓錫杖岳です。迫力あります。左方カンテは白壁(写真中央あたりの白い部分)の左あたり。


注文の多い料理店へ向かう途中の左方カンテの分岐あたりから上に雪渓がありました。

アイゼンを持っていませんでしたが、少しだけだったので雪渓をアイゼン無しで歩きました。
注文の多い料理店へ行くにはアイゼン必須な状況でした。

↓距離にして10m程度雪渓を歩きました。

 

クライミング

1P(Ⅲ)ルンゼ
灌木とクラックで支点が取れる。

確保無しでも登れると思うが、ウォーミングアップにちょうどいい感じでした。

どうやら他のPTは居ないようで、この人気ルートを貸切とはラッキーです。

↓1Pを笑顔でリードする中川。

2P(Ⅳ)ルンゼ:白井L
クラックにカムで支点が取れる。途中に急なフェースがあるがフォローの私は気楽に登れた。リードでも多分大丈夫と思う。

3P(Ⅴ)スラブ・フェース:中川
出だしのピナクルの頭に上がるのにヒト苦労し、その後のスラブ状のフェースが若干いやらしくルート取りに迷った。

ビレイポイントまで辿りつけたが、ベストルートではなかったと思われる。ピナクルから右上→直登→右上がベストルートだったか。
ルートファインディングスキルはどうやったら上がるのだろうか・・・。ひとまず経験あるのみ。

↓3Pは高度感もあり楽しいピッチでした。

4P(Ⅱ)バンド:白井L
短いパートでコンテでも大丈夫な感じでしたが、確保して進みました。

↓ビレイポイントでセカンドをビレイする白井L

5P(Ⅳ+)チムニー:中川
支点はカムで取れ、ホールドもあるので落ち着けば問題無しです。背中(ザック)を壁に当てて全身を使って登りました。

6P(Ⅳ+)フェース・カンテ:白井L
ナッツとカムで支点がとれます。出だしのフェースがいやらしく、支点間距離が若干長くなる箇所がありました。
白井さんにリードして頂いたので安心でした。自分でリード出来るかといえばギリギリイケるかどうかといったところ。

↓6P下部フェース。出だしに残置ハーケン有り。

↓6P上部をフォローで登る中川。フォローはロープ伝いに登るだけなので気楽です。

7P(Ⅴ+)チムニー・クラック:白井L
大テラスでの休憩後に取り付いたこのピッチが核心です。出だしのチョックストーンを乗越すところはハンガーボルトにスリングを掛けてエイドで登りました。
このピッチもナッツとカムで支点がとれます。6P、7Pはナッツが大活躍でした。白井さんにナッツをセットして頂いたので安心ですが、ナッツのセットも私の今後の課題です。

↓7Pのチョックストーンを乗越したあたりの白井L

8P(Ⅳ+)スラブ:中川

本チャンの経験が少なくビビリの私には厳し目でしたが何とか登りました。

冷静になれば手も足もちゃんとあります。傾斜的にはスラブですが、スメアで登るスラブではなくホールドがあります。焦らず落ち着いて対応できるかどうかも今後の課題です。

↓8P上部の白井L。

本によると8Pの後もう1ピッチⅢ級がありますが、クライミングするほどでも無いようなので、今回はここで終了。懸垂で降ります。

本来は注文の多い料理店を3回懸垂が主流との事ですが、注文の基部から雪渓を下らねばならず、アイゼンを持っていない我々は不安なので、登ってきた左方カンテを懸垂で降ります。

懸垂下降

↓左方カンテを懸垂下降する白井L(ロープはハーネスに振り分け)


左方カンテの懸垂では何箇所かロープ回収に気をつけなければいけません。

7Pの出だしのチョックストーンにロープがひっかかってしまい回収に手間取りました。白井さんが登り返して回収出来ました。

懸垂下降は連続でやった事がなく、手順段取りが悪かった。下降中に振られて壁に激突したりもした。連続懸垂も今後の課題のヒトツ。

↓焼岳が見えます。

↓西穂ロープウェイ、白出沢などの北アルプスの山々がよく見えます。

↓北沢デラックスを登っていたPT

 

貸切で大満足の左方カンテでした。また登りたいと思いました。

今回見つかった課題をトレーニングで克服し、次回は今回フォローで登ったピッチをリードしてみたいです。
白井さん、まだまだヒヨッコの私と組んで頂きありがとうございました。

前日の御在所前尾根、翌日の錫杖岳左方カンテと連戦で大大大満足でした。

 

【白井感想】

山岳会の過去の記録を検索していたら2008年に浅田さんと「左方カンテ」を登った記録がのこってました。
https://toyokawa-ac.jp/peekhunt/2039
それ以来の登攀となるので10年以上たってしまってました。
人気ルートでいつも混んでいるイメージがあったので敬遠していたのもあります。
今回はこの時期ならまだクライマーも少ないだろうというのと、ルートがオールナチュプロにリニューアルしてからは登っていないので楽しみでもありました。
おおよその記憶はありましたがやはり登るところに残置ピンが無いので、ルートファインディングが試されます。
しかしそこが面白い。久々に登って「左方カンテの」良さを改めて感じました。
このルートを登ってしまうと、既成のルートがちょっと味気ない気がしてしまうかもしれませんね。
今回は初めてアルパインルートを中川君と登りました。しばらく一緒に登っていなかったので、彼の成長ぶりに驚きました。基本的な確保やロープワークもちゃんと出来ているし、リードでもビビりながらも行くべきところは登り切ってくれました。
今後が楽しみです。

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