7月29日は移動日。帯広から釧路までは特急(最近事故が多いですが)。釧路からは窓が大きく展望がすばらしく、ゆっくり走るノロッコ号で釧路湿原の塘路駅へ。
ここからは格安のJRのツインクルバスツアーで摩周湖、斜里経由で知床のウトロまでバスの旅。
途中、雨上がりの斜里岳、知床連山の景色を望むことができた。
ウトロで夕飯を済ませ、下山後の民宿ボンズホーム(とほ宿)に着替えなどをデポさせてもらい、タクシーで登山口の岩尾別温泉の木下小屋まで移動(3960円:現在シャトルバスは廃止となっている)
この日まで羅臼岳往復の登山路600m付近でアリ塚に居座るヒグマが何度も現れたという情報で同宿のみなさんで連れ持って歩く相談をする。
3:40起床、4:30少し青空も覗く中、7人パーティで出発。
大きな鈴をつけて、ホイッスルを吹きながら先頭をゆっくりと歩く。
5:30オホーツク展望では青いオホーツク海がきれい。
知床五湖も望める
6:05極楽平あたりからは雲が出てくるが美しい樹林を行く。6:35仙人坂(頂上まで3km)南風に交じって霧雨となりカッパを着用。 7:05銀冷水(頂上まで2.5km)エキノコックスの心配があるのでみなさん手を洗う程度。
7:19大沢に入り雪渓に降り立つ。傾斜はさほどでは無く、スプーンカットを踏みしめながら歩くと問題は無い。下りは軽アイゼンがあった方が楽という程度の傾斜である。
7:32 1つ目の雪渓終わり、シュルンドというほども無、2つ目の雪渓も問題なく通過し8:03羅臼平到着。ここでクマ対策の7人パーティはいったん解散、めいめいのペースとなる。 私はザックを縦走路の分岐に置き、8:25岩清水、雨と強風の中、岩を縫って登り8:55山頂到着。
気温は12℃とさほどでもないが、2~3mm/Hの雨、南寄りの風10~12m/s。後から登って来られた方と写真を撮り合うが長くいるとからだが冷えてくる。
9:35羅臼側下山路分岐、9:45 縦走路分岐に戻り、いよいよ単独縦走。に入る。視界は30~50m、風雨の中だが暴風雨までではないので決行とする。他に登山者の姿もなくヒグマ対策の笛の音も高く進む。所々笹や低木が登山道を覆う中10:40三峰キャンプ場着。視界が10m程度と悪くなり踏み跡と赤テープを慎重に確認しながら11:30サシルイ岳のケルン通過。降雨量も増えガレの下降のは小川となっている。
12:15ミクリ池を通過
晴れてれば素晴らしい平原の小道
展望が期待できない縦走路ではお花畑が楽しみ
エゾノツガザクラ
13:10二ツ池 キャンプ場着。
晴れていればさぞかしのどかな情景だと思える場所。 知床半島で250頭と北海道でもダントツにヒグマの密度が濃い知床。テント場では炊事できず40m程離れたフードロッカーで食事となる。雨なのでお湯だけをテント内で沸かし、ワンタッチライスとレトルトを温める。それをフードロッカーの食事場所に持ち込み雨の中の夕食であった。
未明にピチャピチャという音。ヒグマが水を飲みに来てる?それとも水溜りの音?
外を見ると幸い何もいなかった。
31日
3:30起床 雨の止み間を見て5:30出発。テント場からは古い地図では池の右側を行くが、新しいルートはテントサイトをすぐに左側、ハイマツを伐採した道を進む。 ほぼ雨は止みガスだけとなる。
6:05赤岳通過。6:55知円別平はチングルマの大群落。
雨に濡れたキバナシャクナゲ
7:35 知円別岳頂上を踏まずガレ場をトラバース。コマクサが砂礫に咲いている。
8:00第2前衛峰を縫って通過。
8:30第3火口手前の雪渓が夏道を隠し分かりにくい。ガスの中雪渓の右側を登ると夏道に出た。9:05硫黄山の肩に着きガスも薄くなり上空は青空となる。
9:28頂上到着。残念ながら縦走路と羅臼岳はガスで見えない。9:55肩から左側の硫黄沢上部のザレを下降すると間もなく長い雪渓。
念のため6本爪アイゼンを着ける。11:05 1つ目の雪渓の下が小さな滝場となっており右岸を少し巻いて2つ目の雪渓に入る。11:25 980m付近に横にロープが張ってあり、地図通り沢を離れ左岸の尾根に取付く。
ガスも完全に晴れオホーツク海も美しい。
ウトロ方面への海岸線
左側はカムイワッカ沢
12:00新噴火口(標高740m付近)13:05登山口に到着。
ようやく硫黄山の稜線が望めた
カムイワッカ湯の滝で足湯を楽しむ。
予約していたタクシー(8000円)でウトロの宿 ボンズホームに到着。お疲れ様でした。(※8/1以降であればカムイワッカからウトロまでシャトルバスが運行されるので安く移動できたのですが・・。)
タクシーから知床連山
旅行の最終日(8/4)の早朝、ウトロから知床峠まで上がってきたら丁度ガスが切れて羅臼岳が姿を現した。
この景色が縦走中少しでも出ていればねえ。
8/1~8/4の連れ合いとのいつもの珍道中は気が向けばまた別途アップします。
<感想>
風雨と熊さんのプレッシャの中の一人旅でした。ガスで視界が限られる中、赤テープを拾いながら慎重に進むことでほとんど迷うことなくトレースできました。以前も書きましたが、五感を研ぎ澄ませて歩くのは寂しくもあり楽しいですが、これ以上の悪条件では今後は自重すべきかなとも思った山行でした。熊さんとも出会うことく良かった良かった。
記:上田
<当日の天気状況>
相変わらず太平洋高気圧が日本列島の南西に後退。戻り梅雨の様相で日本海と関東東方海上の上空に寒気を伴った低気圧とオホーツク海の影響で南西風で羅臼(太平洋)側からの雲が稜線の越え、ウトロ(オホーツク海)側中腹まで雨~ガスの天気が30日~31日も続きました。
30日09時の地上天気図
30日09時と31日09時の北海道付近の降雨と風の予想図を添付します。
水色の点々は直前の3時間の降水量で1~3mm/3時間の領域です。
知床連山:羅臼岳~硫黄山 :熊さんのプレッシャと雨の中の単独縦走
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